Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)

リソースタイププロパティー

以下に、Sun Cluster ソフトウェアにより定義されるリソースタイププロパティーを示します。

プロパティー値は以下のように分類されます。

Installed_nodesRT_system 以外のリソースタイププロパティーは、管理ユーティリティーで更新を行うことはできません。また、Installed_nodes は RTR ファイル内に宣言できないため、クラスタ管理者のみが設定できます。RT_system には RTR ファイル内で初期値を割り当てることができ、またクラスタ管理者が設定することもできます。

以下にプロパティー名とその説明を示します。


注 –

API_versionBoot などのリソースタイププロパティー名では、大文字と小文字が区別されません。プロパティー名を指定する際には、大文字と小文字を任意に組み合わせることができます。


API_version (integer)

このリソースタイプの実装のサポートに必要なリソース管理 API の最小バージョン。

次に、Sun Cluster の各リリースがサポートする API_version の最大値を要約します。

3.1 以前

2

3.1 10/03

3

3.1 4/04

4

3.1 9/04

5

3.1 8/05

6

3.2

7

RTR ファイルにおいて API_version2 より大きな値を宣言した場合、そのリソースタイプは、宣言した値より小さな最大バージョンしかサポートしないバージョンの Sun Cluster にはインストールされません。たとえば、あるリソースタイプに API_version=7 を宣言すると、このリソースタイプは、3.2 より前にリリースされた Sun Cluster のバージョンにはインストールされません。


注 –

このプロパティーを宣言しないか、このプロパティーをデフォルト値 (2) に設定すると、データサービスは Sun Cluster 3.0 以降の Sun Cluster の任意のバージョンにインストールできます。


カテゴリ:

任意

デフォルト:

2

調整:

NONE

Boot (string)

任意のコールバックメソッド。RGM がノードまたはゾーン上で実行するプログラムのパスを指定します。このプログラムは、このリソースタイプが管理対象になっているとき、クラスタの結合または再結合を行います。このメソッドは、Init メソッドと同様に、このタイプのリソースを初期化します。

カテゴリ:

条件付/明示

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Failover (boolean)

TRUE の場合、複数のノードまたはゾーン上で同時にオンラインにできるグループ内にこの型のリソースを構成することはできません。

次の表に、このリソースタイププロパティーと Scalable リソースプロパティーを組み合わせて使用する方法を示します。

Failover リソースタイプの値

Scalable リソースの値

説明 

TRUE

TRUE

この非論理的な組み合わせは指定しないでください。 

TRUE

FALSE

この組み合わせは、フェイルオーバーサービスに対して指定します。 

FALSE

TRUE

この組み合わせは、ネットワーク負荷分散に SharedAddress リソースを使用するスケーラブルサービスに指定します。

SharedAddress の詳細は、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』を参照してください。

FALSE

FALSE

この組み合わせは一般的ではありませんが、ネットワーク負荷均衡を使用しないマルチマスターサービスを選択するときに使用できます。 

Scalable の詳細については、r_properties(5) のマニュアルページと、『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』の第 3 章「重要な概念 - システム管理者とアプリケーション開発者」を参照してください。

カテゴリ:

任意

デフォルト:

FALSE

調整:

NONE

Fini (string)

任意のコールバックメソッド。この型のリソースを RGM 管理の対象外にするときに、RGM によって実行されるプログラムのパスです。

Fini メソッドは、通常、Init メソッドにより実行された初期化を元に戻します。

次のような状態が生じた場合にリソースが管理対象外となる各ノードまたはゾーンで、RGM は Fini を実行します。

  • リソースを含むリソースグループが管理対象外状態に切り替わる。この場合、ノードリストのすべてのノードおよびゾーン上で、RGM は Fini メソッドを実行します。

  • 管理されているリソースグループからリソースが削除される。この場合、ノードリストのすべてのノードおよびゾーン上で、RGM は Fini メソッドを実行します。

  • リソースを含むリソースグループのノードリストからノードまたはゾーンが削除される。この場合、削除されたノードまたはゾーン上でのみ、RGM は Fini メソッドを実行します。

「ノードリスト」はリソースグループの Nodelist またはリソースタイプの Installed_nodes リストのいずれかです。「ノードリスト」がリソースグループの Nodelist とリソースタイプの Installed_nodes リストのどちらを指すかは、リソースタイプの Init_nodes プロパティーの設定に依存します。Init_nodes プロパティーは RG_nodelist または RT_installed_nodes に設定できます。大部分のリソースタイプでは、Init_nodes はデフォルトである RG_nodelist に設定されます。この場合、Init メソッドと Fini メソッドは両方とも、リソースグループの Nodelist で指定されているノードおよびゾーン上で実行されます。

