Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)

第 3 章 クラスタの停止と起動

この章では、クラスタと個々のクラスタノードの停止方法と起動方法について説明します。非大域ゾーンの起動についての詳細は、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 18 章「非大域ゾーンの計画と構成 (手順)」を参照してください。

この章の関連手順の概要は、表 3–1表 3–2 を参照してください。

クラスタの停止と起動の概要

Sun Cluster の cluster(1CL) shutdown コマンドは、クラスタサービスを正しい順序で停止し、クラスタ全体をクリーンに停止します。cluster shutdown コマンドは、クラスタの場所を移動するときにも使用できます。また、アプリケーションエラーによってデータが破損した場合に、クラスタを停止するときにも、このコマンドを使用できます。


注 –

クラスタ全体を正しく停止するには、shutdownhalt コマンドではなく、 cluster shutdown コマンドを使用します。Solaris の shutdown コマンドは clnode(1CL) evacuate コマンドとともに使用して、個々のノードを停止します。詳細は、「クラスタを停止する」、または「単一クラスタノードの停止と起動」を参照してください。


cluster shutdown コマンドは、次のアクションを実行することによりクラスタ内のすべてのノードを停止します。

  1. すべての実行中のリソースグループをオフラインにする。

  2. すべてのクラスタファイルシステムをマウント解除する。

  3. アクティブなデバイスサービスを停止する。

  4. init 0 を実行してすべてのノードを OpenBootTM PROM ok プロンプトの状態にする (SPARC ベースシステムの場合) か、あるいは GRUB メニューの状態にする (x86 ベースシステムの場合)。GRUB メニューの詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」に記載されています。


注 –

必要であれば、ノードを非クラスタモードで (つまり、ノードがクラスタメンバーシップを取得しないように) 起動できます。非クラスタモードは、クラスタソフトウェアをインストールしたり、特定の管理手順を実行する際に役立ちます。詳細は、「非クラスタモードでクラスタノードを起動する」を参照してください。


表 3–1 作業リスト : クラスタの停止と起動

作業 

参照先 

クラスタの停止 

    - cluster(1CL shutdown を使用

「クラスタを停止する」を参照

すべてのノードを起動してクラスタを起動 

クラスタメンバーシップを取得できるように、ノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。 

「クラスタを起動する」を参照

クラスタの再起動 

    - cluster shutdown を使用

Press any key to continue」というメッセージが表示された時点で、キーを押すことにより各ノードを個別に起動します。

クラスタメンバーシップを取得できるように、ノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。 

「クラスタを再起動する」を参照

Procedureクラスタを停止する


注意 – 注意 –

クラスタノードを停止する場合は、クラスタコンソール上で send brk を使用してはいけません。この機能はクラスタ内ではサポートされません。


この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短形式もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。

  1. SPARC:Oracle Parallel Server または Oracle Real Application Clusters (RAC) が動作しているクラスタの場合、データベースのすべてのインスタンスを停止します。

    停止の手順については、Oracle Parallel Server/Real Application Clusters 製品のマニュアルを参照してください。

  2. クラスタ内の任意のノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.admin を提供する役割になります。

  3. ただちにクラスタを停止します。

    クラスタ内の 1 つのノードから、次のコマンドを入力します。


    # cluster shutdown -g0 -y
    
  4. SPARC ベースシステムでは、すべてのノードが ok プロンプトの状態になったことを確認します。x86 ベースシステムでは、すべてのノードが GRUB メニューの状態になったことを確認します。

    SPARC ベースのシステムではすべてのクラスタノードが ok プロンプトになるまで、x86 ベースシステムではすべてのクラスタノードが Boot Subsystem の状態になるまで、どのノードの電源も切らないでください。


    # cluster status -t node
    
  5. 必要であればノードの電源を切ります。


例 3–1 SPARC: クラスタの停止

次に、正常なクラスタの動作を停止して、すべてのノードを停止し、ok プロンプトが表示されたときのコンソールの出力例を示します。ここでは、-g 0 オプションで停止の猶予期間をゼロに設定し、-y オプションで、確認プロンプトに対して自動的に yes と応答するよう指定しています。停止メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールにも表示されます。


