geoadm(1M) (Sun Cluster Geographic Edition リファレンスマニュアル)

Sun Cluster Geographic Edition リファレンスマニュアル

geoadm(1M)

名前 | 形式 | 説明 | サブコマンド | オプション | 詳細説明 | 終了状態 | 使用例 | 属性 | 参照

名前

geoadm– ローカルクラスタ上の Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーを有効または無効にする

形式

/usr/cluster/bin/geoadm

subcommand

-?

/usr/cluster/bin/geoadm

-V

/usr/cluster/bin/geoadm show

/usr/cluster/bin/geoadm start

/usr/cluster/bin/geoadm status

/usr/cluster/bin/geoadm stop

-f

-i

説明

geoadm コマンドは、ローカルクラスタ上の Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーを有効または無効にします。このコマンドを使用すると、Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアがクラスタ上で有効であるかどうかも確認できます。

インストール後、Sun Cluster Geographic Edition 製品は、コマンド geoadm start を実行して有効にする必要があります。このコマンドにより、クラスタはパートナーシップに参加し、保護グループをホストできるようになります。geoadm start コマンドは、クラスタ上の Sun Cluster Geographic Edition モジュールのロックを解除する、高可用性インフラストラクチャーを構成します。

geoadm stop コマンドは、高可用性インフラストラクチャーを停止し、Sun Cluster Geographic Edition モジュールはクラスタ上でロックされたままになります。製品パッケージを削除する前に geoadm stop コマンドを実行します。

注 –

geoadm stop コマンドは、次の条件下でのみ、クラスタ上の Sun Cluster Geographic Edition モジュールを問題なく無効にすることができます。そのクラスタが関与している保護グループのすべてのローカル状態が Offline か Unknown であること。

クラスタの 1 つのノードで geoadm start コマンドまたは geoadm stop コマンドを実行すると、クラスタ全体に影響します。

geoadm コマンドを使用して Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーを有効または無効にするには、コマンド実行者に、適切な、役割に基づくアクセス制御 (Role-Based Access Control、RBAC) 権利のプロファイルが割り当てられている必要があります。

ルートアクセス権を持っている場合は、あらゆる処理を行う権限があります。ルートアクセス権を持っていない場合は、次の RBAC 権が適用されます。

基本的な Solaris ユーザー。Sun Cluster Geographic Edition エンティティーについての情報は、geopg list、geohb list、geops list などのコマンドを実行して確認できます。
Geo 管理。「基本的な Solaris ユーザー」アクセス権を持つユーザーに認められているあらゆる読み取り処理が行えます。また、geohb create、geopg switchover、geoadm start、geoadm stop などの管理作業や構成作業も行うことができます。

詳細については、rbac(5) のマニュアルページと『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。

このコマンドの書式は次のとおりです。

geoadm [subcommand] [options] [operands]

subcommand は、options に -?、-o、- V、または -v が指定されている場合にかぎり省略可能です。

このコマンドの各オプションには、長い形式と短い形式があります。この 2 つの形式については、このマニュアルページのオプションの節で説明します。

サブコマンド

サポートされているサブコマンドは次のとおりです。

show

Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアがクラスタ上で有効であるどうかを表示します。

start

クラスタ上で Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーを構成し、有効にします。

status

ローカルクラスタ上の Sun Cluster Geographic Edition エンティティーの実行時状態を表示します。

status サブコマンドを実行する前に、ローカルクラスタに Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアをインストールしておく必要があります。status サブコマンドは、クラスタがパートナーシップに対して有効に設定されたかどうかにかかわらず実行できます。

status サブコマンドは次の情報を表示します。

ローカルクラスタがパートナーシップに対して有効であるかどうか。
ローカルクラスタがパートナーシップに関与しているかどうか。クラスタがパートナーシップに関与している場合、status サブコマンドはすべてのパートナーシップメンバーを表示します。
ハートビートの状態。
保護グループの状態。
進行中のトランザクションの状態。

各状態の取りうる値の詳細については、詳細説明の節を参照してください。

stop

クラスタ上で Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーおよび構成を無効にします。

注意 –

stop サブコマンドを正常に実行するためには、クラスタ上のすべての保護グループが Offline 状態になっている必要があります。

stop サブコマンドは、クラスタ上のクラスタ状態と Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーリソースグループを削除しますが、stop サブコマンドはデータ複製リソースグループは削除しません。

Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーが再度有効になり、構成されるのは、stop サブコマンドを実行したあとに初めて start サブコマンドを実行した時点です。

オプション

次のオプションがサポートされています。

-? --help

ヘルプ情報を表示します。このオプションを指定すると、その他の処理は実行されません。

このオプションを指定するとき、サブコマンドは指定してもしなくてもかまいません。

このオプションをサブコマンドなしで指定した場合、このコマンドのサブコマンドリストが表示されます。

このオプションをサブコマンド付きで指定した場合、そのサブコマンドの使用方法が表示されます。

一部のシェルでは、疑問符は特別な文字として解釈される場合があります。引用符 (-"?") またはエスケープ文字を使用して、パターンマッチングを回避します。

-f --force

Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーが無効にしている間に、コマンド確認の質問をバイパスすることを示します。

-i --interactive

Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーが無効にする場合に、対話型のコマンド確認の質問を表示することを示します。

-V --version

コマンドのバージョンを表示します。

このオプションには、サブコマンドやオペランドなどのオプションは指定しないでください。サブコマンドやオペランドなどのオプションは無視されます。-V オプションは、コマンドのバージョンを表示するだけです。その他の処理は行いません。

詳細説明

次の節で状態を説明します。

パートナーシップの状態

パートナーシップの状態では、ローカルクラスタの状態のみが表示されます。パートナーシップは次のいずれかの状態をとることができます。

OK: パートナークラスタは接続されています。
エラー: パートナークラスタは切断されています。

同期の状態

同期の状態では、パートナーシップのすべてのクラスタの状態が表示されます。パートナーシップの同期は次の状態をとることができます。

OK: パートナークラスタ間で構成は同期しています。
エラー: パートナークラスタ上で構成が異なります。再度パートナーシップの同期をとる必要があります。
不整合: パートナークラスタは個別に構成されています。したがって、あるクラスタで構成を削除し、パートナークラスタの構成をコピーする必要があります。
Unknown: パートナー同士が接続されていないため、情報にアクセスできません。

クラスタ間のリソース管理接続の状態

クラスタ間リソース管理 (Intercluster Resource Management、ICRM) 接続の状態として、リモートクラスタ上で実行中のクラスタ管理エージェントの状態が表示されます。ICRM 接続の状態は、次のいずれかになります。

OK: 各パートナークラスタ上の ICRM モジュールが相互に通信できる。
エラー: ローカルクラスタ上の ICRM モジュールは、リモートクラスタ上の ICRM モジュールと通信できない。

ハートビートの状態

ハートビートの状態では、ローカルクラスタの状態のみが表示されます。ハートビートは次のいずれかの状態をとることができます。

OK: ハートビート監視が有効で、パートナークラスタはタイムアウトと再試行の期間内に応答しています。
エラー: ハートビート監視が実行中ですが、パートナークラスタが応答せず、再試行がタイムアウトしています。
オフライン: ハートビート監視がオフラインです。

ハートビートプラグインの状態

ハートビートプラグインの状態には、ローカルクラスタの状態のみが表示されます。ハートビートプラグインは次のいずれかの状態をとることができます。

OK: パートナークラスタは応答しています。
非アクティブ: プラグインは使用されていません。これは、その他のプラグインが応答しない場合に再試行に使用されるスタンバイプラグインです。
応答なし: パートナークラスタは応答していません。

保護グループの状態

保護グループの状態では、保護グループのすべてのクラスタの全般的な状態が表示されます。全般的な保護グループは次のいずれかの状態をとることができます。

OK: 保護グループがオンラインで、アプリケーションリソースグループがオンラインで、またデータ複製が実行中です。
オフライン: 保護グループがアクティブではありません。
Degraded: 保護グループとアプリケーショングループがオンラインですが、データ複製が動作していないか、部分的なエラー状態にあります。
エラー: 保護グループがオンラインですが、構成、データ複製、リソースグループなど、パートナーシップの少なくとも 1 つのコンポーネントがエラー状態にあります。
Unknown: 保護グループはオンラインですが、構成、データ複製、リソースグループなど、パートナーシップの少なくとも 1 つのコンポーネントの状態が不明です。

