Sun Cluster 2.2 のシステム管理

クラスタ遷移ステップのタイムアウトの構成

Sun Cluster では、クラスタのメンバーシップの変化に応じて、HA フレームワークの論理ホストが交替されるクラスタ遷移ステップにタイムアウトを構成できます。このタイムアウトは、各ノードにおいて多数のデータサービスから成る構成を効果的に処理するように、必要に応じて調整してください。タイムアウトが非常に大きなデフォルト値に設定される場合を除いて、さまざまな構成に一定のタイムアウト値を使用することは実用的ではありません。

タイムアウトを調整する場合、次の 2 つの事項を必ず考慮してください。

個々のインストールに適した値を推測するのは困難です。これらの値は、試行錯誤によって決定するしかありません。ガイドラインとしては、各クラスタ遷移ステップの先頭と最後についてのクラスタコンソールメッセージを使用できます。これらのガイドラインから、ステップのおおよその実行時間を推測できます。

タイムアウトは、最悪の状況とみなす必要があります。クラスタのタイムアウトを構成する場合は、1 つのクラスタノードが一度にマスターできる論理ホストの最大数について考慮してください。

たとえば、N+1 構成では、スタンバイノードはほかのクラスタノードの論理ノードをすべてマスターできます。この場合、再構成タイムアウトは、クラスタに構成されているすべての論理ホストをマスターできるだけの十分な余裕がなければなりません。

クラスタタイムアウトを調整するには

  1. scconf -T コマンドを使用して、クラスタ再構成タイムアウトを調整します。

    たとえば、構成可能な遷移ステップタイムアウト値を 500 秒に変更するには、すべてのクラスタノードで次のコマンドを実行します。

    # scconf clustername -T 500
    

    これらのステップのデフォルト値は 720 秒です。現在のタイムアウト値を確認するには、ssconf -p コマンドを使用してください。

    これらのステップにすべての論理ホストをマスターする十分な時間がない場合は、クラスタコンソールにエラーメッセージが表示されます。

    再構成ステップでは、単一の論理ホストをマスターするのにかかる時間は、各論理ホストに構成されているデータサービスの数によって異なります。論理ホストをマスターする十分な時間がない (つまり loghost_timeout パラメータが小さすぎる) 場合は、コンソールに次のようなメッセージが表示されます。


    ID[SUNWcluster.ccd.ccdd.5001]: error freeze cmd =
     command /opt/SUNWcluster/bin/loghost_sync timed out.

    この例では、クラスタフレームワークは、論理ホストの放棄を試みることによって、システムを一貫した状態に戻そうと「最善の努力」をしています。この試みが失敗すると、ノードは矛盾を防ぐためにクラスタから停止することがあります。

  2. scconf -l オプションを使用して、loghost_timeout パラメータを調整します。

    デフォルトは 180 秒です。


    注 -

    再構成ステップのタイムアウトは、loghost_timeout 値より小さくはできません。loghost_timeout 値よりも小さい値が指定されると、エラーが発生し、クラスタ構成ファイルは変更されません。この条件は、scconf -T または scconf -l オプションで確認できます。これらのタイムアウトのどちらかが 100 秒以下に設定されると、警告が表示されます。