Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)

システムリソースの使用率

システムリソースには、CPU 使用率、メモリ使用率、スワップ使用率、ディスクおよびネットワークのスループットが含まれます。Sun Cluster では、オブジェクトタイプ別にシステムリソースの使用率を監視できます。オブジェクトタイプには、ノード、ゾーン、ディスク、ネットワークインタフェース、またはリソースグループがあります。Sun Cluster ではまた、リソースグループで使用できる CPU を制御することもできます。

システムリソース使用量の監視と制御をリソース管理ポリシーの一部にすることができます。多数のマシンの管理は複雑でコストがかかるため、より大規模なサーバーにアプリケーションを統合することが望まれます。個々の作業負荷を別々のシステムで実行して、そのシステムのリソースへのフルアクセスを与える代わりに、リソース管理ソフトウェアを使用すれば、システム内の作業負荷を分離できます。リソース管理機能を使用すると、1 つの Solaris システムで複数の異なるアプリケーションを実行して制御することにより、システムの総保有コスト (TCO) を低減することができます。

リソース管理機能を使用して、アプリケーションが必要な応答時間を確保できるようにします。また、リソース管理機能により、リソースの使用率を向上させることができます。使用状況を分類して優先付けすることにより、オフピーク時に余ったリソースを効率よく使用でき、処理能力を追加する必要がなくなります。また、負荷の変動が原因で資源を無駄にすることもなくなります。

Sun Cluster がシステムリソースの使用率について収集するデータを活用するには、次の手順を実行する必要があります。

Sun Cluster のインストール時にデフォルトでは、システムリソースの監視と制御は構成されていません。これらのサービスの構成の詳細については、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の第 9 章「CPU 使用率の制御の構成」を参照してください。

システムリソース監視

システムリソースの使用率を監視することにより、次のことができます。

システムリソースの使用率に関するデータにより、あまり使用されていないハードウェアリソースや多くのリソースを使用するアプリケーションを判別することができます。このデータに基づいて、アプリケーションを必要なリソースがあるノードやゾーンに割り当て、フェイルオーバーするノードやゾーンを選択することができます。この統合により、ハードウェアリソースとソフトウェアリソースの使用方法を最適化できます。

すべてのシステムリソースを同時に監視することは、CPU の負担になる場合があります。システムに最も重要なリソースに優先順位を付けて、監視するシステムリソースを選択してください。

監視を有効にするときに、監視するテレメトリ属性を選択します。テレメトリ属性はシステムリソースの一面です。テレメトリ属性の例としては、CPU の量またはデバイスで使用されているブロックの使用率などがあります。あるオブジェクトタイプについてテレメトリ属性を監視する場合、Sun Cluster はクラスタ内のそのタイプのすべてのオブジェクトでこのテレメトリ属性を監視します。Sun Cluster は収集されるシステムリソースデータを 7 日間保存します。

特定のデータ値がシステムリソースに重要だと考えられる場合、この値にしきい値を設定できます。しきい値を設定するときに、重要度レベルを割り当てることによって、このしきい値がどれくらい重要かを選択することもできます。このしきい値を超えると、Sun Cluster はこのしきい値の重要度レベルをユーザーが選択する重要度レベルに変更します。

CPU の制御

クラスタ上で動作するアプリケーションおよびサービスウィンドウごとに特定の CPU ニーズがあります。表 3–4 は、Solaris OS の各バージョンで使用できる CPU 制御動作を示しています。

表 3–4 CPU 制御

Solaris のバージョン 

ゾーン 

制御 

Solaris 9 OS 

使用不可 

CPU シェアの割り当て 

Solaris 10 OS 

大域ゾーン 

CPU シェアの割り当て 

Solaris 10 OS 

非大域ゾーン 

CPU シェアの割り当て 

CPU 数の割り当て 

専用のプロセッサセットの作成 


注 –

CPU シェアを提供する場合、クラスタ内でフェアシェアスケジューラ (FFS) をデフォルトのスケジューラとして指定する必要があります。


非大域ゾーンで専用プロセッサセットのリソースグループに割り当てられている CPU を制御することにより、もっとも厳格なレベルの制御が実現されます。あるリソースグループに CPU を予約すると、この CPU は他のリソースグループでは使用できません。

システムリソース使用率の表示

コマンドラインまたは Sun Cluster Manager を使用して、システムリソースデータおよび CPU 割り当てを表示できます。監視を選択するシステムリソースによって、表示できる表とグラフが決まります。

システムリソース使用率と CPU 制御の出力を表示することにより、次を実現することができます。

Sun Cluster では、収集したデータに基づいて取るべき措置をアドバイスしたり、ユーザーの代わりに措置を実行することはありません。表示されるデータがサービスに期待する条件を満たしているかどうかを判断する必要があります。そのあとで、確認されたパフォーマンスの救済措置を取る必要があります。