Enterprise Server の管理には、ドメイン、クラスタ、ノードエージェント、およびサーバーインスタンスの作成、設定、制御、管理などのタスクが含まれます。ここでは、次の内容について説明します。
ドメインは、create-domain コマンドを使用して作成します。次のコマンド例では、mydomain というドメインを作成します。管理サーバーが待機するポートは 5000 で、管理ユーザー名は admin です。このコマンドは、管理パスワードおよびマスターパスワードの入力を求めます。
$ asadmin create-domain --adminport 5000 --adminuser admin mydomain |
mydomain ドメインの管理コンソールをブラウザ内で起動するには、次の URL を入力します。
http://hostname:5000 |
Enterprise Server 9.1 では、各ドメインはそれぞれがプロファイルを持ちます。プロファイルについては、「プロファイル」を参照してください。ドメインのプロファイルは、作成時に選択することができます。また、「一般」タブの「クラスタサポートを追加」をクリックすると、開発者プロファイルからクラスタプロファイルに変更できます。ドメインのプロファイルを指定するには、create-domain コマンドで --profile オプションを使用します。--profile オプションを使用してプロファイルを明示的に指定しない場合、そのドメインにはデフォルトのプロファイルが関連付けられます。デフォルトのプロファイルは、asadminenv.conf ファイル内の AS_ADMIN_PROFILE で定義されます。
HADB および ネットワークセキュリティーサービス (NSS) キーストアがない場合は、エンタープライズドメインを作成しないでください。HADB および NSS がないと、エンタープライズドメインを起動できません。
前述の create-domain の例の場合、ドメインのログファイル、設定ファイル、および配備されたアプリケーションは次のディレクトリに置かれます。
domain-root-dir/mydomain
ドメインのディレクトリを別の位置に作成するには、--domaindir オプションを指定します。コマンドの完全な構文については、asadmin help create-domain と入力するか、create-domain(1) を参照してください。
ドメインは、asadmin delete-domain コマンドによって削除されます。ドメインを管理できる OS ユーザー (またはルート) だけが、このコマンドを正常に実行できます。たとえば、mydomain というドメインを削除するには、次のコマンドを入力します。
$ asadmin delete-domain mydomain |
マシン上に作成されているドメインを asadmin list-domains コマンドを使用して参照できます。デフォルトの domain-root-dir ディレクトリ内のドメインを一覧表示するには、次のコマンドを入力します。
$ asadmin list-domains |
別のディレクトリに作成されているドメインを一覧表示するには、--domaindir オプションを指定します。
ドメインの起動時に、管理サーバーとアプリケーションサーバーインスタンスが起動されます。アプリケーションサーバーインスタンスは、一度起動すると常時稼動となり、要求を待機して受け付けます。各ドメインは、別々に起動する必要があります。
ドメインを起動するには、asadmin start-domain コマンドを入力し、ドメイン名を指定します。たとえば、デフォルトのドメイン (domain1) を起動するには、次のように入力します。
$ asadmin start-domain --user admin domain1 |
ドメインが 1 つだけの場合は、ドメイン名を省略できます。コマンドの完全な構文を確認するには、asadmin help start-domain と入力してください。パスワードオプションを省略した場合は、入力するように要求されます。
Windows の「スタート」メニューで、「プログラム」>「Sun Microsystems」>「Enterprise Server 9.1」>「デフォルトサーバーを起動」を選択します。
ドメインを停止すると、そのドメインの管理サーバーとアプリケーションサーバーインスタンスがシャットダウンします。ドメインを停止すると、そのサーバーインスタンスは新しい接続を受け付けなくなり、未完了の接続がすべて完了するまで待機します。サーバーインスタンスはシャットダウンプロセスを完了しなければならないため、これには数秒間かかります。ドメインの停止処理中は、管理コンソールおよびほとんどの asadmin コマンドが使用できません。
ドメインを停止するには、asadmin stop-domain コマンドを入力し、ドメイン名を指定します。たとえば、デフォルトのドメイン (domain1) を停止するには、次のように入力します。
$ asadmin stop-domain domain1 |
ドメインが 1 つだけの場合は、ドメイン名を省略できます。コマンドの完全な構文を確認するには、asadmin help stop-domain と入力してください。
管理コンソールからドメインを停止するには、管理コンソールのオンラインヘルプを参照してください。
