この節では、VxVM ディスクグループをクラスタに作成する方法について説明します。次の表で Sun Cluster 構成で構成できる VxVM ディスクグループの種類とその特徴を説明しています。
ディスクグループの種類 |
用途 |
Sun Cluster で登録されているか? |
ストレージ要件 |
---|---|---|---|
VxVM ディスクグループ |
フェイルオーバーまたはスケーラブルデータサービス、グローバルデバイス、またはクラスタファイルシステム用のデバイスグループ |
可能 |
共有ストレージ |
VxVM ディスクグループ |
高可用でなく、単一ノードに限定された用途 |
不可 |
共有または非共有ストレージ |
VxVM 共有ディスクグループ |
Oracle Real Application Clusters (VxVM クラスタ機能も必要) |
不可 |
共有ストレージ |
次の表にSun Cluster 構成で VxVM ディスクグループを作成するために実行する作業を示します。ここに示す順に従って手順を実行します。
表 5–2 作業マップ: VxVM ディスクグループの作成
作業 |
参照先 |
---|---|
ディスクグループとボリュームを作成 | |
ローカルでなく、VxVM クラスタ機能を使用しないディスクグループを Sun Cluster デバイスグループとして登録 | |
必要であれば、新しいマイナー番号を割り当てて、ディスクデバイスグループ間のマイナー番号の衝突を解決 | |
ディスクグループとボリュームを確認 |
次の手順で、VxVM ディスクグループとボリュームを作成します。
この手順は、追加するディスクグループを構成するディスクに物理的に接続されているノードから実行します。
次の作業を実行します。
ストレージディスクドライブをマッピングします。記憶装置の初期設置を実行する場合は、『Sun Cluster Hardware Administration Collection』の該当するマニュアルを参照してください。
次の構成計画ワークシートに必要事項を記入します。
計画を行う際のガイドラインについては、「ボリューム管理の計画」を参照してください。
ルートディスクグループを作成していない場合は、「Veritas Volume Manager ソフトウェアをインストールする」の手順 12 で説明されているとおりに、VxVM をインストールした各ノードを再起動している必要があります。
ディスクグループを所有するノードのスーパーユーザーになります。
VxVM ディスクグループとボリュームを作成します。
次の注意事項を守ってください。
SPARC:Oracle Real Application Clusters をインストールしている場合は、VxVM のクラスタ機能を使用して、共有 VxVM ディスクグループを作成してください。『Sun Cluster Data Service for Oracle RAC Guide for Solaris OS 』の「How to Create a VxVM Shared-Disk Group for the Oracle RAC Database」と『VERITAS Volume Manager 管理者リファレンスガイド』のガイドラインと手順に従ってください。
このソフトウェアをインストールしない場合は、VxVM のマニュアルで説明されている標準の手順を使用して VxVM ディスクグループを作成してください。
ダーティーリージョンログ (DRL) を使用すると、ノードに障害が発生した場合のボリューム回復時間を短縮できます。ただし、DRL を使用すると I/O スループットが低下することがあります。
ローカルグループの場合、localonly プロパティーを設定して、単一ノードをディスクグループのノードリストに追加します。
ローカルのみに構成されたディスクグループは、高可用またはグローバルにアクセス可能ではありません。
次の手順を決めます。
SPARC:VxVM クラスタ機能が有効になっている場合は、「ディスクグループの構成を確認する」に進みます。
ローカルでないディスクグループを作成し、VxVM クラスタ機能が有効でない場合は、ディスクグループを Sun Cluster デバイスグループとして登録します。「ディスクグループを登録する」に進みます。
ローカルディスクグループだけを作成した場合は、「ディスクグループの構成を確認する」に進みます。
VxVM クラスタ機能が有効でない場合は、次の手順を実行して、ローカルでないディスクグループを Sun Cluster デバイスグループとして登録します。
SPARC:VxVM クラスタ機能が有効であるか、ローカルディスクグループを作成した場合は、この手順を実行しないでください。代わりに、「ディスクグループの構成を確認する」に進みます。
各クラスタのノードのスーパーユーザーになります。
グローバルディスクグループを Sun Cluster デバイスグループとして登録します。
clsetup ユーティリティーを起動します。
phys-schost# clsetup |
メニュー項目「デバイスグループとボリューム」を選択します。
メニュー項目「VxVM ディスクグループのローカルディスクグループとしての設定」を選択します。
指示に従って、Sun Cluster デバイスグループとして登録する VxVM ディスクグループを指定します。
完了後 clsetup ユーティリティーを終了します。
各ローカルディスクグループをデポートし、もう一度インポートします。
phys-schost# vxdg deport diskgroup # vxdg import dg |
各ローカルディスクグループを再起動します。
phys-schost# vxvol -g diskgroup startall |
各ローカルディスクグループのローカルのみの状態を確認します。
ディスクグループのフラグのプロパティーの値が nogdl であれば、ディスクグループはローカルのみのアクセス用に正しく構成されています。
phys-schost# vxdg list diskgroup | grep flags flags: nogdl |
次のコマンドを実行して表示される新しいディスクのディスクデバイス情報を検索します。
phys-schost# cldevicegroup status |
「ディスクグループの構成を確認する」に進みます。
スタックオーバーフロー – デバイスグループをオンラインにしたときにスタックがオーバーフローする場合、スレッドのスタックサイズのデフォルト値が不十分な可能性があります。各ノードで、/etc/system ファイルに set cl_haci:rm_thread_stacksize=0xsize エントリを追加します (size はデフォルト設定で、8000 を超えます)。
