この節では、定足数デバイスを保守するための次の手順を説明します。
clsetup(1CL) ユーティリティーを使用すると、既存の定足数デバイスのノードリストにノードを追加したり、ノードリストからノードを削除したりできます。定足数デバイスのノードリストを変更するには、定足数デバイスを削除し、削除した定足数デバイスへのノードの物理的な接続を変更して、定足数デバイスをクラスタ構成に追加し直す必要があります。定足数デバイスを追加すると、clquorum(1CL) は自動的に、ディスクが接続されているすべてのノードについて、ノードからディスクへのパスを構成します。
phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。
この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短縮形については、付録 B Sun Cluster オブジェクト指向コマンドを参照してください。
クラスタの任意のノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
変更したい定足数デバイスの名前を判別します。
# clquorum list -v |
clsetup ユーティリティーを起動します。
# clsetup |
メインメニューが表示されます。
定足数オプションに対応する番号を入力します。
「定足数メニュー」が表示されます。
定足数デバイスを削除するオプションに対応する番号を入力します。
画面の指示に従います。削除するディスクの名前を問い合わせられます。
定足数デバイスへのノード接続を 追加または削除します。
定足数デバイスを追加するオプションに対応する番号を入力します。
画面の指示に従います。定足数デバイスとして使用するディスクの名前を問い合わせられます。
定足数デバイスが追加されていることを確認します。
# clquorum list -v |
次の例に、clsetup ユーティリティーを使用して、定足数デバイスのノードリストにノードを追加したり、ノードリストからノードを削除する方法を示します。この例では、定足数デバイスの名前は d2 であり、この手順の最終目的は別のノードを定足数デバイスのノードリストに追加することです。
[Become superuser or assume a role that provides solaris.cluster.modify RBAC authorization on any node in the cluster.] [Determine the quorum device name:] # clquorum list -v Quorum Type ------- ----- d2 shared_disk sc-phys-schost-1 node sc-phys-schost-2 node sc-phys-schost-3 node [Start the clsetup utility:] # clsetup [Type the number that corresponds with the quorum option.] . [Type the number that corresponds with the option to remove a quorum device.] . [Answer the questions when prompted.] [You will need the following information:] Information: Example: Quorum Device Name: d2 [Verify that the clquorum command completed successfully:] clquorum remove d2 Command completed successfully. [Verify that the quorum device was removed.] # clquorum list -v Quorum Type ------- ----- sc-phys-schost-1 node sc-phys-schost-2 node sc-phys-schost-3 node [Type the number that corresponds with the Quorum option.] . [Type the number that corresponds with the option to add a quorum device.] . [Answer the questions when prompted.] [You will need the following information:] Information Example: quorum device name d2 [Verify that the clquorum command was completed successfully:] clquorum add d2 Command completed successfully. Quit the clsetup utility. [Verify that the correct nodes have paths to the quorum device. In this example, note that phys-schost-3 has been added to the enabled hosts list.] # clquorum show d2 | grep Hosts === Quorum Devices === Quorum Device Name: d2 Hosts (enabled): phys-schost-1, phys-schost-2, phys-schost-3 [Verify that the modified quorum device is online.] # clquorum status d2 === Cluster Quorum === --- Quorum Votes by Device --- Device Name Present Possible Status ----------- ------- -------- ------ d2 1 1 Online |
clquorum(1CL)コマンドを使用して定足数デバイスを保守状態にします。現在、clsetup(1CL) ユーティリティーにこの機能はありません。この手順は、Sun Cluster Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、Sun Cluster Manager のオンラインヘルプを参照してください。
サービスから定足数デバイスを長時間はずす場合は、その定足数デバイスを保守状態にします。定足数デバイスの定足数投票数 (quorum vote count) はゼロに設定されるため、そのデバイスが稼働中でも定足数確立の投票には参加しません。保守状態でも定足数デバイスの構成情報は保持されます。
2 ノードクラスタでは、定足数デバイスが少なくとも 1 つは構成されている必要があります。構成されているデバイスが 2 ノードクラスタの最後の定足数デバイスの場合は、clquorum は失敗してデバイスは保守状態になりません。
クラスタノードを保守状態にする方法については、「ノードを保守状態にする」を参照してください。
phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。
この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短縮形については、付録 B Sun Cluster オブジェクト指向コマンドを参照してください。
クラスタの任意のノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
定足数デバイスを保守状態にします。
