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第 1 章
ご使用になる前に
このマニュアル (および付属の『Fortran プログラミングガイド』) で説明する Sun WorkShop Fortran コンパイラ
f77およびf95は、Solaris がサポートする各種ハードウェアプラットフォームの Solaris オペレーティング環境で使用できます。コンパイラは Fortran 言語規格に準拠しており、マルチプロセッサの並列化、最適化されたコードの精巧なコンパイル、C 言語と Fortran 言語のサポートなどの拡張機能を提供しています。Fortran コンパイラは、Sun Performance WorkShopTM の構成要素です。Fortran 90 のコンパイラである
f90は、f95に名前が変更されました。今回、f90コマンドはf95の別名になりました。どちらを使用しても、Sun Performance WorkShop 6 の Fortran 95 コンパイラを起動できます。規格への準拠
f77は、ANSI X3.9-1978 Fortran 規格およびこれに対応する国際標準化機構 (ISO)1539-1980 規格に準拠しています。そのほか、 FIPS 69-1、BS 6832、MIL-STD-1753 にも準拠しています。
f95は、ANSI X3.198-1992、ISO/IEC 1539:1991 および ISO/IEC 1539:1997 規格に準拠するように設計されました。- 両コンパイラの浮動小数点演算は、IEEE 754-1985 規格および国際規格の IEC 60559:1989 に準拠しています。
- SPARC プラットフォームでは、UltraSPARCTM の実装を含む SPARC V8 および SPARC V9 の機能を利用した最適化を
f77とf90の両方のコンパイラがサポートしています。これらの機能は『SPARC アーキテクチャマニュアル バージョン 8』
(トッパン刊) および バージョン 9 (ISBN 0-13-099227-5) で定義されています。- このマニュアルでは、「規格」 とは前述の規格のバージョンに準拠していることを意味します。また、これらの規格のバージョン以降の機能は、「規格外」 や 「拡張機能」 と呼ばれます。
これらの規格は規格団体によって改訂される場合があります。このコンパイラが準拠している規格のバージョンが改訂されたり、他のバージョンと交換されることがあります。その結果、Sun Fortran コンパイラのリリースが、将来的に、これまでのリリースと互換性を持たなくなる可能性があります。
Sun Fortran コンパイラの特徴
Sun Fortran コンパイラには以下の拡張機能があります。
f77: 引数、共通ブロック、パラメータなどの整合性をルーチン間で調べる、大域的なプログラム検査機能- SPARC のみ : 自動的および明示的にループを並列化する機能など、マルチプロセッサシステムに対するサポートが最適化に統合されている。
注 - Fortran コンパイラの並列化機能には、Sun WorkShop HPC のライセンスが必要です。
f77: VAX/VMS Fortran 5.0 拡張機能- TASK COMMON を含む、
f95用に拡張された CRAY 形式の並列化指令- OpenMP 並列化指令は、
f95で受け付けられます。- 大域的、ピープホール、および潜在的な並列化の最適化によって、パフォーマンスの高いアプリケーションが生成されます。最適化したアプリケーションの実行速度が、最適化していないコードと比較した場合、明らかに迅速であることをベンチマークが示します。
- Solaris システムでは呼び出し方式が共通しているので、C または C++ 言語で作成したルーチンを Fortran プログラムと結合できます。
- UltraSPARC プラットフォームで 64 ビットの Solaris の環境をサポートします。
- 値による呼び出し
%VALがf77とf95に実装されています。- FORTRAN 77 と Fortran 95 プログラム、およびオブジェクトバイナリに互換性があります。
f95における間隔演算式その他の Fortran ユーティリティ
Fortran でソフトウェアプログラムを開発するには、次のようなユーティリティを利用することができます。
- Sun WorkShop Performance Analyzer - シングルスレッドアプリケーションおよびマルチスレッドアプリケーション用の詳細なパフォーマンス解析ツール。
analyzer(1) を参照してください。
asa- この Solaris ユーティリティは、1 カラム目に Fortran の改行制御文字のあるファイルを印刷する際の Fortran の出力フィルタです。UNIX システムは改行制御を使用していないため、Fortran の改行制御規則で書式化されたファイルを UNIX のラインプリンタの規則にしたがった書式に変換するときに、asaを使用します。詳細はasa(1) を参照してください。
