Sun Cluster Geographic Edition EMC Symmetrix Remote Data Facility 向けデータ複製ガイド

主クラスタ上の EMC Symmetrix Remote Data Facility ソフトウェアにデータ複製を構成する

この節では、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアで EMC Symmetrix Remote Data Facility データ複製を構成する前に、主クラスタで実行しておく必要がある手順について説明します。

デバイスグループの設定

EMC Symmetrix Remote Data Facility デバイスはペアで構成されています。EMC Symmetrix Remote Data Facility リンクがオンラインになると、すぐにデバイスペア間でミラー化が始まります。動的 EMC Symmetrix Remote Data Facility 機能を使用して双方向ミラーディスクを有効にした場合は、いつでもデバイスのペアを設定できます。

EMC Symmetrix グローバルメモリーには、動作中の EMC Symmetrix Remote Data Facility デバイスのペアについての情報が格納されています。

Sun Cluster デバイスグループは、EMC Symmetrix Remote Data Facility ペアの管理と制御のためにユーザーが作成し使用できるエンティティーです。ホストの SYMCLI データベースファイルには、デバイスグループと、デバイスグループに含まれるデバイスに関する情報が格納されます。

EMC Symmetrix Remote Data Facility デバイスグループは、次の 1 つまたは 2 つのタイプのデバイスを含むことができます。

結果として、2 つのタイプの EMC Symmetrix Remote Data Facility デバイスグループ (RDF1 と RDF2) を作成できます。EMC Symmetrix Remote Data Facility デバイスは、ソースグループと宛先グループが同じタイプのグループの場合だけ、別のデバイスグループに移動できます。

RDF1 デバイスを含む EMC Symmetrix ソフトウェアに接続されたホストに RDF1 デバイスグループを作成できます。RDF2 デバイスを含む EMC Symmetrix ソフトウェアに接続されたホストに RDF2 デバイスグループを作成できます。主クラスタまたは二次クラスタから、各ホスト上で作成したデバイスグループを使用して、同じ EMC Symmetrix Remote Data Facility 操作を実行できます。

リモートデータ機能デバイスをデバイスグループに追加する場合、すべてのデバイスが次の制限事項に従うようにしてください。

EMC Symmetrix Remote Data Facility デバイスの構成の確認

EMC Symmetrix Remote Data Facility デバイスをデバイスグループに追加する前に、symrdf list コマンドを使用して、ホストに接続された EMC Symmetrix ユニットで構成された EMC Symmetrix Remote Data Facility デバイスの一覧を表示します。


# symrdf list

標準設定では、このコマンドにより EMC Symmetrix デバイス名、EMC Symmetrix ソフトウェアが各物理デバイスに割り当てる 16 進数順にデバイスが表示されます。デバイスを物理ホスト名順に表示するには、symrdf コマンドで pd 引数を使用します。


# symrdf list pd

RDF1 デバイスグループの作成

次の手順に従って、RDF1 タイプのデバイスグループを作成し、RDF1 EMC Symmetrix デバイスをこのグループに追加します。

  1. devgroup1 という名前のデバイスグループを作成します。


    phys-paris-1# symdg create devgroup1 -type rdf1
    
  2. RDF1 デバイスを 085 という EMC Symmetrix デバイス名で、000000003264 の番号で識別される EMC Symmetrix 記憶装置上のデバイスグループに追加します。

    DEV001 という形式のデフォルトの論理名が RDF1 デバイスに割り当てられます。


    phys-paris-1# symld -g devgroup1 -sid 3264 add dev 085
    

Procedureボリュームを EMC Symmetrix Remote Data Facility 複製で使用するように構成する方法

EMC Symmetrix Remote Data Facility は VERITAS Volume Manager ボリュームをサポートしています。EMC Symmetrix Remote Data Facility デバイスグループに対して選択したディスク上で、 VERITAS Volume Manager ボリュームを構成する必要があります。

  1. cluster-paris の共有ディスクに VERITAS Volume Manager ディスクグループを作成します。

    たとえば、vxdiskadmvxdg などのコマンドを使用して、ディスク d1d2dg1 という VERITAS Volume Manager ディスクグループの一部として構成します。

