Solaris 9 9/04 インストールガイド

第 7 章 システム構成情報の事前設定 (作業)

この章では、システム構成情報の事前設定について説明します。 事前に設定を行うと、Solaris オペレーティング環境をインストールする際に、システム構成情報の入力を求めるプロンプトが表示されません。 この章では、さらに、電源管理システム情報の事前設定についても説明します。 この章の内容は次のとおりです。

システム構成情報を事前設定することの利点

どのインストール方法でも、周辺機器、ホスト名、IP (インターネットプロトコル) アドレス、ネームサービスなどのシステム構成情報が必要です。 インストールプログラムは、構成情報の入力を求める前に、まず sysidcfg ファイルの情報を調べ、次にネームサービスデータベースの情報を調べます。

Solaris Web Start プログラム、Solaris suninstall プログラム、およびカスタム JumpStart インストールプログラムは、事前設定されたシステム構成情報を検出すると、その情報の入力を求めることはありません。 たとえば、複数のシステムに Solaris 9 ソフトウェアをインストールするとき、システムごとに時間帯を入力したくない場合があります。 この時間帯を sysidcfg ファイル中またはネームサービスデータベース中に指定できます。 Solaris 9 ソフトウェアのインストール時に時間帯の入力を求められなくなります。

システム構成情報の事前設定方法

システム構成情報を事前設定するには、2 つの方法があります。 システム構成情報は以下の場所に設定できます。

サイトで DHCP を使用している場合は、サイトの DHCP サーバーで一部のシステム情報の事前構成を行うこともできます。 DHCP サーバーを使ってシステム情報の事前構成を行う方法の詳細については、DHCP サービスによるシステム構成情報の事前設定 (作業)を参照してください。

次の表を使って、システム構成情報の事前設定に sysidcfg ファイルを使用するかネームサービスデータベースを使用するかを決定してください。

表 7–1 システム構成情報を事前設定するための方法

事前設定できるシステム構成情報 

sysidcfg ファイルでの事前設定の可否

ネームサービスでの事前設定の可否

ネームサービス 

可能 

可能 

ドメイン名 

可能 

不可 

ネームサーバー 

可能 

不可 

ネットワークインタフェース 

可能 

不可 

ホスト名 

可能 

この情報はシステムに固有なため、各システム用に異なる sysidcfg ファイルを作成するよりも、ネームサービスを編集してください。

可能 

IP アドレス 

可能 

この情報はシステムに固有なため、各システム用に異なる sysidcfg ファイルを作成するよりも、ネームサービスを編集してください。

可能 

ネットマスク 

可能 

不可 

DHCP 

可能 

不可 

IPv6 

可能 

不可 

デフォルトルーター 

可能 

不可 

root パスワード 

可能 

不可 

セキュリティポリシー 

可能 

不可 

インストールプログラムとデスクトップで表示する言語 (ロケール) 

可能 

NIS または NIS+ の場合、可能 

DNS または LDAP の場合、不可 

端末タイプ 

可能 

不可 

時間帯 

可能 

可能 

日付と時刻 

可能 

可能 

Web プロキシ 

不可 

Solaris Web Start のインストール時にこの情報を構成できますが、sysidcfg ファイルやネームサービスを使用せずに行う必要があります。

不可 

x86: モニタータイプ 

可能 

不可 

x86: キーボード言語、キーボード配置 

可能 

不可 

x86: グラフィックスカード、カラー深度、表示解像度、画面サイズ 

可能 

不可 

x86: ポインティングデバイス、ボタン数、IRQ レベル 

可能 

不可 

SPARC: 電源管理システム (autoshutdown) 

sysidcfg ファイルやネームサービスを通して電源管理システムの事前構成を行うことはできません。 詳細は、SPARC: 電源管理情報の事前設定 を参照してください。

不可 

不可 

sysidcfg ファイルによる事前設定

sysidcfg ファイルに一連のキーワードを指定すると、システムを事前設定できます。 sysidcfg ファイルキーワード は、これらのキーワードを示しています。

異なる構成情報を必要とするシステムごとに、固有の sysidcfg ファイルを作成する必要があります。 すべてのシステムに同じ時間帯を割り当てる場合は、同じ sysidcfg ファイルを使用して、一連のシステムに時間帯を事前設定することができます。 ただし、これらの各システムに異なる root (スーパーユーザー) パスワードを事前設定する場合は、各システムに固有の sysidcfg ファイルを作成する必要があります。

sysidcfg ファイルは、次のどれかに置くことができます。


注 –

カスタム JumpStart インストールを実行していて、フロッピーディスク上の sysidcfg ファイルを使用したい場合は、プロファイルフロッピーディスク上に sysidcfg ファイルを置く必要があります。 プロファイルフロッピーディスクを作成するには、スタンドアロンシステム用のプロファイルフロッピーディスクの作成を参照してください。


1 つのディレクトリまたはフロッピーディスクには、1 つの sysidcfg ファイルだけを入れることができます。 複数の sysidcfg ファイルを作成する場合は、各ファイルを異なるディレクトリまたは異なるフロッピーディスクに置く必要があります。

sysidcfg ファイルの構文規則

sysidcfg ファイルで使用するキーワードには、 非依存型と依存型の 2 種類があります。 依存型キーワードは、非依存型キーワード内でのみ固有であることが保証されています。 依存型キーワードは、対応する非依存型キーワードによって識別される場合にのみ存在します。

次の例では、name_service が非依存型キーワードであり、domain_namename_server が依存型キーワードです。

name_service=NIS {domain_name=marquee.central.example.com
name_server=connor(192.168.112.3)}

構文規則 

例 

非依存型キーワードは任意の順序で指定可能 

pointer=MS-S
display=ati {size=15-inch}

キーワードは大文字と小文字のどちらでもよい 

TIMEZONE=US/Central
terminal=sun-cmd

依存型キーワードと非依存型キーワードを関連づけるには、すべての依存型キーワードを中括弧 { } で囲む 

name_service=NIS 
   {domain_name=marquee.central.example.com
    name_server=connor(192.168.112.3)}