# cluster shutdown -g0 -y
Wed Mar 10 13:47:32 phys-schost-1 cl_runtime: 
WARNING: CMM monitoring disabled.
phys-schost-1# 
INIT: New run level: 0
The system is coming down.  Please wait.
System services are now being stopped.
/etc/rc0.d/K05initrgm: Calling scswitch -S (evacuate)
The system is down.
syncing file systems... done
Program terminated
ok 


例 3–2 x86: クラスタの停止

次に、正常なクラスタの動作を停止して、すべてのノードを停止したときのコンソールの出力例を示します。この例では、すべてのノードで ok プロンプトが表示されません。ここでは、-g 0 オプションで停止の猶予期間をゼロに設定し、-y オプションで、確認プロンプトに対して自動的に yes と応答するよう指定しています。停止メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールにも表示されます。


# cluster shutdown -g0 -y
May  2 10:32:57 phys-schost-1 cl_runtime: 
WARNING: CMM: Monitoring disabled.  
root@phys-schost-1#
INIT: New run level: 0
The system is coming down.  Please wait.
System services are now being stopped.
/etc/rc0.d/K05initrgm: Calling scswitch -S (evacuate)
failfasts already disabled on node 1
Print services already stopped.
May  2 10:33:13 phys-schost-1 syslogd: going down on signal 15
The system is down.
syncing file systems... done
Type any key to continue 

参照

「クラスタを起動する」を参照し、停止したクラスタを再起動します。

Procedureクラスタを起動する

この手順では、ノードが停止され、ok プロンプト (SPARC システムの場合) または「Press any key to continue」メッセージ (GRUB ベースの x86 システムの場合) が表示されている状態の、クラスタを起動する方法を説明します。

この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短形式もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。

  1. 各ノードをクラスタモードで起動します。

    • SPARC ベースのシステムでは、次の操作を実行します。


      ok boot
      
    • x86 ベースのシステムでは、次の操作を実行します。

      GRUB メニューが表示された時点で、適切な Solaris エントリを選択し Enter キーを押します。GRUB メニューは次のようになっています。


      GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
      +-------------------------------------------------------------------------+
      | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
      | Solaris failsafe                                                        |
      |                                                                         |
      +-------------------------------------------------------------------------+
      Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
      Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
      commands before booting, or 'c' for a command-line.

    注 –

    クラスタメンバーシップを取得できるように、クラスタノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。


    GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。

  2. ノードが問題なく起動し、オンラインであることを確認します。

    cluster(1CL) ステータスコマンドはノードのステータスを報告します。


    # cluster status -t node
    

    注 –

    クラスタノードの /var ファイルシステムが満杯になると、そのノード上では Sun Cluster が再起動できなくなる可能性があります。この問題が発生した場合は、「満杯の /var ファイルシステムを修復する」を参照してください。



例 3–3 SPARC: クラスタの起動

次に、ノード phys-schost-1 を起動してクラスタに結合させたときのコンソールの出力例を示します。クラスタ内の他のノードのコンソールにも同様のメッセージが表示されます。


ok boot
Rebooting with command: boot 
...
Hostname: phys-schost-1
Booting as part of a cluster
NOTICE: Node phys-schost-1 with votecount = 1 added.
NOTICE: Node phys-schost-2 with votecount = 1 added.
NOTICE: Node phys-schost-3 with votecount = 1 added.
...
NOTICE: Node phys-schost-1: attempting to join cluster
...
NOTICE: Node phys-schost-2 (incarnation # 937690106) has become reachable.
NOTICE: Node phys-schost-3 (incarnation # 937690290) has become reachable.
NOTICE: cluster has reached quorum.
NOTICE: node phys-schost-1 is up; new incarnation number = 937846227.
NOTICE: node phys-schost-2 is up; new incarnation number = 937690106.
NOTICE: node phys-schost-3 is up; new incarnation number = 937690290.
NOTICE: Cluster members: phys-schost-1 phys-schost-2 phys-schost-3.
...

