Sun Cluster Geographic Edition Sun StorEdge Availability Suite 向けデータ複製ガイド

テイクオーバー後の Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 データの回復

テイクオーバーが正常に完了すると、二次クラスタ cluster-newyork が保護グループの主クラスタになり、この二次クラスタ上でサービスがオンラインになります。元の主クラスタが回復したところで、「フェイルバック」と呼ばれる処理を行なって元の主クラスタ上で再びサービスをオンラインにすることができます。

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアでは、次の 2 種類のフェイルバックがサポートされています。

元の主クラスタを再び起動したあとに、新しい主クラスタ cluster-newyork を主クラスタとして残し、元の主クラスタ cluster-paris を二次クラスタとして残す場合は、スイッチオーバーやテイクオーバーを実行せずに、保護グループの構成を再同期させて再検証することができます。

Procedure保護グループの構成を再同期させて再検証する

次の手順を実行して、元の主クラスタ cluster-paris 上のデータと現在の主クラスタ cluster-newyork との間でデータの再同期と再検証を行います。

始める前に

保護グループの構成の再同期と再検証を行う前、cluster-newyork ではすでにテイクオーバーが発生しています。現在のクラスタの役割は次のとおりです。

  1. 元の主クラスタ cluster-paris を現在の主クラスタ cluster-newyork と再同期させます。

    クラスタ cluster-paris はその独自の構成を失い、cluster-newyork 構成をローカルに複製します。パートナーシップ構成と保護グループ構成の両方を再同期させます。

    1. cluster-paris 上で、ローカルクラスタ上の保護グループを無効にします。


      # geopg stop -e Local protectiongroupname
      
      -e Local

      コマンドの範囲を指定します。

      範囲を local と指定すると、ローカルクラスタだけがコマンドの対象となります。

      protectiongroupname

      保護グループの名前を指定します。

      保護グループがすでに無効になっている場合は、保護グループ内のリソースグループの状態は通常 Error です。状態が Error であるのは、アプリケーションリソースグループが現在管理されていてオフラインであるためです。

      保護グループを無効にすると、アプリケーションリソースグループは管理対象でなくなり、Error 状態が解消されます。

    2. cluster-paris で、パートナーシップを再同期させます。


      # geops update partnershipname
      
      partnershipname

      パートナーシップの名前を指定します


      注 –

      複数の保護グループを再同期させている場合でも、この手順は 1 回実行するだけで済みます。


      パートナーシップの同期については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』「パートナーシップの再同期」を参照してください。

    3. cluster-paris で、各保護グループを再同期させます。

      cluster-newyork 上の保護グループの役割は primary であるため、この手順により cluster-paris 上の保護グループの役割は secondary になります。


      # geopg update protectiongroupname 
      
      protectiongroupname

      保護グループの名前を指定します

      保護グループの同期については、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループの再同期」を参照してください。

  2. cluster-paris 上で、個々の保護グループの構成を検証します。


    # geopg validate protectiongroupname 
    
    protectiongroupname

    単一の保護グループを識別する一意の名前を指定します

    詳細は、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを検証する方法」を参照してください。

  3. cluster-paris で、各保護グループを有効にします。

    保護グループを有効にすると、そのアプリケーションリソースグループもオンラインになります。


    # geopg start -e Global protectiongroupname
    
    -e Global

    コマンドの範囲を指定します。

    Global スコープを指定すると、保護グループが配備されている両方のクラスタがコマンドの対象となります。

    protectiongroupname

    保護グループの名前を指定します。


    注意 – 注意 –

    現在の主クラスタ cluster-newyork から現在の二次クラスタ cluster-paris にデータを再同期させる必要があるため、-n オプションを使用しないでください。

    保護グループの役割が secondary であるため、現在の二次クラスタ cluster-paris のデータが現在の主クラスタ cluster-newyork のデータに同期します。

    geopg start コマンドについては、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを有効にする方法」を参照してください。


  4. データが完全に同期したことを確認します。

    まず、cluster-newyork 上の保護グループの状態が OK であることを確認します。


    phys-newyork-1# geoadm status

    出力の保護グループセクションを参照してください。

    次に、複製リソースグループ AVSprotectiongroupname-rep-rg 内のすべてのリソースの状態が OK であることを確認します。


    phys-newyork-1# scstat -g

ProcedureSun StorEdge Availability Suite 3.2.1 複製を使用するシステム上でフェイルバックスイッチオーバーを実行する

この手順は、元の主クラスタ cluster-paris のデータが現在の主クラスタ cluster-newyork のデータと再同期されたあとで、アプリケーションを元の主クラスタで再起動するときに使用します。

フェイルバックの手順はパートナーシップ内のクラスタにのみ適用されます。ここでの手順はパートナーシップごとに 1 回実行するだけで済みます。

始める前に

フェイルバックスイッチオーバーを実行する前に、cluster-newyork ではテイクオーバーが発生していました。現在のクラスタの役割は次のとおりです。

  1. 元の主クラスタ cluster-paris を現在の主クラスタ cluster-newyork と再同期させます。

    クラスタ cluster-paris はその独自の構成を失い、cluster-newyork 構成をローカルに複製します。パートナーシップ構成と保護グループ構成の両方を再同期させます。

