Sun Cluster データサービス開発ガイド (Solaris OS 版)

アプリケーションの停止

Stop メソッドは、データサービスを停止するために 2 段階の方法を提供します。pmfadm 経由で SIGTERM シグナルを使用する規則正しい方法と、SIGKILL シグナルを使用する強制的な方法です。Stop メソッドは、Stop メソッドが戻るまでの時間を示す Stop_timeout 値を取得します。Stop メソッドはこの時間の 80% を規則正しい方法に割り当て、15% を強制的な方法に割り当てます (5% は予約済み)。次の例を参照してください。

STOP_TIMEOUT='scha_resource_get -O STOP_TIMEOUT -R $RESOURCE_NAME \
-G $RESOURCEGROUP_NAME'
((SMOOTH_TIMEOUT=$STOP_TIMEOUT * 80/100))
((HARD_TIMEOUT=$STOP_TIMEOUT * 15/100))

Stop メソッドは pmfadm -q を使用し、DNS デーモンが動作しているかどうかを確認します。DNS デーモンが動作している場合、Stop はまず pmfadm -s を使用して TERM シグナルを送信し、DNS プロセスを終了します。このシグナルを送信してからタイムアウト値の 80% が経過してもプロセスが終了しない場合、StopSIGKILL シグナルを送信します。このシグナルを送信してからタイムアウト値の 15% 以内にプロセスが終了しない場合、Stop メソッドはエラーメッセージを記録し、エラー状態で終了します。

pmfadm がプロセスを終了した場合、STOP メソッドはプロセスが停止したことを示すメッセージを記録し、成功状態で終了します。

DNS プロセスが動作していない場合、STOP メソッドは DNS プロセスが動作していないことを示すメッセージを記録しますが、成功状態で終了します。次のコード例に、Stop メソッドがどのように pmfadm を使用して DNS プロセスを停止するかを示します。

# in.named が実行中であるかどうかを確認し、実行中であれば強制終了する。 
if pmfadm -q $PMF_TAG; then
   # データサービスに SIGTERM シグナルを送り、タイムアウト値の 80%
   # が経過するまで待機する。
   pmfadm -s $RESOURCE_NAME.named -w $SMOOTH_TIMEOUT TERM
   if [ $? -ne 0 ]; then
      logger -p ${SYSLOG_FACILITY}.err \
          -t [$RESOURCETYPE_NAME,$RESOURCEGROUP_NAME,$RESOURCE_NAME] \
          “${ARGV0} Failed to stop HA-DNS with SIGTERM; Retry with \
           SIGKILL”
      
      # SIGTERM シグナルでデータサービスが停止しないので、今度は SIGKILL を
      # 使って、合計タイムアウト値の残りの 15% が経過するまで待機する。
      pmfadm -s $PMF_TAG -w $HARD_TIMEOUT KILL
      if [ $? -ne 0 ]; then
          logger -p ${SYSLOG_FACILITY}.err \
          -t [$SYSLOG_TAG] \
          “${ARGV0} Failed to stop HA-DNS; Exiting UNSUCCESSFUL”
         exit 1
      fi
fi
else 
   # この時点でデータサービスは実行されていない。メッセージを記録して
   # 成功状態で終了する。
   logger -p ${SYSLOG_FACILITY}.err \
           -t [$SYSLOG_TAG] \
           “HA-DNS is not started”

   # HA-DNS が実行中でなくても、データサービスリソースを STOP_FAILED
   # 状態にするのを避けるため成功状態で終了する。
   exit 0
fi

# DNS の停止に成功。メッセージを記録して成功状態で終了する。
logger -p ${SYSLOG_FACILITY}.err \
    -t [$RESOURCETYPE_NAME,$RESOURCEGROUP_NAME,$RESOURCE_NAME] \
    “HA-DNS successfully stopped”
exit 0