NVRAM は、SPARCstorage Array の高速書き込み機能をサポートします。NVRAM を使用しない場合は、プログラムからの同時書き込み要求をディスクにコミットし、プログラムが肯定応答を受信した後でなければ、別の要求を出すことができません。NVRAM は、書き込み要求を非揮発性のメモリーに書き込み、定期的にそのデータをディスクにフラッシュします。データがいったん NVRAM に書き込まれると、データがディスクに書き込まれたかのように肯定応答がプログラムに返されます。このため、SPARCstorage Array を使用する書き込みの多いアプリケーションのパフォーマンスが高まります。
この節に示した各作業は、コマンド行インタフェースを使用します。しかし、Solstice DiskSuite 構成では、metatool グラフィカルユーザーインタフェースを使用して、ディスク、トレー、コントローラ用の NVRAM を管理することもできます。Solstice DiskSuite の詳細は、Solstice DiskSuite のマニュアルを参照してください。
この機能は注意して使用してください。NVRAM は、SPARCstorage Array を管理する強力な方法を提供します。これらの作業を実行する前に、データをバックアップしてください。
コントローラレベル - SPARCstorage Array 内のすべてのドライブに影響する
ドライブレベル - 個々のドライブに高速書き込みを設定する
トレーレベル - Solstice DiskSuite GUI を介する
高速書き込みを有効にすると、設定は電源をオフにするまで SPARCstorage Array の構成の一部として保存されます。
NVRAM のバッテリーが弱いか欠如している場合、あるいは故障している場合は、そのコントローラの高速書き込みは無効になります。
高速書き込みを有効にする前に、コントローラまたはディスクのすべての I/O を停止する必要があります。具体的には、ディスクセットの所有権の保守が行われる間に暗黙の I/O ストリームが存在するため、ディスクセットの所有権が解放済みであることを確認します。次に、すべての I/O を停止する方法を示します。
NVRAM を有効または無効にするには、luxadm(1M) コマンドを使用します。このコマンドの詳細は、luxadm(1M) のマニュアルページを参照してください。
CVM の場合は、NVRAM を無効にする必要があります。
次に、NVRAM を有効または無効にする手順の概略を示します。
すべてのデータの現在のバックアップが存在することを確認する
root 特権があることを確認する
NVRAM を有効または無効にするコントローラまたはディスクを確認する
デバイスのすべての I/O を停止する
NVRAM を有効または無効にする
デバイスを稼動状態に戻し、データの同期を取り直す
次に、NVRAM を有効または無効にする詳しい手順を示します。
NVRAM を有効または無効にするコントローラ、トレー、個々のディスクを確認します。
luxadm(1M) コマンドを使用して、特定のコントローラ、トレー、個々のディスクの情報を表示できます。たとえば、次のコマンドは、コントローラ c2 上のすべてのディスク情報を表示します。
phys-hahost1# luxadm display c2 SPARCstorage Array Configuration Controller path: /devices/iommu@f,e0000000/sbus@f,e0001000/SUNW,soc@0,0/SUNW,pln@a0000000,779a16:ctlr DEVICE STATUS TRAY 1 TRAY 2 TRAY 3 slot 1 Drive: 0,0 Drive: 2,0 Drive: 4,0 2 Drive: 0,1 Drive: 2,1 Drive: 4,1 3 NO SELECT NO SELECT NO SELECT 4 NO SELECT NO SELECT NO SELECT 5 NO SELECT NO SELECT NO SELECT 6 Drive: 1,0 Drive: 3,0 Drive: 5,0 7 Drive: 1,1 NO SELECT NO SELECT 8 NO SELECT NO SELECT NO SELECT 9 NO SELECT NO SELECT NO SELECT 10 NO SELECT NO SELECT NO SELECT CONTROLLER STATUS ... |
影響を受けるデバイスの I/O をすべて停止します。
Solstice DiskSuite の場合:
コントローラまたはトレーについては、 「SPARCstorage Array トレーを取り外すには (Solstice DiskSuite)」の該当する手順を参照してください。
ディスクについては、「SPARCstorage Array ディスクを交換するには (Solstice DiskSuite)」の該当する手順を参照してください。
SSVM または CVM の場合:
コントローラまたはトレーについては、「SPARCstorage Array トレーを取り外すには (SSVM、CVM)」の該当する手順を参照してください。
ディスクについては、「SPARCstorage Array ディスクを交換するには (SSVM、CVM)」の該当する手順を参照してください。
コントローラまたは個々のディスクの高速書き込み権を有効または無効にします。
luxadm(1M) コマンド以下の 3 つのオプションのうちの 1 つを指定して実行してください。
-e は、すべての書き込みに対して高速書き込みを有効にします
-c は、同期書き込みにだけ高速書き込みを有効にします
-d は、高速書き込みを無効にします
次の例は、電源をオフにするまで NVRAM 構成を保存し、すべての書き込みに対して高速書き込みを有効にします。これらのオプションの詳細は、luxadm(1M) のマニュアルページを参照してください。
phys-hahost# luxadm fast_write -s -e pathname |
高速書き込みが有効になったことを示す確認メッセージが表示されます。
コンポーネントを Sun Cluster の通常の制御下に戻すために必要な手順を実行します。
Solstice DiskSuite の場合:
コントローラまたはトレーについては、「SPARCstorage Array トレーを稼動状態に戻すには (Solstice DiskSuite)」の該当する手順を参照してください。
ディスクについては、「SPARCstorage Array ディスクを交換するには (Solstice DiskSuite)」の該当する手順を参照してください。
SSVM または CVM の場合:
コントローラまたはトレーについては、「SPARCstorage Array トレーを稼動状態に戻すには (SSVM または CVM)」の該当する手順を参照してください。
ディスクについては、「SPARCstorage Array ディスクを交換するには (SSVM、CVM)」の該当する手順を参照してください。
luxadm sync_cache コマンドは、NVRAM からの未処理の書き込みをディスクドライブにフラッシュします。データのフラッシュ中にエラーが報告された場合は、luxadm purge コマンドを使用して、データをパージする必要があります。データをパージすると、NVRAM 内の未処理の書き込みがすべて「放棄」されます。
高速書き込みデータのパージは、データ消失を引き起こすことがあります。そのため、この処理はドライブに障害が発生した場合にだけ慎重に行なってください。
NVRAM バッテリーが弱いか欠如している場合、あるいは故障している場合は、NVRAM は動作せず、データは消失します。
次に、選択したコントローラ (とすべてのディスク) のすべての未処理の書き込み、または NVRAM からディスクへの個々の書き込みをフラッシュまたはパージする手順の概略を示します。
すべてのデータの現在のバックアップが存在することを確認する
root 特権があることを確認する
書き込みをフラッシュまたはパージするコントローラまたはディスクを確認する
すべての未処理の書き込みをフラッシュまたはパージする
デバイスの I/O をすべて停止する
デバイスを Sun Cluster のサービスに戻す
次に、NVRAM データをフラッシュまたはパージする詳しい手順を示します。
フラッシュまたはパージするコントローラまたは個々のディスクを確認します。
luxadm(1M) コマンドを使用して、特定のコントローラ、トレー、個々のディスクの情報を表示できます。たとえば、次のコマンドは、コントローラ c2 上のすべてのディスクの情報を表示します。
phys-hahost1# luxadm display c2 SPARCstorage Array Configuration Controller path: /devices/iommu@f,e0000000/sbus@f,e0001000/SUNW,soc@0,0/SUNW,pln@a0000000,779a16:ctlr DEVICE STATUS TRAY 1 TRAY 2 TRAY 3 slot 1 Drive: 0,0 Drive: 2,0 Drive: 4,0 2 Drive: 0,1 Drive: 2,1 Drive: 4,1 3 NO SELECT NO SELECT NO SELECT 4 NO SELECT NO SELECT NO SELECT 5 NO SELECT NO SELECT NO SELECT 6 Drive: 1,0 Drive: 3,0 Drive: 5,0 7 Drive: 1,1 NO SELECT NO SELECT 8 NO SELECT NO SELECT NO SELECT 9 NO SELECT NO SELECT NO SELECT 10 NO SELECT NO SELECT NO SELECT CONTROLLER STATUS Vendor: SUN Product ID: SSA110 Product Rev: 1.0 Firmware Rev: 3.9 Serial Num: 000000779A16 Accumulate Performance Statistics: Enabled phys-hahost1# |
影響を受けるデバイスの I/O をすべて停止します。
Solstice DiskSuite の場合:
コントローラまたはトレーについては、「SPARCstorage Array トレーを取り外すには (Solstice DiskSuite)」の該当する手順を参照してください。
ディスクについては、「SPARCstorage Array ディスクを交換するには (Solstice DiskSuite)」の該当する手順を参照してください。
SSVM または CVM の場合:
コントローラまたはトレーについては、「SPARCstorage Array トレーを取り外すには (SSVM、CVM)」の該当する手順を参照してください。
ディスクについては、「SPARCstorage Array ディスクを交換するには (SSVM、CVM)」の該当する手順を参照してください。
コントローラ、トレー、個々のディスクの NVRAM をフラッシュまたはパージします。
SPARCstorage Array のドライブにアクセスできる場合は、NVRAM をフラッシュしてください。NVRAM のパージは、SPARCstorage Array またはディスクにアクセスできなくなった場合にだけ行なってください。
phys-hahost1# luxadm sync_cache pathname または phys-hahost1# luxadm purge pathname |
NVRAM がフラッシュまたはパージされたことを示す確認メッセージが表示されます
コンポーネントを Sun Cluster の通常の制御下に戻すために必要な手順を実行します。
Solstice DiskSuite の場合:
コントローラまたはトレーについては、「SPARCstorage Array トレーを稼動状態に戻すには (Solstice DiskSuite)」の該当する手順を参照してください。
ディスクについては、「SPARCstorage Array ディスクを交換するには (Solstice DiskSuite)」の該当する手順を参照してください。
SSVM または CVM の場合:
コントローラまたはトレーについては、「SPARCstorage Array トレーを稼動状態に戻すには (SSVM または CVM)」の該当する手順を参照してください。
ディスクについては、「SPARCstorage Array ディスクを交換するには (SSVM、CVM)」の該当する手順を参照してください。