Sun Cluster 2.2 のシステム管理

メンテナンスシステムを使用して SPARCstorage Array の WWN を変更するには

ここでは、SPARCstorage Array コントローラを変更し、その WWN を障害の発生したコントローラの WWN に置き換える方法を説明します。この方法を使用すると、クラスタ内のノードを停止せずに SPARCstorage Array コントローラを交換できます。

この方法は、「保守用システム」(SPARCstorage Array をサポートできる任意の Sun アーキテクチャ) を使用します。保守用システムを使用することで、クラスタ内のノードを停止することなくこの作業を行えます。

保守用システムは、クラスタノードと同じバージョンの Solaris オペレーティング環境 (2.6 または 7) を読み込んでください。このシステムには、該当するすべてのパッチが必要です。また、CD-ROM ドライブ、Fibre Channel SBus Card (FC/S)、Fibre Channel Optical Module (FC/OM) も必要とします。このシステムの FCODE およびハードウェアリビジョンは、適切なものでなければなりません。保守用システムは、ネットワーク上のサーバーから起動することもできます。


注 -

保守用システムが使用できない場合は、クラスタノードの 1 つをこの目的で使用し、この作業の手順に従ってください。


次に、保守用システムを使用して SPARCstorage Array の WWN を変更する手順の概略を示します。

次に、保守用システムを使用して SPARCstorage Array の WWN を変更する詳しい手順を示します。

  1. 障害が発生した SPARCstorage Array コントローラが定足数コントローラの場合は、scconf(1M) コマンドを使用して新しい定足数コントローラを選択します。

    詳細は、scconf(1M) のマニュアルページを参照してください。

  2. SPARCstorage Array の WWN を確認します。

    • SPARCstorage Array の電源が落ちている場合は、次の方法で WWN を確認してください。

      WWN は、12 桁の 16 進数で構成されています。これらの数字は、デバイスパスコンポーネントの一部として示されます。WWN は、pln@a0 という文字の後に続く最後の 12 桁 (コンマを除く) です。現在の WWN を確認するには、SPARCstorage Array に接続されているクラスタノードで、ls(1) コマンドを実行してください。

    # ls -l /dev/rdsk/cNt0d0s0
    ...SUNW,pln@a0000000,7412bf ...

    この例では、SPARCstorage Array の WWN は 0000007412bf です。デバイス名の中の変数 N は、故障した SPARCstorage Array のコントローラ番号を示します。文字列「t0d0s0」は、1 つの例です。SPARCstorage Array 上に存在するデバイス名を使用するか、すべてのデバイスを指定するように /dev/rdsk/cN* を使用してください。

    • SPARCstorage Array が稼動中の場合は、luxadm(1M) コマンドを使用して WWN を確認できます。

      display オプションを指定して luxadm(1M) を実行し、コントローラを指定すると、SPARCstorage Array の情報がすべて表示されます。luxadm(1M) が示すシリアル番号が WWN です。

    # /usr/sbin/luxadm display cN
    
  3. 障害のある SPARCstorage Array コントローラから光ケーブルを外します。

  4. 障害のあるコントローラを交換します。

    この手順を行うには、SPARCstorage Array のサービスマニュアル内の操作説明に従ってください。

    SPARCstorage Array が完全には故障していない場合や、コントローラ障害以外のほかの理由で交換する場合は、SPARCstorage Array の各トレーごとに 「SPARCstorage Array トレーの管理」で説明されている手順を実行して、交換の準備を行なってください。

    SPARCstorage Array コントローラが完全に故障した場合は、ボリューム管理ソフトウェアによって交換の用意ができています。

  5. 保守用システムから新しいコントローラに光ケーブルを接続します。

  6. 保守用システムで OpenBoot PROM モードに入り、「mini-unix」を指定して起動します。

    製品 CD (またはネットワーク上の同等プログラム) を使用して、メンテナンスシステムをシングルユーザーモードに設定し、新しい SPARCstorage Array の WWN を含むデバイス構造のメモリ内バージョンを取得します。

    <#0> ok boot cdrom -s
     
    または
     
     <#0> ok boot netqe1 -s
    

    デバイス情報が永続的に変更されることを避けるために、「mini-unix」を使用してください。

  7. luxadm download コマンドを実行して、WWN を設定します。

    # /usr/sbin/luxadm -s -w WWN download cN
    

    WWN は、交換されるコントローラの 12 桁の WWN です。N は、デバイス名の cNtXdX に含まれるコントローラ番号です。WWN は、手順 2で取得したものです。


    注 -

    先頭のゼロは、合計 12 桁にするために WWN の一部として必ず入力する必要があります。



    注意 - 注意 -

    ダウンロード処理は中断しないでください。luxadm(1M) コマンドが終了し、シェルプロンプトが表示されるまで待ってください。


  8. プロンプトが再表示された後、SPARCstorage Array をリセットします。

    SPARCstorage Array のウィンドウに、新しいアドレスが表示されます。

  9. 保守用システムを停止します。

  10. SPARCstorage Array コントローラをクラスタノードに再度接続します。

  11. クラスタノードから、SPARCstorage Array のファームウェアレベルを調べます。

    ファームウェアの現行バージョンを確認するには、luxadm(1M) コマンドを使用します。この場合は、luxadm(1M) コマンドに、コントローラ番号 (次の例の N) を指定してください。

    # /usr/sbin/luxadm display cN
    

    注 -

    システム上に古いファームウェアが検出されると、Solaris システムはコンソールと /var/adm/messages に次のようなメッセージを表示します。


    NOTICE: pln0: Old SSA firmware has been detected (Ver:3.11) : 
    Expected (Ver:3.12) - Please upgrade

  12. (省略可能) コントローラのファームウェアをアップグレードする場合は、次の手順に従います。

    1. 適切なファームウェアをダウンロードします。詳細は、ファームウェアパッチ内の README ファイルを参照してください。

      # /usr/sbin/ssaadm download -f path/ssafirmware cN
      

      path は、ファームウェアが格納されているディレクトリのパスです。N は、コントローラ番号です。次に例を示します。

      # /usr/sbin/ssaadm download -f /usr/lib/firmware/ssa/ssafirmware cN
      
    2. SPARCstorage Array にある「SYS OK」ボタンを押してリセットします。

      再起動するまで少々時間がかかります。

    3. 手順 11を使用して、ファームウェアレベルを再度確認します。ファームウェアレベルまたは WWN が依然として不正な場合は、別のコントローラを使用して 手順 12を繰り返してください。

  13. ボリュームマネージャの回復を開始します。

    「SPARCstorage Array トレーの管理」を参照してください。SPARCstorage Array がすべてのノードでオンラインになり、かつそれらのノードからすべてのディスクが見えるようになるまで待ちます。