値は単一引用符 (') または二重引用符 (“) で囲んで指定可能 

network_interface='none'

network_interface を除くすべてのキーワードは、1 回だけ指定可能。 キーワードを複数回指定した場合は最初のキーワードだけが有効

name_service=NIS
name_service=DNS

sysidcfg ファイルキーワード

表 7–2 に、sysidcfg ファイルでシステム情報を構成するときに使用できるキーワードを示します。

表 7–2 sysidcfg キーワード

構成情報 

キーワード 

ネームサービス、ドメイン名、ネームサーバー 

name_service キーワード

ネットワークインタフェース、ホスト名、IP アドレス、ネットマスク、DHCP、IPv6 

network_interface キーワード

root パスワード 

root_password キーワード

セキュリティポリシー 

security_policy キーワード

インストールプログラムとデスクトップで表示する言語 

system_locale キーワード

端末タイプ 

terminal キーワード

時間帯 

timezone キーワード

日付と時刻 

timeserver キーワード

x86: モニタータイプ 

x86: monitor キーワード

x86: キーボード言語、キーボード配置 

x86: keyboard キーワード

x86: グラフィックスカード、画面サイズ、カラー深度、表示解像度 

x86: display キーワード

x86: ポインティングデバイス、ボタン数、IRQ レベル 

x86: pointer キーワード

以下の節では、sysidcfg ファイルで使用できるキーワードについて説明します。

name_service キーワード

name_service キーワードを使用して、システムのネームサービス、ドメイン名、およびネームサーバーを構成できます。 次の例は、name_service キーワードの一般的な構文を示しています。


name_service=name-service {domain_name=domain-name 
                                 name_server=name-server
                                 optional-keyword=value}

name_service には、値を 1 つだけ選択します。 次に、domain_name キーワードと name_server キーワードの両方を設定し、必要に応じて、さらに追加のキーワードを設定します。あるいは、これらのキーワードをまったく設定しなくてもかまいません。 キーワードを 1 つも使用しない場合には、中括弧 { } は省略します。

以下の各節では、特定のネームサービスを使用するようシステムを構成するための、キーワードの構文について説明します。

NIS 用の name_service キーワードの構文

NIS ネームサービスを使用するようシステムを構成するには、次の構文を使用します。


name_service=NIS {domain_name=domain-name 
                   name_server=hostname(ip-address)}
domain-name

ドメイン名を指定します

hostname

ネームサーバーのホスト名を指定します

ip-address

ネームサーバーの IP アドレス指定します


例 7–1 name_service キーワードを使用して NIS サーバーを指定する

次の例では、ドメイン名 west.example.com を使用して NIS サーバーを指定しています。 このサーバーのホスト名は timber で、IP アドレスは 192.168.2.1 です。


name_service=NIS {domain_name=west.example.com 
                  name_server=timber(192.168.2.1)}

NIS ネームサービスの詳細は、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』を参照してください。

NIS+ 用の name_service キーワードの構文

NIS+ ネームサービスを使用するようシステムを構成するには、次の構文を使用します。


name_service=NIS+ {domain_name=domain-name 
                   name_server=hostname(ip-address)}
domain-name

ドメイン名を指定します

hostname

ネームサーバーのホスト名を指定します

ip-address

ネームサーバーの IP アドレスを指定します。


例 7–2 name_service キーワードを使用して NIS+ サーバーを指定する

次の例では、ドメイン名 west.example.com を使用して NIS+ サーバーを指定しています。 このサーバーのホスト名は timber で、IP アドレスは 192.168.2.1 です。


name_service=NIS+ {domain_name=west.example.com 
                   name_server=timber(192.168.2.1)}

NIS+ ネームサービスの詳細は、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : FNS、NIS+ 編)』を参照してください。

DNS 用の name_service キーワードの構文

DNS を使用するようシステムを構成するには、次の構文を使用します。


name_service=DNS {domain_name=domain-name 
                  name_server=ip-address,ip-address,ip-address
                  search=domain-name,domain-name,domain-name,
                  domain-name,domain-name,domain-name} 
domain_name=domain-name

ドメイン名を指定します。

name_server=ip-address

DNS サーバーの IP アドレスを指定します。 name_server キーワードの値として、最大 3 個の IP アドレスを指定できます。

search=domain-name

(省略可能) ネームサービス情報の検索ドメインを追加するときに指定します。 検索ドメイン名は最大 6 個指定できます。 各検索エントリの長さは、250 文字以下でなければなりません。


例 7–3 name_service キーワードを使用して DNS サーバーを指定する

次の例では、ドメイン名 west.example.com を使用して DNS サーバーを指定しています。 このサーバーの IP アドレスは、10.0.1.10 および 10.0.1.20 です。example.com および east.example.com が、ネームサービス情報の検索ドメインとして追加されています。


name_service=DNS {domain_name=west.example.com 
                  name_server=10.0.1.10,10.0.1.20 
                  search=example.com,east.example.com}

DNS ネームサービスの詳細は、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』を参照してください。

LDAP 用の name_service キーワードの構文

LDAP を使用するようシステムを構成するには、次の構文を使用します。


name_service=LDAP {domain_name=domain_name
                   profile=profile_name profile_server=ip_address 
                   proxy_dn="proxy_bind_dn" proxy_password=password}
domain_name

LDAP サーバーのドメイン名を指定します。

profile_name

システムの構成に使用する LDAP プロファイルの名前を指定します。

ip_address

LDAP プロファイルサーバーの IP アドレスを指定します。

proxy_bind_dn

(省略可能) プロキシバインド識別名を指定します。 proxy_bind_dn の値は、二重引用符で囲む必要があります。

password

(省略可能) クライアントのプロキシパスワードを指定します。


例 7–4 name_service キーワードを使用して LDAP サーバーを指定する

次の例では、次の構成情報を使用して LDAP サーバーを指定しています。


name_service=LDAP {domain_name=west.example.com 
                   profile=default 
                   profile_server=172.31.2.1 
                   proxy_dn="cn=proxyagent,ou=profile,
                   dc=west,dc=example,dc=com" 
                   proxy_password=password}