設定

保護グループの構成の状態としては、単一のクラスタの状態だけが表示されます。保護グループの構成の状態は、次のいずれかになります。

OK: 保護グループ構成はクラスタ上で検証され、エラーはありません。
エラー: 保護グループ構成の検証結果がエラーです。保護グループを再度検証する必要があります。
Unknown: パートナークラスタが切断されているため、情報にアクセスできません。

データ複製の状態

データ複製の状態では、1 つのクラスタ上の保護グループに対して構成されているデータ複製の状態が表示されます。保護グループのデータ複製の状態は、次のいずれかになります。

OK: データ複製は構成され、オンラインで、エラーなく実行されています。
Degraded: データ複製はオフであるか、部分的なエラー状態にあります。
エラー: エラーによりデータ複製は動作していません。
なし: データ複製は構成されていません。
Unknown: パートナー同士が接続されていないため、情報にアクセスできません。

リソースグループの状態

リソースグループの状態では、1 つのクラスタ上の保護グループに対して構成されているリソースグループの状態が表示されます。保護グループのリソースグループの状態は、次のいずれかになります。

OK: 主クラスタ上ではすべてのリソースグループがオンラインで、二次クラスタ上ではすべてのリソースグループがオフラインまたは未管理状態です。
エラー: 主クラスタ上では一部のリソースグループがオンラインではなく、二次クラスタ上では一部のリソースグループがオフラインまたは未管理状態ではありません。
Unknown: パートナー同士が接続されていないため、情報にアクセスできません。

終了状態

次の終了ステータスが返されます。

0: コマンドは正常に完了しました。
0 以外: エラーが発生しました。

使用例

例 1 Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーの有効化

次の geoadm コマンドは、ローカルクラスタ上の Sun Cluster Geographic Edition 制御モジュールを有効にします。

# geoadm start

例 2 Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーの無効化

次の geoadm コマンドは、Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーを有効化したときに作成されたインフラストラクチャーリソースグループを削除します。

# geoadm stop

例 3 Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーの状態のチェック

次の geoadm コマンドは、Sun Cluster Geographic Edition インフラストラクチャーがローカルクラスタ上で有効になっているかどうかを表示し、有効になっている場合はそのインフラストラクチャーのあるノードも表示します。

# geoadm show
--- CLUSTER LEVEL INFORMATION ---
Sun Cluster Geographic Edition is active on:  
node phys-paris-2, cluster cluster-paris

Command execution successful
#

例 4 Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアの実行時の状態の監視

次の geoadm コマンドは、Sun Cluster Geographic Edition が有効なクラスタの実行時の状態を表示します。

# geoadm status
Cluster: cluster-paris

Partnership "paris-newyork-ps": OK
   Partner clusters    : cluster-newyork
   Synchronization     : OK
   ICRM Connection     :OK

   Heartbeat "paris-to-newyork" monitoring "cluster-newyork": OK        
      Heartbeat plug-in "ping_plugin"    : Inactive
      Heartbeat plug-in "tcp_udp_plugin" : OK

Protection group "tcpg"     : OK
   Partnership              : "paris-newyork-ps"
   Synchronization          : OK

   Cluster cluster-paris    : OK
   Role                     : Primary
   PG activation state      : Activated
   Configuration            : OK
   Data replication         : OK
   Resource groups          : OK

  Cluster cluster-newyork   : OK
     Role                   : Secondary
     PG activation state    : Activated
     Configuration          : OK
     Data replication       : OK
     Resource groups        : OK

Pending operations
Protection group "tcpg" : Start

属性

次の属性の詳細については、attributes(5) のマニュアルページを参照してください。

属性タイプ	属性値
アーキテクチャー	SPARC
使用可能	SUNWscgctl
インタフェースの安定性	発展中

参照

rbac(5)、geohb(1M)、geopg(1M)、geops(1M)

Sun Cluster Geographic Edition 3.1 2006Q4 最終更新日 7 December 2006

名前 | 形式 | 説明 | サブコマンド | オプション | 詳細説明 | 終了状態 | 使用例 | 属性 | 参照