この節では、md.tab ファイルを使用して、メタデバイスおよびホットスペアの集合を構成する方法を説明します。なお、Solstice DiskSuite 4.2 の場合、md.tab ファイルは /etc/opt/SUNWmd 内にあります。Solstice DiskSuite 4.2.1 の場合、md.tab ファイルは /etc/lvm 内にあります。
ディスク ID を使用するために変換する md.tab ファイルをすでに作成している場合は、「DID 変換スクリプト」を変換に役立てることができます
metainit(1M) コマンドは、md.tab ファイルを使用して、バッチに似たモードでメタデバイスおよびホットスペアの集合を構成することができます。Solstice DiskSuite は、この md.tab ファイル内に構成情報を格納しません。md.tab ファイルには、手動で編集することによってのみ情報を入力することができます。
md.tab ファイル内では、各メタデバイスあるいはホットスペアの集合のエントリが重複してはいけません。エントリには、単純メタデバイス (ストライプ、結合、ストライプ連結)、ミラー、トランスメタデバイス、RAID5 メタデバイス、ホットスペアの集合を指定することができます。
md.tab ファイルには、手動で入力されたエントリだけが含まれます。この md.tab ファイルから、システム上のメタデバイス、ホットスペアの集合、複製に関する現在の構成情報が得られるわけではありません。
md.tab ファイルでは、タブ、空白、コメント (ハッシュ記号で始まる)、継続行 (バックスラッシュ改行で始まる) を使用できます。
なお、Solstice DiskSuite 4.2 の場合、md.tab ファイルは /etc/opt/SUNWmd 内にあります。Solstice DiskSuite 4.2.1 の場合、md.tab ファイルは /etc/lvm 内にあります。
ディスク構成の設定と関係する md.tab ファイルの設定にあたっては、次のガイドラインに従ってください。
管理しやすいよう、クラスタ内のすべてのノードに同じ内容の md.tab ファイルを保持することを推奨します。
多重ホストディスクおよびそのディスク上のパーティションを、複数のディスクセットに含めることはできません。
ディスクセットが使用するすべてのメタデバイスを完全にミラー化する必要があります。2 方向ミラーを推奨しますが、3 方向ミラーも使用できます。
ミラー用のサブミラーのコンポーネントが、そのミラーの定義に使用されている別のサブミラーの別のコンポーネントと同じコントローラ上に存在していてはいけません。
3 つ以上のディスク列を使用する場合、各ディスクセットは、少なくとも 3 つの異なるコントローラのディスクで構成する必要があります。ディスク 2 つだけの列を使用する場合は、ディスクセットをその 2 つのコントローラのディスクで構成して、メディエータを設定します。二重列メディエータの使用についての詳細は、『Sun Cluster 2.2 のシステム管理』を参照してください。
ホットスペアの使用を推奨しますが、必須ではありません。ホットスペアを使用する場合は、ホットスペアドライブを起動することによって、メタミラー用のサブミラーのコンポーネントがそのメタミラーの定義に使用されている別のサブミラーの別のコンポーネントとコントローラを共有しないようにホットスペアを構成してください。
SolsticeDiskSuite の UFS ロギングを使用する場合は、md.tab ファイルにミラー化メタデバイスを設定する必要があるだけです。トランスデバイスを設定する必要はありません。
Solstice DiskSuite ロギングを使用する場合は、トランスメタデバイス上にのみ多重ホストファイルシステムを作成してください。すべてのトランスメタデバイスのロギングとマスターデバイスコンポーネントの両方をミラー化する必要があります。
Solstice DiskSuite ロギングを使用する場合は、複数のドライブにまたがってロギングおよびマスターデバイスをストライプ化していない場合は、同じトランスメタデバイスのロギングデバイスとマスターデバイス間でスピンドルを共有しないでください。そうしなければ、システムの性能が落ちます。
各ディスクセットには、小さな管理ファイルシステムが関係付けられます。このファイルシステムは、NFS 共有されません。このファイルシステムは、データサービスに固有の状態または構成情報用に使用されます。管理ファイルシステムの名前は、ディスクセットのデフォルトのマスターである論理ホストと同じである必要があります。この方法は、DBMS 障害モニターの起動を有効にするために必要です。
md.tab ファイル内の行の順序は重要ではありませんが、後述するような順でファイルを作成してください。次の md.tab のサンプルファイルでは、green というディスクセット用のメタデバイスを定義しています。# を使用して、ファイルにコメントを付けることができます。この例では、論理ホスト名も green です。
# administrative file system for logical host mounted under /green green/d0 -t green/d1 green/d4 green/d1 -m green/d2 green/d3 green/d2 1 1 /dev/did/rdsk/d1s4 green/d3 1 1 /dev/did/rdsk/d2s4 green/d4 -m green/d5 green/d6 green/d5 1 1 /dev/did/rdsk/d3s5 green/d6 1 1 /dev/did/rdsk/d4s5 # /green/web green/d10 -t green/d11 green/d14 green/d11 -m green/d12 green/d13 green/d12 1 1 /dev/did/rdsk/d1s0 green/d13 1 1 /dev/did/rdsk/d2s0 green/d14 -m green/d15 green/d16 green/d15 1 1 /dev/did/rdsk/d3s6 green/d16 1 1 /dev/did/rdsk/d4s6 #/green/home to be NFS-shared green/d20 -t green/d21 green/d24 green/d21 -m green/d22 green/d23 green/d22 1 1 /dev/did/rdsk/d3s0 green/d23 1 1 /dev/did/rdsk/d4s0 green/d24 -m green/d25 green/d26 green/d25 1 1 /dev/did/rdsk/d1s6 green/d26 1 1 /dev/did/rdsk/d2s6 |
先頭行では、管理ファイルシステムを、マスター(UFS) メタデバイス d1 とログデバイス d4 で構成されるトランスメタデバイス d0 と定義しています。-t は、このデバイスがトランスメタデバイスであることを意味します。マスターデバイスとログデバイスであることは、-t フラグの後の位置で示されます。
2 行目では、マスターデバイスをメタデバイスのミラーと定義しています。この定義中の -m は、ミラーデバイスであることを意味します。
green/d1 -m green/d2 green/d3 |
同様に 5 行目では、ログデバイスの d4 をメタデバイスのミラーと定義しています。
green/d4 -m green/d5 green/d6 |
3 行目では、マスターデバイスの 1 つ目のサブミラーを 1 方向ストライプと定義しています。
green/d2 1 1 /dev/did/rdsk/d1s4 |
次の 4 行目では、もう 1 つのマスターサブミラーを定義しています。
green/d3 1 1 /dev/did/rdsk/d2s4 |
最後は、ログデバイスのサブミラーの定義です。この例では、それぞれのサブミラー用に単純メタデバイスを作成します。
green/d5 1 1 /dev/did/rdsk/d3s5 green/d6 1 1 /dev/did/rdsk/d4s5 |
同様に、別の 2 つのアプリケーション用のミラーが作成されています。d10 には、web サーバーとファイルが含まれ、d20 には NFS 共有ファイルシステムが含まれます。
サブミラーに使用するディスクにデータがすでに存在している場合は、メタデバイスを構成する前にそのデータのバックアップを取り、ミラーに復元する必要があります。