ボリューム (仮想ディスク) には、ファイルシステムやデータベースなどのアプリケーションを格納できます。ボリュームは、サブディスクを含むプレックス (最大 32) で構成されます。ボリュームを使用するためには、関連付けられた 1 つ以上のサブディスクに対応する 1 つ以上のプレックスが存在しなければなりません。ボリューム内のサブディスクはすべて、同じディスクグループに属する必要があります。
各ディスクグループのボリュームの作成と、各ボリュームに対応するミラーの作成には、GUI またはコマンド行ユーティリティ vxassist(1M) を使用してください。
SSVM デバイスまたは CVM デバイスの実際のサイズは、ディスクドライブ全体の容量よりもわずかに小さくなります。SSVM と CVM は、個人的な使用のための領域 (非共有領域と呼ばれる) を少量確保します。
異なるディスクグループにボリュームが属する場合は、同じボリューム名を使用することができます。
ダーティーリージョンログ (DRL) は、システム障害が発生した後に、ミラー化されたボリュームをすばやく回復させるために使用される、オプションのボリュームプロパティです。DRL は、ミラー化されたボリュームに対する I/O 書き込みが原因で変化した領域の記録をとり、この情報を使用して回復を要するボリュームの一部だけを回復させます。
ログサブディスクは、DRL が有効になっているボリュームの DRL を保存するために使用されます。DRL を使用するボリュームには、最低 1 つのログサブディスクが存在します (複数のログサブディスクを使用して DRL をミラー化できます)。各ログサブディスクは、ボリュームのプレックスの 1 つに対応しています。ログサブディスクは、プレックスあたり 1 つしか存在できません。プレックスにログサブディスクだけが含まれ、データサブディスクが含まれない場合、そのプレックスはログプレックスとして参照できます。ログサブディスクは、データサブディスクが入った通常のプレックスと関連付けることもできます。この場合、データサブディスクの 1 つに障害が発生したためにプレックスの切り離しが必要になると、ログサブディスクは使用できなくなる可能性があります。
既存のボリュームのログを作成するには、GUI またはコマンド行ユーティリティ vxassist(1M) を使用してください。
ホットリロケーションは、冗長 (ミラー化または RAID5) ボリュームマネージャオブジェクトの I/O 障害に自動的に反応し、それらのオブジェクトの冗長性とアクセスを自動的に復元するシステム機能です。ホットリロケーションは、SSVM を使用した構成でのみサポートされます。SSVM は、ボリュームマネージャオブジェクトの I/O 障害を検出し、影響を受けたサブディスクをスペアディスクに指定されたディスクに再配置するか、ディスクグループ内の領域を解放します。続いて SSVM は、障害が発生する前に存在していたオブジェクトを再構築し、それらを冗長でアクセス可能な状態に戻します。
部分的なディスク障害 (ディスク上の一部のサブディスクにだけ影響する障害) が発生した場合、ディスクの障害部分に存在する冗長データは再配置され、影響がなかったディスク部分から構成される既存のボリュームは以前のままアクセスできます。
ホットリロケーションが行われるのは、障害が発生したディスク上の冗長 (ミラー化または RAID5) サブディスクに対してだけです。障害が発生したディスク上の非冗長サブディスクは再配置されませんが、それらの障害の通知は行われます。
スペアディスクを交換用として使用するには、あらかじめ初期化し、ディスクグループにスペアとして入れておく必要があります。障害発生時にスペアに指定されたディスクが存在しないと、SSVM は障害が発生したディスクグループ内の使用できる任意の空き領域を自動的に使用します。十分な空き容量がない場合には、スペア領域と空き領域が組み合わされて使用されます。各ディスクグループでは、vxedit(1M) コマンドを使用して 1 つ以上のディスクをホットリロケーションのスペアとして指定できます。
タイプが fsgen であるボリューム上の、論理ホストのディスクグループに対応するファイルシステム (UFS または VxFS) は構成と指定が行えます。クラスタノードが論理ホストを制御する場合、ディスクグループに対応する、論理ホストのファイルシステムは制御側ノードの指定されたマウント先にマウントされます。
論理ホストの再構成作業が行われている間、fsck(1M) コマンドを使用してファイルシステムを検査する必要があります。この処理は UFS ファイルシステム上で非対話式の並列モードで行われますが、再構成作業の総合的な時間に影響を与える可能性があります。UFS、SDS、VxFS ファイルシステムのロギング機能は、ファイルシステムのマウントの前に fsck(1M) が使用する時間を大幅に短縮します。
ボリューム回復に加えてデータサービスのスイッチオーバーが必要な場合、回復は再構成にかかる時間よりも長くなります。この場合はタイムアウトし、ノードが停止します。
このため、ミラー化ボリュームを設定する場合は、システム障害時のボリューム回復時間を短縮するために必ず DRL ログを追加してください。クラスタ環境でミラー化ボリュームが使用されている場合は、500M バイトを超えるボリュームに DRL を割り当てる必要があります。
HA データサービスに 500M バイトを超える大きなファイルシステムが使用されている場合は、VxFS を使用してください。通常、VxFS は Sun Cluster には含まれていないため、Veritas 社から別途購入する必要があります。
非常に小さなミラー化ファイルシステムを使用して論理ホストを構成することも可能ですが、ファイルシステムのサイズが増えるにつれてタイムアウトが発生する可能性があるため、ダーティーリージョンログ (DRL) または VxFS ファイルシステムを使用することをお勧めします。
ファイルシステムが含まれるストライプ化されたボリュームまたは RAID5 ボリュームを拡張するには、そのボリュームに現在存在するディスクと同じ数のディスク上に空き領域がなければなりません。たとえば、一緒にストライプ化された 4 つの 1G バイトディスク (4G バイトファイルシステム 1 つ) が存在し、1G バイトの容量を追加する場合 (5G バイトのファイルシステムを作成する)、少なくても 0.25G バイトの空き領域をそれぞれ持つ 4 つの新しいディスクが必要です。つまり、1 つのディスクを 4 ディスク構成のストライプに追加することはできません。
SSVM または SSVM の GUI は、ファイルシステムを拡張するディスクを選択します。ファイルシステムを拡張させる特定のディスクを選択するには、コマンド行インタフェースを使用してください。
UFS ファイルシステムを直接縮小することは不可能ですが、ボリュームを作成し直し、そのボリュームに対して newfs を実行し、その後バックアップからデータを復元すれば縮小されたファイルシステムができます。