この章では、Solaris WBEM Services と Sun WBEM SDK のコンポーネントが生成するエラーメッセージについて説明します。取り上げる内容は次のとおりです。
CIM Object Manager が、MOF コンパイラと CIM WorkShop で使用されるエラーメッセージを最初に生成します。MOF コンパイラにより、.mof ファイルのどこでそのエラーが発生したかを示す行がそのあとに追加されます。
固有の識別子 - そのエラーメッセージをほかのエラーメッセージと区別するための文字列
例外メッセージ - エラーメッセージの説明
パラメータ - 例外メッセージに示される特定のクラス、メソッド、および修飾子の可変部分
MOF コンパイラは、たとえば次のようなエラーメッセージを返します。
REF_REQUIRED = Association class CIM_Docked needs at least two refs. Error in line 12.
REF_REQUIRED は固有の識別子
Association class CIM_Docked needs at least two refs は、例外メッセージ
CIM_Docked はパラメータです。パラメータは、該当するクラス、プロパティ、メソッド、または修飾子の名前に置換される
WBEM は発生し得るすべてのエラーメッセージを例外テンプレート (API の ErrorMessages_en.properties ファイル) として提供しています。パラメータが必要な例外テンプレートでは、最初のパラメータは {0}、2 つめのパラメータは {1} として示されています。
REF_REQUIRED = Association class {0} needs at least two refs.
Javadoc リファレンスページでエラーメッセージの固有の識別子を検索し、エラーメッセージの説明を表示できます。
次の節では、各エラーメッセージについて詳しく説明しています。これらのエラーメッセージは、固有の識別子で編成されています。各メッセージごとに、次の中から該当する情報を示します。
固有の識別子: ヘッダーとして表示される
説明: エラーメッセージ内に使用されているパラメータの説明
例: ユーザーに表示されるエラーメッセージ例。この例は、エラーメッセージがパラメータを使用する場合に、それらのパラメータが要素 (クラス名など) に置き換わったときにエラーメッセージがどのように表示されるかを示している
原因: そのエラーメッセージが生成された理由と、メッセージの理解に役立つ背景 (参照) 情報を示す
解決方法: そのエラーを解決する方法がある場合、その手順などが示される
この節では、MOF コンパイラ、CIM Object Manager、および CIM WorkShop が生成するエラーメッセージについて説明します。
ABSTRACT_INSTANCE |
ABSTRACT_INSTANCE エラーメッセージは パラメータ {0} を使用しますが、このパラメータは abstract クラスの名前に置換されています。
例:ABSTRACT_INSTANCE = Abstract class ExampleClass cannot have instances.
原因:指定されたクラスにインスタンスが設定されましたが、このクラスは abstract クラスです。abstract クラスは、インスタンスを持てません。
対処方法:設定されたインスタンスを削除します。
CHECKSUM_ERROR |
CHECKSUM_ERROR エラーメッセージは、パラメータを使用しません。
例:CHECKSUM_ERROR = Checksum not valid.
原因:メッセージは、壊れているため送信できませんでした。この損傷は、送信中に偶然に生じたか、あるいは第三者によって故意に壊された可能性があります。
このエラーメッセージは、CIM Object Manager が無効なチェックサムを受ける場合に表示されます。チェックサムは、ネットワーク上で転送されるデータパケットのビット数です。この数は、伝送が安全であり、かつ送信中にデータの破損や意図的な変更がなかったことを情報の送信側と受信側が確認するために使用されます。
送信前に、データに対してアルゴリズムが実行されます。この実行により生成されたチェックサムがデータに含まれ、データパケットのサイズを示します。メッセージを受信すると、受信者はチェックサムを再計算し、送信者のチェックサムと比較できます。チェックサムが一致すれば、送信は安全に行われ、データの破損や変更が起きなかったと言えます。
Solaris WBEM Services のセキュリティ機能を使用してメッセージを再送信します。Solaris WBEM Services のセキュリティの詳細は、第 12 章「セキュリティの管理」を参照してください。
CIM_ERR_ACCESS_DENIED |
CIM_ERR_ACCESS_DENIED エラーメッセージは、パラメータを使用しません。
例:CIM_ERR_ACCESS_DENIED = Insufficient privileges.
