Sun Cluster 2.2 のシステム管理

第 10 章 Sun Cluster ローカルディスクの管理

この章では、Sun Cluster ローカルディスクの管理方法について説明します。この章に示す作業の一部は、ボリューム管理ソフトウェア (Solstice DiskSuite、VxVM) によって異なります。ボリュームマネージャによって作業方法が異なる場合は、作業のタイトル名にボリュームマネージャ名が示されています。

この章では、次の項目について説明します。

Sun Cluster では、その管理の一環として構成状態の監視を行います (監視方法については第 2 章「Sun Cluster の管理ツール」を参照)。この監視処理によって、ローカルディスクの障害が明らかになる場合があります。以下の節では、発見された障害の解決方法について説明しています。

多重ホストディスクの管理作業については、使用しているディスク拡張装置の管理について説明している章を参照してください。Sun Cluster 構成内のハードウェアを交換または修理する場合は、ボリュームマネージャのマニュアルも参照してください。

バックアップからのローカル起動ディスクの復元

ソフトウェア上の問題によって起動ディスクを認識できない状態が発生した場合や、オペレーティングシステムのアップグレードに失敗した場合、ハードウェア障害が発生した場合などには、クラスタノードの起動ディスクを交換する必要があります。起動ディスクを認識できる状態に復元する場合やディスクを交換する場合は、以下の各作業方法を参照してください。


注 -

これらの作業は、起動ディスクのバックアップコピーが存在することを前提としています。


バックアップからローカル起動ディスクを復元するには (Solstice DiskSuite)

物理ホストが同じクラスタ内に存在する場合は、ほかのホストがすべてのホストにデータサービスを提供している間に、ローカルホストに対してこの作業を実行します。この例では、2 つの物理ホスト phys-hahost1phys-hahost2、および 2 つの論理ホスト hahost1hahost2 を使用します。

次に、Solstice DiskSuite 構成でバックアップから起動ディスクを復元する手順の概略を示します。

次に、Solstice DiskSuite 構成で、バックアップから起動ディスクを復元する詳しい手順を示します。この例では、phys-hahost1 に復元されるディスクが含まれており、起動ディスクはミラー化されていません。

  1. 復元が必要なホストを停止します。

  2. クラスタ内のほかのホストで、metaset(1M) コマンドを使用して、ディスクセットから復元対象のホストを削除します。

    この例では、クラスタ内のほかのホスト phys-hahost2 から metaset(1M) コマンドを実行しています。

    phys-hahost2# metaset -s hahost1 -f -d -h phys-hahost1
    phys-hahost2# metaset -s hahost2 -f -d -h phys-hahost1
    
  3. バックアップメディアから復元されるホストで、起動ディスクを復元します。

    Solaris システム管理マニュアルにあるファイルやファイルシステムを復元する手順を使い、ブートディスクファイルシステムを復元します。

  4. 復元対象のホストを再起動します。

  5. DiskSuite の古い複製を削除し、再起動します。

    障害が発生したディスクを交換すると、古い複製は存在しなくなります。ディスクを復元する場合は、metadb(1M) コマンドを実行して古い複製が存在するかどうかを確認してください。存在する場合は、古い複製を削除してください。


    注 -

    複製のデフォルトの位置はスライス 7 ですが、複製を必ずしもスライス 7 に置く必要はありません。


    phys-hahost1# metadb -d -f c0t3d0s7
    phys-hahost1# reboot
    
  6. metadb(1M) コマンドを使用して、復元されたディスクに DiskSuite の新しい複製を作成します。

    phys-hahost1# metadb -afc 3 c0t3d0s7
    
  7. 兄弟ホストから、復元されたホストをディスクセットに追加します。

    phys-hahost2# metaset -s hahost1 -a -h phys-hahost1
    phys-hahost2# metaset -s hahost2 -a -h phys-hahost1
    
  8. 復元されたホストで Sun Cluster を起動します。

    phys-hahost1# scadmin startnode
    
  9. 必要に応じて、論理ホストをデフォルトマスターにスイッチバックします。

    手動モードが設定されていない場合は、自動スイッチバックが発生します。

    phys-hahost1# haswitch phys-hahost1 hahost1
    

バックアップからローカル起動ディスクを復元するには (VxVM)

