Sun Cluster 環境は、Solaris オペレーティングシステムをクラスタオペレーティングシステムに拡張するものです。「クラスタ」は、1 つまたは複数のノードの集合です。各ノードは、この集合に排他的に属しています。 Solaris 10 OS 上で動作するクラスタには、「グローバルクラスタ」と「ゾーンクラスタ」の 2 種類があります。
Solaris 10 OS より前にリリースされた Solaris OS 上で動作するクラスタの場合、ノードはクラスタメンバーシップに参加する「物理的なマシン」であり、定足数デバイスではありません。Solaris 10 OS 上で動作するクラスタでは、ノードの概念が変更されました。この環境でのノードは、クラスタに関連付けられている Solaris ゾーンです。また、「Solaris ホスト」(単純に「ホスト」とも呼ばれます) は、Solaris OS および個別のプロセスが実行される、次のハードウェア構成またはソフトウェア構成のいずれかです。
仮想マシンで構成されていない、またはハードウェアドメインとして構成されていない「ベアメタル」物理マシン
Sun Logical Domains (LDoms) のゲストドメイン
Sun Logical Domains (LDoms) の I/O ドメイン
ハードウェアドメイン
これらのプロセスは、相互にやりとりすることによって、ユーザーに提供するアプリケーション、システムリソース、データを (ネットワーククライアントにとって) 1 つのシステムのように形成します。
Solaris 10 環境のグローバルクラスタは、1 つまたは複数のグローバルクラスタ投票ノード、および任意で 0 または 1 つ以上のグローバルクラスタ非投票ノードだけで構成されるクラスタの一種です。
グローバルクラスタには、オプションで solaris8、solaris9、lx (linux)、またはネイティブブランドの非大域ゾーンを含めることができます。これらはノードではなく、高可用性のコンテナ (リソース) です。
グローバルクラスタ投票ノードとは、グローバルクラスタ内のネイティブブランドの大域ゾーンで、定足数投票、つまりクラスタのメンバーシップ投票の、総数の票を構成します。この総数により、そのクラスタが処理を継続するのに十分な票を持っているかどうかが決定されます。グローバルクラスタ非投票ノードとは、グローバルクラスタ内のネイティブブランドの非大域ゾーンで、定足数投票、つまりクラスタのメンバーシップ投票の、総数の票を構成しません。
Solaris 10 環境では、ゾーンクラスタは、1 つまたは複数のクラスタブランドの投票ノードのみから構成されるクラスタです。ゾーンクラスタは、グローバルクラスタに依存しており、したがって、グローバルクラスタを必要とします。グローバルクラスタはゾーンクラスタを含みません。ゾーンクラスタを構成するには、グローバルクラスタが必要です。ゾーンクラスタは 1 つのマシン上に最大で 1 つのゾーンクラスタノードを持ちます。
ゾーンクラスタノードは、同一マシン上のグローバルクラスタ投票ノードが処理を継続している間にかぎり、処理を継続できます。マシン上でグローバルクラスタ投票ノードに障害が発生すると、同じマシンのすべてのゾーンクラスタノードにも障害が発生します。
クラスタには、従来の単一サーバーシステムと比較した場合、いくつかの利点があります。これらの利点には、フェイルオーバーサービスとスケーラブルサービスのサポート、モジュールの成長に対応できる容量、従来のハードウェアフォルトトレラントシステムよりも低価格の製品といったものがあります。
次に、Sun Cluster ソフトウェアの目的を示します。
ソフトウェアまたはハードウェアの障害が原因のシステム停止時間を短縮するか完全になくします。
単一サーバーシステムを停止させるような障害が発生しても、エンドユーザーへのデータとアプリケーションの可用性を保証します。
クラスタにノードを追加し、追加したプロセッサに応じたサービスを提供できるようにすることで、アプリケーションのスループットを向上させます。
クラスタ全体を停止しなくても保守を実行できるようにすることで、システムの可用性を強化します。
フォルトトレラント機能と高可用性についての詳細は、『Sun Cluster の概要 (Solaris OS 版)』の「Sun Cluster によるアプリケーションの可用性の向上」を参照してください。
高可用性の FAQ については、「高可用性に関する FAQ」を参照してください。