# clquorum disable device |
変更するディスクデバイスの DID 名 (d4 など) を指定します。
定足数デバイスが保守状態にあることを確認します。
保守状態にしたデバイスの出力は、定足数デバイスの投票数 (以下の例の Quorum Device Votes) がゼロになっていなければなりません。
# clquorum status device |
次に、定足数デバイスを保守状態にし、結果を検証する例を示します。
# clquorum disable d20 # clquorum status d20 === Cluster Quorum === --- Quorum Votes by Device --- Device Name Present Possible Status ----------- ------- -------- ------ d20 1 1 Offline |
定足数デバイスを有効にし直す方法については、「定足数デバイスを保守状態から戻す」を参照してください。
ノードを保守状態にする方法については、「ノードを保守状態にする」を参照してください。
この作業は、定足数デバイスが保守状態にある場合にその状態から定足数デバイスを戻して定足数投票数をデフォルトにリセットするときに実行します。
globaldev または node オプションのどちらも指定しない場合、定足数投票数はクラスタ全体でリセットされます。
定足数デバイスを構成する場合、Sun Cluster ソフトウェアは定足数デバイスに投票数として N-1 を割り当てます (N は定足数デバイスに結合された投票の数)。たとえば、2 つのノードに接続された、投票数がゼロ以外の定足数デバイスの投票数は 1 (2-1) になります。
クラスタノードと、そのクラスタノードに関係付けられた定足数デバイスを保守状態から戻す方法については、「ノードを保守状態から戻す」を参照してください。
定足数投票数の詳細については『Sun Cluster の概念 (Solaris OS 版)』の「定足数投票数について」を参照してください。
phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。
この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短縮形については、付録 B Sun Cluster オブジェクト指向コマンドを参照してください。
クラスタの任意のノードで、スーパーユーザーになるか、RBAC の承認 solaris.cluster.modify を提供する役割になります。
定足数投票数をリセットします。
# clquorum enable device |
リセットする定足数デバイスの DID 名 (d4 など) を指定します。
ノードが保守状態にあったために定足数投票数をリセットする場合は、このノードを再起動します。
定足数投票数を確認します。
# clquorum show + |
次に、定足数デバイスの投票数をリセットしてデフォルト設定に戻し、結果を検証する例を示します。
# clquorum enable d20 # clquorum show + === Cluster Nodes === Node Name: phys-schost-2 Node ID: 1 Quorum Vote Count: 1 Reservation Key: 0x43BAC41300000001 Node Name: phys-schost-3 Node ID: 2 Quorum Vote Count: 1 Reservation Key: 0x43BAC41300000002 === Quorum Devices === Quorum Device Name: d3 Enabled: yes Votes: 1 Global Name: /dev/did/rdsk/d20s2 Type: shared_disk Access Mode: scsi2 Hosts (enabled): phys-schost-2, phys-schost-3 |
この手順は、Sun Cluster Manager GUI を使用しても実行できます。詳細については、Sun Cluster Manager のオンラインヘルプを参照してください。
定足数構成を一覧表示するには、スーパーユーザーになる必要はありません。RBAC の承認 solaris.cluster.read を提供する任意の役割になることができます。
定足数デバイスに対するノード接続の数を増減させる場合、定足数が自動的に再計算されることはありません。すべての定足数デバイスをいったん削除し、その後それらを構成に追加し直すと、正しい定足数が再設定されます。2 ノードクラスタの場合、定足数デバイスを取り外して、もとの定足数デバイスに戻す前に一時的に新しい定足数デバイスを追加します。次に一時的に追加した定足数デバイスを取り外します。
phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。
この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短縮形については、付録 B Sun Cluster オブジェクト指向コマンドを参照してください。
clquorum(1CL) を使用して、定足数構成を一覧表示します。
% clquorum show + |
% clquorum show + === Cluster Nodes === Node Name: phys-schost-2 Node ID: 1 Quorum Vote Count: 1 Reservation Key: 0x43BAC41300000001 Node Name: phys-schost-3 Node ID: 2 Quorum Vote Count: 1 Reservation Key: 0x43BAC41300000002 === Quorum Devices === Quorum Device Name: d3 Enabled: yes Votes: 1 Global Name: /dev/did/rdsk/d20s2 Type: shared_disk Access Mode: scsi2 Hosts (enabled): phys-schost-2, phys-schost-3 |
この作業は、動作が不正な定足数デバイスを交換する場合に行なってください。
phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。
この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短縮形については、付録 B Sun Cluster オブジェクト指向コマンドを参照してください。
定足数デバイスとして交換するディスクデバイスを削除します。
削除するデバイスが最後の定足数デバイスである場合は、必要に応じて初めにほかのディスクを新しい定足数デバイスとして追加してください。この手順により、交換作業中に障害が発生した場合も定足数デバイスが有効になります。新しい定足数デバイスを追加する方法については、 「定足数デバイスの追加」を参照してください。
定足数デバイスとしてのディスクデバイスを削除する方法については、「定足数デバイスを削除する」を参照してください。
ディスクデバイスを交換します。
ディスクデバイスを交換する方法については、『Sun Cluster 3.1 - 3.2 Hardware Administration Manual for Solaris OS』に記されたディスク装置のハードウェア作業の説明を参照してください。
交換したディスクを新しい定足数デバイスとして追加します。
ディスクを新しい定足数デバイスとして追加する方法については、「定足数デバイスの追加」を参照してください。
手順 1 で定足数デバイスを別途追加した場合は、デバイスを削除しても安全です。定足数デバイスを削除する方法については、「定足数デバイスを削除する」を参照してください。