  2. 構成が完了したあと、vxdg list コマンドを使用して、このディスクグループが作成されたことを確認します。

    このコマンドにより、dg1 がディスクグループとして一覧に表示されるはずです。

  3. VERITAS Volume Manager ボリュームを作成します。

    たとえば、vol1 というボリュームを dg1 ディスクグループに作成します。適切な VERITAS Volume Manager コマンド (vxassist など) を使用して、ボリュームを構成してください。

ProcedureEMC Symmetrix Remote Data Facility で制御される Sun Cluster デバイスグループを構成する方法

  1. 前の手順で構成した VERITAS Volume Manager ディスクグループを Sun Cluster で登録します。

    Sun Cluster コマンド scsetup または scconf を使用します。

    これらのコマンドについては、scsetup(1M) または scconf(1M) のマニュアルページを参照してください。

  2. もう一度 scsetup または scconf コマンドを使用して、VERITAS Volume Manager 構成を Sun Cluster ソフトウェアと同期させます。

  3. 構成が完了したあと、ディスクグループが登録されていることを確認します。


    phys-paris-1# scstat -D
    

    このコマンドの出力には、VERITAS Volume Manager ディスクグループ dg1 が表示されます。

    scstat コマンドの詳細は、 scstat(1M) のマニュアルページを参照してください。

ProcedureEMC Symmetrix Remote Data Facility 複製用に高可用性ファイルシステムを構成する方法

始める前に

cluster-paris でファイルシステムを構成する前に、必要な Sun Cluster エンティティー (アプリケーションリソースグループ、デバイスグループ、ボリューム、マウントポイントなど) がすでに構成されていることを確認します。

  1. コマンド行で、必要なファイルシステムを vol1 ボリュームに作成します。

  2. すべてのクラスタの paris ノードで必要なマウントポイントを作成します。

  3. マウント位置などの情報を含む /etc/vfstab ファイルにエントリを追加します。

    ファイルシステムがローカルにマウントされるかグローバルにマウントされるかは、パフォーマンス要件や使用しているアプリケーションリソースグループの種類など、さまざまな要因によって変わります。


    注 –

    このファイル内の mount at boot フィールドの値は no に設定する必要があります。この値を設定することによって、クラスタの起動時、ファイルシステムは二次クラスタにマウントされないようになります。代わりに、Sun Cluster ソフトウェアと Sun Cluster Geographic Edition フレームワークは、主クラスタ上でアプリケーションがオンラインになる場合に HAStoragePlus リソースを使用してファイルシステムをマウントします。


  4. HAStoragePlus リソースをアプリケーションリソースグループ apprg1 に追加します。

    このリソースをアプリケーションリソースグループに追加することによって、アプリケーションがオンラインになる前に、必ず、必要なファイルシステムがマウントされるようになります。

    HAStoragePlus リソースタイプについては、『Sun Cluster データサービスの計画と管理 (Solaris OS 版)』を参照してください。

  5. ディスクグループが正しく登録されていることを確認します。


    phys-paris-1# scstat -D
    

    次のコマンドにより、VERITAS Volume Manager ディスクグループ dg1 が表示されるはずです。


例 1–1 高可用性クラスタファイルシステムを構成する

この例では、HAStoragePlus を使用して、ローカルにマウントしたファイルシステムを作成します。この例で作成したファイルシステムは、リソースがオンラインになるたびにローカルにマウントされます。

この例では、apprg1 リソースグループがすでに存在すると仮定します。

  1. UNIX ファイルシステム (UFS) を作成します。


    phys-paris-1# newfs dev/vx/dsk/dg1/vol1
    
  2. すべてのクラスタの paris ノードでマウントポイントを作成します。


    phys-paris-1# mkdir /mounts/sample
    
  3. /etc/vfstab ファイルに次のエントリを追加します。


    phys-paris-1# /dev/vs/dsk/dg1/vol1 /dev/vx/rdsk/dg1/vol1 /mounts/sample \
    ufs 2 no logging
    
  4. HAStoragePlus リソースタイプを追加します。


    phys-paris-1# scrgadm -a -j rs-hasp -g apprg1 -t SUNW.HAStoragePlus \
    -x FilesystemMountPoints=/mounts/sample -x AffinityOn=TRUE \
    -x GlobalDevicePaths=dg1