トポロジとは、Sun Cluster 環境で使用されている記憶装置プラットフォームにクラスタ内の Solaris ホストを接続するための接続スキーマをいいます。Sun Cluster ソフトウェアは、次のガイドラインに従うトポロジをサポートします。
SPARC ベースのシステムで構成される Sun Cluster 環境は、1 つのクラスタで 1 つから 16 までの Solaris ホストをサポートします。ハードウェア構成によっては、SPARC ベースのシステムから成るクラスタで構成できるホストの最大数に制限が追加されます。
共有ストレージデバイスは、そのストレージデバイスでサポートされている数のホストに接続できます。
共有ストレージデバイスはクラスタのすべてのホストに接続する必要はありませんが、2 つ以上のホストに接続する必要があります。
Logical Domains (LDoms) ゲストドメインおよび LDoms I/O ドメインを仮想 Solaris ホストとして構成できます。つまり、物理マシン、LDoms I/O ドメイン、および LDoms ゲストドメインの任意の組み合わせで構成される、クラスタペア、ペア +N 構成、N+1 構成、および N*N 構成のクラスタを作成できます。また、LDoms ゲストドメインのみ、LDoms I/O ドメインのみ、またはこれら 2 つの組み合わせで構成されるクラスタを作成することもできます。
Sun Cluster ソフトウェアでは、特定のトポロジを使用するようにクラスタを構成する必要はありません。次のトポロジには、クラスタの接続スキーマを説明するときに使用する用語を示します。これらのトポロジは典型的な接続スキーマです。
クラスタペア
ペア +N
N+1 (星型)
N*N (スケーラブル)
LDoms ゲストドメイン: ボックス内クラスタ
LDoms ゲストドメイン: 2 つのホストにわたる単一クラスタ
LDoms ゲストドメイン: 2 つのホストにわたる複数のクラスタ
LDoms ゲストドメイン: 冗長 I/O ドメイン
次の各項では、それぞれのトポロジを図で示しています。
クラスタペアトポロジとは、単一のクラスタ管理フレームワークのもとで動作する複数の Solaris ホストペアをいいます。この構成では、ペアの間でのみフェイルオーバーが発生します。ただし、すべてのホストがクラスタインターコネクトによって接続されていて、Sun Cluster ソフトウェア制御のもとで動作します。このトポロジを使用する場合、1 つのペアでパラレルデータベースアプリケーションを実行し、別のペアでフェイルオーバーまたはスケーラブルなアプリケーションを実行できます。
クラスタファイルシステムを使用すると、2 ペア構成も可能になります。アプリケーションデータが格納されているディスクにすべてのホストが直接接続されていない場合でも、複数のホストがスケーラブルサービスまたはパラレルデータベースを実行できます。
次の図は、クラスタペア構成を示したものです。
ペア +N トポロジには、次のものに直接接続された Solaris ホストのペアが含まれています。
共有ストレージ。
共有ストレージにアクセスするため、クラスタインターコネクトを使用するホストの追加セット (それ自身は直接接続を持たない)。
次の図は、4 つのホストのうち 2 つ (ホスト 3 とホスト 4) がクラスタインターコネクトを使用して記憶装置にアクセスする、1 つのペア +N トポロジを示したものです。この構成を拡張し、共有記憶装置には直接アクセスしない追加ホストを追加することができます。
N+1 トポロジには、複数の主 Solaris ホストと 1 つの二次ホストが含まれます。主ホストと二次ホストを同等に構成する必要はありません。主ホストは、アプリケーションサービスをアクティブに提供します。二次ホストは、主ホストに障害が生じるのを待機する間、アイドル状態である必要はありません。
二次ホストは、この構成ですべての多重ホスト記憶装置に物理的に接続されている唯一のホストです。
主ホストで障害が発生すると、Sun Cluster はそのリソースの処理を二次ホストで続行します。リソースは自動または手動で主ホストに切り換えられるまで二次ホストで機能します。
二次ホストには、主ホストの 1 つに障害が発生した場合に負荷を処理できるだけの十分な予備の CPU 容量が常に必要です。
次の図は、N+1 構成を示したものです。
N*N トポロジを使用すると、クラスタ内のすべての共有ストレージデバイスをクラスタ内のすべての Solaris ホストに接続できます。このトポロジを使用すると、高可用性アプリケーションはサービスを低下させずに、あるホストから別のホストにフェイルオーバーできます。フェイルオーバーが発生すると、新しいホストはプライベートインターコネクトではなく、ローカルパスを使用して、記憶装置にアクセスできます。
