次の手順を使用し、/usr、/opt、swap などの、通常のシステム使用時にはマウント解除できないルート (/) 以外のファイルシステムをミラー化します。
この手順では、長い形式の Sun Cluster コマンドを紹介します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式を除き、コマンドは同じです。コマンドの一覧および短い形式については、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の付録 A「Sun Cluster オブジェクト指向コマンド」を参照してください。
スーパーユーザーになります。
マウント解除できないファイルシステムが存在しているスライスを単一スライス (1 方向) 連結にします。
ディスクスライスの物理ディスク名を指定します (cNtXdYsZ)。
phys-schost# metainit -f submirror1 1 1 diskslice |
2 番目の連結を作成します。
phys-schost# metainit submirror2 1 1 submirror-diskslice |
1 つのサブミラーを使用して 1 方向のミラーを作成します。
phys-schost# metainit mirror -m submirror1 |
このミラーのボリューム名は、クラスタ全体で一意である必要はありません。
各ノードで 、ミラー化したマウント解除できない各ファイルシステムの /etc/vfstab ファイルエントリを編集します。
device to mount および device to fsck 列の名前を実際のミラー名に変更してください。
phys-schost# vi /etc/vfstab #device device mount FS fsck mount mount #to mount to fsck point type pass at boot options # /dev/md/dsk/mirror /dev/md/rdsk/mirror /filesystem ufs 2 no global |
リソースグループまたはデバイスグループをノードから移動させます。
phys-schost# clnode evacuate from-node |
リソースグループまたはデバイスグループを移動させるノード名を指定します。
ノードをリブートします。
phys-schost# shutdown -g0 -y -i6 |
2 番目のサブミラーを各ミラーに接続します。
このように接続することで、サブミラーの同期が開始されます。
phys-schost# metattach mirror submirror2 |
手順 9で開始したミラーの同期が完了するまで待機します。
metastat(1M) コマンドを使用して、ミラー状態を参照し、ミラーの同期が完了していることを確認します。
phys-schost# metastat mirror |
マウント解除できないファイルシステムのミラー化に使用されるディスクが物理的に複数のノードに接続されている (多重ホスト化されている) 場合は、デバイスグループのノードリストにノードが 1 つしか含まれず、localonly プロパティーが有効になっていることを確認してください。
デバイスグループが以下の要件を満たすことを確認してください。
raw ディスクデバイスグループは、そのノードリストに構成された唯一のノードである必要があります。
raw ディスクデバイスグループの localonly プロパティーが有効になっている必要があります。localonly プロパティーは、ブートデバイスが複数のノードに接続されている場合に、ブートデバイスからのノードが不意に停止するのを防ぎます。
必要に応じて、cldevice コマンドを使用して、raw ディスクデバイスグループの名前を調べます。
phys-schost# cldevice show node:/dev/rdsk/cNtXdY |
このディスクに物理的に接続されているノードからコマンドを発行する場合は、ディスク名をデバイスのフルパス名の代わりに cNtXdY で指定することができます。
次の例では、raw ディスクデバイスグループ名 dsk/d2 は DID デバイス名の一部です。
=== DID Device Instances === DID Device Name: /dev/did/rdsk/d2 Full Device Path: phys-schost-1:/dev/rdsk/c1t1d0 Full Device Path: phys-schost-3:/dev/rdsk/c1t1d0 … |
詳細は、cldevice(1CL) のマニュアルページを参照してください。
raw ディスクデバイスグループのノードリストを表示します。
phys-schost# cldevicegroup show dsk/dN |
デバイスグループ dsk/d2 の出力は次のようになります。
Device Group Name: dsk/d2 … Node List: phys-schost-1, phys-schost-3 … localonly: false |
ノードリストに複数のノード名が含まれる場合、ルートディスクをミラー化したノードを除くすべてのノードをノードリストから削除します。
ルートディスクをミラー化したノードだけが raw ディスクデバイスグループのノードリストに残るはずです。
phys-schost# cldevicegroup remove-node -n node devicegroup |
デバイスグループのノードリストから削除するノードを指定します。
raw ディスクデバイスグループの localonly プロパティーが有効になっていない場合は、これを有効にします。
localonly プロパティが有効になった時点で、raw ディスクデバイスグループはそのノードリスト内のノードだけに使用されるようになります。これにより、起動デバイスが複数のノードに接続されている場合に、不意にノードがその起動デバイスから使用できなくなることが防止されます。
phys-schost# cldevicegroup set -p localonly=true devicegroup |
デバイスグループプロパティーに値を設定します。
デバイスグループの localonly プロパティーを有効にします。
localonly プロパティーについての詳細は、cldevicegroup(1CL) のマニュアルページを参照してください。
次の例に、ノード phys-schost-1 上にミラー d1 を作成し、c0t0d0s1 上に存在する /usr をミラー化するための方法を示します。ミラー d1 は、パーティション c0t0d0s1 上のサブミラー d11 とパーティション c2t2d0s1 上のサブミラー d21 で構成されています。/usr 用の /etc/vfstab ファイルエントリは、ミラー名 d1 を使用するように更新されます。デバイス c2t2d0 は多重ホストディスクなので、localonly プロパティが有効に設定されています。
phys-schost# metainit -f d11 1 1 c0t0d0s1 d11: Concat/Stripe is setup phys-schost# metainit d21 1 1 c2t2d0s1 d21: Concat/Stripe is setup phys-schost# metainit d1 -m d11 d1: Mirror is setup phys-schost# vi /etc/vfstab #device device mount FS fsck mount mount #to mount to fsck point type pass at boot options # /dev/md/dsk/d1 /dev/md/rdsk/d1 /usr ufs 2 no global … phys-schost# clnode evacuate phys-schost-1 phys-schost# shutdown -g0 -y -i6 phys-schost# metattach d1 d21 d1: Submirror d21 is attached phys-schost# metastat d1 d1: Mirror Submirror 0: d11 State: Okay Submirror 1: d21 State: Resyncing Resync in progress: 15 % done … phys-schost# cldevice show phys-schost-3:/dev/rdsk/c2t2d0 … DID Device Name: /dev/did/rdsk/d2 phys-schost# cldevicegroup show dsk/d2 Device Group Name: dsk/d2 … Node List: phys-schost-1, phys-schost-3 … localonly: false phys-schost# cldevicegroup remove-node -n phys-schost-3 dsk/d2 phys-schost# cldevicegroup set -p localonly=true dsk/d2 |
ユーザー定義のファイルシステムをミラー化する場合は、「マウント解除できるファイルシステムをミラー化する」に進みます。
それ以外の場合は、「クラスタ内でのディスクセットの作成」に進んで、ディスクセットを作成します。
このミラー化のいくつかの手順において、metainit: dg-schost-1: d1s0: not a metadevice のようなエラーメッセージが出力されることがあります。このようなエラーメッセージは危険ではなく、無視してもかまいません。