Sun Java System Communications Services 6 2005Q4 配備計画ガイド

クライアントアクセスの制御

Messaging Server は、POP、IMAP、および HTTP について、サービスごとの高度なアクセス制御機能をサポートしています。Messaging Server のアクセス制御機能は、TCP デーモンと同じポートで待機するプログラムです。アクセス制御機能では、アクセスフィルタによるクライアントの識別情報の検証が行われ、そのクライアントがフィルタリング処理を通過した場合は、デーモンへのアクセスが許可されます。

大企業やサービスプロバイダのメッセージングサービスを管理する場合、これらの機能を使用して、スパム (大量メール送信) や DNS スプーフィングを行うユーザーをシステムから除外したり、ネットワークの全般的なセキュリティーを強化したりできます。

Messaging Server の TCP クライアントアクセス制御システムは、必要な場合、その処理の一部として、次のようなソケットの終端アドレスの分析を行います。

システムは、この情報を「フィルタ」と呼ばれるアクセス制御文と比較して、アクセスの許可または拒否を決定します。サービスごとに、個別の許可フィルタと拒否フィルタのセットを使用して、アクセスを制御します。許可フィルタは明示的にアクセスを許可し、拒否フィルタは明示的にアクセスを禁止します。

クライアントがサービスへのアクセスを要求すると、アクセス制御システムは、そのクライアントのアドレスまたは名前情報を、次の条件を使用して順番に対象のサービスのフィルタと比較します。

  1. 検索は、最初の一致項目が見つかった時点で終了する。許可フィルタは、拒否フィルタより先に処理されるため、許可フィルタが優先される。

  2. クライアント情報が対象のサービスの許可フィルタに一致した場合は、アクセスが許可される。

  3. クライアント情報がそのサービスの拒否フィルタに一致した場合は、アクセスが拒否される。

  4. どの許可または拒否フィルタにも一致しなかった場合、アクセスが許可される。例外は、許可フィルタは存在しているが拒否フィルタが存在しない場合で、その場合にはフィルタに一致しなかったアクセスは拒否される。

ここで説明するフィルタの構文は柔軟性に富んでいるため、わかりやすい簡単な方法で、さまざまなアクセス制御ポリシーを実装できます。許可フィルタと拒否フィルタは自由に組み合わせて使用できますが、大半のアクセスを許可するフィルタまたは大半のアクセスを拒否するフィルタを使用すると、ほとんどのポリシーを実装できます。

クライアントアクセスフィルタは、問題のあるドメインの数が把握できる場合に特に有効です。UBE の場合、Messaging Server はすべてのスパムメッセージを格納し処理する必要がありますが、クライアントアクセスフィルタの場合はスパムメッセージを処理する必要がありません。クライアントアクセスフィルタはドメイン全体からのメールをブロックするため、この機能は慎重に使用する必要があります。

クライアントアクセスフィルタには、次の制限があります。

クライアントアクセスフィルタの詳細については、『Sun Java System Messaging Server 6 2005Q4 管理ガイド』の第 19 章「セキュリティーとアクセス制御を設定する」を参照してください。