パートナークラスタにサービスを順番に移行する場合は、Hitachi TrueCopy 保護グループのスイッチオーバーを実行します。スイッチオーバーは次の手順で行われます。
元の主クラスタ cluster-paris 上で、アプリケーションサービスがオフラインになります。
どのクラスタが cluster-paris かを確認するために、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition クラスタ構成の例」を参照してください。
データ複製の役割が逆になり、今度は、新しい主クラスタ cluster-newyork から元の主クラスタ cluster-paris に対して継続して複製が行われます。
新しい主クラスタ cluster-newyork で、アプリケーションサービスがオンラインになります。
geopg switchover コマンドを使用してスイッチオーバーを開始すると、データ複製サブシステムが両方のクラスタでいくつかの検証を実行します。スイッチオーバーが実行されるのは、両方のクラスタで検証手順が成功した場合だけです。
まず、複製サブシステムは、Hitachi TrueCopy デバイスグループの全体的なデバイスグループ状態が有効であるかどうか検査します。 次に、複製サブシステムは、ターゲットの主クラスタ cluster-newyork のローカルのデバイスグループ状態が 23、33、43、または 53 であることを検査します。ローカルのデバイスグループの状態は、pairvolchk -g device-group-name -ss コマンドで返されます。これらの値は、PVOL_PAIR 状態または SVOL_PAIR 状態に対応します。次の表に、新しい主クラスタ cluster-newyork で実行される Hitachi TrueCopy コマンドを示します。
表 3–1 新しい主クラスタでの Hitachi TrueCopy スイッチオーバー検証
全体的なデバイスグループ状態 |
ローカルクラスタでの有効なデバイスグループ状態 |
cluster-newyork で実行される Hitachi TrueCopy スイッチオーバーコマンド |
---|---|---|
SMPL |
なし |
なし |
通常の主クラスタ |
23、43 |
Hitachi TrueCopy デバイスグループはすでに PVOL_PAIR 状態であるため、コマンドは実行されません。 |
通常の二次クラスタ |
33、53 |
horctakeover -g dg [-t] Hitachi TrueCopy デバイスグループの fence_level が async のときは、-t オプションを指定します。この値は、保護グループの Timeout プロパティーの 80% として計算されます。たとえば、保護グループの Timeout が 200 秒である場合、このコマンドで -t オプションを使用したときの値は 200 秒の 80%、つまり、160 秒になります。 |
テイクオーバー主クラスタ |
なし |
なし |
テイクオーバー二次クラスタ |
なし |
なし |
スイッチオーバーが正常に完了したあと、データ複製レベルで、主ボリュームと二次ボリュームの役割が切り替わっています。スイッチオーバー前の PVOL_PAIR ボリュームは SVOL_PAIR ボリュームになります。スイッチオーバー前の SVOL_PAIR ボリュームは PVOL_PAIR ボリュームになります。データ複製は、新しい PVOL_PAIR ボリュームから 新しい SVOL_PAIR ボリュームに継続されます。
スイッチオーバー操作の一部として、新しい主クラスタでアプリケーションがオンラインになることができるかどうかにかかわらず、保護グループの Local-role プロパティーも切り替わります。保護グループの Local role が Secondary であったクラスタでは、保護グループの Local-role プロパティーが Primary になります。保護グループの Local-role が Primary であったクラスタでは、保護グループの Local-role プロパティーが Secondary になります。
スイッチオーバーを正常に完了するためには、主クラスタと二次クラスタ間のデータ複製が有効状態で、かつ、これら 2 つのクラスタ上のデータボリュームが同期していなければなりません。
主クラスタから二次クラスタへ保護グループのスイッチオーバーを行うには、次の条件が満たされている必要があります。
両方のクラスタで Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアが動作している。
二次クラスタがパートナーシップのメンバーである。
両方のクラスタパートナーが互いに到達可能である。
保護グループが OK 状態である。
Cluster_dgs プロパティーを構成してある場合、この プロパティーに指定されているデバイスグループに書き込むことができるのは保護グループに属するアプリケーションだけです。
クラスタノードの 1 つにログインします。
この手順を行うには、Geo Management RBAC 権利プロファイルがユーザーに割り当てられている必要があります。RBAC の詳細は、『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
スイッチオーバーを開始します。
スイッチオーバーでは、保護グループに属するアプリケーションリソースグループの停止と起動が行われます。
# geopg switchover [-f] -m newprimarycluster protectiongroupname |
ユーザーに確認することなく、強制的にコマンドを実行します
保護グループの新しい主クラスタにするクラスタの名前を指定します
保護グループの名前を指定します
この例では、二次クラスタへのスイッチオーバーを実行します。
# geopg switchover -f -m cluster-newyork tcpg |