原因:このエラーメッセージは、アクションを実行するための適切な特権および権限がユーザーにない場合に表示されます。
対処方法:CIM Object Manager の管理者に、処理を行うための特権を要求します。
CIM_ERR_ALREADY_EXISTS |
例 1: CIM_ERR_ALREADY_EXISTS
説明:この場合の CIM_ERR_ALREADY_EXISTS エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータは重複したクラスの名前に置換されています。
例:CIM_ERR_ALREADY_EXISTS = Duplicate class CIMRack
原因:作成しようとしたクラスに、既存のクラスと同じ名前が使用されています。
対処方法:CIM WorkShop で既存のクラスを検索して使用されている名前を確認し、固有の名前を使用してクラスを作成します
例 2: CIM_ERR_ALREADY_EXISTS
説明:この場合の CIM_ERR_ALREADY_EXISTS エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータは重複したインスタンスの名前に置換されています。
例:CIM_ERR_ALREADY_EXISTS = Duplicate instance SolarisRack
原因:作成しようとしたクラスのインスタンスに、既存のインスタンスと同じ名前が使用されています。
対処方法:CIM WorkShop で既存のインスタンスを検索して使用されている名前を確認し、固有の名前を使用してインスタンスを作成します。
例 3: CIM_ERR_ALREADY_EXISTS
説明:この場合の CIM_ERR_ALREADY_EXISTS エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータは重複したネームスペースの名前に置換されています。
例:CIM_ERR_ALREADY_EXISTS = Duplicate namespace /root/CIMV2
原因:作成が試みられたネームスペースに、既存のネームスペースと同じ名前が使用されています。
対処方法:CIM WorkShop で既存のネームスペースを検索して使用されている名前を確認し、固有の名前を使用してネームスペースを作成します。
例 4: CIM_ERR_ALREADY_EXISTS
説明:この場合の CIM_ERR_ALREADY_EXISTS エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータは重複した修飾子型の名前に置換されています。
例:CIM_ERR_ALREADY_EXISTS = Duplicate qualifier type Key
原因:作成しようとした修飾子型に、変更されるプロパティの既存の修飾子型と同じ名前が使用されています。
対処方法:CIM WorkShop でプロパティの既存の修飾子型を検索して使用されている名前を確認し、固有の名前を使用して修飾子型を作成します。
CIM_ERR_FAILED |
説明
CIM_ERR_FAILED エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータは文字列 (エラー状態と推測される原因を説明したメッセージ) に置換されています。
例:例
CIM_ERR_FAILED=Invalid entry
原因:原因
CIM_ERR_FAILED エラーメッセージは、さまざまなエラー状況に対して表示される一般的なメッセージです。
解決方法
CIM_ERR_FAILED は一般的なエラーメッセージであるため、このメッセージの原因となり得る状況は多数考えられます。解決方法は、エラー状況によって異なります。
CIM_ERR_INVALID_PARAMETER |
CIM_ERR_INVALID_PARAMETER エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータはスキーマ接頭辞が指定されていないクラスの名前に置換されています。
例:CIM_ERR_INVALID_PARAMETER = Class System has no schema prefix.
原因:クラス名の前にスキーマ接頭辞のないクラスが作成されました。Common Information Model では、すべてのクラスにスキーマ接頭辞を付ける必要があります。たとえば、CIM スキーマの一部として開発されるクラスには、CIM 接頭辞 CIM_Container を付けます。Solaris スキーマの一部として開発されたクラスには、Solaris 接頭辞 Solaris_System を付けます。
対処方法:クラス定義に該当するスキーマ接頭辞を指定します。接頭辞のないクラスのインスタンスをすべて見つけ、クラス名と接頭辞に置き換えます。
CIM_ERR_INVALID_SUPERCLASS |
メッセージ CIM_ERR_INVALID_SUPERCLASS は、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} は、指定されたスーパークラスの名前に置換されます。
{1} は、指定されたスーパークラスが存在しないクラスの名前に置換されます。
CIM_ERR_INVALID_SUPERCLASS = Superclass CIM_Chassis for class CIM_Container does not exist.
原因:特定のスーパークラスに属するクラスが指定されましたが、そのスーパークラスは存在しません。指定されたスーパークラスにスペルミスがあるか、あるいは意図したスーパークラス名の代わりに誤って存在しないスーパークラス名が指定されたことが考えられます。また、そのスーパークラスとサブクラスに変更があった可能性もあります。たとえば、指定されたスーパークラスは、実際は指定されたクラスのサブクラスであるかもしれません。この例では、CIM_Container のスーパークラスとして CIM_Chassis が指定されていますが、CIM_Chassis は CIM_Container のサブクラスです。
対処方法:スーパークラスのスペルと名前が正しいか確認し、ネームスペース内にそのスーパークラスが存在することを確認します。
CIM_ERR_NOT_FOUND |
例 1: CIM_ERR_NOT_FOUND
説明:この場合の CIM_ERR_NOT_FOUND エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータは存在しないクラスの名前に置換されています。
例:CIM_ERR_NOT_FOUND = Class Solaris_Device does not exist.
