Solaris ボリュームマネージャの管理

RAID 0 (ストライプ方式) ボリューム

RAID 0 (ストライプ方式) ボリュームは、データを 1 つまたは複数のコンポーネント上に分散させたボリュームです。 ストライプ方式では、同じサイズのデータセグメントが 2 つ以上のコンポーネントに順に配置され、1 つの論理記憶ユニットが構成されます。 これらのセグメントはラウンドロビン (巡回的な) 方式でインターリーブされ、領域は各コンポーネントからメタデバイスに交互に割り当てられます。

ストライプ方式では、複数のコントローラがデータに同時にアクセスできます (並列アクセス)。 並列アクセスではボリュームのほとんどのディスクが入出力要求の処理でビジーになるため、入出力スループットが向上します。

既存のファイルシステムをストライプに直接変換することはできません。 既存のファイルシステムをストライプに置くためには、ファイルシステムのバックアップをとり、ストライプを作成してから、ファイルシステムをストライプに復元する必要があります。

ストライプ方式で順次入出力操作を行うと、Solaris ボリュームマネージャは、先頭のコンポーネントからブロックセグメント (飛び越しと呼びます) 1 つ分のブロックを読み取り、次に 2 番目のコンポーネントのブロックセグメント 1 つ分のブロックを読み取るという処理を繰り返します。

連結方式の順次入出力操作では、Solaris ボリュームマネージャは、先頭のコンポーネントからすべてのブロックを最初に読み取り、次に 2 番目のコンポーネントのすべてのブロックを読み取るという処理を繰り返します。

連結方式でもストライプ方式でも、すべての入出力は並列に実行されます。

ストライプ方式の飛び越し値

飛び越し値は、ストライプ上の論理データセグメントのサイズに等しく、K バイト、M バイト、またはブロック数で表わされます。 アプリケーションによっては、飛び越し値を変えることによって性能が向上することがあります。 性能の向上は、入出力要求をいくつかのディスクアームを使って処理することによって達成されます。 性能の向上が期待できるのは、入出力要求が飛び越し値よりも大きい場合です。


RAID 5 ボリュームも飛び越し値を使用します。 詳細については、「RAID 5 ボリュームの概要」を参照してください。


飛び越し値は 、ストライプを作成するときに設定できます。あるいは、Solaris ボリュームマネージャのデフォルト値である 16K バイトを使用することもできます。 ただし、ストライプを作成した後では飛び越し値を変更できません。 飛び越し値を変更するときは、データのバックアップをとり、ストライプを削除し、新しい飛び越し値で新しいストライプを作成してから、データを復元します。

シナリオ RAID 0 (ストライプ方式) ボリューム

図 81 に、3 つのコンポーネント (ディスク) からなるストライプ方式ボリュームの例を示します。

Solaris ボリュームマネージャは、このボリュームのデータを各コンポーネントに書き込む場合、チャンク 1 のデータをディスク A、チャンク 2 のデータをディスク B、チャンク 3 のデータをディスク C にそれぞれ書き込みます。次に、チャンク 4 のデータをディスク A、チャンク 5 のデータをディスク B、チャンク 6 のデータをディスク C にそれぞれ書き込み、同じ処理を繰り返します。

飛び越し値は各チャンクのサイズと同じ値に設定されています。 このストライプ方式 d2 の合計容量は、最小コンポーネントのサイズにコンポーネント数を掛けた値です。 (次の例に示す各スライスのサイズが 2G バイトであれば、d2 は 6G バイトです) 。

図 81 RAID 0 (ストライプ方式) の例

3 つの物理スライスから交互にとられた 6 つの飛び越し幅が、単一の論理ボリュームとしてまとめられています。