Sun WebServer 2.0 は、Sun WebServer 1.0 とかなり異なります。したがって、Sun WebServer 1.0 構成ファイルは、Sun WebServer 2.0 と互換性のあるファイルに変換しなければなりません。このドキュメントでは、この変換について説明します。Sun WebServer 2.0 の新しい機能の詳細は、Sun WebServer 2.0 マニュアルを参照してください。
Sun WebServer 1.0 と Sun WebServer 2.0 は同じマシン上にインストールすることはできますが、同じロケーションに共存させることはできません。Sun WebServer 2.0 のインストールに先立ち、Sun WebServer 1.0 は完全に削除しなければなりません。Sun WebServer 1.0 は、非デフォルトディレクトリ ("/" 以外のディレクトリ) にインストールした場合にのみ、Sun WebServer 2.0 と共存させることができます。Sun WebServer 1.0 を非デフォルトのディレクトリにインストールする方法については、Sun WebServer 1.0 Installation Guide を参照してください。このドキュメントで紹介する例は、デフォルトのインストール位置 (httpd.conf と access.acl の両方に対して /etc/http/)を使っている Sun WebServer 1.0 構成ファイルを想定しています。Sun WebServer 1.0 パッケージを削除した後 (このパッケージは、Sun WebServer 2.0 をインストールする前に削除しなければならない)、構成ファイルをバックアップディレクトリ/etc/http.bak[.n]/ (たとえば、/etc/http.bak/、/etc/http.bak.1/、/etc/http.bak.2/、...) に移します。最新のアンインストール構成ファイルは、最大の `n' 値を持つディレクトリにあります。
Sun WebServer 1.0 では、並行して稼動する HTTP サーバーの複数インスタンスをサポートできましたが、サーバーの起動、停止、再起動の動作は、HTTP デーモンの単一インスタンスの場合がベストでした。Sun WebServer 2.0 では、システム上の各 httpd デーモンに固有名を与えることで複数インスタンスのサポートを改善しています。インスタンスの起動、停止、再起動は、インスタンスの名前を使うことで行えます。詳細は、マニュアルページ htserver(1m) を参照してください。
Sun WebServer 2.0 では、仮想ホストのサポートも充実しています。各仮想ホストを Web サイトやファイルシステム (ホストのドキュメントルート、およびホストの構成ファイルが存在する) におけるホスト自体の該当するサブツリーと関連付けられています。Sun WebServer 1.0 では仮想ホストのすべての構成情報をグローバル構成ファイル httpd.conf に格納しましたが、Sun WebServer 2.0 ではこの情報の大半をサイト構成ファイル (Web サイトのルートを基準にして探される) に格納します。サイト固有の構成情報の大半を単一にファイルではなく Web サイトに格納することで、Sun WebServer 2.0 は Sun WebServer 1.0 よりスケーラビリティが高く、また各 Web サイトの管理が単純化されます。
Sun WebServer 1.0 では、デフォルトの位置 /etc/http/ に 2 つの主要構成ファイルを置いていました。
httpd.conf: サーバーおよびサーバーのすべての仮想ホストの基本構成情報
access.acl: URL アクセス制御設定値
Sun WebServer 2.0 では、これらのファイルの指示語をサーバーインスタンスのサーバーレベルの構成ファイルと個々の Web サイトのサイトレベルの構成ファイルに区分化します。
サーバーレベルの構成ファイルは、デフォルトでは /etc/http/ にインストールされます。以下の <instance_name> は、ファイルを使った httpd インスタンスの一意名です。Sun WebServer 管理コンソールまたは htserver add コマンドで作成したインスタンス名は、サーバーインスタンスと対応づけられます。
<instance_name>.httpd.conf: サーバーの基本構成情報
access.conf: URL アクセス制御
realm.conf: realm 情報
mime.types: MIME タイプと符号化
サイトレベルの構成ファイルは、デフォルトでは Web サイトのサブツリーにインストールされます。以下の <site_name> は、このファイルを使った Web サイトの名前を意味します。
<site_name>.site.conf: サイトの基本構成情報
access.conf: URL アクセス制御
realm.conf: realm 情報
mime.types: MIME タイプと符号化
map.conf: URL マッピング
content.conf: 内容情報
上記のすべてのファイル名は、ファイル内容を暗示する名前です。唯一固定された構成ファイル名は、/etc/http/httpd-instances.conf です。各サーバーインスタンス名と基本構成ファイルは httpd-instances.conf にリストされ、各サーバー構成ファイルには他の構成ファイルが名前順にリストされています。
Sun WebServer 2.0 には、構成ファイルに変更を加えるためのコマンド行ユーティリティが数多く追加されています。これらのユーティリティは、Sun WebServer 2.0 への移行を説明する過程で使用するものです (このドキュメントでもたびたび言及します)。コマンド行から使用できる Sun WebServer ユーティリティの詳細については、Sun WebServer 2.0 のマニュアルページを参照してください。このドキュメントで言及するコマンドについては、htserver(1m)、hthost(1m)、および htrealm(1m) マニュアルページを参照してください。構成ファイルについては、httpd.conf(4)、httpd.site.conf(4)、access.conf(4)、および realms.conf(4) を参照してください。さらに、Sun WebServer 2.0 には、HTTP サーバーのあらゆる管理に使用できる管理コンソール (SUNWhtadm
パッケージに存在する) も含まれています。管理コンソールを使用するには、SUNWixklg
および SUNWixavm
もインストールしなければなりません。