LDAP の使用方法の詳細は、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』を参照してください。

network_interface キーワード

次の作業を実行するには、network_interface キーワードを使用します。

以下の各節では、network_interface キーワードを使用してシステムインタフェースを構成する方法について説明します。

ネットワークに接続しないシステム用の構文

システムのネットワーク接続をオフにするには、network_interface 値に none を設定します。 次に例を示します。


network_interface=none

1 つのインタフェースを構成するための構文

network_interface キーワードを使用して 1 つのインタフェースを構成するときには、以下の方法を使用します。


例 7–5 network_interface キーワードを使用して、DHCP を使用する 1 つのインタフェースを構成する

次の例では、DHCP を使用して eri0 ネットワークインタフェースが構成されるように指定しています。 IPv6 サポートは無効になります。


network_interface=eri0 {dhcp protocol_ipv6=no}


例 7–6 network_interface キーワードに構成情報を指定して 1 つのインタフェースを構成する

次の例では、インタフェース eri0 を次の設定で構成しています。


network_interface=eri0 {hostname=host1 ip_address=172.31.88.100
                        netmask=255.255.255.0 protocol_ipv6=no}

複数のインタフェースを構成するための構文

sysidcfg ファイルでは、複数のネットワークインタフェースを構成できます。 構成するインタフェースごとに 、network_interface エントリを sysidcfg ファイルに追加します。

network_interface キーワードを使用して複数のインタフェースを構成するときには、以下の方法を使用します。

同一の sysidcfg ファイル内において、一部のインタフェースだけが DHCP を使用するように構成し、ほかのインタフェース用には構成情報を直接記述することもできます。


例 7–7 network_interface キーワードを使用して複数のインタフェースを構成する

次の例では、ネットワークインタフェース eri0 と eri1 を次のように構成しています。


network_interface=eri0 {dhcp protocol_ipv6=no}
network_interface=eri1 {primary hostname=host1 
                        ip_address=172.31.88.100
                        netmask=255.255.255.0 
                        protocol_ipv6=no}

root_password キーワード

sysidcfg ファイルにシステムの root パスワードを指定できます。 root パスワードを指定するには、root_password キーワードを次の構文に従って使用します。


root_password=encrypted-password

encrypted-password は、/etc/shadow ファイルに設定される暗号化パスワードです。

security_policy キーワード

sysidcfg ファイルで security_policy キーワードを使用して、Kerberos ネットワーク認証プロトコルを使用するようにシステムを構成できます。 Kerberos を使用するようにシステムを構成する場合には、次の構文を使用します。


security_policy=kerberos {default_realm=FQDN 
                          admin_server=FQDN kdc=FQDN1, FQDN2, FQDN3}

FQDN には、Kerberos のデフォルトレルム、管理サーバー、または鍵発行センター (Key Distribution Center, KDC) を、完全指定のドメイン名で指定します。 KDC は 1 つ以上指定する必要があります (最大 3 つまで指定可能)。

システムのセキュリティポリシーを設定しない場合は、security_policy=NONE と設定します。

Kerberos ネットワーク認証プロトコルの詳細は、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』を参照してください。


例 7–8 security_policy キーワードを使用して、Kerberos を使用するようにシステムを構成する

次の例では、次の情報を使用して、Kerberos を使用するようにシステムを構成しています。


security_policy=kerberos 
                {default_realm=example.COM 
                 admin_server=krbadmin.example.COM 
                 kdc=kdc1.example.COM, 
                 kdc2.example.COM}

system_locale キーワード

system_locale キーワードを使用して、インストールプログラムおよびデスクトップの表示言語を指定できます。 ロケールを指定するには、次の構文を使用します。


system_locale=locale

locale には、インストールパネルおよび画面を表示する際の使用言語を指定します。 有効なロケール値のリストについては、/usr/lib/locale ディレクトリまたは付録 D 「ロケールの値 (リファレンス)」 を参照してください。

terminal キーワード

terminal キーワードを使用して、システムの端末タイプを指定できます。 端末タイプを指定するには、次の構文を使用します。


terminal=terminal_type

terminal_type には、システムの端末タイプを指定します。 有効な端末値のリストについては、/usr/share/lib/terminfo ディレクトリのサブディレクトリを参照してください。

timezone キーワード

timezone キーワードを使用して、システムの時間帯を設定できます。 次の構文を使用します。


timezone=timezone

上の例の timezone には、システムの時間帯値を指定します。 /usr/share/lib/zoneinfo ディレクトリにあるファイル名、またはそのサブディレクトリにあるファイル名を、時間帯値として設定できます。 timezone の値は、/usr/share/lib/zoneinfo ディレクトリからの相対パス名です。 また、有効な Olson 時間帯も指定できます。


例 7–9 timezone キーワードを使用してシステムの時間帯情報を構成する

次の例では、システムの時間帯を米国の山岳部標準時に設定しています。


timezone=US/Mountain

/usr/share/lib/zoneinfo/US/Mountain の時間帯情報を使用するようにシステムが構成されます。


timeserver キーワード

timeserver キーワードを使用して、インストール先のシステムに日付と時刻を設定するためのシステムを指定できます。


注 –

ネームサービスを実行している場合には、timeserver=hostname または timeserver=ip-address と設定しないでください。


timeserver キーワードを設定するときには、次のいずれかの方法を選択します。

x86: monitor キーワード

x86システムでは、monitor キーワードを使用してモニター情報を構成できます。 monitor キーワードでは次の構文を使用します。


monitor=monitor_type

monitor キーワードに値を設定するには、インストール先のシステム上で kdmconfig -d コマンドを実行します。 出力結果から monitor キーワードを含む行をコピーし、この行を sysidcfg ファイルに追加します。

