名前 | 形式 | 説明 | サブコマンド | オプション | オペランド | 詳細説明 | 終了状態 | 使用例 | 属性 | 参照
geohb コマンドを使用すると、ハートビートメカニズムの構成と管理を行うことができます。
ハートビートとは、2 つのクラスタ、つまり要求側クラスタと応答側クラスタの間のモニターです。パートナーシップを作成することで、1 方向に 1 つ、2 つのハートビートが確立されます。たとえば、主クラスタ cluster-paris と二次クラスタ cluster-newyork 間のパートナーシップには、2 つのハートビートが含まれます。一方のハートビートには、cluster-paris が要求側として記録され、cluster-newyork が応答側として記録されます。他方のハートビートには、cluster-newyork が要求側として記録され、cluster-newyork が応答側として記録されます。
Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアは、主プラグインである TCP/UDP プラグインとバックアップである ping プラグインに基づく、デフォルトのハートビートメカニズムを提供しています。geohb コマンドを使用すると、ハートビートの構成と維持を行うことができます。たとえば、次のような作業を行えます。
パートナーシップに参加するクラスタ間のハートビートの構成。ハートビートの構成には、関連するプラグインの構成が含まれます。
ハートビートのプロパティーの作成または削除。
ハートビートに関連付けられたプラグインの追加、変更、および削除。
ハートビートおよびそれに関連付けられたプラグインの現在の構成の取得。
geohb コマンドは、パートナーシップに対して有効になっているクラスタ上で実行します。
geohb コマンドを実行してハートビートメカニズムの構成と管理を行うには、コマンド実行者に、適切な、役割に基づくアクセス制御 (Role-Based Access Control、BAC) 権利のプロファイルが割り当てられている必要があります。
ルートアクセス権を持っている場合は、あらゆる処理を行う権限があります。ルートアクセス権を持っていない場合は、次の RBAC 権が適用されます。
基本的な Solaris ユーザー。Sun Cluster Geographic Edition エンティティーについての情報は、geopg list、geohb list、geops list などのコマンドを実行して確認できます。
Geo 管理。「基本的な Solaris ユーザー」アクセス権を持つユーザーに認められているあらゆる読み取り処理が行えます。また、geohb create、geopg switchover、geoadm start、geoadm stop などの管理作業や構成作業も行うことができます。
詳細については、rbac(5) のマニュアルページと『Sun Cluster Geographic Edition のシステム管理』の「Sun Cluster Geographic Edition ソフトウェアと RBAC」を参照してください。
このコマンドの書式は次のとおりです。
geohb [subcommand] [options] [operands]
subcommand は、options に -?、-o、- V、または -v が指定されている場合にかぎり省略可能です。
このコマンドの各オプションには、長い形式と短い形式があります。この 2 つの形式については、このマニュアルページのオプションの節で説明します。
サポートされているサブコマンドは次のとおりです。
既存のハートビートにプラグインを追加します。カスタムプラグインを指定する場合は、Query_cmd プロパティーを使用してカスタムプラグインコマンドへのパスも指定する必要があります。
ハートビートを作成します。ハートビートの状態を監視するには、geoadm(1M) コマンドを実行します。ハートビートを動作させるには、リモートクラスタを構成する必要があります。
カスタムハートビートを作成する場合は、パートナーシップが縮退モードのままになるのを防ぐため、プラグインを 1 つ以上追加する必要があります。
ハートビートを削除します。
既存の構成情報を表示します。
ハートビートプラグインのプロパティーを変更します。
ハートビートからプラグインを除去します。
ハートビートプロパティーを変更します。
次のオプションがサポートされています。
ヘルプ情報を表示します。このオプションを指定すると、その他の処理は実行されません。
このオプションを指定するとき、サブコマンドは指定してもしなくてもかまいません。
このオプションをサブコマンドなしで指定した場合、このコマンドのサブコマンドリストが表示されます。
このオプションをサブコマンド付きで指定した場合、そのサブコマンドの使用方法が表示されます。
一部のシェルでは、疑問符は特別な文字として解釈される場合があります。引用符 (-"?") またはエスケープ文字を使用して、パターンマッチングを回避します。
ハートビートまたはハートビートプラグインのプロパティーを指定します。
ハートビートプロパティーに値を割り当てるには、name=statement ペアを使用します。複数の文を使用することで、複数のプロパティーを一度に設定できます。
これらのプロパティーの値は作成時に割り当てられ、実行時にチューニング可能です。
現在定義されているプロパティーについては、詳細説明の節を参照してください。
ローカルクラスタがハートビート監視を確立する必要がある相手のリモートクラスタの名前を指定します。
コマンドのバージョンを表示します。
このオプションには、サブコマンドやオペランドなどのオプションは指定しないでください。サブコマンドやオペランドなどのオプションは無視されます。-V オプションは、コマンドのバージョンを表示するだけです。その他の処理は行いません。
