Sun Visual WorkShop C++ の概要

C++ コンパイラによるパフォーマンスの改善

Sun の C++ コンパイラは、新しい ANSI C++ 言語定義に準拠するように最適化された、内蔵 C++ コンパイラです。このコンパイラに組み込まれているさまざまな機能を使って、プログラムの実行速度を大幅に向上させることができます。

Sun WorkShop コンパイラ C++ には、プログラムコードのコンパイルと実行を高速化する機能のほかにも、次のような特長があります。

テストの高速化

デバッグセッションが完了したら、インクリメンタルリンカーを使用してアプリケーションを再構築します。インクリメンタルリンカーを使用すると、アプリケーションを再度リンクするための時間が短縮されるため、アプリケーションに加えた変更内容をより迅速にテストすることができます。新しい実行可能ファイルの作成時には、変更された .o ファイルだけが直前の実行可能ファイルにリンクされます。したがって、変更後のアプリケーションの再構築に要する時間は、アプリケーション全体の大きさではなく、変更量に比例します。

メモリーリークの回避

今回のリリースの特長は、Sun WorkShop Memory Monitor というツールが追加されていることです。このツールを使用して C++ や C のメモリーを自動管理すると、プログラムを再度リンクするときにメモリーリークが発生するのを防ぐことができます。

Sun WorkShop Memory Monitor には、メモリーリークを自動的に解放する働きがあります。このツールを使用すると、free コマンドや delete コマンドを呼び出さないで新しいプログラムを作成したり、既存のプログラムのメモリーエラーを自動的に修正したりできます。こうした機能は、他社製のライブラリを使用しているプログラムにも有効です。

このほかに、ブラウザでメモリーの使用状況を監視し、プログラムの各部分のメモリー使用量を随時確認することもできます。

Sun WorkShop Memory Monitor では、Web インタフェースを使って、メモリーに問題のあるプログラムを遠隔操作でデバッグすることができます。たとえば、問題点が自身の環境で再現できない場合に、ユーザーの環境にあるプログラムを遠隔操作で直接デバッグすることができます。

最適化レベルの制御

Sun の C++ コンパイラには、多様なオプションが組み込まれています。こうしたオプションを利用して、コードとアプリケーションのパフォーマンスを管理することができます。プログラムの実行を最適化するには、-O オプションを指定します。-O レベルを効果的に利用することにより、パフォーマンス、コードサイズ、コンパイル時間のバランスを最適な状態に設定することができます。

コードの再利用

C++ クラスライブラリは、モジュール化された、再利用可能なコードの一部です。このクラスライブラリを使用して、以前に作成され、テストの済んでいるコードの集まり (ブロック) を統合することができます。C++ クラスライブラリには、次のライブラリが含まれています。

Tools.h++ クラスライブラリによるプログラミング時間の短縮

Tools.h++ は、C++ の基本クラスライブラリで、プログラミングの時間を短縮する働きを持っています。このライブラリに含まれるクラスは、本質的にどんなプログラミング作業にも役立ちます。Tools.h++ には、次の要素が含まれています。

Tools.h++ は、多種多様なコンパイラ製品を組み込んでおり、事実上の業界標準ライブラリです。このため、あらゆる UNIX プラットフォームで使用できます。