Solaris のシステム管理 (上級編)

LP 印刷サービスコマンドを使用して新しいネットワークプリンタを追加する方法

この手順では、今回のリリースで拡張されたプリンタサポートを利用して、新しいネットワークプリンタを追加する方法について説明します。 この手順のあとに、2 つの例を示します。 1 番目の例では、lp コマンドで、PPD ファイルを指定して、新しいネットワークプリンタを追加する方法を示します。 2 番目の例では、lp コマンドで、PPD ファイルを指定せずに、新しいネットワークプリンタを追加する方法を示します。

以下は、ネットワークプリンタサポートソフトウェアを使用してネットワークプリンタを設定するのに必要な手順です。 このソフトウェアは、プリンタにベンダー提供のソフトウェアが付属していない場合に使用します。

新しいネットワークプリンタを追加したり既存のネットワークプリンタを変更したりする際の、PPD ファイルの使用の概要については、印刷の新機能を参照してください。

  1. プリンタをネットワークに接続して、プリンタの電源を入れます。

    ハードウェアのスイッチとケーブル接続の要件については、プリンタのインストールマニュアルを参照してください。 IP アドレスを取得して、プリンタノード名を選択します。 この手順は、ネットワークにノードを追加することと同じです。

  2. PPD ファイルを指定して新しいネットワークプリンタを構成するのに必要な情報を収集します。

    • プリンタ名とポートデバイス

    • ネットワークプリンタアクセス名

    • プロトコル

    • タイムアウト

    • ファイル内容形式

    • PPD ファイル

      PPD ファイルを決定するには、まず、プリンタのメーカー、モデル、およびドライバを定義します。

    詳細については、ネットワークプリンタの追加 を参照してください。

  3. このプリンタで使用する、プリンタ名、ポートデバイス、ファイル内容形式、および PPD ファイルを定義します。 PPD ファイルを指定する場合、ファイル内容形式は通常「PostScript」です。

    1. このプリンタで使用するプリンタ名とポートデバイスを指定します。


      # lpadmin -p printer-name -v /dev/null
      

      使用するデバイスは /dev/null です。

    2. このプリンタで使用するインタフェーススクリプトを指定します。


      # lpadmin -p printer-name -m netstandard_foomatic 
      

      ネットワークプリンタ用のサポートソフトウェアと一緒に提供されるインタフェーススクリプトは /usr/lib/lp/model/netstandard_foomatic です。

    3. このプリンタで使用するファイル内容形式と PPD ファイルを指定します。


      # lpadmin -p printer-name -I content-type -n 
      /usr/lib/lp/model/ppd/manufacturer/ppdfile
      

      ここで指定する PPD ファイルは /usr/lib/lp/model/ppd/manufacturer/ ディレクトリにあります。

      詳細については、lpadmin(1M) のマニュアルページを参照してください。

    4. プリンタの説明 (備考欄) を指定します。


      # lpadmin -p printer-name -D  "printer-description"
      
  4. プリンタ宛先、プロトコル、およびタイムアウト値を設定します。


    # lpadmin -p printer-name -o dest=access-name:port -o protocol=protocol
    -o timeout=value
    

    -p printer-name

    ネットワークプリンタ名を指定する 

    -o dest=access-name:port

    ネットワークプリンタアクセス名と、プリンタのマニュアルに定義されていれば指定されたプリンタベンダーポートに、プリンタ宛先を設定する  

    -o protocol=protocol

    プリンタとケーブル経由で通信するために使用するプロトコルを設定する。 BSD と raw TCP の両方をサポートしている 

    -o timeout=value

    プリンタへの接続の試行間で待機する秒数を表す再試行タイムアウト値を設定する  

  5. (省略可能) フィルタをプリンタサーバーに追加します。


    # cd /etc/lp/fd
    # for filter in *.fd;do
        > name=`basename $filter .fd`
        > lpfilter -f $name -F $filter
        > done
    
  6. プリンタが印刷要求を受け入れて、その要求を印刷できるようにします。


    # accept printer-name
    # enable printer-name
    
  7. プリンタが正しく構成されていることを確認します。


    # lpstat -p printer-name
    
  8. 新しいプリンタへのアクセスをクライアントに追加します。

    これでプリンタは追加されました。プリンタへのアクセスをクライアントに作成します。 詳細は、印刷クライアントの設定を参照してください。 ネームサービスを使用して印刷クライアントを定義する方法については、 ネームサービススイッチでの印刷サポートを参照してください。

  9. オプションの作業を完了します。

    プリンタを設定するときは、オプションの作業がいくつかあります。 残りの作業については、印刷の設定 (作業マップ)を参照してください。 ネームサービスを使用して印刷クライアントを定義する方法については、ネームサービススイッチでの印刷サポートを参照してください。

例—LP 印刷サービスコマンドで、PPD ファイルを指定して、新しいネットワークプリンタを追加する

この例では、PPD ファイルを指定して、新しいネットワークプリンタを追加する方法を示します。 lpadmin コマンドの -n オプションを使用すると、PPD ファイルを指定して、新しい印刷待ち行列を追加できます。 この例のコマンドは、プリンタサーバーで実行する必要があります。 この例では次の情報を使用しています。 実際の状況に合わせて指定する情報を変更してください。

  1. プリンタ名を定義する。デバイスを /dev/null に設定する。

  2. ネットワークプリンタ用のインタフェーススクリプトを定義する。

  3. 宛先、プロトコル、およびタイムアウトを設定する。

  4. プリンタが直接印刷できるファイル内容形式を指定する。

  5. 使用する PPD ファイルを指定する。

  6. プリンタの説明を追加する。

  7. 印刷フィルタをプリンタサーバーに追加する。

  8. プリンタが印刷要求を受け入れて、印刷できるようにする。

  9. プリンタが印刷できる状態にあることを確認する。

例—LP 印刷サービスコマンドで、PPD ファイルを指定せずに、新しいネットワークプリンタを追加する

この例では、PPD ファイルを指定せずに、新しいネットワークプリンタを追加する方法を示します。 これらのコマンドは、プリンタサーバー上で実行する必要があります。 この例では次の情報を使用しています。 実際の状況に合わせて指定する情報を変更してください。


# lpadmin -p luna1 -v /dev/null 1
# lpadmin -p luna1 -m netstandard 2
# lpadmin -p luna1 -o dest=nimquat:9100 -o protocol=tcp 
-o timeout=5 3
# lpadmin -p luna1 -I postscript -T PS 4# lpadmin -p luna1 -D "Room 1954 ps" 5
# cd /etc/lp/fd
# for filter in *.fd;do	
	   > name=`basename $filter .fd`	
	   > lpfilter -f $name -F $filter	
	   > done 6
# accept luna1
	destination "luna1" now accepting requests
# enable luna1	 7
printer "luna1" now enabled 
# lpstat -p luna1 8
 printer luna1 is idle. enabled since Feb 28 11:21 2003.  available.
  1. プリンタ名を定義する。デバイスを /dev/null に設定する。

  2. ネットワークプリンタ用のインタフェーススクリプトを定義する。

  3. 宛先、プロトコル、およびタイムアウトを設定する。

  4. プリンタが直接印刷できるファイル内容形式と、プリンタタイプを指定する。

  5. プリンタの説明を追加する。

  6. 印刷フィルタをプリンタサーバーに追加する。

  7. プリンタが印刷要求を受け入れて、印刷できるようにする。

  8. プリンタが印刷できる状態にあることを確認する。