Procedureクラスタを再起動する

cluster(1CL) shutdown コマンドを実行し、クラスタを停止してから、各ノード上で boot(1M) コマンドを使用してクラスタを起動します。

この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短形式もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。

  1. SPARC:Oracle Parallel Server または Oracle RAC が動作しているクラスタの場合、データベースのすべてのインスタンスを停止します。

    停止の手順については、Oracle Parallel Server/Real Application Clusters 製品のマニュアルを参照してください。

  2. クラスタ内の任意のノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.admin を提供する役割になります。

  3. クラスタを停止します。

    クラスタ内の 1 つのノードから、次のコマンドを入力します。


    # cluster shutdown -g0 -y 
    

    各ノードが停止します。


    注 –

    クラスタメンバーシップを取得できるように、クラスタノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。


  4. 各ノードを起動します。

    停止中に構成を変更した場合以外は、どのような順序でノードを起動してもかまいません。停止中に構成を変更した場合は、最新の構成情報を持つノードを最初に起動する必要があります。

    • SPARC ベースのシステムでは、次の操作を実行します。


      ok boot
      
    • x86 ベースのシステムでは、次の操作を実行します。

      GRUB メニューが表示された時点で、適切な Solaris エントリを選択し Enter キーを押します。GRUB メニューは次のようになっています。


      GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
      +-------------------------------------------------------------------------+
      | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
      | Solaris failsafe                                                        |
      |                                                                         |
      +-------------------------------------------------------------------------+
      Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
      Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
      commands before booting, or 'c' for a command-line.

    注 –

    クラスタメンバーシップを取得できるように、クラスタノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。


    GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。

    クラスタコンポーネントが起動すると、起動されたノードのコンソールにメッセージが表示されます。

  5. ノードが問題なく起動し、オンラインであることを確認します。

    scstat コマンドを使用してノードの状態を表示します。


    # cluster status -t node
    

    注 –

    クラスタノードの /var ファイルシステムが満杯になると、そのノード上では Sun Cluster が再起動できなくなる可能性があります。この問題が発生した場合は、「満杯の /var ファイルシステムを修復する」を参照してください。



例 3–4 SPARC: クラスタの再起動

次に、正常なクラスタの動作を停止して、すべてのノードを停止し、ok プロンプトが表示され、クラスタが再起動したときのコンソールの出力例を示します。ここでは、-g 0 オプションで猶予期間をゼロに設定し、-y で、確認プロンプトに対して自動的に yes と応答するよう指定しています。停止メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールにも表示されます。


# cluster shutdown -g0 -y
Wed Mar 10 13:47:32 phys-schost-1 cl_runtime: 
WARNING: CMM monitoring disabled.
phys-schost-1# 
INIT: New run level: 0
The system is coming down.  Please wait.
...
The system is down.
syncing file systems... done
Program terminated
ok boot
Rebooting with command: boot 
...
Hostname: phys-schost-1
Booting as part of a cluster
...
NOTICE: Node phys-schost-1: attempting to join cluster
...
NOTICE: Node phys-schost-2 (incarnation # 937690106) has become reachable.
NOTICE: Node phys-schost-3 (incarnation # 937690290) has become reachable.
NOTICE: cluster has reached quorum.
...
NOTICE: Cluster members: phys-schost-1 phys-schost-2 phys-schost-3.
...
NOTICE: Node phys-schost-1: joined cluster
...
The system is coming up.  Please wait.
checking ufs filesystems
...
reservation program successfully exiting
Print services started.
volume management starting.
The system is ready.
phys-schost-1 console login:
NOTICE: Node phys-schost-1: joined cluster
...
The system is coming up.  Please wait.
checking ufs filesystems
...
reservation program successfully exiting
Print services started.
volume management starting.
The system is ready.
phys-schost-1 console login: 

単一クラスタノードの停止と起動


注 –

clnode(1CL) evacuate コマンドを、Solaris の shutdown(1M) コマンドとともに使用して、個別のノードを停止します。クラスタ全体を停止する場合にだけ、 cluster shutdown コマンドを使用します。非大域ゾーンの停止と起動についての詳細は、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 20 章「非大域ゾーンのインストール、起動、停止、およびアンインストール (手順)」を参照してください。


表 3–2 作業マップ: クラスタノードの停止と起動

作業 

ツール 

参照先 

クラスタノードの停止 

clnode(1CL) evacuate コマンドおよび shutdown コマンドを使用

「クラスタノードを停止する」

ノードの起動 

クラスタメンバーシップを取得できるように、ノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。 

boot または b コマンドを使用

「クラスタノードを起動する」

クラスタノードをいったん停止してから再起動 

クラスタメンバーシップを取得できるように、ノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。 

clnode evacuate および shutdown コマンドを使用

「クラスタノードを再起動する」

ノードがクラスタメンバーシップを取得しないようにノードを起動 

clnode evacuate および shutdown コマンドを使用してから、boot -x または shutdown -g -y -i0 コマンドを使用

「非クラスタモードでクラスタノードを起動する」

Procedureクラスタノードを停止する


注意 – 注意 –

クラスタノードを停止する場合は、クラスタコンソール上で send brk を使用してはいけません。この機能はクラスタ内ではサポートされません。


非大域ゾーンの停止についての詳細は、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 20 章「非大域ゾーンのインストール、起動、停止、およびアンインストール (手順)」を参照してください。

