Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理

第 7 章 保護グループの管理

この章では、データ複製を必要としない保護グループの作成と構成の手順について説明します。この章では、次の節について説明します。

保護グループの概要

保護グループを使用してサービス用のリソースグループを管理すると、クラスタ群が災害に耐え、災害から復旧できるようになります。保護グループを設定できるのはパートナーシップ内だけです。パートナーシップの保護グループを作成できるように、あらかじめパートナーシップを作成する必要があります。保護グループには、アプリケーションリソースグループと、それらのアプリケーションリソースグループのデータ複製を管理するためのプロパティーが含まれます。

パートナークラスタには、アプリケーションリソースグループ構成の複製を配置できます。保護グループの構成は両方のパートナークラスター上で同一であるため、パートナークラスタには、その構成で定義されている保護グループのアプリケーションリソースグループが必要です。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、パートナー間で保護グループの構成を伝達します。

保護グループ内におけるデータ複製の種類を指定することにより、パートナークラスタ間でのデータ複製に使用されるメカニズムを指定できます。データ複製によってサービスが災害から保護されている場合、保護グループにも複製リソースグループが含まれています。保護グループは、リソースグループ内のアプリケーションを、複製するべきアプリケーションデータとリンクします。このリンクと複製により、アプリケーションは特定のクラスタから別のクラスタに、シームレスにフェイルオーバーできるようになります。

データ複製を必要とする保護グループの作成方法については、次のデータ複製ガイドを参照してください。

データ複製を必要としない保護グループの作成

保護グループの中にはデータ複製を必要としないものがあります。Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアを使用してリソースグループだけを管理している場合は、データを複製しない保護グループを作成できます。geoadm status コマンドでは、これらの保護グループは Degraded 状態と報告されます。この節では、保護グループがデータ複製を使用しないように構成する方法について説明します。


注 –

データ複製を使用しない保護グループにはデバイスグループを追加できません。


Procedureデータ複製を使用しないように構成された保護グループを作成する

始める前に

保護グループを作成するには、次の条件が満たされているかをまず確認する必要があります。


注 –

保護グループ名は Sun Cluster Geographic Edition のグローバルネームスペース内で一意です。同じシステム上の複数のパートナーシップ内で同じ保護グループ名を使用することはできません。


  1. クラスタノードの 1 つにログインします。

    この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。

  2. geopg create コマンドを実行して新しい保護グループを作成します。

    このコマンドは、ローカルクラスタ上に保護グループを作成します。


    # geopg create -s partnershipname -o localrole \
    [-p property [-p...]] \
    protectiongroupname
    
    -s partnershipname

    パートナーシップの名前を指定します。

    -o localrole

    この保護グループのローカルクラスタでの役割を指定します (Primary または Secondary)。

    -p propertysetting

    保護グループのプロパティーを指定します。

    次のプロパティーを指定できます。

    • Description – 保護グループについて説明する。

    • Timeout – 保護グループのタイムアウト間隔を秒単位で指定する。データ複製構成の複雑さに応じて、タイムアウト間隔をデフォルト値から変更することができます。タイムアウト間隔の設定については、表 A–4を参照してください。

    • RoleChange_ActionArgs – 役割変更コールバックコマンドの実行時に、コマンド行の最後でシステム定義の引数のあとに付けられる文字列を指定します。

    • RoleChange_ActionCmd – 実行可能コマンドへのパスを指定します。このスクリプトは、新しい主クラスタ上で保護グループが起動されたときに、その新しい主クラスタ上でスイッチオーバーまたはテイクオーバー中に呼び出されます。スクリプトは、データ複製の役割が二次クラスタから主クラスタに変更されたあと、アプリケーションリソースグループがオンラインになる前に、新しい主クラスタ上で呼び出されます。データ複製の役割変更が成功しなかった場合は、スクリプトは呼び出されません。

      このパスは、保護グループをホストできるすべてのパートナークラスタの全ノードで有効にしてください。

    設定できるプロパティーについての詳細は、 付録 A 「Sun Cluster Geographic Edition の標準プロパティー」を参照してください。

    protectiongroupname

    保護グループの名前を指定します。

    Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでサポートされる名前と値については、付録 B 「Sun Cluster Geographic Edition エンティティーに使用できる名前と値」を参照してください。

    geopg コマンについては、geopg(1M) のマニュアルページを参照してください。


例 7–1 データ複製を使用しない構成で保護グループを作成

この例では、データ複製を使用しないように構成された保護グループを作成する方法を示します。


# geopg create -s paris-newyork-ps -o primary example-pg

次の手順

保護グループへのリソースグループの追加については、次のいずれかのガイドを参照してください。