原因:指定されたクラスが存在しません。指定されたクラスにスペルミスがあるか、あるいは意図したクラス名の代わりに誤って存在しないクラス名が指定されたことが考えられます。
対処方法:クラスのスペルと名前が正しいか確認し、ネームスペース内にそのクラスが存在することを確認します。
例 2: CIM_ERR_NOT_FOUND
説明:この場合の CIM_ERR_NOT_FOUND エラーメッセージ は、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} は、指定されたインスタンスの名前に置換されます。
{1} は、指定されたクラスの名前に置換されます。
CIM_ERR_NOT_FOUND = Instance Solaris_EnterpriseData does not exist for class Solaris_ComputerSystem.
原因:インスタンスが存在しません。
対処方法:インスタンスを作成します。
例 3: CIM_ERR_NOT_FOUND
説明:この場合の CIM_ERR_NOT_FOUND エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータは指定されたネームスペースの名前に置換されています。
例:CIM_ERR_NOT_FOUND = Namespace verdant does not exist.
原因:指定されたネームスペースが見つかりません。このエラーは、入力ミスまたはスペルミスのために入力されたネームスペースの名前が正しくない場合に発生します。
対処方法:ネームスペースの名前を入力し直し、入力とスペルが正しいことを確認します。
CLASS_REFERENCE |
CLASS_REFERENCE エラーメッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} パラメータは、参照関係を定義されたクラスの名前に置換されます。
{1} パラメータは、参照の名前に置換されます。
CLASS_REFERENCE = Class SolarisExample1 must be declared as an association to have reference SolarisExample2
原因:あるクラスに、そのクラスが参照を持つことを示すプロパティが定義されました。しかし、そのクラスは関連の一部ではありません。クラスが参照をプロパティとして持つことを定義できるのは、別のクラスとの関連がある場合だけです。
対処方法:関連を作成し、その関連に対する参照をこのクラスのプロパティとして設定します。
INVALID_CREDENTIAL |
INVALID_CREDENTIAL エラーメッセージは、パラメータを使用しません。
例:INVALID_CREDENTIAL = Invalid credentials.
原因:このエラーメッセージは、無効なパスワードが入力された場合に表示されます。
対処方法:このメッセージを CIM WorkShop から受けた場合は、「CIM WorkShop オーセンティケーション (CIM WorkShop authentication)」ダイアログボックスの「パスワード (Password)」フィールドから無効なパスワードを削除し、パスワードを入力し直します。このエラーメッセージを MOF コンパイラから受け取った場合は、システムプロンプトでログインし直し、正しいスペルでパスワードを入力します。
INVALID_QUALIFIER_NAME |
INVALID_QUALIFIER_NAME エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータは空の修飾子名を表す Managed Object Format 表記に置換されています。
例:INVALID_QUALIFIER_NAME = Invalid qualifier name " "
原因:プロパティの修飾子が作成されましたが、修飾子の名前が指定されませんでした。
対処方法:修飾子の定義文に修飾子の名前を含めます。
KEY_OVERRIDE |
KEY_OVERRIDE エラーメッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} パラメータは、1 つ以上のキー修飾子を持つクラスとのオーバーライド関係に置かれる非 abstract クラスの名前に置換されます。
{1} パラメータは、キー修飾子を持つ非 abstract クラスの名前に置換されます。
KEY_OVERRIDE = Non-key Qualifier SolarisCard cannot override key Qualifier SolarisLock.
原因:非 abstract クラスが、1 つ以上のキー修飾子を持つ非 abstract クラスをオーバーライドするようになっています。CIM では、すべての非 abstract クラスは 1 つ以上のキー修飾子を必要とし、キークラス以外のクラスはキーを持つクラスをオーバーライドできません。
対処方法:非キークラスにキー修飾子を作成します。
KEY_REQUIRED |
KEY_REQUIRED エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータはキーを必要とするクラスの名前に置換されています。
例:KEY_REQUIRED = Concrete (non-abstract) class ClassName needs at least one key.
