Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)

多重イニシエータ SCSI

この項は、多重ホストデバイスに使用されるファイバチャネル記憶装置ではなく、SCSI 記憶装置にのみ適用されます。

スタンドアロンサーバーでは、サーバーノードが、このサーバーを特定の SCSI バスに接続する SCSI ホストアダプタ回路によって、SCSI バスのアクティビティーを制御します。この SCSI ホストアダプタ回路は、SCSI イニシエータと呼ばれます。この回路は、この SCSI バスに対するすべてのバスアクティビティーを開始します。Sun システムの SCSI ホストアダプタのデフォルト SCSI アドレスは 7 です。

クラスタ構成では、多重ホストデバイスを使用し、複数のサーバーノード間で記憶装置を共有します。クラスタ記憶装置が SCSI デバイスまたは Differential SCSI デバイスで構成される場合、その構成のことを「多重イニシエータ SCSI」と呼びます。この用語が示すように、複数の SCSI イニシエータが SCSI バスに存在します。

SCSI 仕様では、SCSI バス上のデバイスごとに一意の SCSI アドレスが必要 (ホストアダプタも SCSI バス上のデバイス) です。多重イニシエータ環境では、デフォルトのハードウェア構成は、すべての SCSI ホストアダプタがデフォルトの 7 になっているので、衝突が生じます。

この衝突を解決するには、各 SCSI バスで、SCSI アドレスが 7 の SCSI ホストアダプタを 1 つ残し、他のホストアダプタには、未使用の SCSI アドレスを設定します。これらの未使用の SCSI アドレスには、現在未使用のアドレスと最終的に未使用となるアドレスの両方を含めるべきです。将来未使用となるアドレスの例としては、新しいドライブを空のドライブスロットに設置することによる記憶装置の追加があります。

ほとんどの構成では、二次ホストアダプタに使用できる SCSI アドレスは 6 です。

これらのホストアダプタ用に選択された SCSI アドレスを変更するには、次のツールのいずれかを使用して、scsi-initiator-id プロパティーを設定します。

このプロパティーは 1 つのノードに対して、広域的にまたはホストアダプタごとに設定できます。SCSI ホストアダプタごとに一意の scsi-initiator-id を設定する手順は、『Sun Cluster 3.1 - 3.2 With SCSI JBOD Storage Device Manual for Solaris OS』に記載されています。