任意の時点での並行ユーザーの数、その要求の応答時間、およびユーザーの平均思考時間がわかっている場合は、1 分あたりの要求数を計算できます。一般には、システム上に存在する並行ユーザーの数の見積もりから始めます。
たとえば、Web サイトパフォーマンスソフトウェアの実行後、管理者が、オンラインバンキング Web サイトで要求を送信する並行ユーザーの平均数を 3000 と結論付けます。この数は、オンラインバンクの会員登録を申し込んだユーザーの数、バンキングトランザクション動作、要求を送信する曜日または日時などに基づきます。
したがって、これらの情報がわかれば、この節で説明した 1 分あたりの要求数の数式を使用して、このユーザーベースに対してシステムが処理できる 1 分あたりの要求数を計算できます。ピーク負荷時には 1 分あたりの要求数と応答時間が反比例関係になるため、より優れた応答時間を得るためのトレードオフとして 1 分あたりの要求数を減らすことが許容可能かどうか、あるいは、1 分あたりの要求数を増やすためのトレードオフとして応答時間を遅くすることが許容可能かどうかを判断してください。
システム性能を微調整するための開始点として許容可能な 1 分あたりの要求数と応答時間のしきい値で試してください。そのあと、システムのどの領域に調整が必要かを判断してください。
前の節の式で r を求めると、次のようになります。
r = n/(Tresponse + Tthink)
次の値の場合、
n = 2,800 の並行ユーザー
Tresponse = 1 (1 要求あたりの平均応答時間は 1 秒)
Tthink = 3 (平均思考時間は 3 秒)
1 秒あたりの要求の数の計算は次のようになります。
r = 2800 / (1+3) = 700
したがって、1 秒あたりの要求の数は 700、1 分あたりの要求の数は 42000 です。