このセクションでは、グローバルクラスタまたはゾーンクラスタにノードを追加する方法を説明します。新しいゾーンクラスタノードは、そのゾーンクラスタをホストするグローバルクラスタのノード上に作成できますが、それは、グローバルクラスタノードが、そのゾーンクラスタのノードをまだホストしていない場合に限られます。グローバルクラスタ上の既存の非投票ノードを、ゾーンクラスタノードに変換することはできません。
この章での phys-schost# は、グローバルクラスタのプロンプトを表します。clzonecluster の対話型シェルプロンプトは clzc:schost> です。
次の表に、ノードを既存のクラスタに追加するときに行う作業を示します。作業は、示されている順に実行してください。
表 8–1 作業マップ: 既存のグローバルクラスタまたはゾーンクラスタへのノードの追加
作業 |
参照先 |
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ホストアダプタのノードへの取り付けと、既存のクラスタインターコネクトが新しいノードをサポートできることの確認 |
『Sun Cluster 3.1 - 3.2 Hardware Administration Manual for Solaris OS 』 |
共有記憶装置の追加 |
『Sun Cluster 3.1 - 3.2 Hardware Administration Manual for Solaris OS 』 |
追加ノードのクラスタの準備 |
『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「追加のグローバルクラスタノード用にクラスタを準備する」 |
clsetup を使用した、承認済みノードリストへのノードの追加 | |
新しいクラスタノードへのソフトウェアのインストールと構成 |
『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の第 2 章「グローバルクラスタノードへのソフトウェアのインストール」 |
クラスタが Sun Cluster Geographic Edition のパートナーシップで構成されている場合、構成内のアクティブな参加メンバーとして新しいノードを構成する |
Solaris ホストまたは仮想マシンを既存のグローバルクラスタまたはゾーンクラスタに追加する前に、プライベートクラスタインターコネクトへの物理的な接続が正しく動作しているかどうかも含め、必要なハードウェアがすべてノードに正しくインストールおよび構成されていることを確認してください。
ハードウェアのインストールについては、『Sun Cluster 3.1 - 3.2 Hardware Administration Manual for Solaris OS 』 または各サーバーに付属するハードウェアマニュアルを参照してください。
この手順によって、マシンは自分自身をクラスタ内にインストールします。つまり、自分のノード名を当該クラスタの認証ノードリストに追加します。
phys-schost# プロンプトは、グローバルクラスタのプロンプトを表します。この手順は、グローバルクラスタ上で実行します。
この手順では、長形式の Sun Cluster コマンドを使用して説明します。多くのコマンドには短縮形もあります。コマンド名の形式の長短を除き、コマンドは同一です。コマンドのリストとその短縮形については、付録 B Sun Cluster オブジェクト指向コマンドを参照してください。
現在のグローバルクラスタメンバーで、現在のクラスタメンバー上のスーパーユーザーになります。次の手順は、グローバルクラスタのノードから実行します。
表 8–1 の作業マップに記載されている必要なハードウェアのインストールと構成作業をすべて正しく完了していることを確認します。
clsetup ユーティリティーを起動します。
phys-schost# clsetup |
メインメニューが表示されます。
ノードをゾーンクラスタに追加するために、clzonecluster ユーティリティーを使用します。ゾーンをゾーンクラスタに手動で追加する方法は、手順 9 を参照してください。
新規ノードメニューを表示するためのオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。
承認済みリストを変更するためのオプションに対応する番号を入力し、Return キーを押します。自分自身を追加できるマシンの名前を指定します。
指示に従って、ノードの名前をクラスタに追加します。追加するノードの名前が問い合わせられます。
作業が正常に行われたことを確認します。
作業が正常に行われた場合、clsetup ユーティリティーは「コマンドが正常に完了しました」というメッセージを表示します。
新しいマシンがクラスタに追加されないようにするために、新しいマシンを追加する要求を無視するようクラスタに指示する、オプションに対応する番号を入力します。Return キーを押します。
clsetup のプロンプトに従います。このオプションを設定すると、クラスタは、自分自身をクラスタに追加しようとする新しいマシンからのパブリックネットワーク経由の要求をすべて無視します。
clsetup ユーティリティーを終了します。
ノードをゾーンクラスタに手動で追加するには、Solaris ホストおよび仮想ノード名を指定してください。また、各ノードでパブリックネットワーク通信に使用するネットワークリソースも指定してください。次の例では、ゾーン名は sczone で、bge0 は両方のマシンのパブリックネットワークアダプタです。
clzc:sczone>add node clzc:sczone:node>set physical-host=phys-cluster-1 clzc:sczone:node>set hostname=hostname1 clzc:sczone:node>add net clzc:sczone:node:net>set address=hostname1 clzc:sczone:node:net>set physical=bge0 clzc:sczone:node:net>end clzc:sczone:node>end clzc:sczone>add node clzc:sczone:node>set physical-host=phys-cluster-2 clzc:sczone:node>set hostname=hostname2 clzc:sczone:node>add net clzc:sczone:node:net>set address=hostname2 clzc:sczone:node:net>set physical=bge0 clzc:sczone:node:net>end clzc:sczone:node>end |
ノードを構成する手順の詳細は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「ゾーンクラスタの設定」を参照してください。
