ここでは、SPARCstorage Array コントローラを変更し、その WWN を障害の発生したコントローラの WWN に置き換える方法を説明します。この方法を使用すると、クラスタ内のノードを停止せずに SPARCstorage Array コントローラを交換できます。
この方法は、「保守用システム」(SPARCstorage Array をサポートできる任意の Sun アーキテクチャ) を使用します。保守用システムを使用することで、クラスタ内のノードを停止することなくこの作業を行えます。
保守用システムは、クラスタノードと同じバージョンの Solaris オペレーティング環境を読み込んでください。このシステムには、該当するすべてのパッチが必要です。また、CD-ROM ドライブ、Fibre Channel SBus Card (FC/S)、Fibre Channel Optical Module (FC/OM) も必要とします。このシステムの FCODE およびハードウェアリビジョンは、適切なものでなければなりません。保守用システムは、ネットワーク上のサーバーから起動することもできます。
保守用システムが使用できない場合は、クラスタノードの 1 つをこの目的で使用し、この作業の手順に従ってください。
次に、保守用システムを使用して SPARCstorage Array の WWN を変更する手順の概略を示します。
(省略可能) コントローラが定足数デバイスの場合は、scconf(1M) コマンドを使用して新しい定足数デバイスを選択する
交換する SPARCstorage Array の WWN を取得する
光ケーブルを取り外し、コントローラまたは SPARCstorage Array を交換する
保守用システムから新しいコントローラに光ケーブルを接続する
Solaris CD-ROM から「mini-unix」を使用して保守用システムを起動する
元の WWN をダウンロードする
SPARCstorage Array をリセットする
メンテナンスシステムを停止する
SPARCstorage Array コントローラをクラスタノードに接続する
クラスタノードから、新しいコントローラのファームウェアレベルを調べる
(省略可能) 必要に応じて、クラスタノードから新しいコントローラのファームウェアをアップグレードする
SPARCstorage Array トレーをオンラインにし、ボリューム管理回復を行う
次に、保守用システムを使用して SPARCstorage Array の WWN を変更する詳しい手順を示します。
障害が発生した SPARCstorage Array コントローラが定足数コントローラの場合は、scconf(1M) コマンドを使用して新しい定足数コントローラを選択します。
詳細は、scconf(1M) のマニュアルページを参照してください。
SPARCstorage Array の WWN を確認します。
SPARCstorage Array の電源が落ちている場合は、次の方法で WWN を確認してください。
WWN は、12 桁の 16 進数で構成されています。これらの数字は、デバイスパスコンポーネントの一部として示されます。WWN は、pln@a0 という文字の後に続く最後の 12 桁 (コンマを除く) です。現在の WWN を確認するには、SPARCstorage Array に接続されているクラスタノードで、ls(1) コマンドを実行してください。
# ls -l /dev/rdsk/cNt0d0s0 ...SUNW,pln@a0000000,7412bf ... |
この例では、SPARCstorage Array の WWN は 0000007412bf です。デバイス名の中の変数 N は、故障した SPARCstorage Array のコントローラ番号を示します。文字列「t0d0s0」は、1 つの例です。SPARCstorage Array 上に存在するデバイス名を使用するか、すべてのデバイスを指定するように /dev/rdsk/cN* を使用してください。
SPARCstorage Array が稼動中の場合は、luxadm(1M) コマンドを使用して WWN を確認できます。
display オプションを指定して luxadm(1M) を実行し、コントローラを指定すると、SPARCstorage Array の情報がすべて表示されます。luxadm(1M) が示すシリアル番号が WWN です。
# /usr/sbin/luxadm display cN |
障害のある SPARCstorage Array コントローラから光ケーブルを外します。
障害のあるコントローラを交換します。
この手順を行うには、SPARCstorage Array のサービスマニュアル内の操作説明に従ってください。
SPARCstorage Array が完全には故障していない場合や、コントローラ障害以外のほかの理由で交換する場合は、SPARCstorage Array の各トレーごとに 「SPARCstorage Array トレーの管理」で説明されている手順を実行して、交換の準備を行なってください。
SPARCstorage Array コントローラが完全に故障した場合は、ボリューム管理ソフトウェアによって交換の用意ができています。
保守用システムから新しいコントローラに光ケーブルを接続します。
保守用システムで OpenBoot PROM モードに入り、「mini-unix」を指定して起動します。
製品 CD (またはネットワーク上の同等プログラム) を使用して、メンテナンスシステムをシングルユーザーモードに設定し、新しい SPARCstorage Array の WWN を含むデバイス構造のメモリ内バージョンを取得します。
<#0> ok boot cdrom -s or <#0> ok boot netqe1 -s |
デバイス情報が永続的に変更されることを避けるために、「mini-unix」を使用してください。
luxadm download コマンドを実行して、WWN を設定します。
# /usr/sbin/luxadm -s -w WWN download cN |
WWN は、交換されるコントローラの 12 桁の WWN です。N は、デバイス名の cNtXdX に含まれるコントローラ番号です。WWN は、手順 2で取得したものです。
先頭のゼロは、合計 12 桁にするために WWN の一部として必ず入力する必要があります。
ダウンロード処理は中断しないでください。luxadm(1M) コマンドが終了し、シェルプロンプトが表示されるまで待ってください。
プロンプトが再表示された後、SPARCstorage Array をリセットします。
SPARCstorage Array のウィンドウに、新しいアドレスが表示されます。
保守用システムを停止します。
SPARCstorage Array コントローラをクラスタノードに再度接続します。
クラスタノードから、SPARCstorage Array のファームウェアレベルを調べます。
ファームウェアの現行バージョンを確認するには、luxadm(1M) コマンドを使用します。この場合は、luxadm(1M) コマンドに、コントローラ番号 (次の例の N) を指定してください。
# /usr/sbin/luxadm display cN |
システム上に古いファームウェアが検出されると、Solaris システムはコンソールと /var/adm/messages に次のようなメッセージを表示します。
NOTICE: pln0: Old SSA firmware has been detected (Ver:3.11) : Expected (Ver:3.12) - Please upgrade |
(省略可能) コントローラのファームウェアをアップグレードする場合は、次の手順に従います。
適切なファームウェアをダウンロードします。詳細は、ファームウェアパッチ内の README ファイルを参照してください。
# /usr/sbin/ssaadm download -f path/ssafirmware cN |
path は、ファームウェアが格納されているディレクトリのパスです。N は、コントローラ番号です。次に例を示します。
# /usr/sbin/ssaadm download -f /usr/lib/firmware/ssa/ssafirmware cN |
SPARCstorage Array にある「SYS OK」ボタンを押してリセットします。
再起動するまで少々時間がかかります。
手順 11を使用して、ファームウェアレベルを再度確認します。ファームウェアレベルまたは WWN が依然として不正な場合は、別のコントローラを使用して 手順 12を繰り返してください。
ボリュームマネージャの回復を開始します。
「SPARCstorage Array トレーの管理」を参照してください。SPARCstorage Array がすべてのノードでオンラインになり、かつそれらのノードからすべてのディスクが見えるようになるまで待ちます。