この章では、Messaging Server をインストールする前に検討しなければならない考慮事項と、実行しなければならない手順について説明します。Java Enterprise System インストーラの実行手順については、『Sun Java Enterprise System 2005Q4 Installation Guide for UNIX』を参照してください。
この章には、次の節があります。
この節では、Messaging Server のインストールの準備のための考慮事項について説明します。
リソースの競合: サーバー間のリソースの競合を回避するには、Messaging Server をインストールするホストとは別のホストに Directory Server をインストールすることを検討してください。
インストール権限: Messaging Server をインストールするには、ルート としてログオンする必要があります。
Messaging Server ベースディレクトリ: Messaging Server は、msg_svr_baseと呼ばれるディレクトリ (たとえば /opt/SUNWmsgsr) にインストールされます。このディレクトリは、既知のファイル配置構造 (ファイルディレクトリパス) を持っています。
サーバーのアップグレード: Messaging Server ホストにその他のコンポーネント (Web Server、Directory Server、Access Manager、および管理サーバー) をインストールしない場合は、これらのコンポーネントのアップグレードは不要で、Messaging Server は問題なく動作します。同じマシンにその他のコンポーネントがインストールされている場合は、Messaging Server とともにそのコンポーネントをアップグレードする必要があります。
ポート番号の競合: 同じマシンに特定の製品をインストールすると、ポート番号の競合が起こる場合があります。次の表は、ポート番号が競合する可能性についてまとめたものです。
ポート番号の競合 |
コンポーネント |
コンポーネント |
---|---|---|
143 |
IMAP サーバー |
MMP IMAP プロキシ |
110 |
POP3 サーバー |
MMP POP3 プロキシ |
993 |
SSL を使用した IMAP |
SSL を使用した MMP IMAP プロキシ |
80 |
Access Manager (Web サーバーのポート) |
可能であれば、ポート番号が競合する製品は別のホストにインストールします。それができない場合は、競合する製品のいずれかでポート番号を変更する必要があります。ポート番号を変更するには、configutil ユーティリティーを使用します。手順については、『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 Administration Reference』を参照してください。
次の例では、configutil の service.http.port パラメータを使用して、Messenger Express の HTTP ポート番号を 8080 に変更しています。
configutil -o service.http.port -v 8080 |
Messaging Server をインストールするときに、次のインストールワークシートを使用して記録をつけておくと、インストールプロセスで役立ちます。これらのインストールワークシートは、Messaging Server を何度もインストールしたり、アンインストールしたり、アップグレードのためにアップグレードしたりする際に再使用できます。
インストール中に指定したすべてのポート番号と、そのポート番号を使用する特定のコンポーネントを記録しておきます。
ワークシートには次のものがあります。
Java Enterprise System インストーラ、または以前の Directory Server インストールにより、Directory Server をインストールできます。Directory Server のインストール情報と設定パラメータを表 15–2 に記録します。管理サーバーと Messaging Server のインストールと設定を行うときや、Messaging Server の実行時初期設定を行うときに、これらのパラメータが必要となります。その他の情報については、『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 管理ガイド』を参照してください。
表 15–2 Directory Server インストールパラメータ
パラメータ |
説明 |
例 |
設定対象 |
実際の設定値 |
---|---|---|---|---|
Directory Installation Root |
Directory Server ホストにあるディレクトリで、サーバープログラム、設定、保守、および情報のファイルの格納専用に使用されます。 |
/var/opt/mps/serverroot | ||
ホスト |
完全修飾ドメイン名。完全修飾ドメイン名は、ホスト名とドメイン名の 2 つの部分から構成されます。 |
svr1.west.sesta.com |
管理サーバー設定 | |
LDAP Directory Port Number |
LDAP ディレクトリサーバーのデフォルトは 389 です。 |
389 |
管理サーバー設定と Messaging Server 設定 | |
Administrator ID and Password |
設定情報を担当する、または設定情報に責任を持つ管理者。 管理者のパスワード。 |
AdminPaSsWoRd |
管理サーバー設定 | |
User and Group Tree Suffix |
ユーザーとグループのデータが格納されるディレクトリツリーの最上部の LDAP エントリの識別名。 |
o=usergroup | ||
Directory Manager DN and Password |
UNIX の ルート に相当する権限を持つディレクトリ管理者。通常この管理者は、ユーザーとグループのデータに責任を持ちます。 ディレクトリマネージャのパスワード |