Init メソッドが実行する初期化の種類は、次のように、ユーザーが実装した Fini メソッドが実行する必要があるクリーンアップの種類を定義します。

  • ノード固有の構成のクリーンアップ。

  • クラスタ全体の構成のクリーンアップ。

カテゴリ:

条件付/明示

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Global_zone (boolean)

RTR ファイルで宣言されている場合、このリソースタイプのメソッドが大域ゾーンで実行されるかどうかを示すブール値。このプロパティーに TRUE が設定されている場合、リソースを含むリソースグループが非大域ゾーンで動作しているときでも、メソッドは大域ゾーンで実行されます。このプロパティーに TRUE を設定するのは、ネットワークアドレスやファイルシステムなど、大域ゾーンから管理できるサービスに対してだけです。


注意 – 注意 –

信頼できる既知のソースであるリソースタイプを除いて、Global_zone プロパティーに TRUE が設定されているリソースタイプは登録しないでください。このプロパティーに TRUE を設定したリソースタイプは、ゾーン分離をすり抜け、危険があります。


カテゴリ:

任意

デフォルト:

FALSE

調整:

ANYTIME

Init (string)

任意のコールバックメソッド。この型のリソースを RGM 管理対象にするときに、RGM によって実行されるプログラムのパスです。

カテゴリ:

条件付/明示

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Init_nodes (enum)

RGM が InitFiniBootValidate メソッドをコールするノードまたはゾーンを示します。指定できる値は、リソースをマスターできるノードまたはゾーンのみを指定する RG_PRIMARIES、またはこのリソース型がインストールされるすべてのノードまたはゾーンを指定する RT_INSTALLED_NODES のいずれかです。

カテゴリ:

任意

デフォルト:

RG_PRIMARIES

調整:

NONE

Installed_nodes (string_array)

リソースタイプを実行できるクラスタノードまたはゾーンの名前のリスト。このプロパティーは RGM によって自動的に作成されます。クラスタ管理者は値を設定できます。RTR ファイル内には宣言できません。

カテゴリ:

このプロパティはクラスタ管理者が構成できます。

デフォルト:

すべてのクラスタノードおよびゾーン

調整:

ANYTIME

Is_logical_hostname (boolean

TRUEは、このリソースタイプが、フェイルオーバーインターネットプロトコル (IP) アドレスを管理するLogicalHostname リソースタイプのいずれかのバージョンであることを示します。

カテゴリ:

照会のみ

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Is_shared_address (boolean)

TRUE は、このリソースタイプが、 共有インターネットプロトコル (IP) アドレスを管理する共有アドレスリソースタイプのいずれかのバージョンであることを示します。

カテゴリ:

照会のみ

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Monitor_check (string)

任意のコールバックメソッド。障害モニターの要求によってこのリソースタイプのフェイルオーバーを実行する前に、RGM によって実行されるプログラムのパスです。ノードまたはゾーン上でモニターチェックプログラムがゼロ以外の値とともに終了した場合、GIVEOVER タグ付きで scha_control を呼び出した結果としてのそのノードまたはゾーンへのフェイルオーバーの試みは阻止されます。

カテゴリ:

条件付/明示

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Monitor_start (string)

任意のコールバックメソッド。この型のリソースの障害モニターを起動するために RGM によって実行されるプログラムのパスです。

カテゴリ:

条件付/明示

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Monitor_stop (string)

Monitor_start が設定されている場合、必須のコールバックメソッドになります。この型のリソースの障害モニターを停止するために RGM によって実行されるプログラムのパスです。

カテゴリ:

条件付/明示

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Pkglist (string_array)

リソースタイプのインストールに含まれている任意のパッケージリストです。

カテゴリ:

条件付/明示

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Postnet_stop (string)

任意のコールバックメソッド。この型のリソースがネットワークアドレスリソースに依存している場合、このネットワークアドレスリソースのStopメソッドの呼び出し後に RGM によって実行されるプログラムのパスです。ネットワークインタフェースが停止するように構成されたあと、このメソッドは Stop アクションを実行する必要があります。

カテゴリ:

条件付/明示

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Prenet_start (string)

任意のコールバックメソッド。この型のリソースがネットワークアドレスリソースに依存している場合、このネットワークアドレスリソースの Start メソッドの呼び出し前に RGM によって実行されるプログラムのパスです。このメソッドは、ネットワークインタフェースが構成される前に必要な Start アクションを行います。

カテゴリ:

条件付/明示

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Proxy (boolean)

このタイプのリソースがプロキシリソースかどうかを示すブール値です。

「プロキシリソース」は、リソースの状態を Oracle Cluster Ready Services (CRS) などの別のクラスタフレームワークからインポートする Sun Cluster リソースです。Oracle クラスタウェア CRS として現在知られている Oracle CRS は、クラスタ環境向けのプラットフォームに依存しないシステムサービスセットです。

TRUE に設定されている場合、リソースはプロキシリソースです。

カテゴリ:

任意

デフォルト:

FALSE

調整:

ANYTIME

Resource_list (string_array)

リソースタイプの全リソースのリストです。クラスタ管理者はこのプロパティーを直接設定しません。ただし、クラスタ管理者がこの型のリソースをリソースグループに追加したり、リソースグループから削除した場合、RGM はこのプロパティーを更新します。

カテゴリ:

照会のみ

デフォルト:

空のリスト

調整:

NONE

Resource_type (string)

リソースタイプの名前です。現在登録されているリソースタイプ名を表示するには、次のコマンドを使用します。

resourcetype show +

Sun Cluster 3.1 および Sun Cluster 3.2 では、リソースタイプ名にバージョンが含まれます (必須)。

vendor-id.resource-type:rt-version

リソースタイプ名は RTR ファイル内に指定された 3 つのプロパティー vendor-idresource-type rt-version で構成されます。resourcetype コマンドは、ピリオド (.) とコロン (:) の区切り文字を挿入します。リソースタイプの名前の最後の部分、rt-version には、RT_version プロパティーと同じ値が入ります。vendor_id が一意であることを保証するためには、リソース型を作成した会社の株式の略号を使用します。Sun Cluster 3.1 以前に登録されたリソースタイプ名では、引き続き次の構文を使用します。

vendor-id.resource-type

カテゴリ:

必須

デフォルト:

空の文字列

調整:

NONE

RT_basedir (string)

コールバックメソッドの相対パスを補完するディレクトリパスです。このパスは、リソースタイプパッケージのインストールディレクトリに設定する必要があります。このパスには、スラッシュ (/) で開始する完全なパスを指定する必要があります。

カテゴリ:

必須 (絶対パスでないメソッドパスがある場合)

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

RT_description (string)

リソースタイプの簡単な説明です。

カテゴリ:

条件付き

デフォルト:

空の文字列

調整:

NONE

RT_system (boolean)

リソースタイプの RT_system プロパティーが TRUE の場合、そのリソースタイプは削除できません (resourcetype unregister resource-type-name)。このプロパティーは、LogicalHostname など、クラスタのインフラをサポートするリソースタイプを間違って削除してしまうことを防ぎます。しかし、RT_system プロパティーはどのリソースタイプにも適用できます。

RT_system プロパティーが TRUE に設定されたリソースタイプを削除するには、まず、このプロパティーを FALSE に設定する必要があります。クラスタサービスをサポートするリソースを持つリソースタイプを削除するときには注意してください。

カテゴリ:

任意

デフォルト:

FALSE

調整:

ANYTIME

RT_version (string)

Sun Cluster 3.1 リリース以降では、このリソースタイプの実装の必須バージョン文字列。Sun Cluster 3.0 ではこのプロパティーは任意でした。RT_version は完全なリソースタイプ名のサフィックスコンポーネントです。

カテゴリ:

条件付き/明示または必須

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Single_instance (boolean)

TRUE は、この型のリソースがクラスタ内に 1 つだけ存在できることを示します。

カテゴリ:

任意

デフォルト:

FALSE

調整:

NONE

Start (string)

コールバックメソッド。この型のリソースを起動するために RGM によって実行されるプログラムのパスです。

カテゴリ:

RTR ファイルで Prenet_start メソッドが宣言されていないかぎり必須

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Stop (string)

コールバックメソッド。この型のリソースを停止するために RGM によって実行されるプログラムのパスです。

カテゴリ:

RTR ファイルで Postnet_stop メソッドが宣言されていないかぎり必須

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Update (string)

任意のコールバックメソッド。この型の実行中のリソースのプロパティーが変更されたときに、RGM によって実行されるプログラムのパスです。

カテゴリ:

条件付/明示

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Validate (string)

任意のコールバックメソッド。この型のリソースのプロパティー値を検査するために RGM により実行されるプログラムのパスです。

カテゴリ:

条件付/明示

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE

Vendor_ID (string)

Resource_type を参照してください。

カテゴリ:

条件付き

デフォルト:

デフォルトなし

調整:

NONE