構成の変更 – VxVM デバイスグループまたはそのボリュームの構成情報を変更する場合は、clsetup ユーティリティーを使用して構成の変更を登録する必要があります。登録が必要な構成変更とは、ボリュームの追加または削除や、既存ボリュームのグループ、所有者、またはアクセス権の変更です。VxVM デバイスグループに対する構成の変更を登録する手順については、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の「デバイスグループの管理」を参照してください。
マイナー番号が他のディスクグループと衝突してデバイスグループの登録が失敗する場合、新しいディスクグループに未使用の新しいマイナー番号を割り当てる必要があります。この作業を実行して、ディスクグループにマイナー番号を割り当てなおしてください。
各クラスタのノードのスーパーユーザーになります。
使用中のマイナー番号を確認します。
phys-schost# ls -l /global/.devices/node@1/dev/vx/dsk/* |
1000 の倍数で使用されていない値を、ディスクグループのベースとなるマイナー番号として選択します。
ディスクグループにベースとなるマイナー番号を割り当てます。
phys-schost# vxdg reminor diskgroup base-minor-number |
この例では、マイナー番号 16000 - 16002 と、4000 - 4001 を使います。vxdg reminor コマンドを実行すると、基本マイナー番号 5000 を使用するように、新しいデバイスグループのマイナー番号を再設定します。
phys-schost# ls -l /global/.devices/node@1/dev/vx/dsk/* /global/.devices/node@1/dev/vx/dsk/dg1 brw------- 1 root root 56,16000 Oct 7 11:32 dg1v1 brw------- 1 root root 56,16001 Oct 7 11:32 dg1v2 brw------- 1 root root 56,16002 Oct 7 11:32 dg1v3 /global/.devices/node@1/dev/vx/dsk/dg2 brw------- 1 root root 56,4000 Oct 7 11:32 dg2v1 brw------- 1 root root 56,4001 Oct 7 11:32 dg2v2 phys-schost# vxdg reminor dg3 5000 |
ディスクグループを Sun Cluster デバイスグループとして登録します。「ディスクグループを登録する」に進みます。
この手順はクラスタの各ノード上で行なってください。
スーパーユーザーになります。
ディスクグループのリストを表示します。
phys-schost# vxdisk list |
デバイスグループのリストを表示します。
phys-schost# cldevicegroup list -v |
すべてのディスクグループが正しく構成されていることを確認します。
次の要件が満たされていることを確認します。
ルートディスクグループにローカルディスクだけが含まれていること。
すべてのディスクグループおよびローカルのディスクグループが現在の主ノードだけにインポートされていること。
phys-schost# vxprint |
すべてのディスクグループが Sun Cluster デバイスグループとして登録され、オンラインであることを確認します。
phys-schost# cldevicegroup status |
出力には、ローカルディスクグループは表示されないはずです。
(省略可能) あとで参考にするために、ディスクのパーティション分割情報を捕獲しておきます。
phys-schost# prtvtoc /dev/rdsk/cNtXdYsZ > filename |
このファイルをクラスタ外の場所に保存します。ディスク構成を変更する場合は、このコマンドをもう一度実行して、変更した構成をキャプチャします。ディスクに障害が発生し、交換が必要な場合は、この上方を使用してディスクパーティション構成を復元できます。詳細については、prtvtoc(1M) のマニュアルページを参照してください。
(省略可能) クラスタ構成のバックアップを取ります。
クラスタ構成のバックアップを保存しておけば、クラスタ構成の回復がより簡単になります。詳細は、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の「クラスタ構成をバックアップする」を参照してください。
Sun Cluster 構成で VxVM ディスクグループを管理する場合、次のガイドラインを守ってください。
VxVM デバイスグループ – デバイスグループとして登録された VxVM ディスクグループは、Sun Cluster ソフトウェアによって管理されます。ディスクグループをデバイスグループとして登録したあとは、VxVM コマンドを使用して VxVM ディスクグループをインポートまたはデポートしないでください。デバイスグループのインポートやデポートは、すべて Sun Cluster ソフトウェアで処理できます。デバイスグループの管理手順については、『Sun Cluster のシステム管理 (Solaris OS 版)』の「デバイスグループの管理」を参照してください。
ローカルディスクグループ – ローカルの VxVM ディスクグループは、Sun Cluster ソフトウェアで管理されません。非クラスタシステムで行なっているように、VxVM コマンドを使用して、ローカルのディスクグループを管理してください。
cldevicegroup status コマンドの出力にローカルのディスクグループが含まれる場合、表示されたディスクグループはローカルのみのアクセス用に正しく構成されていません。「ディスクグループを作成する」に戻って、ローカルのディスクグループを再構成してください。
次のリストから、ご使用のクラスタ構成に次に適用するタスクを決めます。このリストから複数のタスクを実行する必要がある場合は、このリストのそれらのタスクのうち最初のタスクに進みます。
クラスタファイルシステムを作成するには、「クラスタファイルシステムを追加する」に進みます。
ノード上に非大域ゾーンを作成する場合は、「グローバルクラスタノードに非大域ゾーンを作成する」を参照してください。
SPARC:Sun Management Centerをクラスタを監視するように設定する場合は、「SPARC: Sun Cluster モジュールを Sun Management Center 用にインストールする」を参照してください。
Sun 以外のアプリケーションをインストールし、リソースタイプを登録し、リソースグループを設定し、データサービスを構成します。アプリケーションソフトウェアに付属のドキュメント、および『Sun Cluster Data Services Planning and Administration Guide for Solaris OS』を参照してください。