    1. cluster-paris 上で、ローカルクラスタ上の保護グループを無効にします。


      phys-paris-1# geopg stop -e Local protectiongroupname
      
      -e Local

      コマンドの範囲を指定します。

      範囲を local と指定すると、ローカルクラスタだけがコマンドの対象となります。

      protectiongroupname

      保護グループの名前を指定します。

      保護グループがすでに無効になっている場合は、保護グループ内のリソースグループの状態は通常 Error です。状態が Error であるのは、アプリケーションリソースグループが現在管理されていてオフラインであるためです。

      保護グループを無効にすると、アプリケーションリソースグループは管理対象でなくなり、Error 状態が解消されます。

    2. cluster-paris で、パートナーシップを再同期させます。


      phys-paris-1# geops update partnershipname
      
      partnershipname

      パートナーシップの名前を指定します


      注 –

      パートナーシップ内の複数の保護グループに対してフェイルバックスイッチオーバーを実行している場合でも、この手順はパートナーシップごとに 1 回実行するだけで済みます。


      パートナーシップの同期については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』「パートナーシップの再同期」を参照してください。

    3. cluster-paris で、各保護グループを再同期させます。

      cluster-newyork の保護グループのローカルな役割は現在 primary であるため、この手順によって cluster-paris の保護グループのローカルな役割が確実に secondary になります。


      phys-paris-1# geopg update protectiongroupname 
      
      protectiongroupname

      保護グループの名前を指定します

      保護グループの同期については、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループの再同期」を参照してください。

  2. cluster-paris 上で、個々の保護グループの構成を検証します。

    エラー状態の保護グループを起動することはできません。保護グループがエラー状態でないことを確認します。


    phys-paris-1# geopg validate protectiongroupname 
    
    protectiongroupname

    単一の保護グループを識別する一意の名前を指定します

    詳細は、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを検証する方法」を参照してください。

  3. cluster-paris で、各保護グループを有効にします。

    保護グループを有効にすると、そのアプリケーションリソースグループもオンラインになります。


    phys-paris-1# geopg start -e Global protectiongroupname
    
    -e Global

    コマンドの範囲を指定します。

    Global スコープを指定すると、保護グループが配備されている両方のクラスタがコマンドの対象となります。

    protectiongroupname

    保護グループの名前を指定します。


    注意 – 注意 –

    フェイルバックスイッチオーバーを行う際には、現在の二次クラスタ cluster-paris のデータを現在の主クラスタ cluster-newyork のデータと同期させる必要があるため、-n オプションを指定しないでください。

    保護グループの役割は secondary であるため、データの同期化は現在の主クラスタである cluster-newyork から二次クラスタ cluster-paris へと行われます。

    geopg start コマンドの詳細は、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを有効にする方法」を参照してください。


  4. データが完全に同期したことを確認します。

    まず、cluster-newyork 上の保護グループの状態が OK であることを確認します。


    phys-newyork-1# geoadm status

    出力の保護グループセクションを参照してください。

    次に、複製リソースグループ AVSprotectiongroupname-rep-rg 内のすべてのリソースの状態が OK であることを確認します。


    phys-newyork-1# scstat -g
  5. どちらか一方のクラスタで、各保護グループについて cluster-newyork から cluster-paris へのスイッチオーバーを実行します。


    # geopg  switchover [-f] -m clusterparis protectiongroupname
    

    詳細は、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを主クラスタから二次クラスタにスイッチオーバーする方法」を参照してください。

    cluster-paris は、元の役割である、保護グループの主クラスタに戻ります。

  6. スイッチオーバーが正常に実行されたことを確認します。

    保護グループが cluster-paris 上で primary となり、cluster-newyork 上で secondary となったこと、および、「データ複製」と「リソースグループ」の状態が両方のクラスタで OK であることを確認します。


    # geoadm status

    各 Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループについて、アプリケーションリソースグループとデータ複製の実行時状態を検査します。


    # scstat -g

    検査するデータ複製デバイスグループの Status フィールドと Status Message フィールドを参照してください。これらのフィールドの詳細は、表 2–1 を参照してください。

    データ複製の実行時状態については、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 データ複製の実行時状態の検査」を参照してください。

ProcedureSun StorEdge Availability Suite 3.2.1 複製を使用するシステム上でフェイルバックテイクオーバーを実行する

元の主クラスタ cluster-paris 上でアプリケーションを再起動し、元の主クラスタ上の現在のデータを使用するには、次の手順を実行します。この場合、現在の二次クラスタ cluster-newyork が一次クラスタとして機能していた間に更新されたデータは、すべて破棄されます。