原因:非 abstract にキー修飾子が指定されませんでした。CIM では、非 abstract クラスはすべて、1 つ以上の修飾子を必要とします。
対処方法:クラスにキー修飾子を作成します。
METHOD_OVERRIDDEN |
METHOD_OVERRIDDEN コマンドは、次の 3 つのパラメータを使用します。
{0} は、パラメータ {1} で示されるメソッドのオーバーライドを試みているメソッドの名前に置換されます。
{1} は、パラメータ {2} で示されるメソッドによってすでにオーバーライドされているメソッドの名前に置換されます。
{2} は、パラメータ {1} をオーバーライドしたメソッドの名前に置換されます。
METHOD_OVERRIDDEN = Method Resume () cannot override Stop() which is already overridden by Start()
原因:別のメソッドによってすでにオーバーライドされているメソッドのオーバーライドを試みるメソッドが指定されました。オーバーライド済みのメソッドを再度オーバーライドすることはできません。
対処方法:オーバーライドする別のメソッドを指定します。
NEW_KEY |
NEW KEY エラーメッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} は、キーの名前に置換されます。
{1} は、新しいキーの定義を試みているクラスの名前に置換されます。
NEW_KEY = Class CIM_PhysicalPackage cannot define new key [Key]
原因:あるクラスが新しいキーの定義を試みていますが、スーパークラス内にキーがすでに定義されています。スーパークラスにいったんキーが定義されると、サブクラスに新しいキーを設定することはできません。
対処方法:解決方法はありません。
NO_CIMOM |
NO_CIMOM エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータは CIM Object Manager の実行ホストに指定されたホストの名前に置換されています。
例:NO_CIMOM = CIMOM molly not detected.
原因:CIM Object Manager が指定されたホストで動作していません。
対処方法:接続を試みているホストで CIM Object Manager が動作していることを確認します。そのホストで CIM Object Manager が動作していない場合は、このソフトウェアが動作しているホストに接続します。
NO_INSTANCE_PROVIDER |
NO_INSTANCE_PROVIDER エラーメッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} は、インスタンスプロバイダが見つからないクラスの名前に置換されます。
{1} は、指定されたインスタンスプロバイダの名前に置換されます。
NO_INSTANCE_PROVIDER = Instance provider RPC_prop for class RPC_Agent not found.
原因:指定されたインスタンスプロバイダの Java クラスが見つかりません。このエラーメッセージは、CIM Object Manager のクラスパスに以下のすべてが適切であるクラスが含まれていないことを示します。
プロバイダクラスの名前
プロバイダクラスのパラメータ
プロバイダが定義される CIM クラス
CIM Object Manager のクラスパスを設定します。
NO_METHOD_PROVIDER |
NO_METHOD_PROVIDER エラーメッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} は、メソッドプロバイダが見つからないクラスの名前に置換されます。
{1} は、指定されたメソッドプロバイダの名前に置換されます。
NO_METHOD_PROVIDER = Method provider Start_prop for class RPC_Agent not found.
原因:指定されたメソッドプロバイダの Java クラスが見つかりません。このエラーメッセージは、CIM Object Manager のクラスパスに以下のすべてが適切であるクラスが含まれていないことを示します。
プロバイダクラスの名前
プロバイダクラスのパラメータ
プロバイダが定義される CIM クラス
CIM Object Manager のクラスパスを設定します。
NO_OVERRIDDEN_METHOD |
エラーメッセージ NO_OVERRIDDEN_METHODは、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} は、{1} で示されるメソッドをオーバーライドしたメソッドの名前に置換されます。
{1} は、オーバーライドされたメソッドの名前に置換されます。
NO_OVERRIDDEN_METHOD = Method Write overridden by Read does not exist in class hierarchy.
原因:サブクラスのメソッドがスーパークラスのメソッドのオーバーライドを試みていますが、スーパークラスのメソッドはすでに別のサブクラスに属しているメソッドによってオーバーライドされています。
メソッドをオーバーライドすると、その実装と署名もオーバーライドされます。
対処方法:スーパークラス内にそのメソッドが存在することを確認します。
NO_OVERRIDDEN_PROPERTY |
NO_OVERRIDDEN_PROPERTY エラーメッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} は、{1} をオーバーライドしたプロパティの名前に置換されます。
{1} は、プロパティをオーバーライドする名前に置換されます。
NO_OVERRIDDEN_PROPERTY = Property A overridden by B does not exist in class hierarchy.
