Sun N1 Grid Engine 6.1 ユーザーズガイド

第 5 章 アカウンティングとレポート

この章の内容は次のとおりです。

アカウンティングおよびレポートコンソールの起動

アカウンティングおよびレポートコンソールは、N1 Grid Engine 6.1 ソフトウェアとは別にインストールされます。インストールプロセスの詳細は、『Sun N1 Grid Engine 6.1 インストールガイド』の第 8 章「アカウンティングおよびレポートコンソールのインストール」を参照してください。さらに、Grid Engine システムでレポート情報を収集できるようにします。レポートデータの集合を有効にする方法の詳細は、『Sun N1 Grid Engine 6.1 管理ガイド』「レポート統計 (ARCo)」を参照してください。

Procedureアカウンティングおよびレポートコンソールを起動する

  1. Web ブラウザを起動します。

  2. URL を入力して、Sun Java Web Console に接続します。

    次の例の hostname は、アカウンティングおよびレポートソフトウェアがインストールされたホストです。


    https://hostname:6789
  3. UNIX アカウントにログインします。

  4. N1 Grid Engine 6 ARCo アプリケーションを選択します。

    「Overview」ページが表示されます。ページには定義済みの ARCo クエリーが一覧表示されています。


    ヒント –

    ARCo アプリケーションへの直接リンクは https://hostname:6789/console/login/Login?redirect_url=%22/reporting/arcomodule/Index%22) です。


    「Result List」タブを選択すると、格納されているすべてのクエリー結果が表示されます。「Query List」をクリックすると、「Query List Overview」ページに戻ります。

簡単なクエリーの作成と実行

クエリーでは、検索するデータセットを設定します。システムが SQL クエリー文字列を生成し、簡単なクエリーを作成できます。SQL に精通している場合は、自分でクエリーを記述して、高度なクエリーを作成することもできます。

Procedure簡単なクエリーを作成する

  1. 「Query List」ページで「New Simple」ボタンをクリックします。

    3 つのタブがある次の画面が表示されます。この画面には、クエリーカテゴリや説明などの一般的な情報が表示されます。この情報は省略可能です。クエリーを定義するには、「Simple Query」タブに移動します。クエリーの結果の表示方法を定義するには、「View」タブに移動します。

    「Simple Query」タブをクリックして、「Query Definition」ページにアクセスします。このページには、次の機能があります。

    • クエリーを事前定義するための、データベーステーブルまたはビューの選択に使用する「Table/View」ドロップダウンメニュー

    • すべてのフィールドが 1 行ずつ表示される「Field List」

    • クエリーに対してフィルタ条件を定義するための「Filter List」

    • クエリーの結果エントリの数を制限するための「Row Limit」フィールド

    簡単なクエリーを作成する方法を次の手順で簡潔に示します。

  2. テーブルリストからテーブルを選択します。

  3. 表示するフィールドを定義します。

    「Field Function」はフィールドで使用される機能を説明します。「Field Function」でサポートされている値のリストを次に示します。

    VALUE

    フィールドの現在値を使用します。

    SUM

    フィールドの値を累積します。

    COUNT

    フィールドの値の数をカウントします。

    MIN

    フィールドの最小値を取得します。

    MAX

    フィールドの最大値を取得します。

    AVG

    フィールドの平均値を取得します。

    • 「Field Name」は、選択されたテーブル内のフィールドです。

    • 「User Defined Name」では、より意味のある名前を表示させることができます。

    • 「Sort」では、必要に応じて各フィールドのソート順を定義できます。

  4. (オプション) フィルタを定義します。

    フィルタを定義する前に、1 つ以上のフィールドを指定してください。

    • 「AND/OR」は 2 番目以降のフィルタでは必須です。この設定により、前のフィルタ条件と論理的な関連付けを行います。

    • 「Field Name」は、フィルタ対象のフィールドの名前です。フィールドがユーザー定義の名前を持つ場合は、その名前が選択リストに表示されます。その他の場合は、生成された名前が表示されます。

