Solaris ボリュームマネージャの管理

RAID 5 ボリュームの状態のチェック (概要)

RAID 5 ボリュームのエラーに対処する場合は、おそらくスライスの状態がもっとも重要な情報となります。 RAID 5 の状態は、「正常 (Okay)」や「保守が必要 (Needs Maintenance)」などの一般的な状態情報を提供するだけです。 RAID 5 の状態が「保守が必要 (Needs Maintenance)」の場合は、スライスの状態を参照する必要があります。 スライスの状態が「保守 (Maintenance)」の場合と「最後にエラー (Last Erred)」の場合では、障害から回復するための処置が異なります。 「保守 (Maintenance)」状態のスライスが 1 つだけ存在する場合は、データを失うことなくスライスを修理できます。 「保守 (Maintenance)」状態のスライスと「最後にエラー (Last Erred)」状態のスライスが 1 つずつある場合は、おそらくデータは破壊されています。 この場合には、「保守」状態のスライスを修理してから「最後にエラー」状態のスライスを修理する必要があります。

次の表に、RAID 5 ボリュームの状態を示します。

表 141 RAID 5 の状態

状態 

意味 

初期化中 (Initializing) 

スライスは、ディスクブロックをゼロで初期化しています。 この処理は、データとパリティを飛び越し方式でストライプ化する RAID 5 ボリュームの特性上、必要になるものです。  

状態が「正常」になったら、初期化が完了しており、デバイスを開くことができます。 この状態になるまで、アプリケーションはエラーメッセージを受け取ります。 

正常 (Okay) 

デバイスにはエラーはなく、使用可能な状態です。  

保守 (Maintenance) 

読み取りまたは書き込み操作で入出力エラーかオープンエラーが発生したため、1 つのスライスがエラー状態になっています。 

次の表に、RAID 5 ボリュームのスライス状態と実行可能な処置を示します。

表 142 RAID 5 のスライスの状態

状態 

意味 

処置 

初期化中 (Initializing) 

スライスは、ディスクブロックをゼロで初期化しています。 この処理は、データとパリティを飛び越し方式でストライプ化する RAID 5 ボリュームの特性上、必要になるものです。  

通常は必要ありません。 この間に入出力エラーが発生すると、デバイスの状態は「保守」に変わります。 初期化に失敗すると、このボリュームの状態は「初期化失敗」に、スライスの状態は「保守」になります。 この場合には、ボリュームを削除してから作成し直す必要があります。 

正常 (Okay) 

デバイスにはエラーはなく、使用可能な状態です。  

必要ありません。 必要に応じて、スライスを追加および交換に使用できます。 

再同期中 (Resyncing) 

スライスの再同期処理が進行しています。 エラーが発生したが、すでに訂正され、スライスが有効になっているか、あるいは、新しいスライスが追加された後です。 

必要であれば、再同期が終了するまで RAID 5 ボリュームの状態を監視します。 

保守 (Maintenance) 

読み取りまたは書き込み操作で入出力エラーかオープンエラーが発生したため、1 つのスライスがエラー状態となっています。 

障害が発生したスライスを有効にするか、交換します。 「RAID 5 ボリューム内のコンポーネントを有効にするには」または 「RAID 5 ボリューム内のコンポーネントを置き換えるには」を参照してください。 metastat コマンドを実行すると、metareplace コマンドを使用して行うべき処置を示す invoke 回復メッセージが表示されます。

保守/最後にエラー (Maintenance/ Last Erred) 

複数のスライスでエラーが発生しました。 エラーが発生したスライスの状態は「保守」か「最後にエラー」です。 この状態の場合、「保守」状態のスライスには入出力は実行されません が、「最後にエラー」状態のスライスには実行されます。この結果、入出力要求の状態は、全体的に「最後にエラー」となります。 

障害が発生したスライスを有効にするか、交換します。 「RAID 5 ボリューム内のコンポーネントを有効にするには」または 「RAID 5 ボリューム内のコンポーネントを置き換えるには」を参照してください。 metastat コマンドを実行すると、(-f フラグを指定した) metareplace コマンドを使用して行うべき処置を示す invoke 回復メッセージが表示されます。 この状態は、複数のスライスに障害が発生したため、不正なデータが生成された可能性があることを示しています。