Solaris 10 OS では、ゾーンクラスタは非大域ゾーンのクラスタです。ゾーンクラスタのノードは、すべて cluster ブランドの非大域ゾーンとして構成されます。ゾーンクラスタでは、その他のブランドタイプは許可されていません。Solaris ゾーンで提供される分離を含めて、グローバルクラスタと同様にゾーンクラスタでサポートされるサービスを実行できます。
ゾーンクラスタの作成を計画する場合、次の点に注意してください。
グローバルクラスタ - ゾーンクラスタは、Sun Cluster のグローバル構成にします。ゾーンクラスタは、基盤となるグローバルクラスタがないと構成できません。
Solaris OS の最低バージョン - グローバルクラスタは Solaris 10 5/08 OS 以上を実行します。
クラスタモード - ゾーンクラスタを作成または変更するグローバルクラスタ投票ノードは、クラスタモードにします。ゾーンクラスタを管理するときにその他の投票ノードが非クラスタモードになっていると、変更した内容が、これらの投票ノードがクラスタモードに戻ったときにその投票ノードに伝播します。
十分な数のプライベート IP アドレス – グローバルクラスタのプライベート IP アドレスには、新しいゾーンクラスタで使用できる十分な数の空き IP アドレスサブネットが必要です。使用可能なサブネット数が足りない場合、ゾーンクラスタの作成は失敗します。
プライベート IP アドレスの範囲の変更 – ゾーンクラスタで使用可能な IP サブネットと対応するプライベート IP アドレスは、グローバルクラスタのプライベート IP アドレスの範囲が変更されると自動的に更新されます。ソーンクラスタが削除されると、そのゾーンクラスタが使用していたプライベート IP アドレスがクラスタインフラストラクチャーによって解放されます。解放されたアドレスはグローバルクラスタ内のほかの目的に使用したり、グローバルクラスタに依存するほかのゾーンクラスタが使用したりできるようになります。
サポート対象のデバイス - Solaris ゾーンでサポートされるデバイスはゾーンクラスタにエクスポートできます。これらのデバイスは、次のとおりです。
Solaris ディスクデバイス (cNtXdYsZ)
DID デバイス (/dev/did/*dsk/dN)
Solaris ボリュームマネージャー および Solaris Volume Manager for Sun Cluster マルチオーナーディスクセット (/dev/md/setname/*dsk/dN)
ノードの配置 - グローバルクラスタが同じノード上で、同じゾーンクラスタの複数のノードをホストすることはできません。グローバルクラスタノードは、それぞれが異なるゾーンクラスタのメンバーである場合に限り、複数のゾーンクラスタノードをホストできます。
ノード作成 - ゾーンクラスタの作成時には、少なくとも 1 つのゾーンクラスタノードを作成します。ノード名は、ゾーンクラスタ内で一意になるようにしてください。ゾーンクラスタをホストする各グローバルクラスタノード上に、基盤となる非大域ゾーンがインフラストラクチャーによって自動的に作成されます。各非大域ゾーンには、同じゾーン名が付けられます。この名前は、クラスタの作成時にゾーンクラスタに割り当てた名前に由来するものです。たとえば、zc1 という名前のゾーンクラスタを作成した場合、そのゾーンクラスタをホストする各グローバルクラスタノード上の対応する非大域ゾーン名も zc1 となります。
クラスタ名 – ゾーンクラスタの名前は、グローバルクラスタ内において一意になるようにしてください。この名前は、グローバルクラスタ内の非大域ゾーンでは使用できません。また、グローバルクラスタノードと同じ名前は使用できません。「all」または「global」は予約名であるため、ゾーンクラスタ名として使用することはできません。
パブリックネットワーク IP アドレス - 各ゾーンクラスタノードに特定のパブリックネットワーク IP アドレスを割り当てます。
プライベートホスト名 – ゾーンクラスタの作成時に、グローバルクラスタでホスト名が作成されるのと同じ方法で、ゾーンクラスタのノードごとにプライベートホスト名が自動的に作成されます。この時点では、ゾーンクラスタノードのプライベートホスト名は変更できません。プライベートホスト名の詳細は、「プライベートホスト名」を参照してください。
Solaris ゾーンブランド – ゾーンクラスタのすべてのノードは、cluster ブランドの非大域ゾーンとして構成されます。ゾーンクラスタでは、その他のブランドタイプは許可されていません。
ゾーンクラスタノードへの変換 - ゾーンクラスタに既存の非大域ゾーンを追加することはできません。
ファイルシステム - clzonecluster コマンドを使用して、ファイルシステムを追加できます。ゾーンクラスタが使用するのは、次の種類のファイルシステムのみです。
高可用性ローカルファイルシステム
Oracle Real Application Clusters での使用のためにサポートされている共有 QFS ファイルシステム
大域ゾーンからゾーンクラスタノードにクラスタファイルシステムを直接追加しないでください。代わりに、クラスタファイルシステムのループバックマウントを大域ゾーンから非大域ゾーンに追加してください。
ローカルファイルシステムをゾーンクラスタに追加するには、通常、スタンドアロンシステムで使用する zonecfg コマンドを代わりに使用してください。
非大域ゾーンの NAS デバイスに対する保護サポートは提供されない – Sun Cluster ソフトウェアでは、NAS デバイスからの NFS エクスポートファイルシステムが非大域ゾーン (ゾーンクラスタのノードなど) で使用されている場合、それらの NFS エクスポートファイルシステムに対する保護サポートは提供されません。保護サポートは、大域ゾーン内の NFS エクスポートファイルシステムに対してのみ提供されます。