次の図に、N*N 構成を示します。
この Logical Domains (LDoms) ゲストドメイントポロジでは、クラスタと、そのクラスタ内のすべてのノードは同じ Solaris ホスト上に存在します。各 LDoms ゲストドメインノードは、クラスタ内の Solaris ホストと同じように動作します。定足数デバイスを含める必要をなくすために、この構成には 2 つのノードのみではなく、3 つのノードが含まれます。
このトポロジでは、プライベートネットワークの仮想スイッチ (vsw) 間の通信のみが必要であるため、各仮想スイッチを物理ネットワークに接続する必要はありません。このトポロジでは、すべてのクラスタノードが同じホスト上に置かれるため、クラスタノードは同じストレージデバイスを共有することもできます。クラスタ内の LDoms ゲストドメインおよび LDoms I/O ドメインの使用法とインストールのガイドラインに関する詳細は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「Sun Logical Domains ソフトウェアをインストールしてドメインを作成する」を参照してください。
このトポロジでは、クラスタ内のすべてのノードが同じホスト上に置かれるため、高可用性は提供されません。ただし、開発者と管理者にとっては、テストや運用面以外の作業を行うのにこのトポロジが役立つ場合があります。このトポロジは、「ボックス内クラスタ」とも呼ばれます。
次の図はボックス内クラスタ構成を示したものです。
この Logical Domains (LDoms) ゲストドメイントポロジでは、単一クラスタは 2 つの異なる Solaris ホストにわたり、それぞれのクラスタは各ホスト上で 1 つのノードを構成します。各 LDoms ゲストドメインノードは、クラスタ内の Solaris ホストと同じように動作します。クラスタ内の LDoms ゲストドメインおよび LDoms I/O ドメインの使用法とインストールのガイドラインに関する詳細は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「Sun Logical Domains ソフトウェアをインストールしてドメインを作成する」を参照してください。
次の図は、2 つのホストにわたる単一クラスタの構成を示したものです。
この Logical Domains (LDoms) ゲストドメイントポロジでは、各クラスタは 2 つの異なる Solaris ホストにわたり、それぞれのクラスタは各ホスト上で 1 つのノードを構成します。各 LDoms ゲストドメインノードは、クラスタ内の Solaris ホストと同じように動作します。ここの構成では、両方のクラスタで同じインターコネクトスイッチが共有されるため、各クラスタ上で別のプライベートネットワークアドレスを指定する必要があります。プライベートネットワークアドレスを変えずに、インターコネクトスイッチを共有するクラスタ上で同じプライベートネットワークアドレスを指定すると、構成に障害が発生します。
クラスタ内の LDoms ゲストドメインおよび LDoms I/O ドメインの使用法とインストールのガイドラインに関する詳細は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「Sun Logical Domains ソフトウェアをインストールしてドメインを作成する」を参照してください。
次の図は、2 つのホストにわたる 2 つ以上のクラスタの構成を示したものです。
この Logical Domains (LDoms) ゲストドメイントポロジでは、I/O ドメインで障害が発生した場合に、複数の I/O ドメインにより、ゲストドメインまたはクラスタ内のノードが動作し続けることを保証します。各 LDoms ゲストドメインノードは、クラスタ内の Solaris ホストと同じように動作します。
このトポロジでは、ゲストドメインは、2 つのパブリックネットワーク (1 つは各 I/O ドメインから) にわたって IP ネットワークマルチパス化 (IP network multipathing、IPMP) を実行します。また、ゲストドメインは、異なる I/O ドメインにわたってストレージデバイスをミラー化します。クラスタ内の LDoms ゲストドメインおよび LDoms I/O ドメインの使用法とインストールのガイドラインに関する詳細は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「Sun Logical Domains ソフトウェアをインストールしてドメインを作成する」を参照してください。
次の図は、I/O ドメインで障害が発生した場合に、冗長 I/O ドメインにより、クラスタ内のノードが動作し続けることを保証する構成を示したものです。