次のオペランドがサポートされています。
ローカルクラスタ上のハートビートに識別子を指定します。新しいハートビートを作成しようとして、指定した識別子がすでに存在する場合、geohb create コマンドは失敗します。
ハートビートプラグインの名前を指定します。
次の節では、ハートビートとハートビートプラグインのプロパティーを説明します。
次のハートビートのプロパティーを指定できます。
ハートビート状態要求の間隔を秒単位で指定します。応答がないまま 3 つの Query_interval 期間が経過すると、プラグインは emergency モードとなります。応答がないままさらに Query_interval 期間が経過すると、プラグインはタイムアウトとなり、error モードとなります。
オプションのプロパティーです。
タイプ: 整数型
チューニングの推奨事項: このプロパティーの値は作成時に割り当てられ、実行時に調整ができます。
デフォルト値 : 120 秒。
ハートビートプラグインのプロパティーは、ハートビートがどのように機能するかを決定します。
プラグインに固有のプロパティー文字列を指定します。
オプションのプロパティーです。
タイプ: 文字列型
チューニングの推奨事項: このプロパティーの値は作成時に割り当てられ、実行時に調整ができます。
デフォルト値 : なし。ただしデフォルトのハートビートプラグイン tcp_udp_plugin と ping-plugin を使用するハートビートを除く。
tcp_udp_plugin プラグインに関しては、この文字列の書式は remote_IP_address /UDP/2084[[/ipsec]],remote_IP_address/TCP/2084[[/ipsec]] とあらかじめ定義されています。remote_IP_address 引数はパートナークラスタの IP アドレスを指定します。オプションの /ipsec 文字列は、プラグインが IPsec を使用することを示しています。
ping-plugin の場合、この文字列の書式は remote_IP_address として事前に定義されています。remote_IP_address はパートナークラスタの IP アドレスを指定します。
ハートビート状態要求を行うコマンドのパスを指定します。
プラグインが事前に定義されたプラグインを指定していない場合、必須プロパティーです。
タイプ: 文字列型
チューニングの推奨事項: このプロパティーの値は作成時に割り当てられ、実行時に調整ができます。
デフォルト値 : なし
要求元エージェントへの絶対パスを指定します。
オプションのプロパティーです。
タイプ: 文字列型
チューニングの推奨事項: デフォルトプラグイン用のこのプロパティーの値は、テスト目的以外には調整しないでください。
デフォルト値 : なし
応答側エージェントへの絶対パスを指定します。
オプションのプロパティーです。
タイプ: 文字列型
チューニングの推奨事項: デフォルトプラグイン用のこのプロパティーの値は、テスト目的以外には調整しないでください。
デフォルト値 : なし
プラグインのタイプを指定します。Primary または Backup のいずれかに設定します。
必須プロパティーです。
タイプ: 列挙型
チューニングの推奨事項: このプロパティーの値は作成時に割り当てられ、実行時に調整ができます。
デフォルト値 : なし。ただしデフォルトのハートビート名 ping_plugin を持つハートビートを除く。この場合、デフォルト値は Backup です。
次の終了ステータスが返されます。
コマンドは正常に実行され、リモートクラスタが有効であることを示しています。
エラーが発生し、リモートクラスタがハートビートチェックに応答しなかったことを意味しています。
次の geohb コマンドは、ローカルクラスタとクラスタ cluster-newyork 間でやりとりされる paris-to-newyork という名前のハートビートを作成します。
# geohb create paris-to-newyork -r cluster-newyork |
次の geohb コマンドは、ハートビート paris-to-newyork のハートビートプラグイン、command1 を作成します。
# geohb add-plugin command1 paris-to-newyork -p Query_cmd=/usr/bin/hb/ |
次の geohb コマンドは、cluster-paris と cluster-newyork 間のデフォルトのハートビートのプロパティーを変更します。
# geohb set-prop -p Query_interval=60 hb_cluster-paris~cluster-newyork |
次の geohb コマンドは、デフォルトのTCP/UDP プラグインである tcp_udp_plugin のプロパティーを変更して、TCP だけを使用するようにします。
# geohb modify-plugin -p Plugin_properties=paris-cluster/TCP/2084 \ tcp_udp_plugin hb_cluster-paris~cluster-newyork |
次の geohb コマンドは、ハートビート paris-to-newyork からプラグイン command1 を削除します。
# geohb remove-plugin command1 paris-to-newyork |
次の属性の詳細については、attributes(5) のマニュアルページを参照してください。
属性タイプ |
属性値 |
---|---|
アーキテクチャー |
SPARC |
使用可能 |
SUNWscgctl |
インタフェースの安定性 |
発展中 |
名前 | 形式 | 説明 | サブコマンド | オプション | オペランド | 詳細説明 | 終了状態 | 使用例 | 属性 | 参照