    • 「Condition 」フィールドでは、データベースからの値のフィルタリングに使用される演算子を指定します。サポートされている演算子を次の表に示します。

    フィルタ 

    シンボル 

    説明 

    要件数 

    Equal 

    値は「Requirement」と同じでなければならない 

    Not Equal 

    <>、!= 

    値は「Requirement」と異ならなければならない 

    Less Than 

    値は「Requirement」未満でなければならない 

    Less Than or Equal 

    <=, ≤ 

    値は「Requirement」以下でなければならない 

    Greater Than 

    値は「Requirement」より大きくなければならない 

    Greater Than or Equal 

    >=, ≥ 

    値は「Requirement」以上でなければならない 

    Null 

     

    値はヌルでなければならない 

    Not Null 

     

    値はヌルであってはならない 

    Between 

     

    値は指定された値の間になければならない 

    In 

     

    値は指定されたリストの要素の 1 つと等しくなければならない 

    1 以上 

    Like 

     

    値は指定された「Requirement」を含まなくてはならない 

    「Requirement」フィールドには、クエリーの戻り値をフィルタリングするために使用される値が含まれます。次の表に、「Requirement」フィールドに入れられる項目の例を示します。

    1 AND 100

    between 条件で使用

    d%

    like 条件で使用

    %d%

    like 条件で使用

    %d%e%

    like 条件で使用

    Wert-1'、Wert-2'、...、'Wert-n

    in 条件で使用

  5. (オプション) データセットの数を制限します。

    データセットの数を制限するには、「Limit Query To First」オプションを選択します。次に、戻り値となるデータセットの数を入力します。

  6. 「Save」をクリックし、クエリーを保存します。

    次の図に「 Save this Query As 」画面を示します。「Query Name」フィールドにクエリーの名前を入力し、「Ok」をクリックします。

    クエリーを保存すると、変更された「Simple Query」画面に戻ります。

Procedureビューを作成する

  1. クエリーのビューを変更するには、「View」タブをクリックします。

    保存したクエリーに対するビューを作成するには、次の手順を実行します。

    • 「Overview」ページの「Query List」からクエリーを選択します。

    • 「編集」ボタンをクリックします。

    • 「View」タブをクリックします。

    クエリーの現在のビューが表示されます。

  2. クエリー結果をどのように表示するかを宣言します。

    ビュー構成には、3 つの異なるセクションを追加できます。また、クエリーに関する追加情報を表示するかどうかを決定し、どの順番で表示するかも設定できます。

    ページ最上部にあるリンクを使用して、対応するセクションに移動できます。ジャンプ可能なセクションには、「Database Table」、「Pivot Table」、および「Graphic」があります。「View Configuration」セクションは常に表示可能で、「Common」タブに入力されたクエリーの説明、フィルタリストに設定されているフィルタ条件、およびクエリー定義で作成した SQL 文や高度なクエリー用の SQL タブの内容を表示するかどうかを切り替えることができます。

    「Add Database」、「Add Pivot」、または「Add Graphic」をクリックすると、対応するセクションが追加されます。

    一部のクエリーでは、可能なビュー選択肢のサブセットだけが意味を持ちます。たとえば、選択対象の列が 2 つしかない場合は、ピボットは意味を持ちません。

    「Database Table」では、表示する必要のある列を選択して、「Name」の下に追加し、「Type」および「Format」を調整します。列は、追加した順番で表示されます。このレポートで選択した項目は、データに適用されるフィルタには影響されません。

    Pivot Table では、ピボット列、行、およびデータエントリを追加します。次に「Name」、「Type」、「Format」などの列を選択します。エントリを別のピボットタイプに移行するには、「Pivot Type」でタイプを選択します。

    「Graphic」セクションでは、クエリーデータをさまざまなタイプのグラフに貼り付けることができます。「Diagram Type」メニューでは、次のタイプのグラフが使用できます。