「スタート」メニューで、「プログラム」>「Sun Microsystems」>「Enterprise Server 9.1」>「デフォルトサーバー停止」を選択します。
サーバーの再起動の手順はドメインの再起動と同じです。ドメインまたはサーバーを再起動するには、ドメインをいったん停止してから起動します。
クラスタを作成するには create-cluster コマンドを使用します。次の例では、mycluster という名前のクラスタを作成します。管理サーバーホストは myhost、サーバーポートは 1234、管理ユーザー名は admin です。このコマンドは、管理パスワードの入力を求めます。
$ asadmin create-cluster --host myhost --port 1234 --user admin mycluster |
コマンドの完全な構文を確認するには、asadmin help create-cluster と入力してください。
クラスタを起動するには start-cluster コマンドを使用します。次の例では mycluster という名前のクラスタを起動します。このコマンドは、管理パスワードの入力を求めます。
$ asadmin start-cluster --host myhost --port 1234 --user admin mycluster |
コマンドの完全な構文を確認するには、asadmin help start-cluster と入力してください。
クラスタを停止するには stop-cluster コマンドを使用します。次の例では mycluster という名前のクラスタを停止します。このコマンドは、管理パスワードの入力を求めます。
$ asadmin stop-cluster --host myhost --port 1234 --user admin mycluster |
myhost は管理サーバーホスト、1234 は管理ポート、admin は管理ユーザー名です。
コマンドの完全な構文を確認するには、asadmin help stop-cluster と入力してください。クラスタを停止すると、クラスタのすべてのサーバーインスタンスが停止します。インスタンスを含まないクラスタは停止できません。
ノードエージェントを作成するには create-node-agent コマンドを使用します。次の例では mynodeagent という名前のノードエージェントを作成します。管理サーバーホストは myhost、管理サーバーポートは 1234、管理ユーザー名は admin です。このコマンドは、通常は管理パスワードの入力を求めます。ただし、--savemasterpassword オプションが指定されていないか、または false の場合、このコマンドはマスターパスワードの入力を求めません。
$ asadmin create-node-agent --host myhost --port 1234 --user admin mynodeagent |
コマンドの完全な構文を確認するには、asadmin help create-node-agent と入力してください。
ノードエージェントを起動するには start-node-agent コマンドを使用し、ノードエージェント名を指定します。たとえば、ノードエージェント mynodeagent を起動するには、次のように入力します。
$ asadmin start-node-agent --user admin mynodeagent |
コマンドの完全な構文を確認するには、asadmin help start-node-agent と入力してください。
ノードエージェントを停止するには stop-node-agent コマンドを使用し、ノードエージェント名を指定します。たとえば、ノードエージェント mynodeagent を停止するには、次のように入力します。
$ asadmin stop-node-agent mynodeagent |
コマンドの完全な構文を確認するには、asadmin help stop-node-agent と入力してください。
サーバーインスタンスを起動するには start-instance コマンドを使用します。次の例では、myinstance という名前のサーバーインスタンスを起動します。このコマンドは、管理パスワードの入力を求めます。
$ asadmin start-instance --host myhost --port 1234 --user admin myinstance |
管理サーバーホストは myhost、管理ポートは 1234、管理ユーザー名は admin です。サーバーインスタンス myinstance はクラスタ化することもスタンドアロンにすることもできます。
コマンドの完全な構文を確認するには、asadmin help start-instance と入力してください。
サーバーインスタンスを停止するには stop-instance コマンドを使用します。次の例では、myinstance という名前のサーバーインスタンスを停止します。このコマンドは、管理パスワードの入力を求めます。
$ asadmin stop-instance --host myhost --port 1234 --user admin myinstance |
