保護グループを有効にすると、その保護グループは構成時に割り当てられた役割を引き受けます。保護グループの構成についての詳細は、「Hitachi TrueCopy 保護グループを作成および構成する (Oracle Real Application Clusters を使用しない場合)」を参照してください。
保護グループは、次のレベルで有効にできます。
グローバルに有効にする – つまり、保護グループが構成されている両方のクラスタで保護グループを有効にします。
主クラスタ上だけを有効にする – 二次クラスタは無効なままです。
二次クラスタ上だけを有効にする – 主クラスタは無効なままです。
一方のクラスタで Hitachi TrueCopy 保護グループを有効にすると、データ複製層に次のような影響が出ます。
保護グループのデータ複製構成が検証されます。検証中、保護グループの現在のローカルな役割が全体的なデバイスグループ状態と比較されます (表 2–3 を参照)。検証が成功した場合、データ複製が開始されます。
保護グループに構成されているデータ複製デバイスグループ上で、データ複製が開始されます。主クラスタと二次クラスタのどちらで保護グループを有効にしたのかは関係ありません。データは常に保護グループのローカルの役割が primary であるクラスタから、保護グループのローカルの役割が secondary であるクラスタに複製されます。
アプリケーションの処理が行われるのは、データ複製が正常に開始されたあとだけです。
保護グループを有効にすると、アプリケーション層に次のような影響が出ます。
主クラスタで保護グループが有効になった場合、保護グループに構成されているアプリケーションリソースグループも起動されます。
二次クラスタで保護グループが有効になった場合、アプリケーションリソースグループは起動されません。
データ複製の開始に使用する Hitachi TrueCopy コマンドは、次の要因によって変わります。
全体的なデバイスグループ状態
保護グループのローカルな役割
現在のペアの状態
次の表に、これらの要因の考えられる組み合わせごとに、データ複製の開始に使用する Hitachi TrueCopy コマンドを示します。コマンド中、dg はデバイスグループ名であり、fl はデバイスグループに構成されたフェンスレベルです。
表 2–4 Hitachi TrueCopy データ複製の開始に使用するコマンド
全体的なデバイスグループ状態 |
保護グループの有効なローカルな役割 |
Hitachi TrueCopy 開始コマンド |
---|---|---|
SMPL |
primary または secondary |
paircreate -vl -g dg -f fl paircreate -vr -g dg -f fl
どちらのコマンドでも、horcmd プロセスがリモートクラスタで起動している必要があります。 |
Regular Primary |
primary |
ローカル状態コードが 22、23、25、26、29、42、43、45、46、または 47 の場合、データがすでに複製されているため、コマンドは実行されません。 ローカル状態コードが 24、44、または 48 の場合は、次のコマンドが実行されます。pairresync -g dg [-l] ローカル状態コードが 11 の場合は、次のコマンドが実行されます。 paircreate -vl -g dg -f fl どちらのコマンドでも、horcmd プロセスがリモートクラスタで起動している必要があります。 |
Regular Secondary |
secondary |
ローカル状態コードが 32、33、35、36、39、52、53、55、56、または 57 の場合、データがすでに複製されているため、コマンドは実行されません。 ローカル状態コードが 34、54、または 58 の場合は、次のコマンドが実行されます。pairresync -g dg ローカル状態コードが 11 の場合は、次のコマンドが実行されます。 paircreate -vr -g dg -f fl どちらのコマンドでも、horcmd プロセスがリモートクラスタで起動している必要があります。 |
Takeover Primary |
primary |
ローカル状態コードが 34 または 54 の場合は、次のコマンドが実行されます。 pairresync -swaps -g ローカル状態コードが 11 の場合は、次のコマンドが実行されます。 paircreate -vl -g dg -f fl paircreate コマンドでは、horcmd プロセスがリモートクラスタで起動している必要があります。 |
Takeover Secondary |
secondary |
ローカル状態コードが 24、44、25、または 45 の場合は、次のコマンドが実行されます。pairresync -swapp -g dg ローカル状態コードが 11 の場合は、次のコマンドが実行されます。 paircreate -vr -g dg -f fl. どちらのコマンドでも、horcmd プロセスがリモートクラスタで起動している必要があります。 |