この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短形式もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。

  1. SPARC:Oracle Parallel Server または Oracle RAC が動作しているクラスタの場合、データベースのすべてのインスタンスを停止します。

    停止の手順については、Oracle Parallel Server/Real Application Clusters 製品のマニュアルを参照してください。

  2. 停止するクラスタノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.admin を提供する役割になります。

  3. すべてのリソースグループ、リソース、およびデバイスグループを、停止するノードから別のクラスタノードに切り替えます。

    停止するノードで次のようにコマンドを入力します。clnode evacuate コマンドは、非大域ゾーンを含むすべてのリソースグループとデバイスグループを、指定のノードから、次に優先されるノードに切り替えます。


    # clnode evacuate node
    
    node

    リソースグループとデバイスグループを切り替えるノードを指定します。

  4. クラスタノードを停止します。

    停止するノードで次のようにコマンドを入力します。


    # shutdown -g0 -y -i0
    

    SPARC ベースのシステムではクラスタノードが ok プロンプトを表示し、x86 ベースのシステムでは GRUB メニューで「Press any key to continue」というメッセージが表示されていることを確認します。

  5. 必要であればノードの電源を切ります。


例 3–5 SPARC: クラスタノードの停止

次の例に、ノード phys-schost-1 が停止した場合のコンソール出力を示します。ここでは、-g0 オプションで猶予期間をゼロに設定し、-y オプションで、確認プロンプトに対して自動的に yes と応答するよう指定しています。このノードの停止メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールにも表示されます。


# clnode evacuate -S -h phys-schost-1
# shutdown -T0 -y
Wed Mar 10 13:47:32 phys-schost-1 cl_runtime:
WARNING: CMM monitoring disabled.
phys-schost-1# 
INIT: New run level: 0
The system is coming down.  Please wait.
Notice: rgmd is being stopped.
Notice: rpc.pmfd is being stopped.
Notice: rpc.fed is being stopped.
umount: /global/.devices/node@1 busy
umount: /global/phys-schost-1 busy
The system is down.
syncing file systems... done
Program terminated
ok 


例 3–6 x86: クラスタノードの停止

次の例に、ノード phys-schost-1 が停止した場合のコンソール出力を示します。ここでは、-g0 オプションで猶予期間をゼロに設定し、-y オプションで、確認プロンプトに対して自動的に yes と応答するよう指定しています。このノードの停止メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールにも表示されます。


# clnode evacuate phys-schost-1
# shutdown -T0 -y
Shutdown started.    Wed Mar 10 13:47:32 PST 2004

Changing to init state 0 - please wait
Broadcast Message from root (console) on phys-schost-1 Wed Mar 10 13:47:32... 
THE SYSTEM phys-schost-1 IS BEING SHUT DOWN NOW ! ! !
Log off now or risk your files being damaged

phys-schost-1#
INIT: New run level: 0
The system is coming down.  Please wait.
System services are now being stopped.
/etc/rc0.d/K05initrgm: Calling scswitch -S (evacuate)
failfasts disabled on node 1
Print services already stopped.
Mar 10 13:47:44 phys-schost-1 syslogd: going down on signal 15
umount: /global/.devices/node@2 busy
umount: /global/.devices/node@1 busy
The system is down.
syncing file systems... done
WARNING: CMM: Node being shut down.
Type any key to continue 

参照

「クラスタノードを起動する」を参照し、停止したクラスタノードを再起動します。

Procedureクラスタノードを起動する

クラスタ内の他のアクティブノードを停止または再起動したい場合は、少なくとも起動中のノードで次の状態になるまで待ってください。

ログインプロンプトが表示されてからでなければ、そのノードは、停止または再起動するクラスタ内の他のノードからサービスを引き継げません。非大域ゾーンの起動についての詳細は、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 20 章「非大域ゾーンのインストール、起動、停止、およびアンインストール (手順)」を参照してください。