管理サーバーホストは myhost、管理ポートは 1234、管理ユーザー名は admin です。サーバーインスタンス myinstance はクラスタ化することもスタンドアロンにすることもできます。
コマンドの完全な構文を確認するには、asadmin help stop-instance と入力してください。
サーバーインスタンスを再起動するには、インスタンスを停止してから、再起動します。
ミラーリングを行うため、および、ドメイン管理サーバー (DAS) の有効なコピーを提供するためには、次のものを用意する必要があります。
元の DAS を含む、1 番目のマシン (machine1)。
アプリケーションを実行していてクライアントに提供しているサーバーインスタンスとクラスタを含む、2 番目のマシン (machine2)。1 番目のマシン上の DAS を使用して、クラスタが設定されています。
1 番目のマシンがクラッシュしたときには、3 番目のバックアップマシン (machine3) に DAS が再作成される必要があります。
1 番目のマシンからの DAS のバックアップを保持している必要があります。現在のドメインをバックアップするには、asadmin backup-domain を使用します。
ドメイン管理サーバーを 1 台目のマシン (machine1) から 3 台目のマシン (machine3) に移行するには、次の手順が必要です。
1 番目のマシンにインストールしたときと同様に、アプリケーションサーバーを 3 番目のマシンにインストールします。
これは、DAS が 3 番目のマシンに正しく復元され、パスの競合が起きないようにするために必要です。
コマンド行 (対話型) モードを使用して、アプリケーションサーバー管理パッケージをインストールします。対話型コマンド行モードを有効にするには、次のように console オプションを使用してインストールプログラムを呼び出します。
./bundle-filename -console |
コマンド行インタフェースを使用してインストールするには、ルート権限が必要です。
デフォルトのドメインをインストールするオプションを選択解除します。
バックアップされたドメインの復元は、同じアーキテクチャーおよびまったく同じインストールパスを持つ 2 台のマシンでのみサポートされます (すなわち両方のマシンが同じ as-install と domain-root-dir を使用する)。
バックアップの ZIP ファイルを 1 番目のマシンから 3 番目のマシンの domain-root-dir にコピーします。ファイルを FTP 転送することもできます。
asadmin restore-domain コマンドを実行して、ZIP ファイルを 3 台目のマシンに復元します。
asadmin restore-domain --filename domain-root-dir/sjsas_backup_v00001.zip domain1 |
任意のドメインをバックアップできます。ただし、ドメインの再作成時に、ドメイン名を元のドメインと同じ名前にしてください。
3 番目のマシンの domain-root-dir/domain1/generated/tmp ディレクトリのアクセス権を変更し、1 番目のマシンの同じディレクトリのアクセス権と一致させます。
このディレクトリのデフォルトのアクセス権は、 ?drwx------? (または 700) です。
次に例を示します。
chmod 700 domain-root-dir/domain1/generated/tmp
この例では、domain1 をバックアップしていることとします。ドメインを別の名前でバックアップしている場合は、上記の domain1 をバックアップしているドメインの名前で置き換えるようにしてください。
3 台目のマシンの domain.xml で、プロパティーのホスト値を変更します。
3 番目のマシンの domain-root-dir/domain1/config/domain.xml を更新します。
たとえば、machine1 を検索し、machine3 に置き換えます。次の箇所を変更できます。
<jmx-connector><property name=client-hostname value=machine1/>...
次のように変更します。
<jmx-connector><property name=client-hostname value=machine3/>...
変更前:
<jms-service... host=machine1.../>
次のように変更します。
<jms-service... host=machine3.../>
machine3 で復元されたドメインを起動します。
asadmin start-domain --user admin-user --password admin-password domain1 |
machine2 で、ノードエージェントの下にあるプロパティーの DAS ホスト値を変更します。
machine2 の as-install/nodeagents/nodeagent/agent/config/das.properties で、agent.das.host プロパティー値を変更します。
machine2 でノードエージェントを再起動します。
asadmin start-instance コマンドを使用してクラスタインスタンスを起動し、復元されたドメインと同期できるようにします。