原因:サブクラスのプロパティがスーパークラスのプロパティのオーバーライドを試みていますが、スーパークラスのプロパティはすでにオーバーライドされているため、このオーバーライドは行えません。
対処方法:スーパークラスにそのプロパティが存在することを確認します。
NO_PROPERTY_PROVIDER |
NO_PROPERTY_PROVIDER エラーメッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} は、プロパティプロバイダが見つからないクラスの名前に置換されます。
{1} は、指定されたプロパティプロバイダの名前に置換されます。
NO_PROPERTY_PROVIDER = Property provider Write_prop for class RPC_Agent not found.
原因:指定されたプロパティプロバイダの Java クラスが見つかりません。このエラーメッセージは、CIM Object Manager のクラスパスに以下のすべてが適切であるクラスが含まれていないことを示します。
プロバイダクラスの名前
プロバイダクラスのパラメータ
プロバイダが定義される CIM クラス
CIM Object Manager のクラスパスを設定します。
NO_QUALIFIER_VALUE |
NO_QUALIFIER_VALUE エラーメッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} は、要素 {1} を変更する修飾子の名前に置換されます。
{1} は、修飾子の参照先である要素です。{1} は、修飾子に応じてクラス、プロパティ、メソッド、または参照のいずれかです。
NO_QUALIFIER_VALUE = Qualifier [SOURCE] for Solaris_ComputerSystem has no value.
原因:プロパティまたはメソッドに修飾子が指定されましたが、修飾子に値が含まれていません。たとえば、修飾子 VALUES には文字列配列を指定する必要があります。必要な文字列配列なしで VALUES 修飾子が指定されると、NO_QUALIFIER_VALUE エラーメッセージが表示されます。
対処方法:修飾子に必要なパラメータを指定します。各修飾子に必要な属性については、Distributed Management Task Force による CIM Specification (URL: http://dmtf.org/spec/cims.html) を参照してください。
NO_SUCH_METHOD |
NO_SUCH_METHOD エラーメッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} は、指定されたメソッドの名前に置換されます。
{1} は、指定されたクラスの名前に置換されます。
NO_SUCH_METHOD = Method Configure() does not exist in class Solaris_ComputerSystem
原因:指定されたクラスにメソッドが定義されなかったことが考えられます。指定されたクラスにメソッドが定義されている場合には、定義内でスペルミスにより別のメソッドが指定されたか、入力ミスの可能性があります。
対処方法:指定されたクラスのオペレーションとしてメソッドを定義するか、あるいはメソッド名とクラス名が正しく入力されているか確認します。
NO_SUCH_PRINCIPAL |
NO_SUCH_PRINCIPAL エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータはプリンシパル (ユーザーアカウント) の名前に置換されています。
例:NO_SUCH_PRINCIPAL = Principal molly not found.
原因:指定されたユーザーアカウントが見つかりません。ログイン時にユーザー名の入力が正しく行われなかったか、あるいはそのユーザーにユーザーアカウントが設定されていません。
対処方法:ログイン時にユーザー名を正しく入力します。そのユーザーにユーザーアカウントが設定されていることを確認します
NO_SUCH_QUALIFIER1 |
NO_SUCH_QUALIFIER1 エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータは未定義の修飾子の名前に置換されています。
例:NO_SUCH_QUALIFIER1 = Qualifier [LOCAL] not found.
原因:新しい修飾子が指定されましたが、この修飾子は拡張スキーマの一部として定義されていません。特定のクラスのプロパティまたはメソッドに有効な修飾子として認識されるように、この修飾子を CIM スキーマまたは拡張スキーマの一部として定義する必要があります。
対処方法:この修飾子を拡張スキーマの一部として定義するか、あるいは標準の CIM 修飾子を使用します。標準の CIM 修飾子と CIM スキーマの修飾子の使用法については、Distributed Management Task Force による CIM Specification (URL: http://www.dmtf.org/spec/cims.html) を参照してください。
NO_SUCH_QUALIFIER2 |
NO_SUCH_QUALIFIER2 エラーメッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} は、修飾子が変更するクラス、プロパティ、またはメソッドの名前に置換されます。
{1} は、定義されていない修飾子の名前に置換されます。
NO_SUCH_QUALIFIER2 = Qualifier [LOCAL] not found for CIM_LogicalElement
原因:特定のクラスのプロパティまたはメソッドを変更するために新しい修飾子が指定されましたが、その修飾子は拡張スキーマの一部として定義されていません。特定のクラスのプロパティまたはメソッドに有効な修飾子として認識されるように、この修飾子を CIM スキーマまたは拡張スキーマの一部として定義する必要があります。
対処方法:この修飾子を拡張スキーマの一部として定義するか、あるいは標準の CIM 修飾子を使用します。標準の CIM 修飾子と CIM スキーマの修飾子の使用法については、Distributed Management Task Force による CIM Specification (URL: http://www.dmtf.org/spec/cims.html) を参照してください。
NO_SUCH_SESSION |
エラーメッセージ NO_SUCH_SESSION はパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータはセッション識別子に置換されています。
例:NO_SUCH_SESSION = No such session 4002.
