Sun Cluster Geographic Edition の概要

災害からの復旧

災害耐性とは、主クラスタに障害が発生した場合に二次クラスタ上でアプリケーションを復元するシステムの能力です。災害耐性のベースは、データ複製とフェイルオーバーです。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、次の要素を冗長配備することで、災害耐性を実現しています。

データ複製とは、主クラスタから二次クラスタに継続的にデータをコピーするプロセスのことです。データ複製によって、二次クラスタには主クラスタの最新データのコピーが保存されます。二次クラスタは、主クラスタから地理的に離れた場所にも設置できます。

フェイルオーバーとは、主クラスタから二次クラスタへの、リソースグループまたはデバイスグループの自動再配置です。主クラスタに障害が発生した場合でも、アプリケーションとデータは二次クラスタで即座に使用できます。

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは 2 種類のサービス移行、スイッチオーバーとテイクオーバーをサポートしています。スイッチオーバーは、主クラスタから二次クラスタへの、計画的なサービス移行です。スイッチオーバーの間、主クラスタは二次クラスタに接続しており、二次クラスタとの間でサービスの移行の調整を行います。この調整によって、データ複製の完了が可能となり、データの消失や破損を最小限に抑えながら主クラスタから二次クラスタに確実にサービスを転送できるようになります。

テイクオーバーは、主クラスタから二次クラスタへの、緊急のサービス移行です。システム管理者は、災害から復旧する目的でテイクオーバーを開始できます。スイッチオーバーとは異なり、テイクオーバー時には、主クラスタは二次クラスタには接続されません。そのため、主クラスタは二次クラスタと調整してサービスを移行することはできません。このような調整が行われないため、テイクオーバーではスイッチオーバーよりもデータ損失とデータ破損のリスクが高くなります。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、テイクオーバー時に専用の復旧手順を使用して、データ損失とデータ破損を最小限に抑えます。