フェイルバックの手順はパートナーシップ内のクラスタにのみ適用されます。ここでの手順はパートナーシップごとに 1 回実行するだけで済みます。


注 –

条件付きですが、元の主クラスタ cluster-paris のデータの使用は再開できます。cluster-newyork でのテイクオーバー操作のあとは、どのような時点でも、新しい主クラスタ cluster-newyork から元の主クラスタ cluster-paris にデータを複製していてはいけません。


始める前に

フェイルバックテイクオーバー操作を開始する前、クラスタには次の役割が割り当てられています。

  1. 元の主クラスタ cluster-paris を元の二次クラスタ cluster-newyork と再同期させます。

    この操作により、cluster-paris の独自の構成は削除され、cluster-newyork の構成がローカルに複製されます。

    1. cluster-paris で、パートナーシップを再同期させます。


      phys-paris-1# geops update partnershipname
      
      partnershipname

      パートナーシップの名前を指定します


      注 –

      パートナーシップ内の複数の保護グループに対してフェイルバックテイクオーバーを実行している場合でも、この手順はパートナーシップごとに 1 回実行するだけで済みます。


      パートナーシップの同期については、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』「パートナーシップの再同期」を参照してください。

    2. cluster-paris で、各保護グループを再同期させます。

      保護グループが有効に設定されている場合は、geopg stop コマンドを使用してその保護グループを無効にします。保護グループを無効にする方法については、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを無効にする方法」を参照してください。


      phys-paris-1# geopg update protectiongroupname
      
      protectiongroupname

      保護グループの名前を指定します

      保護グループの同期については、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを再同期させる方法」を参照してください。

  2. cluster-paris 上で、個々の保護グループの構成を検証します。

    保護グループがエラー状態でないことを確認します。エラー状態の保護グループを起動することはできません。


    phys-paris-1# geopg validate protectiongroupname 
    
    protectiongroupname

    単一の保護グループを識別する一意の名前を指定します

    詳細は、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを検証する方法」を参照してください。

  3. cluster-paris 上で、データ複製を行わずに、二次クラスタの役割が割り当てられている各保護グループを有効にします。

    cluster-paris の保護グループの役割は secondary であるため、geopg start コマンドは cluster-paris でアプリケーションを再起動しません。


    phys-paris-1# geopg start -e local -n protectiongroupname
    
    -e local

    コマンドの範囲を指定します。

    範囲を local と指定すると、ローカルクラスタだけがコマンドの対象となります。

    -n

    保護グループを有効にしたときにデータ複製を開始しないようにします。


    注 –

    -n オプションを指定する必要があります。


    protectiongroupname

    保護グループの名前を指定します。

    詳細は、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを有効にする方法」を参照してください。

    -n オプションが cluster-paris で使用されているため、cluster-newyork から cluster-paris への複製は開始されません。

  4. cluster-paris 上で、各保護グループのテイクオーバーを開始します。


    phys-paris-1# geopg takeover  [-f] protectiongroupname
    
    -f

    ユーザーに確認することなく、強制的にコマンドを実行します

    protectiongroupname

    保護グループの名前を指定します

    geopg takeover コマンドについては、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 サービスを二次クラスタへ即時に強制的テイクオーバーする」を参照してください。

    この時点で、cluster-paris の保護グループの役割は primary であり、cluster-newyork の保護グループの役割は secondary です。

  5. cluster-newyork で、各保護グループを有効にします。

    cluster-newyork 上の保護グループには secondary の役割が割り当てられているので、geopg start コマンドを実行しても、アプリケーションは cluster-newyork 上では再起動しません。


    phys-newyork-1# geopg start -e local [-n] protectiongroupname
    
    -e local

    コマンドの範囲を指定します。

    範囲を local と指定すると、ローカルクラスタだけがコマンドの対象となります。

    -n

    保護グループを有効にしたときにデータ複製を開始しないようにします。

    このオプションを省略した場合、データ複製サブシステムは保護グループと同時に起動されます。

    protectiongroupname

    保護グループの名前を指定します。

    geopg start コマンドについては、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを有効にする方法」を参照してください。

  6. データ複製を開始します。

    データ複製を開始するには、主クラスタ cluster-paris 上で保護グループを有効にします。


    # geopg start -e local protectiongroupname
    

    geopg start コマンドの詳細は、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループを有効にする方法」を参照してください。

  7. テイクオーバーが正常に実行されたことを確認します。

    保護グループが cluster-paris 上で primary となり、cluster-newyork 上で secondary となったこと、および、「データ複製」と「リソースグループ」の状態が両方のクラスタで OK であることを確認します。


    # geoadm status

    各 Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 保護グループについて、アプリケーションリソースグループとデータ複製の実行時状態を検査します。


    # scstat -g

    検査するデータ複製デバイスグループの Status フィールドと Status Message フィールドを参照してください。これらのフィールドの詳細は、表 2–1 を参照してください。

    データ複製の実行時状態については、「Sun StorEdge Availability Suite 3.2.1 データ複製の実行時状態の検査」を参照してください。