原因:このメッセージは、セッションが不正侵入者によって侵害された場合に表示されます。CIM Object Manager は、第三者が故意にデータ変更を試みていることを検出すると、セッションを削除します。Solaris WBEM Services のセキュリティ機能の詳細は、第 12 章「セキュリティの管理」を参照してください。
対処方法:CIM 環境のセキュリティが保護されていることを確認します。
NOT_HELLO |
NOT_HELLO エラーメッセージは、パラメータを使用しません。
例:NOT_HELLO = Not a Hello message.
原因:このエラーメッセージは、hello メッセージ (CIM Object Manager に送信される最初のメッセージ) 内のデータが破損している場合にセキュリティが侵害されたことを示すために表示されます。
対処方法:このエラーメッセージに対しての解決方法はありません。Solaris WBEM Services のセキュリティ機能の詳細は、第 12 章「セキュリティの管理」を参照してください。
NOT_INSTANCE_PROVIDER |
NOT_INSTANCE_PROVIDER エラーメッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} は、InstanceProvider インタフェースの定義が試みられているインスタンスの名前に置換されます。
{1} は、InstanceProvider インタフェースを実装していない Java プロバイダクラスの名前に置換されます。指定されたクラスのインスタンスをすべて列挙するには、InstanceProvider インタフェースを指定する必要があります。
NOT_INSTANCE_PROVIDER = device_prop_provider for class Solaris_Provider does not implement InstanceProvider.
原因:CLASSPATH 環境変数で指定されている Java プロバイダクラスが、InstanceProvider インタフェースを実装していません。
対処方法:クラスパスに存在する Java プロバイダクラスが InstanceProvider インタフェースを実装していることを確認します。プロバイダを宣言するには、クラス定義に public class <Solaris> implements InstanceProvider を使用します。Solaris WBEM Services プロバイダの実装方法については、第 7 章「プロバイダプログラムの作成」を参照してください。
NOT_METHOD_PROVIDER |
NOT_METHOD_PROVIDER エラーメッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} は、MethodProvider インタフェースの定義が試みられているメソッドの名前に置換されます。MethodProvider が定義されると、指定されたメソッドがプログラム内で実装され、実行されます。
{1} は、MethodProvider インタフェースを実装していない Java プロバイダクラスの名前に置換されます。
NOT_METHOD_PROVIDER = Provider device_method_provider for class Solaris_Provider does not implement MethodProvider.
原因:クラスパスに存在する Java プロバイダクラスが MethodProvider インタフェースを実装していません。
対処方法:クラスパスに存在する Java プロバイダクラスが MethodProvider インタフェースを実装していることを確認します。プロバイダを宣言するには、クラス定義に public class <Solaris> implements MethodProvider を使用します。Solaris WBEM Services プロバイダの実装方法については、第 7 章「プロバイダプログラムの作成」を参照してください。
NOT_PROPERTY_PROVIDER |
NOT_PROPERTY_PROVIDER エラーメッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} は、PropertyProvider インタフェースの定義が試みられているメソッドの名前に置換されます。PropertyProvider インタフェースは、指定されたプロパティの値の検出に使用されます。
{1}は、PropertyProvider インタフェースを実装していない Java プロバイダクラスの名前に置換されます。
NOT_PROPERTY_PROVIDER = Provider device_property_provider for class Solaris_Provider does not implement PropertyProvider.
原因:クラスパスに存在する Java プロバイダクラスが PropertyProvider インタフェースを実装していません。
対処方法:クラスパスに存在する Java プロバイダクラスが PropertyProvider インタフェースを実装していることを確認します。プロバイダを宣言するには、コマンド public class <Solaris> implements PropertyProvider を使用します。Solaris WBEM Services プロバイダの実装方法については、第 7 章「プロバイダプログラムの作成」を参照してください。
NOT_RESPONSE |
NOT_RESPONSE エラーメッセージは、パラメータを使用しません。
例:NOT_RESPONSE = Not a response message.