注 –

クラスタノードの起動方法は、定足数 (quorum) の構成によって変わる場合があります。2 ノードのクラスタでは、クラスタの定足数の合計数が 3 つになるように定足数デバイスを構成する必要があります(各ノードごとに 1 つと定足数デバイスに 1 つ)。この場合、最初のノードを停止しても、2 つ目のノードは定足数を保持しており、唯一のクラスタメンバーとして動作します。1 番目のノードをクラスタノードとしてクラスタに復帰させるには、2 番目のノードが稼動中で必要な数のクラスタ定足数(2 つ) が存在している必要があります。


この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短形式もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。

  1. 停止したクラスタノードを起動するために、そのノードを起動します。

    • SPARC ベースのシステムでは、次の操作を実行します。


      ok boot
      
    • x86 ベースのシステムでは、次の操作を実行します。

      GRUB メニューが表示された時点で、適切な Solaris エントリを選択し Enter キーを押します。GRUB メニューは次のようになっています。


      GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
      +-------------------------------------------------------------------------+
      | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
      | Solaris failsafe                                                        |
      |                                                                         |
      +-------------------------------------------------------------------------+
      Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
      Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
      commands before booting, or 'c' for a command-line.

    クラスタコンポーネントが起動すると、起動されたノードのコンソールにメッセージが表示されます。


    注 –

    クラスタメンバーシップを取得できるように、クラスタノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。


  2. ノードが問題なく起動し、オンラインであることを確認します。

    cluster status コマンドは、ノードのステータスを報告します。


    # cluster status -t node
    

    注 –

    クラスタノードの /var ファイルシステムが満杯になると、そのノード上では Sun Cluster が再起動できなくなる可能性があります。この問題が発生した場合は、「満杯の /var ファイルシステムを修復する」を参照してください。



例 3–7 SPARC: クラスタノードの起動

次に、ノード phys-schost-1 を起動してクラスタに結合させたときのコンソールの出力例を示します。


ok boot
Rebooting with command: boot 
...
Hostname: phys-schost-1
Booting as part of a cluster
...
NOTICE: Node phys-schost-1: attempting to join cluster
...
NOTICE: Node phys-schost-1: joined cluster
...
The system is coming up.  Please wait.
checking ufs filesystems
...
reservation program successfully exiting
Print services started.
volume management starting.
The system is ready.
phys-schost-1 console login:

Procedureクラスタノードを再起動する

クラスタ内のほかのアクティブノードを停止または再起動したい場合は、少なくとも再起動中のノードが次の状態になるまで待ってください。

ログインプロンプトが表示されてからでなければ、そのノードは、停止または再起動するクラスタ内の他のノードからサービスを引き継げません。非大域ゾーンの再起動についての詳細は、『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の第 20 章「非大域ゾーンのインストール、起動、停止、およびアンインストール (手順)」を参照してください。

この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短形式もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。

  1. SPARC:Oracle Parallel Server/Real Application Clusters が動作しているクラスタノードの場合、データベースのすべてのインスタンスを停止します。

    停止の手順については、Oracle Parallel Server/Real Application Clusters 製品のマニュアルを参照してください。

  2. 停止するクラスタノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.admin を提供する役割になります。

  3. clnode evacuate および shutdown コマンドを使用してクラスタノードを停止します。

    停止するノードで次のコマンドを入力します。clnode evacuate コマンドは、すべてのデバイスグループを、指定ノードから次に優先されるノードに切り替えます。またこのコマンドは、指定のノード上の大域または非大域ゾーンから、ほかのノード上の次に優先される大域または非大域ゾーンへ、すべてのリソースグループを切り替えます。

    • SPARC ベースのシステムでは、次の操作を実行します。


      # clnode evacuate  node
      # shutdown -g0 -y -i6
      
    • x86 ベースのシステムでは、次の操作を実行します。


      # clnode evacuate  node
      

      GRUB メニューが表示された時点で、適切な Solaris エントリを選択し Enter キーを押します。GRUB メニューは次のようになっています。


      GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
      +-------------------------------------------------------------------------+
      | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
      | Solaris failsafe                                                        |
      |                                                                         |
      +-------------------------------------------------------------------------+
      Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
      Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
      commands before booting, or 'c' for a command-line.

