次のいずれかの方法を選択して、クラスタを Sun Cluster 3.2 ソフトウェアにアップグレードします。
標準アップグレード – 標準アップグレードでは、クラスタノードをアップグレードする前にクラスタをシャットダウンします。すべてのノードを完全にアップグレードした後で、クラスタを運用状態に戻します。Sun Cluster 3.0 リリースからアップグレードする場合は、この方法を使用します。
デュアルパーティションアップグレード - デュアルパーティションアップグレードでは、クラスタを 2 つのグループのノードに分割します。1 つのグループのノードを停止させて、これらのノードをアップグレードします。もう 1 つのグループのノードは、サービスの提供を継続します。1 番目のグループのノードのアップグレードを完了したあと、アップグレードしたノードにサービスを切り替えます。次に残りのノードをアップグレードして、起動し、クラスタの残りの部分に戻します。クラスタが機能を停止している時間は、クラスタがサービスをアップグレードしたパーティションにスイッチオーバーするために必要な時間に限られます。
デュアルパーティションアップグレード方式では、次の制限事項と必要条件を守ってください。
Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server EE (HADB) - Sun Cluster HA for Sun Java System Application Server EE (HADB) データサービスをバージョン 4.4 以降の Sun Java System Application Server EE (HADB) ソフトウェアとともに実行している場合は、デュアルパーティションアップグレードを開始する前に、データベースをシャットダウンする必要があります。アップグレードのためにノードのパーティションをシャットダウンする際に発生する、メンバーシップの損失を、HADB データベースは許容しません。この必要条件は、バージョン 4.4 よりも前のバージョンには当てはまりません。
データ形式の変更 - アプリケーションのアップグレード中にデータ形式の変更が必要なアプリケーションをアップグレードする場合は、デュアルパーティションアップグレード方式を使用しないでください。デュアルパーティションアップグレード方式は、データ変換を実行するために必要な、停止時間の延長に対応していません。
アプリケーションソフトウェアの場所 - アプリケーションは非共有ストレージにインストールする必要があります。共有ストレージは、非クラスタモードのパーティションからアクセスできません。このため、共有ストレージにあるアプリケーションソフトウェアをアップグレードすることはできません。
ストレージの分割 - 各共有ストレージデバイスは、各グループのノードにそれぞれ接続する必要があります。
単一ノードのクラスタ - デュアルパーティションアップグレードは、単一ノードのクラスタのアップグレードには使用できません。代わりに標準アップグレードまたはライブアップグレード方式を使用してください。
最小限の Sun Cluster バージョン - デュアルパーティションアップグレードを開始する前に、クラスタでSun Cluster 3.1 リリースを実行している必要があります。
構成の変更 - アップグレード手順に記載されていないクラスタ構成の変更は行わないでください。このような変更は、クラスタの最終構成には伝わらない可能性があります。また、デュアルパーティションアップグレードの間は、すべてのノードにアクセスできるわけではないため、このような変更を確認しようとすると失敗する場合があります。
ライブアップグレード - ライブアップグレードでは、すべてのノードをアップグレードして、アップグレードを約束するまで、以前のクラスタ構成を維持します。アップグレードした構成が原因で問題が起きた場合は、問題を修正できるまで、以前のクラスタ構成に戻すことができます。
ライブアップグレード方式では、次の制限事項と必要条件を守ってください。
最小限の Sun Cluster バージョン - ライブアップグレードを開始する前に、クラスタでSun Cluster 3.1 リリースを実行している必要があります。
最小限の Live Upgrade ソフトウェアバージョン - ライブアップグレード方式を使用するには、Solaris 9 9/04 または Solaris 10 リリース以上の Solaris Live Upgrade パッケージを使用する必要があります。この必要条件は、Solaris 8 ソフトウェアも含めて、すべてのバージョンの Solaris OS に適用されます。ライブアップグレードの手順では、これらのパッケージをアップグレードする手順を提供します。
デュアルパーティションアップグレード - ライブアップグレード方式は、デュアルパーティションアップグレードとの組み合わせでは使用できません。
非大域ゾーン - ライブアップグレード方式は、クラスタノードに非大域ゾーンを構成したクラスタのアップグレードには対応していません。代わりに、標準またはデュアルパーティションアップグレード方式を使用してください。
ディスク容量 - ライブアップグレード方式を使用するには、各ノードのブート環境のコピーを作成するために十分なスペアディスク容量を使用できる必要があります。アップグレードが完了し、アップグレードを確認してコミットした後にこのディスク容量を再利用します。アクティブでないブート環境での容量の必要条件については、『Solaris 9 9/04 インストールガイド』の「Solaris Live Upgrade の要件」または『Solaris 10 インストールガイド (Solaris Live Upgrade とアップグレードの計画)』の「ディスク容量とスワップ領域の割り当て」を参照してください。
Sun Cluster 3.2 構成の計画の概要情報については、第 1 章「Sun Cluster 構成の計画」を参照してください。