クラスタノードの 1 つにログインします。
この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
保護グループを有効にします。
保護グループを有効にすると、そのアプリケーションリソースグループもオンラインになります。
# geopg start -e scope [-n] protectiongroupname |
コマンドの範囲を指定します。
範囲が Local の場合、このコマンドはローカルクラスタだけを対象に実行されます。範囲が Global の場合、このコマンドは保護グループが配備されている両方のクラスタを対象に実行されます。
Global や Local などのプロパティー値は、大文字と小文字は区別されません。
保護グループを有効にしたときにデータ複製を開始しないようにします。
このオプションを省略した場合、データ複製サブシステムは保護グループと同時に起動されます。
保護グループの名前を指定します。
geopg start コマンドは、scswitch -Z -g resourcegroups コマンドを使用して、リソースグループとリソースをオンラインにします。このコマンドの使用法についての詳細は、scswitch(1M) のマニュアルページを参照してください。
次の例では、データ複製の開始に使用する Hitachi TrueCopy コマンドを Sun Cluster Geographic Edition がどのように決定するかを示します。
まず、Hitachi TrueCopy 保護グループを作成します。
phys-paris-1# geopg create -s paris-newyork-ps -o primary -d truecopy tcpg |
デバイスグループ devgroup1 を保護グループに追加します。
phys-paris-1# geopg add-device-group -p fence_level=async devgroup1 tcpg |
Hitachi TrueCopy デバイスグループ devgroup1 の現在の状態は、pairdisplay コマンドの出力に示されます。
phys-paris-1# pairdisplay -g devgroup1 Group PairVol(L/R) (Port#,TID,LU),Seq#,LDEV#,P/S,Status,Fence,Seq#,P-LDEV# M devgroup1 pair1(L) (CL1-A , 0, 1) 12345 1..SMPL ---- ----, ----- ---- - devgroup1 pair1(R) (CL1-C , 0, 20)54321 609..SMPL ---- ----, ----- ---- - devgroup1 pair2(L) (CL1-A , 0, 2) 12345 2..SMPL ---- ----, ----- ---- - devgroup1 pair2(R) (CL1-C , 0,21) 54321 610..SMPL ---- ----, ----- ---- - |
全体的なデバイスグループ状態は SMPL です。
次に、geopg start コマンドを使用して、保護グループ tcpgを有効にします。
phys-paris-1# geopg start -e local tcpg |
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは paircreate -g devgroup1 -vl -f async コマンドをデータ複製レベルで実行します。このコマンドが成功した場合、pairdisplay コマンドの出力に devgroup1 の状態が次のように表示されます。
phys-paris-1# pairdisplay -g devgroup1 Group PairVol(L/R) (Port#,TID,LU),Seq#,LDEV#,P/S,Status,Fence,Seq#,P-LDEV# M devgroup1 pair1(L) (CL1-A , 0, 1) 12345 1..P-VOL COPY ASYNC,54321 609 - devgroup1 pair1(R) (CL1-C , 0, 20)54321 609..S-VOL COPY ASYNC,----- 1 - devgroup1 pair2(L) (CL1-A , 0, 2) 12345 2..P-VOL COPY ASYNC,54321 610 - devgroup1 pair2(R) (CL1-C , 0,21) 54321 610..S-VOL COPY ASYNC,----- 2 - |
この例では、保護グループをグローバルに有効にします。
# geopg start -e global tcpg |
保護グループ tcpg は、保護グループが構成されている両方のクラスタで有効になります。
この例では、保護グループをローカルクラスタでのみ有効にします。このローカルクラスタは、その役割に応じ、主クラスタの場合も二次クラスタの場合もあります。
# geopg start -e local tcpg |