詳細は、kdmconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。

x86: keyboard キーワード

x86 システムでは、keyboard キーワードを使用してキーボードの言語と配置の情報を構成できます。 keyboard キーワードでは次の構文を使用します。


keyboard=keyboard_language {layout=value}

keyboard キーワードに値を設定するには、インストール先のシステム上で kdmconfig -d コマンドを実行します。 出力結果から keyboard キーワードを含む行をコピーし、この行を sysidcfg ファイルに追加します。

詳細は、kdmconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。

x86: display キーワード

x86 システムでは、display キーワードを使用して次の情報を構成できます。

display キーワードでは次の構文を使用します。


display=graphics_card {size=screen_size 
                     depth=color_depth 
                     resolution=screen_resolution}

display キーワードに適切な値を設定するには、インストール先のシステム上で kdmconfig -d コマンドを実行します。 出力結果から display キーワードを含む行をコピーし、この行を sysidcfg ファイルに追加します。

詳細は、kdmconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。

x86: pointer キーワード

x86 システムでは、pointer キーワードを使用して次のマウス情報を構成できます。

pointer キーワードでは次の構文を使用します。


pointer=pointing_device {nbuttons=number_buttons irq=value}

pointer キーワードに値を設定するには、インストール先のシステム上で kdmconfig -d コマンドを実行します。 出力結果から pointer キーワードを含む行をコピーし、この行を sysidcfg ファイルに追加します。

詳細は、kdmconfig(1M) のマニュアルページを参照してください。

sysidcfg 構成ファイルを作成する方法

  1. テキストエディタで、sysidcfg という名前のファイルを作成します。

  2. 必要な sysidcfg のキーワードを入力します。

  3. sysidcfg ファイルを保存します。


    注 –

    複数の sysidcfg ファイルを作成する場合は、それぞれのファイルを別々のディレクトリまたは別々のフロッピーディスクに保存する必要があります。


  4. クライアントから次のファイルシステムまたはディレクトリを介して sysidcfg ファイルにアクセスできるようにします。

    • 共有 NFS ファイルシステム。 ネットワークからインストールできるようにシステムを設定するには、add_install_client(1M)-p オプションを指定します。

    • UFS フロッピーディスクまたは PCFS フロッピーディスクのルート(/) ディレクトリ


例 7–10 SPARC: sysidcfg ファイル

SPARC ベースのシステムで使用される sysidcfg ファイルの例を次に示します。 このシステムのホスト名、IP アドレス、およびネットマスクは、ネームサービスを編集することにより、すでに事前設定されています。 このファイルにはすべてのシステム構成情報が事前設定されているので、カスタム JumpStart プロファイルを使ってカスタム JumpStart インストールを実行できます。

system_locale=en_US
timezone=US/Central
terminal=sun-cmd
timeserver=localhost
name_service=NIS {domain_name=marquee.central.example.com
                  name_server=connor(172.31.112.3)}
root_password=m4QPOWNY
network_interface=le0 {hostname=feron 
                       default_route=192.168.88.1 
                       ip_address=192.168.88.210 
                       netmask=255.255.0.0 
                       protocol_ipv6=no}
security_policy=kerberos {default_realm=example.COM 
                          admin_server=krbadmin.example.COM 
                          kdc=kdc1.example.COM, 
                          kdc2.example.COM}



例 7–11 x86: sysidcfg ファイル

一連の x86 システムで、キーボード、グラフィックスカード、ポインティングデバイスがすべて同じ場合の sysidcfg ファイルの例を次に示します。 これらのデバイス情報 (keyboarddisplaypointer) は、kdmconfig(1M) -d コマンドを実行して取得したものです。 この例では、Solaris インストールプログラムで使用される言語 (system_locale) を選択するプロンプトがインストール前に表示されます。

keyboard=ATKBD {layout=US-English}
display=ati {size=15-inch}
pointer=MS-S
timezone=US/Central
timeserver=connor
terminal=ibm-pc
name_service=NIS {domain_name=marquee.central.example.com
                  name_server=connor(172.25.112.3)}
root_password=URFUni9


例 7–12 複数のインタフェースを構成する場合の sysidcfg ファイル

次の例に挙げる sysidcfg ファイルには、eri0 および eri1 ネットワークインタフェースの構成情報が指定されています。 eri0 インタフェースは 1 次ネットワークインタフェースとして構成され、eri1 は 2 次ネットワークインタフェースとして構成されます。

timezone=US/Pacific
system_locale=C
terminal=xterms
timeserver=localhost
network_interface=eri0 {primary
                        hostname=feron
                        ip_address=192.168.2.7
                        netmask=255.255.255.0
                        protocol_ipv6=no
                        default_route=192.168.2.1}

network_interface=eri1 {hostname=feron-b
                        ip_address=192.168.3.8
                        netmask=255.255.255.0
                        protocol_ipv6=no
                        default_route=192.168.3.1}
root_password=JE2C35JGZi4B2
security_policy=none
name_service=NIS {domain_name=domain.example.com
                  name_server=nis-server(192.168.2.200)}

ネームサービスによる事前設定

次の表は、システム構成情報を事前設定するために編集および入力を行う必要があるネームサービスデータベースの概要を示したものです。

事前設定するシステム情報 

ネームサービスデータベース 

ホスト名と IP アドレス 

hosts

日付と時刻 

hosts インストール対象のシステムに、日付と時刻を提供するホスト名に続けて timehost という別名を記述します。

時間帯 

timezone

ネットマスク 

netmasks

DNS や LDAP のネームサービスでは、システムのロケールを事前設定することはできません。 NIS や NIS+ のネームサービスを使用する場合は、そのネームサービスの手順に従ってシステムのロケールを事前設定してください。