新しいクラスタノード上でソフトウェアをインストールして構成します。
scinstall または JumpStartTM ソフトウェアのいずれかを使用して、新しいノードのインストールと構成を完了します。詳細は、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』を参照してください。
次に、ノード phys-schost-3 を既存のクラスタの認証ノードリストに追加する例を示します。
[Become superuser and execute the clsetup utility.] phys-schost# clsetup [Select New nodes>Specify the name of a machine which may add itself.] [Answer the questions when prompted.] [Verify that the scconf command completed successfully.] claccess allow -h phys-schost-3 Command completed successfully. [Select Prevent any new machines from being added to the cluster.] [Quit the clsetup New Nodes Menu and Main Menu.] [Install the cluster software.] |
クラスタノードを追加する作業の一連の手順については、表 8–1、「作業マップ: クラスタノードの追加」を参照してください。
ノードを既存のリソースグループに追加する方法については、『Sun Cluster Data Services Planning and Administration Guide for Solaris OS』を参照してください。
ここでは、非投票ノード (単にゾーンと呼ばれる) をグローバルクラスタノード上に作成するための次の情報と手順を説明します。
非投票ノードを作成するグローバルクラスタノードでスーパーユーザーになります。
大域ゾーンで作業してください。
Solaris 10 OS の場合、各ノードでサービス管理機能 (Service Management Facility、SMF) 用のマルチユーザーサービスがオンラインであることを確認します。
ノードのサービスがまだオンラインでない場合は、次のステップに進む前に状態がオンラインに変わるまで待ちます。
phys-schost# svcs multi-user-server node STATE STIME FMRI online 17:52:55 svc:/milestone/multi-user-server:default |
新しいゾーンを構成、インストール、および起動します。
グローバルクラスタの非投票ノードでリソースグループ機能をサポートするには、autoboot プロパティーを true に設定にします。
Solaris のマニュアルの手順に従ってください。
ゾーンが ready 状態であることを確認します。
phys-schost# zoneadm list -v ID NAME STATUS PATH 0 global running / 1 my-zone ready /zone-path |
ip-type プロパティーが exclusive に設定されている完全ルートゾーンの場合: ゾーンで論理ホスト名リソースをホストする可能性がある場合は、大域ゾーンからメソッドディレクトリをマウントするファイルシステムリソースを構成します。
phys-schost# zonecfg -z sczone zonecfg:sczone> add fs zonecfg:sczone:fs> set dir=/usr/cluster/lib/rgm zonecfg:sczone:fs> set special=/usr/cluster/lib/rgm zonecfg:sczone:fs> set type=lofs zonecfg:sczone:fs> end zonecfg:sczone> exit |
(省略可能) 共有 IP ゾーンでは、プライベート IP アドレスとプライベートホスト名をゾーンに割り当てます。
次のコマンドは、クラスタのプライベート IP アドレスの範囲から、使用可能な IP アドレスを選択し、割り当てます。またこのコマンドは、指定されたプライベートホスト名、またはホスト別名をゾーンに割り当て、割り当てられたプライベート IP アドレスにそれをマッピングします。
phys-schost# clnode set -p zprivatehostname=hostalias node:zone |
プロパティーを指定します。
ゾーンプライベートホスト名、またはホスト別名を指定します。
ノードの名前。
グローバルクラスタの非投票ノードの名前。
初期内部ゾーン構成を実行します。
『Solaris のシステム管理 (Solaris コンテナ : 資源管理と Solaris ゾーン)』の「初期内部ゾーン構成を実行する」の手順に従います。次のどちらかの方法を選択します。
ゾーンにログインします。
/etc/sysidcfg ファイルを使用します。
非投票ノードで、nsswitch.conf ファイルを変更します。
これらの変更により、クラスタ固有のホスト名と IP アドレスの検索をゾーンが解決できるようになります。
ゾーンにログインします。
phys-schost# zlogin -c zonename |
編集するため /etc/nsswitch.conf ファイルを開きます。
sczone# vi /etc/nsswitch.conf |
hosts エントリと netmasks エントリのルックアップの先頭に、cluster スイッチを追加し、その後に files スイッチを追加します。
変更されたエントリは次のようになるはずです。
… hosts: cluster files nis [NOTFOUND=return] … netmasks: cluster files nis [NOTFOUND=return] … |
ほかのすべてのエントリでは、files スイッチが、エントリに一覧表示される最初のスイッチになるようにする必要があります。
ゾーンを終了します。
排他的 IP ゾーンを作成した場合は、そのゾーン上の /etc/hostname.interface ファイルごとに IPMP グループを構成します。
ゾーン内のデータサービストラフィックに使用されているパブリックネットワークアダプタごとに、IPMP グループを設定します。この情報は、大域ゾーンから継承されません。クラスタでの IPMP グループの設定については、『Sun Cluster ソフトウェアのインストール (Solaris OS 版)』の「パブリックネットワーク」を参照してください。
ゾーンにより使用されるすべての論理ホスト名リソースの名前とアドレスのマッピングを設定します。