原因:このエラーメッセージは、CIM Object Manager からの最初の応答メッセージが破損している場合にセキュリティが侵害されていることを示すために表示されます。
対処方法:このエラーメッセージに対しての解決方法はありません。Solaris WBEM Services のセキュリティ機能の詳細は、第 12 章「セキュリティの管理」を参照してください。
PROPERTY_OVERRIDDEN |
PROPERTY_OVERRIDDEN エラーメッセージは、次の 3 つのパラメータを使用します。
{0} は、パラメータ {1} によって示されるプロパティのオーバーライドを試みているプロパティの名前に置換されます。
{1} は、すでにオーバーライドされているプロパティの名前に置換されます。
{2} は、パラメータ {1} で示されるプロパティをオーバーライドしたプロパティの名前に置換されます。
PROPERTY_OVERRIDDEN = Property Volume cannot override MaxCapacity which is already overridden by RawCapacity
原因:別のプロパティによってすでにオーバーライドされているプロパティのオーバーライドを試みるプロパティが指定されました。オーバーライド済みのプロパティを再度オーバーライドすることはできません。
対処方法:オーバーライドする別のプロパティを指定します。
PS_CONFIG |
PS_CONFIG エラーメッセージは、エラー原因となる状況の説明に置換されるパラメータ {0} を使用します。この説明は、リポジトリに使用されているデータベースの種類と、エラーメッセージを生成する状況の種類によって異なります。
PS_CONFIG = The persistent store configuration is incorrect or has not been completed. You may need to run the wbemconfig script.
原因:Solaris WBEM Services では、インストール後 wbemconfig スクリプトを実行する必要があります。wbemconfig スクリプトは、固定記憶域の設定と、CIM スキーマクラスと Solaris スキーマクラスを提供する MOF ファイルのコンパイルを行います。このエラーメッセージは、Solaris WBEM Services がインストールされたあと wbemconfig スクリプトが実行されなかった場合に表示されます。インストールの後にリポジトリが設定されてからこのエラーメッセージが表示される場合は、データベースの設定が壊れている可能性があります。
対処方法:wbemconfig スクリプトを実行します。wbemconfig スクリプトの詳細は、第 10 章「Solaris WBEM Services のインストール」を参照してください。
PS_UNAVAILABLE |
PS_UNAVAILABLE エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータは固定記憶域が使用できなくなった理由を説明するメッセージに置換されています。
例:PS_UNAVAILABLE = The persistent store is unavailable. The exception thrown by the repository is 'segmentation fault.'
原因:このエラーメッセージは、CIM Repository が使用できない場合に表示されます。このような状況は、CIM Repository が常駐しているホストが保守のために一時的に停止される場合や、このホストが破損したためにリポジトリが停止されて別のホストに復元される場合などに発生します。
対処方法:CIM WorkShop での作業中にこのメッセージが表示される場合は、「CIM WorkShop オーセンティケーション (CIM WorkShop authentication)」ダイアログボックスを表示するアイコンをクリックします。続いて、「ホスト (Host)」フィールドで、CIM Repository と CIM Object Manager を実行している別のホストの名前を入力します。「ネームスペース (Namespace)」フィールドにネームスペース名を入力し、続いてユーザー名とパスワードを入力してログインします。MOF コンパイラの実行時にこのメッセージを受け取る場合は、CIM Repository と CIM Object Manager を実行している別のホストを指定するコマンド mofcomp -c hostname を入力します。mofcomp は MOF コンパイラを起動するコマンド、-c は CIM Object Manager を実行しているホストコンピュータを指定するためのパラメータ、hostname は指定されるコンピュータの名前です。
QUALIFIER_UNOVERRIDABLE |
QUALIFIER_UNOVERRIDABLE エラーメッセージは、次の 2 つのパラメータを使用します。
{0} は、DisableOverride フレーバが設定されている修飾子の名前に置換されます。
{1} は、{0} によって無効になるように設定されている修飾子の名前に置換されます。
QUALIFIER_UNOVERRIDABLE = Test cannot override qualifier Standard because it has DisableOverride flavor.
原因:指定された修飾子のフレーバが DisableOverride または Override=False に設定されているため、この修飾子は別の修飾子をオーバーライドできません。
対処方法:この修飾子の特性を、EnableOverride または Override=True に設定し直します。
REF_REQUIRED |
REF_REQUIRED エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータは関連を持つように指定されたクラスの名前に置換されています。
例:REF_REQUIRED = Association class CIM_Chassis needs at least two refs.