NIS を使ってロケールを事前設定する方法

  1. ネームサーバー上でスーパーユーザーになります。

  2. /var/yp/Makefile ファイルを編集して、ロケールマップを追加します。

    1. エントリの後に、以下を追加します。

      locale.time:  $(DIR)/locale
              -@if [ -f $(DIR)/locale ]; then \
                     sed -e "/^#/d" -e s/#.*$$// $(DIR)/locale \
                     | awk '{for (i = 2; i<=NF; i++) print $$i, $$0}' \
                     | $(MAKEDBM) - $(YPDBDIR)/$(DOM)/locale.byname; \
                     touch locale.time; \
                     echo "updated locale"; \
                     if [ ! $(NOPUSH) ]; then \
                             $(YPPUSH) locale.byname; \
                             echo "pushed locale"; \
                     else \
                     : ; \
                     fi \
              else \
                     echo "couldn't find $(DIR)/locale"; \
              fi
    2. 文字列 all: を検索し、変数リストの最後に locale という語を挿入します。

      all: passwd group hosts ethers networks rpc services protocols \
      	netgroup bootparams aliases publickey netid netmasks c2secure \
      	timezone auto.master auto.home locale
      
    3. ファイルの下の方にある同じようなエントリの後に、文字列 locale: locale.time を新しい行として挿入します。

      passwd: passwd.time
      group: group.time
      hosts: hosts.time
      ethers: ethers.time
      networks: networks.time
      rpc: rpc.time
      services: services.time
      protocols: protocols.time
      netgroup: netgroup.time
      bootparams: bootparams.time
      aliases: aliases.time
      publickey: publickey.time
      netid: netid.time
      passwd.adjunct: passwd.adjunct.time
      group.adjunct: group.adjunct.time
      netmasks: netmasks.time
      timezone: timezone.time
      auto.master: auto.master.time
      auto.home: auto.home.time
      locale: locale.time
      
    4. ファイルを保存します。

  3. /etc/locale というファイルを作成し、ドメインまたは特定のシステムに対して1つのエントリを作成します。

    locale domain_name
    

    または

    locale system_name
    

    注 –

    使用できるロケール値のリストについては、付録 D 「ロケールの値 (リファレンス)」を参照。


    たとえば次の行は、worknet.com ドメインに対してデフォルト言語として日本語を指定しています。

    ja worknet.com

    たとえば次の行は、charlie というシステムに対してデフォルトロケールとして ja_JP.UTF-8 ロケールを指定しています。

    ja_JP.UTF-8

    注 –

    ロケールは、Solaris DVD または Solaris SOFTWARE 1 of 2 CD に入っています。


  4. マップを作成します。


    # cd /var/yp; make
    

    これでドメインまたは locale マップで個別に指定したシステムは、デフォルトのロケールを使用するように設定されました。 ここで指定したデフォルトのロケールは、インストール時に使用されるとともに、システムのリブート後のデスクトップでも使用されます。

NIS+ を使ってロケールを事前設定する方法

この手順は、NIS+ ドメインが設定されていると仮定しています。 NIS+ ドメインの設定については、『Solaris のシステム管理 (ネーミングとディレクトリサービス : DNS、NIS、LDAP 編)』を参照してください。

  1. ネームサーバーに、スーパーユーザーまたは NIS+ admin グループのユーザーとしてログインします。

  2. locale テーブルを作成します。


    # nistbladm -D access=og=rmcd,nw=r -c locale_tbl name=SI,nogw= 
    locale=,nogw= comment=,nogw= locale.org_dir.`nisdefaults -d` 
    
  3. locale に必要なエントリを追加します。


    # nistbladm -a name=name locale=locale comment=comment 
    locale.org_dir.`nisdefaults -d`
    
    name

    デフォルトのロケールを事前設定したいドメイン名または特定のシステム名。

    locale

    システムにインストールし、システムのリブート後にデスクトップ上で使用するロケール。 使用できるロケール値のリストについては、付録 D 「ロケールの値 (リファレンス)」を参照。

    comment

    コメントフィールド。 複数の単語を使ったコメントは、前後を二重引用符で囲むこと。


    注 –

    ロケールは、Solaris DVD または Solaris SOFTWARE 1 of 2 CD に入っています。


    これでドメインまたは locale テーブルで個別に指定したシステムは、デフォルトロケールを使用するように設定されました。 ここで指定したデフォルトロケールは、インストール時に使用されるとともに、システムのリブート後のデスクトップでも使用されます。

DHCP サービスによるシステム構成情報の事前設定 (作業)

DHCP (Dynamic Host Configuration Protocol) を使用すると、TCP/IP ネットワーク内のホストシステムを、ブート時にネットワークに合わせて自動的に構成できます。 DHCP では、クライアント/サーバーメカニズムが使用されます。 サーバーは、クライアントの構成情報を格納、管理し、クライアントの要求に応じてその構成情報を提供します。 構成情報には、クライアントの IP アドレスと、クライアントが使用可能なネットワークサービス情報が含まれます。

DHCP の主な利点は、リースを通して IP アドレス割り当てを管理できることです。 リースを使用すると、使用されていない IP アドレスを回収し、他のクライアントに割り当て直すことができます。 この機能によって、1 つのサイトで使用する IP アドレスプールは、すべてのクライアントに常時アドレスを割り当てた場合に比べて、小さくなります。

DHCP を使用してネットワーク上で Solaris オペレーティング環境をインストールできるのは、一定の条件のクライアントシステムに限られます。 この機能を使用できるのは、Sun Enterprise Ultra システムと Solaris オペレーティング環境を実行するためのハードウェア要件を満たしている x86 システムだけです。

次の作業マップに、クライアントが DHCP を使用してインストールパラメータを取得するために必要な作業を示します。

表 7–3 作業マップ: DHCP サービスによるシステム構成情報の事前設定

作業 

説明 

参照先 

インストールサーバーの構成 

Solaris サーバーを設定して、ネットワークから Solaris オペレーティング環境をインストールする必要があるクライアントをサポートする 

第 13 章「ネットワークインストールの準備 (概要)」

DHCP を使用してネットワーク経由で Solaris をインストールできるようにクライアントシステムを構成する 

add_install_client -d を使用して、特定のクラスあるいはマシンタイプに属するクライアントや特定のクライアント ID に対して、DHCP ネットワークインストールのサポートを追加する

Solaris DVD を使用する場合 

DVD イメージを使用してネットワークからインストールするシステムを追加する

Solaris CD を使用する場合 

CD イメージを使用してネットワークからインストールするシステムを追加する

add_install_client(1M)

