Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)

リソースグループ、リソースタイプ、およびリソースの構成データを複製およびアップグレードする

2 つのクラスタ上で同じリソース構成データが必要である場合、このデータを 2 番目のクラスタに複製することによって、もう一度同じ設定を行うという面倒な作業を省略できます。scsnapshot を使用して、あるクラスタから別のクラスタにリソース構成情報をコピーします。設定後、問題が生じないように、リソース関係の構成が安定していることを確認します。2 番目のクラスタに情報をコピーする前に、リソース構成に大きな変更を行う必要はありません。

リソースグループ、リソースタイプ、およびリソースの構成データは、クラスタ構成リポジトリ (CCR) から取得でき、シェルスクリプトとして書式化されています。このスクリプトを使用すると、次の作業を実行できます。

scsnapshot ツールは、CCR に格納されている構成データを取得します。ほかの構成データは無視されます。scsnapshot ツールは、異なるリソースグループ、リソースタイプ、およびリソースの動的な状態を無視します。

Procedureリソースグループ、リソースタイプ、およびリソースが構成されていないクラスタに構成データを複製する

この手順は、リソースグループ、リソースタイプ、およびリソースが構成されていないクラスタに構成データを複製します。この手順では、あるクラスタから構成データのコピーを取得し、このデータを使用して、別のクラスタ上で構成データを生成します。

  1. システム管理者役割を使用して、構成データをコピーしたいクラスタノードにログインします。

    たとえば、node1 にログオンすると仮定します。

    システム管理者役割が与える役割によるアクセス制御 (RBAC) 権は、次のとおりです。

    • solaris.cluster.resource.read

    • solaris.cluster.resource.modify

  2. クラスタから構成データを取得します。


    node1 % scsnapshot -s scriptfile
    

    scsnapshot ツールは、 scriptfile というスクリプトを生成します。scsnapshot ツールの使用法の詳細については、scsnapshot(1M) のマニュアルページを参照してください。

  3. このスクリプトを編集して、構成データを複製したいクラスタに固有な特徴に合わせます。

    たとえば、スクリプト内にある IP アドレスやホスト名を変更します。

  4. このスクリプトを、構成データを複製したい任意のクラスタノードから実行します。

    このスクリプトは、スクリプトが生成されたクラスタとローカルクラスタの特性を比較します。これらの特性が同じでない場合、このスクリプトはエラーを書き込んで終了します。次に、-f オプションを使用してスクリプトを実行し直すかどうかをたずねるメッセージが表示されます。-f オプションを使用した場合、上記のような特性の違いを無視して、スクリプトを強制的に実行します。-f オプションを使用した場合、クラスタ内に不整合がないことを確認します。

    このスクリプトは、Sun Cluster リソースタイプがローカルクラスタ上に存在することを確認します。リソース型がローカルクラスタに存在しない場合、このスクリプトはエラーを書き込んで終了します。もう一度スクリプトを実行する前に、存在しないリソースタイプをインストールするかどうかをたずねるメッセージが表示されます。

Procedureリソースグループ、リソースタイプ、およびリソースが構成されているクラスタの構成データをアップグレードする

この手順は、リソースグループ、リソースタイプ、およびリソースがすでに構成されているクラスタ上の構成データをアップグレードします。この手順は、リソースグループ、リソースタイプ、およびリソースの構成テンプレートを生成するのにも使用できます。

この手順では、cluster1 上の構成データが cluster2 上の構成データに一致するようにアップグレードされます。

  1. システム管理者役割を使用して、cluster1 の任意のノードにログオンします。

    たとえば、node1 にログオンすると仮定します。

    システム管理者役割が与える RBAC 権は次のとおりです。

    • solaris.cluster.resource.read

    • solaris.cluster.resource.modify

  2. scsnapshot ツールの image file オプションを使用して、クラスタから構成データを取得します。


    node1% scsnapshot -s scriptfile1 -o imagefile1
    

    node1 上で実行するとき、scsnapshot ツールは scriptfile1 というスクリプトを生成します。このスクリプトは、リソースグループ、リソースタイプ、およびリソースの構成データを imagefile1 というイメージファイルに格納します。scsnapshot ツールの使用法の詳細については、scsnapshot(1M) のマニュアルページを参照してください。

  3. cluster2 のノード上で、手順 1 から手順 2 までの手順を繰り返します。


    node2 % scsnapshot -s scriptfile2 -o imagefile2
    
  4. node1 上で cluster2 の構成データを使用して cluster1 の構成データをアップグレードするためのスクリプトを生成します。


    node1 % scsnapshot -s scriptfile3 imagefile1 imagefile2
    

    この手順では、手順 2手順 3 で生成したイメージファイルを使用して、scriptfile3 という新しいスクリプトを生成します。

  5. 手順 4 で生成したスクリプトを編集して、cluster1 に固有な特徴に合わせて、cluster2 に固有なデータを削除します。

  6. このスクリプトを node1 から実行して、構成データをアップグレードします。

    このスクリプトは、スクリプトが生成されたクラスタとローカルクラスタの特性を比較します。これらの特性が同じでない場合、このスクリプトはエラーを書き込んで終了します。次に、-f オプションを使用してスクリプトを実行し直すかどうかをたずねるメッセージが表示されます。-f オプションを使用した場合、上記のような特性の違いを無視して、スクリプトを強制的に実行します。-f オプションを使用した場合、クラスタ内に不整合がないことを確認します。

    このスクリプトは、Sun Cluster リソースタイプがローカルクラスタ上に存在することを確認します。リソース型がローカルクラスタに存在しない場合、このスクリプトはエラーを書き込んで終了します。もう一度スクリプトを実行する前に、存在しないリソースタイプをインストールするかどうかをたずねるメッセージが表示されます。