    注 –

    クラスタメンバーシップを取得できるように、クラスタノードにはクラスタインターコネクトとの動作中の接続が必要です。


  4. ノードが問題なく起動し、オンラインであることを確認します。


    # cluster status -t node
    

例 3–8 SPARC: クラスタノードの再起動

次の例に、ノード phys-schost-1 が再起動した場合のコンソール出力を示します。このノードの停止時および起動時の通知メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールに表示されます。


# clnode evacuate phys-schost-1
# shutdown -g0 -y -i6
Shutdown started.    Wed Mar 10 13:47:32 phys-schost-1 cl_runtime: 

WARNING: CMM monitoring disabled.
phys-schost-1# 
INIT: New run level: 6
The system is coming down.  Please wait.
System services are now being stopped.
Notice: rgmd is being stopped.
Notice: rpc.pmfd is being stopped.
Notice: rpc.fed is being stopped.
umount: /global/.devices/node@1 busy
umount: /global/phys-schost-1 busy
The system is down.
syncing file systems... done
rebooting...
Resetting ... 
,,,
Sun Ultra 1 SBus (UltraSPARC 143MHz), No Keyboard
OpenBoot 3.11, 128 MB memory installed, Serial #5932401.
Ethernet address 8:8:20:99:ab:77, Host ID: 8899ab77.
...
Rebooting with command: boot
...
Hostname: phys-schost-1
Booting as part of a cluster
...
NOTICE: Node phys-schost-1: attempting to join cluster
...
NOTICE: Node phys-schost-1: joined cluster
...
The system is coming up.  Please wait.
The system is ready.
phys-schost-1 console login: 


例 3–9 x86: クラスタノードの再起動

次に、ノード phys-schost-1 を再起動したときのコンソールの出力例を示します。このノードの停止時および起動時の通知メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールに表示されます。


# clnode evacuate phys-schost-1
ok boot
Rebooting with command: boot 
...
Hostname: phys-schost-1
Booting as part of a cluster
...
NOTICE: Node phys-schost-1: attempting to join cluster
...
NOTICE: Node phys-schost-1: joined cluster
...
The system is coming up.  Please wait.
checking ufs filesystems
...
reservation program successfully exiting
Print services started.
volume management starting.
The system is ready.
phys-schost-1 console login: 

Procedure非クラスタモードでクラスタノードを起動する

ノードは、クラスタメンバーシップに参加しないよう、つまり非クラスタモードで起動できます。非クラスタモードは、クラスタソフトウェアをインストールしたり、ノードにパッチを適用するなどの特定の管理手順を実行する際に役立ちます。

この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短形式もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。

  1. 非クラスタモードで起動するクラスタノード上で、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.admin を提供する役割になります。

  2. clnode evacuate および shutdown コマンドを使用してノードを停止します。

    clnode evacuate コマンドは、すべてのデバイスグループを、指定ノードから次に優先されるノードに切り替えます。またこのコマンドは、指定のノード上の大域または非大域ゾーンから、ほかのノード上の次に優先される大域または非大域ゾーンへ、すべてのリソースグループを切り替えます。


    # clnode evacuate  node
    # shutdown -g0 -y
    
  3. SPARC ベースのシステムではノードが ok プロンプトを表示し、x86 ベースのシステムでは GRUB メニューで「Press any key to continue」というメッセージが表示されていることを確認します。

  4. 非クラスタモードでノードを起動します。

    • SPARC ベースのシステム上で、以下のコマンドを実行します。


      phys-schost# boot -xs
      
    • x86 ベースのシステム上で、以下のコマンドを実行します。


      phys-schost# shutdown -g -y -i0
      
      Press any key to continue
    1. GRUB メニューで、矢印キーを使用して適切な Solaris エントリを選択し、e を入力してそのコマンドを編集します。

      GRUB メニューは次のようになっています。


      GNU GRUB version 0.95 (631K lower / 2095488K upper memory)
      +-------------------------------------------------------------------------+
      | Solaris 10 /sol_10_x86                                                  |
      | Solaris failsafe                                                        |
      |                                                                         |
      +-------------------------------------------------------------------------+
      Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
      Press enter to boot the selected OS, 'e' to edit the
      commands before booting, or 'c' for a command-line.