DHCP サービスを使用するためにネットワークを準備する 

DHCP サーバーをどのように構成するかを決定する 

Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「DHCP サービスの使用計画 (手順)」

DHCP サーバーを構成する 

DHCP マネージャを使用して DHCP サーバーを構成する 

Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「DHCP サービスの構成 (手順)」

インストールパラメータ用の DHCP オプションとそのオプションを含むマクロの作成 

DHCP マネージャまたは dhtadm を使用して、DHCP サーバーがインストール情報をクライアントに渡すときに使用できる、新しいベンダーオプションとマクロを作成する

Solaris インストールパラメータ用の DHCP オプションとマクロの作成

Solaris インストールパラメータ用の DHCP オプションとマクロの作成

インストールサーバー上で add_install_client -d スクリプトを使用してクライアントを追加するとき、そのスクリプトは DHCP 構成情報を標準出力にレポートします。 この情報は、ネットワークインストール情報をクライアントに伝えるために必要なオプションとマクロを作成する際に使用できます。

ネットワークから DHCP クライアントに対してインストールを行うには、ベンダーカテゴリオプションを作成して、Solaris オペレーティング環境をインストールするために必要な情報を伝える必要があります。 表 7–4 に、作成する必要のあるオプションと、その作成に必要なプロパティを示します。

DHCP サービス内のマクロをカスタマイズして、次の種類のインストールを実行できます。

ネットワークからインストールするようにクライアントを設定する方法については、次の手順を参照してください。

次の表のベンダークライアントクラスは、各オプションを使用できるクライアントのクラスを表します。 ここに示されているベンダークライアントクラスは単なる例です。 ネットワークからインストールする必要がある実際のクライアントについて、クライアントクラスを指定する必要があります。 クライアントのベンダークライアントクラスを調べる方法については、『 Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「DHCP オプションを使用した作業 (作業マップ)」を参照してください。

DHCP オプションの詳細については、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「DHCP のオプション」を参照してください。

表 7–4 Solaris クライアント用にベンダーカテゴリオプションを作成するための値

名前 

コード 

データ型 

データの単位数 (Granularity) 

最大値 

ベンダークライアントクラス 

説明 

次のベンダーカテゴリオプションは、クライアントへの Solaris のインストールを DHCP サーバーでサポートするために必須のものです。 これらのオプションは、Solaris クライアントの起動スクリプトで使用されます。

SrootIP4

IP アドレス 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

ルートサーバーの IP アドレス 

SrootNM

ASCII テキスト 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

ルートサーバーのホスト名  

SrootPTH

ASCII テキスト 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

ルートサーバーにあるクライアントのルートディレクトリへのパス 

SinstIP4

10 

IP アドレス 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

JumpStart インストールサーバーの IP アドレス 

SinstNM

11 

ASCII テキスト 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

インストールサーバーのホスト名 

SinstPTH

12 

ASCII テキスト 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

インストールサーバーにあるインストールイメージへのパス 

次のオプションは、クライアントの起動スクリプトで使用できますが、必須ではありません。

SrootOpt

ASCII テキスト 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

クライアントのルートファイルシステム用の NFS マウントオプション 

SbootFIL

ASCII テキスト 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

クライアントのブートファイルへのパス 

SbootRS

数値 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

カーネルを読み込む際にスタンドアロンのブートプログラムが使用する NFS 読み込みサイズ 

SsysidCF

13 

ASCII テキスト 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

server:/path という形式での、sysidcfg ファイルへのパス

SjumpsCF

14 

ASCII テキスト 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

server:/path という形式での、JumpStart 構成ファイルへのパス

SbootURI

16 

ASCII テキスト 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

スタンドアロンのブートファイルへのパスまたは WAN ブートファイルへのパス。 スタンドアロンのブートファイルの場合は、次の形式を使用する 

tftp://inetboot.sun4u

WAN ブートファイルの場合は、次の形式を使用する  

http://host.domain/path-to-file

このオプションを使用すると、BootFilesiaddr の設定を無効にし、スタンドアロンのブートファイルを検出させることができる。 サポートされているプロトコルは、 tftp (inetboot) および http (wanboot)。 たとえば、次の形式を使用する tftp://inetboot.sun4u

SHTTPproxy

17 

ASCII テキスト 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

ネットワーク上で使用されているプロキシサーバーの IP アドレスとポート番号。 このオプションが必要なのは、クライアントが WAN を介してブートされる場合で、ローカルネットワークでプロキシサーバーが使用されているときだけです。 たとえば、次の形式を使用する 198.162.10.5:8080

次のオプションは、Solaris クライアントの起動スクリプトで現在は使用されていません。 起動スクリプトを編集する場合だけ、これらのオプションを使用できます。

SswapIP4

IP アドレス 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

スワップサーバーの IP アドレス 

SswapPTH

ASCII テキスト 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

スワップサーバーにあるクライアントのスワップファイルへのパス 

Stz

ASCII テキスト 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

クライアントのタイムゾーン 

Sterm

15 

ASCII テキスト 

SUNW.Sun-Blade-1000、SUNW.Sun-Fire-880、SUNW.i86pc

端末タイプ  

オプションがすでに作成されていれば、これらのオプションを含んだマクロを作成することができます。 次に、クライアントに対する Solaris のインストールをサポートするために作成できるマクロの例を示します。

表 7–5 ネットワークインストールクライアントをサポートするマクロの例

マクロ名 

含まれるオプションとマクロ 

Solaris

SrootIP4、SrootNM、SinstIP4、SinstNM

sparc

SrootPTH、SinstPTH

sun4u

Solaris マクロと sparc マクロ

i86pc

Solaris マクロ、SrootPTHSinstPTHSbootFIL

SUNW.i86pc

i86pc マクロ

SUNW.Sun-Blade-1000

sun4u マクロ、SbootFIL

SUNW.Sun-Fire-880

sun4u マクロ、SbootFIL

xxx.xxx.xxx.xxx ネットワークアドレスマクロ

BootSrvA オプションは既存のネットワークアドレスマクロに追加できる。 BootSrvA の値は tftboot サーバーを示す必要がある

上記の表に示されているマクロ名は、ネットワークからインストールする必要のあるクライアントのベンダークライアントクラスと一致します。 これらの名前は、ネットワーク上にあるクライアントの例です。 クライアントのベンダークライアントクラスを調べる方法については、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「DHCP オプションを使用した作業 (作業マップ)」を参照してください。