fpp- Fortran ソースコードプロセッサ。fpp(1) を参照してください。
fsplit- このユーティリティは、複数のルーチンで構成される 1 つの Fortran ファイルを、1 ルーチンが 1 ファイルに対応するように複数のファイルに分割します。FORTRAN 77 または Fortran 95 のソースファイルにはfsplitを使用します。詳細は、fsplit(1) を参照してください。デバッグユーティリティ
error- (f77のみ) コンパイルエラーメッセージと Fortran のソースファイルを統合するユーティリティです。このユーティリティは、Solaris のインストールをエンドユーザーシステムサポートではなく、開発者システムサポートでインストールした場合に限り、使用できます。また、SUNWbtoolパッケージをインストールした場合にも使用できます。
-Xlist- 引数やCOMMONブロックなどのルーチン間での整合性を検査するコンパイラオプションです。- Sun WorkShop -
dbxを使用したビジュアルなデバッギング環境を提供し、データビジュアライザおよびパフォーマンスデータコレクタが含まれます。Sun Performance Library
Sun Performance LibraryTM は、線形代数やフーリエ変換の演算に使用できる最適化サブルーチンと関数のライブラリです。このライブラリは、LAPACK、BLAS1、BLAS2、BLAS3、FFTPACK、VFFTPACK、および LINPACK といった標準ライブラリを基盤として構築されており、通常 NetLib (
www.netlib.org) から利用できます。Sun Performance Libraryに含まれている各副プログラムは、標準ライブラリのバージョンと同じ演算を行い、同じインタフェースを使用しますが、通常、マルチプロセッシング環境で実行したほうが、実行速度も速く、精度もより正確で、使いやすくなります。
詳細は、
Performance_libraryの README ファイルおよび『Sun Performance Library User's Guide』を参照してください (パフォーマンスライブラリルーチンのマニュアルページは、3P のセクションにあります)。区間演算
Fortran 95 のコンパイラの今回のリリースでは、新しい二つのコンパイラフラグである
-xiaおよび-xintervalが導入されました。これによって、コンパイラは、新しい言語拡張を認識し、適切なコードを生成して、区間演算計算を実行します。詳細は、『Fortran 95 区間演算プログラミングリファレンス』を参照してください。
マニュアルページ
オンラインマニュアル (
man) ページでは、コマンド、関数、サブルーチンに関する説明を迅速に参照することができます。Sun WorkShop マニュアルページにアクセスするための環境変数MANPATHの正しい設定値については、「はじめに」を参照してください。マニュアルページは、次のコマンドによって表示することができます。
mantopicFortran 関連のマニュアルでは、マニュアルページへの参照が必要な箇所では、トピック名とマニュアルセクション番号を示しています。たとえば、
f95(1) を参照する場合は、コマンド行でmanf95と入力します。ieee_flags(3M) などで示されるその他のセクションへは、manコマンドで-sオプションを指定してアクセスします。
man -s 3M ieee_flagsFortran のライブラリルーチンについては、マニュアルページの 3F セクションに記載されています。
以下に Fortran を使用する場合の、関連マニュアルページを示します。
READMEファイル
READMEsディレクトリには、新機能、ソフトウェアの互換性、バグについての説明、マニュアルが印刷された後に判明した情報を記載したファイルが置かれています。READMEsディレクトリの場所は、Solaris のバージョンやソフトウェアがインストールされた場所によって異なります。パスは、install_directory/SUNWspro/READMEs/jaです。通常インストールの場合、install_directory は、/optになります。標準インストールの READMEs は
/opt/SUNWspro/READMEs/jaにあります。
すべてのコンパイラの READMEs へは、
-xhelp=readmeコマンド行オプションで簡単にアクセスできます。たとえば、f95xhelp=readmeと指定すると、fortran_95README ファイルが直接表示されます。コマンド行ヘルプ
以下のようにコンパイラの
-helpオプションによって、f77とf95のコマンド行オプションの要約を表示することができます。
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