この節では、Sun Cluster の構成上の制限事項について説明します。
サービスとアプリケーションに関する次の制限事項に注意してください。
Sun Cluster は、それ自身が提供するデータサービスあるいは Sun Cluster データサービス API を使用して構成されたデータサービスに対してのみサービスを提供できます。
Sun Cluster 環境で sendmail(1M) はサポートされていないため、Sun Cluster のノードをメールサーバーとして構成しないでください。Sun Cluster のノードにメールディレクトリが存在してはなりません。
Sun Cluster システムをルーター (ゲートウェイ) として構成しないでください。システムが停止した場合、クライアントが代替ルーターを探して、回復することはできません。
Sun Cluster システムを NIS または NIS+ サーバーとして構成しないでください。ただし、NIS または NIS+クライアントとして構成することはできます。
Sun Cluster 構成を使用して、クライアントシステムに可用性の高い起動サービスあるいはインストールサービスを提供することはできません。
Sun Cluster HA for NFS に関する次の制限事項に注意してください。
Sun Cluster ノード上で、Sun Cluster HA for NFS にローカルにアクセスするアプリケーションを実行しないでください。たとえば、NFS によってエクスポートされた Sun Cluster ファイルシステムに Sun Cluster システムからローカルにアクセスしないでください。これは、ローカルロックによって、lockd(1M) の終了と再起動ができなくなるためです。終了して、再起動するまでの間に、ブロックされたローカルプロセスにロックが付与され、これにより、クライアントマシンがロックを再利用できなくなります。
Sun Cluster で、Sun Cluster HA for NFS リソースのクロスマウントを行うことはできません。
Sun Cluster HA for NFS では、NFS クライアントは必ずハードマウントする必要があります。
Sun Cluster HA for NFS では、論理ホストに対してホスト名の別名を使用しないでください。NFS クライアントが論理ホストのホスト名の別名を使用して HA ファイルシステムをマウントすると、statd ロックの回復で問題が発生することがあります。
Sun Cluster は、Secure NFS および、NFS での Kerberos の利用をサポートしていません。具体的には、share_nfs(1M) に対して -secure や -kerberos オプションを使用することできません。
ハードウェアに関する次の制限事項に注意してください。
Sun Cluster ノードのペアには、少なくとも 2 つの多重ホストディスク格納装置が必要です。これに対する例外は、Sun StorEdge A3000 ディスクを使用する場合であり、この場合、拡張装置は 1 つだけでかまいません。
Sun Cluster 2.2 と Solaris 7 の組み合わせで、SS1000 および SC2000 ハードウェアプラットフォームを使用することはできません。これらプラットフォームは、Solaris 2.6 では使用することができます。これは、Solaris 7 で SFE 1.0 の be(7D) ドライバがサポートされなくなったためです。このドライバは、SS1000 および SC2000 マシン上のクラスタインターコネクトに使用されます。
次の制限事項は、Ultra 2 シリーズの構成にだけ適用されます。
別の基本ハードウェア構成に移行するには、Sun Cluster ノードをインストールし直す必要があります。たとえば、FC/S カード 3 つと SQEC カード 1 つの構成から、FC/S カード 2 つと SQEC カード 1 つ、SFE または SunFDDITM カード 1 つの構成に移行するには、Sun Cluster ノードをインストールし直す必要があります。
FC/S カードに対するデュアル FC/OM は、SFE または SunFDDI カードと組み合わせる場合にのみサポートされます。
SFE または SunFDDI 0 カードの構成でデュアル FC/OM FC/S カードに障害が発生した場合は、ミラー化あるいはホットスペア処理によってではなく、フェイルオーバーによって回復モードになります。
Solstice DiskSuite に関する次の制限事項に注意してください。
メディエータを使用する Solstice DiskSuite の構成では、ディスクセットに設定するメディエータホスト数は偶数である必要があります。
Solstice DiskSuite 製品の RAID5 機能を使用することはできません。RAID5 は、Sun StorEdge Volume Manager あるいは Cluster Volume Manager でサポートされます。Sun StorEdge A3000 ディスク拡張装置を使用した場合は、ハードウェア方式の RAID5 もサポートされます。
クラスタ全体を停止させる電源障害が発生した場合、クラスタを再起動するには、管理者が介入する必要があります。管理者は、/var/adm/messages の内容を調べることによって最後に停止したノードを特定し、そのノードに対して scadmin startcluster を実行する必要があります。その他のクラスタノードに対しては scadmin startnode を実行して、クラスタをオンラインに戻します。
Sun Cluster ノード上でクライアントアプリケーションを実行しないでください。ローカルのインタフェースグループ構文のため、論理ホストのスイッチオーバーまたはフェイルオーバーによって、TCP (telnet/rlogin) 接続が切断されることがあります。クラスタのサーバーホストによって開始された接続だけでなく、クラスタ外部のクライアントホストによって開始された接続も切断されます。
Sun Cluster ノード上でシェルを使って /logicalhost ディレクトリにアクセスしないでください。スイッチオーバーまたはフェイルオーバーが試みられているときに /logicalhost ディレクトリにシェル接続すると、スイッチオーバーまたはフェイルオーバーができなくなります。
Solstice DiskSuite の growfs(1M) コマンドを使用して、Sun Cluster HA 管理ファイルシステムを大きくすることはできません。
論理ネットワークインタフェースは、Sun Cluster 用に予約されます。
Sun Prestoserve はサポートされていません。Prestoserve は、そのホストシステム内でのみ動作します。このことは、スイッチオーバーが発生した場合、Sun Cluster の兄弟ホストからは、Prestoserve メモリー上のいかなるデータも利用できなくなることを意味します。