これらのオプションとマクロは、次の方法で作成できます。

dhtadm を使用してオプションとマクロを作成するスクリプトの作成

例 7–13 の例を変更して Korn シェルスクリプトを作成し、表 7–4 に示されているすべてのオプションと、いくつかの便利なマクロを作成できます。 引用符に囲まれたすべての IP アドレスと値を、実際のネットワークの IP アドレス、サーバー名、およびパスに変更してください。 また、Vendor= キーを編集して、使用するクライアントのクラスを示す必要もあります。 add_install_client -d の情報を使って、スクリプトを変更するために必要なデータを取得します。


例 7–13 ネットワークインストールをサポートするスクリプトの例

# Solaris ベンダー固有のオプションを読み込みます。
# Sun-Blade-1000、Sun-Fire-880、および i86 プラットフォームのサポートを開始します。
# -A を-M に変更すると、値を追加するのではなく、現在の値に上書きします。
dhtadm -A -s SrootOpt -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,1,ASCII,1,0'
dhtadm -A -s SrootIP4 -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,2,IP,1,1'
dhtadm -A -s SrootNM -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,3,ASCII,1,0'
dhtadm -A -s SrootPTH -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,4,ASCII,1,0'
dhtadm -A -s SswapIP4 -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,5,IP,1,0'
dhtadm -A -s SswapPTH -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,6,ASCII,1,0'
dhtadm -A -s SbootFIL -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,7,ASCII,1,0'
dhtadm -A -s Stz -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,8,ASCII,1,0'
dhtadm -A -s SbootRS -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,9,NUMBER,2,1'
dhtadm -A -s SinstIP4 -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,10,IP,1,1'
dhtadm -A -s SinstNM -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,11,ASCII,1,0'
dhtadm -A -s SinstPTH -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,12,ASCII,1,0'
dhtadm -A -s SsysidCF -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,13,ASCII,1,0'
dhtadm -A -s SjumpsCF -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,14,ASCII,1,0'
dhtadm -A -s Sterm -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,15,ASCII,1,0'
dhtadm -A -s SbootURI -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,16,ASCII,1,0'
dhtadm -A -s SHTTPproxy -d \
'Vendor=SUNW.Sun-Blade-1000 SUNW.Sun-Fire-880 SUNW.i86pc,17,ASCII,1,0'
# 役立つマクロ定義をいくつか読み込みます。
# Solaris 汎用のオプションをすべて、この Solaris というマクロに定義します。
dhtadm -A -m Solaris -d \
':SrootIP4=10.21.0.2:SrootNM="blue2":SinstIP4=10.21.0.2:SinstNM="red5":'
# sparc プラットフォーム固有のオプションをすべて、この sparc というマクロに定義します。
dhtadm -A -m sparc -d \
':SrootPTH="/export/sparc/root":SinstPTH="/export/sparc/install":'
# sun4u アーキテクチャ固有のオプションをすべて、このsun4u というマクロに定義します。
#  (Solaris マクロとsparc マクロも含む)
dhtadm -A -m sun4u -d ':Include=Solaris:Include=sparc:'
# Solaris on IA32 プラットフォーム固有のパラメータを、この i86pc というマクロに定義します。
dhtadm -A -m i86pc -d \
':Include=Solaris:SrootPTH="/export/i86pc/root":SinstPTH="/export/i86pc/install"\
:SbootFIL="/platform/i86pc/kernel/unix":'
# Solaris on IA32 マシンは、"SUNW.i86pc" クラスによって識別されます。
# このクラスのメンバーとして識別されるクライアントはすべて、
# SUNW.i86pc というマクロ内のパラメータを認識できます。このマクロには、i86pc マクロが含まれています。
dhtadm -A -m SUNW.i86pc -d ':Include=i86pc:'
# Sun-Blade-1000 プラットフォームは、
# "SUNW.Sun-Blade-1000" クラスの一部として識別されます。
# このクラスのメンバーとして識別されるクライアントはすべて、
# これらのパラメータを認識できます。
dhtadm -A -m SUNW.Sun-Blade-1000 -d \
':SbootFIL="/platform/sun4u/kernel/sparcv9/unix":\
Include=sun4u:'
# Sun-Fire-880 プラットフォームは、"SUNW.Sun-Fire-880" クラスの一部として識別されます。
# このクラスのメンバーとして識別されるクライアントはすべて、これらのパラメータを認識できます。
dhtadm -A -m SUNW.Sun-Fire-880 -d \
':SbootFIL="/platform/sun4u/kernel/sparcv9/unix":Include=sun4u:'
# DHCP サーバーで管理されるトポロジーについて、各ネットワークマクロにブートサーバー IP を追加します。
# ブートサーバーは DHCP サーバーと同じマシンで実行されています。
dhtadm -M -m 10.20.64.64 -e BootSrvA=10.21.0.2
dhtadm -M -m 10.20.64.0 -e BootSrvA=10.21.0.2
dhtadm -M -m 10.20.64.128 -e BootSrvA=10.21.0.2
dhtadm -M -m 10.21.0.0 -e BootSrvA=10.21.0.2
dhtadm -M -m 10.22.0.0	-e BootSrvA=10.21.0.2
# ホスト名がクライアントに返されるようにします。
dhtadm -M -m DHCP-servername -e Hostname=_NULL_VALUE_
# この MAC アドレスを持つクライアントはディスクレスクライアントです。
# インストール用のネットワーク範囲設定ルート設定を、クライアントのルートディレクトリで置き換えます。
dhtadm -A -m 0800201AC25E -d \
':SrootIP4=10.23.128.2:SrootNM="orange-svr-2":SrootPTH="/export/root/10.23.128.12":'