原因:関連を持つようにあるクラスが設定されましたが、参照が指定されていません。Common Information Model では、関連は 2 つ以上の参照を含む必要があります。
対処方法:クラスに参照を設定し、その後関連を設定します。
SCOPE_ERROR |
SCOPE_ERROR コマンドは、次の 3 つのパラメータを使用します。
{0} は、指定された修飾子が変更するクラスの名前に置換されます。
{1} は、指定された修飾子の名前に置換されます。
{2} は、修飾子が変更する属性のタイプに置換されます。
SCOPE_ERROR = Qualifier [UNITS] for CIM_Container does not have a Property scope.
原因:CIM Specification に準拠しない方法で修飾子が指定されました。たとえば、[READ] 修飾子は、CIM Specification ではプロパティを変更するように定義されます。[READ] 修飾子のスコープは、プロパティを変更するように [READ] 修飾子に指示する定義です。[READ] 修飾子がそのスコープの指示以外の方法で使用されると (たとえばメソッドを変更するように指定されるなど)、SCOPE_ERROR メッセージが返されます。
CIM Specification は、CIM 修飾子が変更できる CIM 要素の種類を定義しています。修飾子の使用方法についてのこの定義は、修飾子のスコープと呼ばれます。ほとんどの修飾子は、プロパティまたはメソッド、あるいはこの両方の変更を指示するスコープを持ちます。また、ほとんどの修飾子は、パラメータ、クラス、関連、インジケーション、またはスキーマの変更を指示するスコープを持ちます。
指定された修飾子のスコープを確認します。CIM 修飾子の標準の定義については、Distributed Management Task Force により提供されている CIM Specification の「1. Qualifiers」(URL: http://www.dmtf.org/spec/cim_spec_v20) を参照してください。別の修飾子を使用するか、あるいは CIM 定義に従って修飾子を使用するようにプログラムを変更します。
SIGNATURE_ERROR |
SIGNATURE_ERROR エラーメッセージは、パラメータを使用しません。
例:SIGNATURE_ERROR = Signature not verified
原因:このメッセージは、メッセージが偶然に、または故意に破損された場合に表示されます。このメッセージは、メッセージが有効なチェックサムを持つチェックサムエラーとは異なりますが、署名はクライアントの公開鍵では検証できません。この保護により、セッションキーが侵害されることがあっても、セッションを作成した最初のクライアントだけが認証されます。
対処方法:セッションが不正侵入者によって侵害される場合に表示されるこのメッセージに対しての解決方法はありません。Solaris WBEM Services のセキュリティ機能の詳細は、第 12 章「セキュリティの管理」を参照してください。
TYPE_ERROR |
TYPE_ERROR エラーメッセージは、次の 5 つのパラメータを使用します。
{0} は、指定された要素 (プロパティ、メソッド、修飾子など) の名前に置換されます。
{1} は、指定された要素が属するクラスの名前に置換されます。
{2} は、要素に定義されたデータ型に置換されます。
{3} は、割り当てられた値のデータ型に置換されます。
{4} は、割り当てられた実際の値に置換されます。
TYPE_ERROR = Cannot convert sint16 4 to a string for VolumeLabel in class Solaris_DiskPartition
原因:プロパティまたはメソッドのパラメータ値と、定義されたそのデータ型が一致しません。
対処方法:プロパティまたはメソッドの値を、定義されたそのデータ型に一致させます。
UNKNOWNHOST |
UNKNOWNHOST エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータはホストの名前に置換されています。
例:UNKNOWNHOST = Unknown host molly
原因:指定されたホストが使用できないか、あるいはこのホストが見つかりません。ホスト名のスペルが間違っている可能性もあります。このホストコンピュータが別のドメインに移されたか、あるいはドメインに属するホストのリストにそのホスト名が登録されていない可能性もあります。また、システム状況が原因でそのホストが一時的に使用できないことも考えられます。
対処方法:ホスト名のスペルを調べ、入力ミスがないか確認します。ping コマンドを使用して、そのホストコンピュータが応答していること、そのホストのシステム状況を確認します。また、そのホストが指定されたドメインに属していることを確認します。
VER_ERROR |
VER_ERROR エラーメッセージはパラメータ {0} を使用しますが、このパラメータは動作中の CIM Object Manager のバージョン番号に置換されています。
例:VER_ERROR = Unsupported version 0.
原因:Solaris WBEM Services のこのアップグレードバージョンは、現在の CIM Object Manager をサポートしていません。
対処方法:サポートされているバージョンをインストールします。