物理ホストが同じクラスタ内に存在する場合は、ほかのホストがすべてのホストにデータサービスを提供している間に、ローカルホストに対してこの作業を実行します。この例では、2 つの物理ホスト phys-hahost1phys-hahost2、および 2 つの論理ホスト hahost1hahost2 を使用します。この例では、起動ディスクはミラー化されていません。

次に、VxVM 構成で、バックアップから起動ディスクを復元する手順の概略を示します。

次に、VxVM 構成で、バックアップから起動ディスクを復元する詳しい手順を示します。この例では、phys-hahost1 に復元対象のディスクが含まれています。

  1. 復元が必要なホストを停止します。

  2. バックアップメディアから、復元対象のホストの起動ディスクを復元します。

    Solaris システム管理マニュアルにあるファイルやファイルシステムを復元する手順を使い、ブートディスクファイルシステムを復元します。

  3. 復元対象のホストを再起動します。

    再起動によって、ホストにすべてのデバイスが認識されます。


    注 -

    ディスクが予約されている場合は、予約が解除された時点で vxdctl -enable を実行しなければならない場合があります。


  4. ローカルホストで Sun Cluster を起動します。

    phys-hahost1# scadmin startnode
    
  5. 必要に応じて、論理ホストをデフォルトマスターにスイッチバックします。

    手動モードが設定されていない場合は、自動スイッチバックが発生します。

    phys-hahost1# haswitch phys-hahost1 hahost1
    

ローカル非起動ディスクの交換

この節では、Solaris オペレーティングシステム環境を含まない、障害のあるローカルディスクの交換方法について説明します。

ローカル非起動ディスクに障害が発生した場合は、通常、バックアップコピーを使用してデータを新しいディスクに復元することにより回復させます。

ローカル起動ディスクの復元方法は、「バックアップからローカル起動ディスクを復元するには (Solstice DiskSuite)」と、「バックアップからローカル起動ディスクを復元するには (VxVM)」で説明しています。

次に、障害が発生したローカル非起動ディスクを交換する手順の概略を示します。

ローカル非起動ディスクを交換するには

次に、障害が発生したローカル非起動ディスクを交換する詳しい手順を示します。この例では、phys-hahost2 に障害が発生したディスクが含まれています。

  1. (省略可能) 障害が発生したディスクが含まれたノードで Sun Cluster サービスを停止し、ノードを停止します。

    ノードが SPARCstorage Array ディスクから起動する場合は、この手順を行う必要はありません。ただし、稼動中の起動ディスクと同じ SCSI バス上に交換対象のディスクが設置されている場合は、Sun Cluster を停止し、ノードを停止する必要があります。

    # scadmin stopnode
     ...
     # halt
  2. ディスクを交換します。

    Sun Cluster ノードのサービスマニュアルに示されている手順に従ってください。

  3. シングルユーザーモードでノードを起動します。

  4. format(1M) または fmthard(1M) コマンドを実行して、新しいディスクを再分割します。

    新しいディスクは、交換したディスクとまったく同じになるように分割してください (ディスクフォーマット情報の保存については、第 1 章「Sun Cluster の管理の準備」で説明しています)。

  5. 新しいスライスで newfs(1M) コマンドを実行し、ファイルシステムを作成します。

  6. mount(1M) コマンドを実行し、該当するファイルシステムをマウントします。

    ファイルシステムごとに、デバイスとマウントポイントを指定してください。

  7. バックアップコピーからデータを復元します。

    『Solaris のシステム管理』で説明されている手順に従ってください。

  8. ノードを再起動します。

  9. そのローカルホストで Sun Cluster を起動します。

    phys-hahost1# scadmin startnode
    
  10. 必要に応じて、論理ホストをデフォルトマスターにスイッチバックします。

    手動モードが設定されていない場合は、自動スイッチバックが発生します。

    phys-hahost2# haswitch phys-hahost2 hahost2