      GRUB ベースの起動の詳細は、『Solaris のシステム管理 (基本編)』の第 11 章「GRUB ベースのブート (手順)」を参照してください。

    2. ブートパラメータの画面で、矢印キーを使用してカーネルエントリを選択し、e を入力してエントリを編集します。

      GRUB ブートパラメータの画面は、次のような画面です。


      GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
      +----------------------------------------------------------------------+
      | root (hd0,0,a)                                                       |
      | kernel /platform/i86pc/multiboot                                     |
      | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
      +----------------------------------------------------------------------+
      Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
      Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
      boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
      after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
      selected line, or escape to go back to the main menu.
    3. コマンドに -x を追加して、システムを非クラスタモードで起動することを指定します。


      [ Minimal BASH-like line editing is supported. For the first word, TAB
      lists possible command completions. Anywhere else TAB lists the possible
      completions of a device/filename. ESC at any time exits. ]
      
      grub edit> kernel /platform/i86pc/multiboot -x
    4. Enter キーを押して変更を受け入れ、ブートパラメータの画面に戻ります。

      画面には編集されたコマンドが表示されます。


      GNU GRUB version 0.95 (615K lower / 2095552K upper memory)
      +----------------------------------------------------------------------+
      | root (hd0,0,a)                                                       |
      | kernel /platform/i86pc/multiboot -x                                  |
      | module /platform/i86pc/boot_archive                                  |
      +----------------------------------------------------------------------+
      Use the ^ and v keys to select which entry is highlighted.
      Press 'b' to boot, 'e' to edit the selected command in the
      boot sequence, 'c' for a command-line, 'o' to open a new line
      after ('O' for before) the selected line, 'd' to remove the
      selected line, or escape to go back to the main menu.-
    5. b を入力してノードを非クラスタモードで起動します。


      注 –

      カーネル起動パラメータコマンドへのこの変更は、システムを起動すると無効になります。次にノードを再起動する際には、ノードはクラスタモードで起動します。クラスタモードではなく、非クラスタモードで起動するには、これらの手順を再度実行して、カーネル起動パラメータコマンドに -x オプションを追加します。



例 3–10 SPARC: 非クラスタモードでクラスタノードを起動する

次に、ノード phys-schost-1 を停止し、非クラスタモードで再起動した場合のコンソール出力の例を示します。ここでは、-g0 オプションで猶予期間をゼロに設定し、-y オプションで、確認プロンプトに対して自動的に yes と応答するよう指定し、-i0 で実行レベル 0 で起動します。このノードの停止メッセージは、クラスタ内の他のノードのコンソールにも表示されます。


# clnode evacuate phys-schost-1
# cluster shutdown -T0 -y
Shutdown started.    Wed Mar 10 13:47:32 phys-schost-1 cl_runtime: 

WARNING: CMM monitoring disabled.
phys-schost-1# 
...
rg_name = schost-sa-1 ...
offline node = phys-schost-2 ...
num of node = 0 ...
phys-schost-1# 
INIT: New run level: 0
The system is coming down.  Please wait.
System services are now being stopped.
Print services stopped.
syslogd: going down on signal 15
...
The system is down.
syncing file systems... done
WARNING: node phys-schost-1 is being shut down.
Program terminated

ok boot -x
...
Not booting as part of cluster
...
The system is ready.
phys-schost-1 console login:

満杯の /var ファイルシステムを修復する

Solaris と Sun Cluster ソフトウェアは、どちらも /var/adm/messages ファイルにエラーメッセージを書き込みます。このため、運用を続けるうちに /var ファイルシステムが満杯になってしまうことがあります。クラスタノードの /var ファイルシステムが満杯になると、そのノード上では Sun Cluster が再起動できなくなる可能性があります。また、そのノードにログインできなくなる可能性もあります。

Procedure満杯の /var ファイルシステムを修復する

/var ファイルシステムが満杯になったことがノードによって報告され、Sun Cluster サービスが引き続き実行されているときは、次の手順で、満杯になったファイルシステムを整理してください。詳細は、『Solaris のシステム管理 (上級編)』「システムメッセージの表示」を参照してください。

この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短形式もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短形式については、付録 A 「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。

  1. 満杯の /var ファイルシステムが存在するクラスタノードでスーパーユーザーになります。

  2. 満杯のファイルシステムを整理します。

    たとえば、ファイルシステムにある重要ではないファイルを削除します。