cn=Directory Manager pAsSwOrD |
comm_dssetup.pl Perl スクリプトと Messaging Server 設定 | |
Administration Domain |
管理制御の対象範囲。 |
System Lab |
管理サーバー設定 |
Java Enterprise System インストーラを通じて管理サーバーの初期実行時設定プログラムを実行するときは、インストールパラメータを次の表に記録します。これらのパラメータの中には、Messaging Server 初期実行時設定に必要なものがあります。いくつかの質問項目については、「Directory Server インストール用ワークシート」も参照してください。
表 15–3 管理サーバー初期実行時設定プログラムのパラメータ
パラメータ |
説明 |
例 |
実際の設定値 |
---|---|---|---|
Fully Qualified Domain Name |
ホストマシンの完全修飾ドメイン名。 |
svr1.west.sesta.com | |
Server Root Definition |
管理サーバーがインストールされる root ディレクトリで、サーバープログラム、設定、保守、および情報ファイルの格納専用に使用されます。 |
/var/opt/mps/serverroot | |
UNIX System User |
システムユーザーに特定の権限を指定することで、ユーザーが実行するプロセスに適切な許可を与えることができます。値は常に root となります。 |
root | |
UNIX System Group |
特定の UNIX ユーザーが属するグループ。値は常に other となります。 |
other | |
Configuration Directory Server |
「Directory Server インストール用ワークシート」で指定されるホストとポート。 |
Host svr1.west.sesta.com Port 390 | |
Configuration Directory Server Administrator and Password |
「Directory Server インストール用ワークシート」で指定される管理者 ID。 管理者 ID のパスワード。 |
Admin PaSsWoRd | |
Administration Domain |
管理制御の対象範囲。 Messaging Server と Directory Server を同じマシンにインストールした場合は、「Directory Server インストール用ワークシート」で同じ管理ドメインを選択する必要があります。 |
System Lab2 | |
Administrative Server Port |
管理サーバー専用の固有のポート番号。 |
5555 |
Messaging Server ソフトウェアをインストールするときに、Java Enterprise System インストーラによりすべての Messaging Server がインストールされます。次に、Messaging Server 設定プログラムを使用して、Messaging ホスト上で適切なMessaging Server コンポーネント (MTA、メッセージストア、Messenger Express、MMP) を選択します。
次の表は、それぞれのタイプの Messaging ホストで設定する必要のあるコンポーネントを示します。
表 15–4 Messaging Server で設定するコンポーネントの選択
設定するメッセージングホストのタイプ |
設定プログラムで選択されるコンポーネント |
---|---|
MTA |
メッセージ転送エージェント |
メッセージストア (バックエンド) |
メッセージ転送エージェント、メッセージストア、Messenger Express 注: 設定の終了後、MEM プロキシの保存を設定する必要があります。 |
Messenger Express (フロントエンドのみ、保存または SMTP の機能なし) |
Messenger Express、Messaging マルチプレクサ 注: Messenger Express だけを設定する場合は、メッセージストアと MTA を選択するか、少なくとも既存の MTA を指定します。 |
Messenger マルチプレクサ (フロントエンドのみ、保存または SMTP の機能なし) |
Messaging マルチプレクサ |
LMTP 配信メカニズムを設定するには、MTA とバックエンドストアの両方の設定が必要です。LMTP の設定手順については、『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 管理ガイド』の第 15 章「LMTP 配信」を参照してください。
Messaging Server のインストールに先立ち、もしも sendmail デーモンが実行中であれば無効にしておくことをお勧めします。Messaging Server SMTP サーバーが実行する Dispatcher には、ポート 25 を割り当てる必要があります。ポート 25 で sendmail デーモンが実行されていると、Dispatcher をポート 25 に割り当てることができません。
/etc/init.d ディレクトリに移動します。
cd /etc/init.d |
sendmail が実行されている場合は、停止します。
./sendmail stop |
/etc/default/sendmail に MODE="" を追加します。
sendmail ファイルが存在しない場合は、ファイルを作成し、MODE="" を追加します。
この修正の追加は、ユーザーが誤って sendmail start を実行したり、パッチにより sendmail が再起動されたりする場合に、sendmail がデーモンモードで起動するのを防ぎます。
場合によっては (特に Solaris 10 上において)、/etc/init.d/sendmail stop コマンドを実行したあとでも、sendmail が自動的に再起動されます。その場合は、次のコマンドを使って sendmail プロセスを停止します。
svcadmin disable network/smtp:sendmail