    • 棒グラフ

    • 棒グラフ (3D)

    • 積み重ね棒グラフ

    • 積み重ね棒グラフ (3D)

    • 円グラフ、円グラフ 3D

    • 折れ線グラフ

    • 積み重ね折れ線グラフ

    次の 3 つのタイプのグラフが使用できます。

    • 棒グラフ

    • 円グラフ

    • 折れ線グラフ

    棒グラフおよび円グラフは、3D 効果を使用して表示できます。棒グラフおよび折れ線グラフは、y 軸の値が集計された積み重ねグラフとして描画できます 。

  3. 「Save」または「Save As」をクリックして、クエリーに対するビュー構成を保存します。

  4. 「Run」をクリックして、クエリーを実行します。

図のデータ系列の定義

図のデータ系列を定義する方法は 2 つあります。


例 5–1 部署ごとのアカウンティング円グラフ

クエリー「部署ごとのアカウンティング」の結果が時間、部署、および CPU の列で構成される次の表に示されています。

結果を円グラフで表示するには、次の構成を選択します。

複数の円グラフで結果が表示されます。



例 5–2 すべての部署に関する CPU、I/O、およびメモリー使用量の棒グラフ

次のクエリーは、すべての部署に関する CPU、I/O、およびメモリー使用量を集計します。

結果を棒グラフで表示するには、次の構成を選択します。

部署ごとに 3 本の棒グラフで結果が表示されます。


Procedure簡単なクエリーを実行する

  1. クエリーを実行します。

    • 今作成したクエリーを実行するには、「Simple Query」画面の「Run」をクリックします。

    • 以前に保存したクエリーを実行するには、「Query List」画面でクエリーを選択して、「Run」をクリックします。

Procedure簡単なクエリーを編集する

  1. 「Query List」画面のリストからクエリーを選択します。

  2. 「Edit」をクリックします。

    選択した「Simple Query」画面が表示されます。

  3. 簡単なクエリーの作成と同じように、タブ間を移動して変更内容を入力し、「Simple Query 」画面を変更します。

  4. 変更したクエリーを保存または実行します。

高度なクエリーの作成と実行

アカウンティングおよびレポートコンソールのこの機能を使用するには、SQL クエリーを記述した経験が必要です。

Procedure高度なクエリーを作成する

  1. 「Query List」画面で「New Advanced Query」をクリックします。

  2. フィールドに SQL クエリーを入力します。

  3. クエリーを保存または実行します。

    • クエリーを保存するには、「Save」をクリックします。

    • クエリーを実行するには、「Run」をクリックします。

Procedure高度なクエリーを実行する

  1. クエリーを実行します。

    • 今作成したクエリーを実行するには、「Advanced Query」画面で「Run」をクリックします。

    • 以前に保存したクエリーを実行するには、「Query List」画面でクエリーを選択して、「Run」をクリックします。

Procedure高度なクエリーを編集する

  1. 「Query List」画面のリストからクエリーを選択します。

  2. 「Edit」をクリックします。

    完成した「Advanced Query 」画面が表示されます。

  3. SQL クエリーを変更します。

  4. 変更したクエリーを保存または実行します。

    • 変更したクエリーを保存するには、「Save」をクリックします。

    • 変更したクエリーを実行するには、「Run」をクリックします。

高度なクエリーにおける実行時バインディング

高度なクエリーにおける実行時バインディングの構文は、次のとおりです。

   LATEBINDING{ <column>;<operator>;<default value> }

   <column>    name if the latebinding
   <operator>  a SQL operator (e.g. = < > in .. )
   <value>     default value (e.g. 'localhost' )

例 5–3 実行時バインディングの例

select hostname from sge_host where LATEBINDING{hostname, like, 'a%'}
select hostname from sge_host where LATEBINDING{hostname, in, ('localhost', 'foo.bar')}