配備を成功させるには、効果的な監視とイベント管理の戦略が必要です。この戦略は、監視対象となるイベント、使用するツール、そのイベントが発生した場合に実行するアクションを定義します。発生しがちなイベントに対する計画を立てておけば、サービスの停止やレベル低下の可能性を防止できます。この戦略によって、ディレクトリのサービスの可用性と品質が向上します。
監視戦略を設計するには、次のことを実行します。
適切な監視ツールを選択します。「Directory Server Enterprise Edition で提供される監視ツール」を参照してください。
ディレクトリアーキテクチャー内の、監視対象となる主要な領域を識別します。
これらの領域は一般に、サイジングやチューニングの属性と同じです。「監視領域の特定」を参照してください。
パフォーマンス指標を監視する場合に、イベントまたはアラーム状態を始動する条件を定義します。
この戦略では、パフォーマンスの受容可能レベル、または各パフォーマンス指標に対する処理を定義します。
アラーム状態が発生したときに実行するアクションを決定します。
ここでは、Directory Server Enterprise Edition で使用できる監視ツールや、サーバーアクティビティーの監視に使用できるその他のツールの概要について説明します。
「監視領域の特定」で説明されている監視領域は、これらの 1 つ以上のツールを使用して監視できます。
コマンド行ツール: ディスク使用量などのパフォーマンスを監視するオペレーティングシステムに固有のツール、ディレクトリに格納されているサーバー統計を収集する ldapsearch などの LDAP ツール、サードパーティー製ツール、カスタムシェル、Perl スクリプトが含まれます。
Directory Server および Directory Proxy Server ログ: アクセス、監査、およびエラーログが含まれます。これらのログを手動で監視したり、カスタムスクリプトを使用して解析することで、配備に関連する監視情報を抽出できます。Directory Server Resource Kit には、アクセスログを解析できるログ分析ツール、logconv が用意されています。このログ分析ツールは、利用率統計を抽出し、重要なイベントの発生をカウントします。このツールの詳細については、logconv(1) を参照してください。ログファイルの表示と設定については、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.1 管理ガイド』の第 14 章「Directory Server のログ」を参照してください。
Directory Service Control Center (DSCC): ディレクトリ操作をリアルタイムに監視できるグラフィカルユーザーインタフェースです。DSCC は、リソースの概要、現在のリソース使用状況、接続状態、グローバルデータベースキャッシュ情報など、一般的なサーバー情報を提供します。また、データベースのタイプや状態、エントリキャッシュ統計などの、一般的なデータベース情報も提供します。キャッシュ情報や、データベース内の各インデックスファイルに関連する情報も提供されます。さらに、DSCC には接続と各連鎖サフィックスで実行される操作に関する情報も表示されます。
レプリケーション監視ツール: コマンド行ツール、repldisc、insync、および entrycmp が含まれます。
これらのツールを使用すると、次の操作を実行できます。
マスターレプリカと 1 つまたは複数のコンシューマレプリカとの間の同期状態を監視する
複数の異なるレプリカの間で同じエントリを比較することで、レプリケーションの状態を確認する
完全なレプリケーショントポロジを描写する (これは複雑なディレクトリ配備で特に有用となる)
詳細については、repldisc(1)、insync(1)、および entrycmp(1) を参照してください。
DCC を使用してレプリケーションの状態を監視することもできます。レプリケーションの監視の詳細については、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.1 管理ガイド』の「レプリケーションの状態の取得」を参照してください。
SNMP (Simple Network Management Protocol): グローバルネットワーク制御と監視のための標準メカニズムであり、ネットワーク管理者はネットワーク管理作業を一元的に行えます。
SNMP エージェントを使用した監視については、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.1 管理ガイド』の第 15 章「Directory Server の監視」を参照してください。
Java ES Monitoring Framework: JMX を介した、パフォーマンスやその他の統計の監視を可能にします。詳細については、『Sun Java System Directory Server Enterprise Edition 6.1 Reference』の「Directory Server and CMM/JMX」を参照してください。
監視する対象や、その対象をどの程度監視するかは、具体的な配備によって異なります。ただし、一般に、監視戦略には次の要素が含まれます。
リソース使用状況、サーバーの状態、接続情報などの、サーバーアクティビティー
キャッシュ、トランザクション、ロック、ログなどの情報を含む、データベースアクティビティー
使用可能なディスク容量やしきい値情報を含む、ディスクの状態
レプリケーションが実行されているかどうかの状態や、同期の状態を含む、レプリケーションアクティビティー
インデックスを使用しない検索、検索フィルタ、よく使用されるインデックスなど、インデックスの効率性に関する情報
失敗したバインド試行、開いている接続、実行権限を含む、セキュリティーの状態