スーパーユーザーになり、dhtadm をバッチモードで実行します。 オプションとマクロを dhcptab に追加するためのスクリプトの名前を指定します。 たとえば、スクリプトの名前が netinstalloptions の場合、次のコマンドを入力します。


# dhtadm -B netinstalloptions

Vendor= 文字列に指定されているベンダークライアントクラスを持つクライアントが、DHCP を使ってネットワーク経由でインストールできるようになります。

dhtadm コマンドの使用方法の詳細については、dhtadm(1M) のマニュアルページを参照してください。 dhcptab ファイルの詳細は、dhcptab(4) のマニュアルページを参照してください。

DHCP マネージャを使用したインストールオプションとマクロの作成

DHCP マネージャを使って、表 7–4 のオプションと表 7–5 のマクロを作成できます。

Solaris のインストールをサポートするオプションを作成する方法 (DHCP マネージャ)

この手順では、DHCP サーバーを構成済みであると仮定します。 DHCP サーバーの構成を完了していない場合は、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「DHCP サービスの使用計画 (手順)」を参照してください。

  1. DHCP サーバーシステム上でスーパーユーザーになります。

  2. DHCP マネージャを起動します。


    # /usr/sadm/admin/bin/dhcpmgr &
    

    「DHCP マネージャ (DHCP Manager)」ウィンドウが表示されます。

  3. DHCP マネージャで「オプション (Options)」を選択します。

  4. 「編集 (Edit)」メニューから「作成 (Create)」を選択します。

    「オプションの作成 (Create Option)」ダイアログボックスが開きます。

  5. 最初のオプションのオプション名を入力し、そのオプションに値を入力します。

    表 7–4 を使用して、作成する必要があるオプションの名前と値を調べます。 ベンダークライアントクラスは推奨値に過ぎないことに注意してください。 DHCP サービスから Solaris インストールパラメータを取得する必要がある実際のクライアントのタイプを示すクラスを作成する必要があります。 クライアントのベンダークライアントクラスを調べる方法については、『 Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「DHCP オプションを使用した作業 (作業マップ)」を参照してください。

  6. すべての値を入力したら、「了解 (OK)」をクリックします。

  7. 「オプション (Options)」タブで、今作成したオプションを選択します。

  8. 「編集 (Edit)」メニューから「複製 (Duplicate)」を選択します。

    「オプションの複製 (Duplicate Option)」ダイアログボックスが開きます。

  9. 別のオプションの名前を入力し、その他の値を適宜変更します。

    コード、データ型、データの単位数、最大値は通常は変更する必要があります。 これらの値については、表 7–4 を参照してください。

  10. すべてのオプションを作成するまで、手順 7 から 手順 9 までを繰り返します。

    次の手順の説明に従って、ネットワークインストールクライアントにオプションを渡すマクロを作成できます。


    注 –

    これらのオプションはすでに Solaris クライアントの /etc/dhcp/inittab ファイルに含まれているので、わざわざ追加する必要はありません。


Solaris のインストールをサポートするマクロを作成する方法 (DHCP マネージャ)

この手順では、DHCP サーバーを構成済みであると仮定します。 DHCP サーバーの構成を完了していない場合は、『Solaris のシステム管理 (IP サービス)』の「DHCP サービスの使用計画 (手順)」を参照してください。

  1. DHCP マネージャで「マクロ (Macros)」を選択します。

  2. 「編集 (Edit)」メニューから「作成 (Create)」を選択します。

    「マクロの作成 (Create Macro)」ダイアログボックスが開きます。

  3. マクロの名前を入力します。

    使用できるマクロ名については、表 7–5 を参照してください。

  4. 「選択 (Select)」ボタンをクリックします。

    「オプションの選択 (Select Option)」ダイアログボックスが開きます。

  5. 「カテゴリ (Category)」リストで「ベンダー (Vendor)」を選択します。

    作成したベンダーオプションがリストされます。

  6. マクロに追加するオプションを選択して、「了解 (OK)」をクリックします。

  7. オプションの値を入力します。

    オプションのデータ型については表 7–4 を参照してください。add_install_client -d の情報も参照してください。

  8. すべてのオプションを追加するまで、手順 6 から手順 7 までを繰り返します。

    別のマクロを追加するには、オプション名に Include と入力し、オプション値にそのマクロ名を入力します。

  9. マクロが完成したら、「了解 (OK)」をクリックします。

SPARC: 電源管理情報の事前設定

Solaris の電源管理ソフトウェアを使用すると、システムが 30 分間アイドル状態になると自動的にシステム状態を保存し電源を切ることができます。 EPA の省電力 (Energy Star) ガイドラインのバージョン 2 に準拠したシステム (sun4u システムなど) に Solaris 9 ソフトウェアをインストールするときは、デフォルトで電源管理ソフトウェアもインストールされます。 Solaris Web Start のインストール時に、インストールプログラムは、電源管理ソフトウェアを有効にするか、無効にするかの指定を求めます。 suninstall インストールプログラムは、インストールが完了し、システムがリブートした後で、電源管理ソフトウェアを有効にするか無効にするかを指定するよう求めます。


注 –

使用するシステムが Energy Star バージョン 3 以降に対応している場合、このプロンプトは表示されません。


対話式インストールを実行している場合は、電源管理情報を事前設定してプロンプトを回避する方法はありません。 カスタム JumpStart インストールでは、finish スクリプトを使ってシステムに /autoshutdown または /noautoshutdown ファイルを作成することで、電源管理情報を事前設定できます。 システムのリブート時に、/autoshutdown は電源管理ソフトウェアを有効にし、/noautoshutdown ファイルは電源管理ソフトウェアを無効にします。

たとえば、finish スクリプトに次の行を入れておくと電源管理ソフトウェアが有効になり、システムリブート後にプロンプトが表示されないようにすることができます。

touch /a/autoshutdown

finish スクリプトの詳細は、finish スクリプトの作成を参照してください。