サーバーレイヤーは、Sun Management Center ソフトウェアの中核です。サーバーレイヤーのホストに適切なハードウェアを指定することは、Sun Management Center において応答性に優れた確実な処理を実現する上で重要な意味を持ちます。Sun Management Center サーバーレイヤーのハードウェア要件は、エージェントの要件よりも大幅に厳しいものです。
Sun Management Center サーバーレイヤーは、Solaris 10 11/06 または Solaris 10 8/07 が動作する SPARC および x86 プラットフォームデスクトップとサーバーのうち、この節で説明している最小のハードウェア要件を満たすマシンでサポートされます。
最大限の性能を得るためには、サーバーレイヤーアプリケーションだけを実行する専用マシンに Sun Management Center 4.0 サーバーレイヤーをインストールしてください。
次の表に、Sun Management Center サーバーのプラットフォームとして使用できる 4 つの大まかなマシンクラスを示します。各ケースとも、代替マシン構成で同等の性能を提供できます。
Solaris SPARC の場合:
表 C–7 Solaris SPARC で推奨される Sun Management Center サーバーのハードウェアプラットフォーム
アーキテクチャー |
マシンタイプ |
CPU タイプ |
RAM |
スワップ領域 |
---|---|---|---|---|
小 |
Sun Fire V120 |
650 MHz UltraSPARC IIe/i CPU x 1 |
2G バイト |
最小 1G バイト、2G バイトを推奨 |
中 |
Sun Fire V440 |
1.02 GHz UltraSPARC III CPU x 2 |
4.096G バイト |
最小 1G バイト、2G バイトを推奨 |
大 |
Sun Fire V480 |
900 MHz UltraSPARC III CPU x 4 |
16.384G バイト |
最小 1G バイト、2G バイトを推奨 |
超大 |
Netra-T12 |
1.35 GHz 1.35 GHz UltraSPARC III CPU x24 |
49.152G バイト |
最小 1G バイト、2G バイトを推奨 |
T2000 (CMT) |
Sun Fire T2000 |
1 GHz SPARCv9 CPU x 16 |
8.184G バイト |
最小 1G バイト、2G バイトを推奨 |
For Solaris x86:
表 C–8 Solaris x86 で推奨される Sun Management Center サーバーのハードウェアプラットフォーム
アーキテクチャー |
マシンタイプ |
CPU タイプ |
RAM |
スワップ領域 |
---|---|---|---|---|
小 |
AMD PC |
2.393 GHz AMD プロセッサ x 1 |
1.023G バイト |
最小 1G バイト、2G バイトを推奨 |
中 |
Sun Fire V20z |
2.393 GHz AMD プロセッサ x 2 |
4.032G バイト |
最小 1G バイト、2G バイトを推奨 |
大 |
Sun Fire X4100 |
2.200 GHz AMD プロセッサ x 4 |
3.968G バイト |
最小 1G バイト、2G バイトを推奨 |
Sun Management Server のホストサイジング要件は、サーバーレイヤーで管理されるエージェントの数とそれらのエージェント上の管理作業に大いに左右されます。管理作業には、システムによって生成される作業 (イベント生成と処理など) とユーザーによって開始される作業 (データのブラウジング、ネットワーク検出、グループ処理、システム監視および診断など) があります。
管理作業の影響のため、サイジング要件は、サーバーにインストールされている Sun Management Center アドオンパッケージの数、種類、および構成、そして管理ノード の数によって変わります。一般には、使用中のアドオンの数が多いほど管理作業の量が多く、サーバーのハードウェア要件も厳しくなります。
次の図に、Sun Management Center サーバーとして推奨されるマシンのクラスを、管理対象のエージェント数とおおよその管理作業の関数として示します。この図では、サーバー上で Sun Management Center コンソールが動作していないことを前提にしています。また、小型サーバーの場合は 5 個の遠隔コンソールセッション、中型サーバーの場合は 10 個の遠隔コンソールセッション、また大型サーバーと超大型サーバーの場合は 15 個の遠隔コンソールセッションが存在するものと仮定します。
上図に示したマシンのクラスは、同様な性能を持つホストの代表的なクラスを示します。
Sun Management Center コンソールアプリケーションをサーバーレイヤーホスト上で実行すると、サーバーの性能が低下します。この影響はアクティブなコンソールセッションの数によっても変わります。サーバーホストがサーバーレイヤーコンポーネントをサポートできる余裕がない場合は、Sun Management Center コンソールをサーバーマシンで実行しないでください。
Sun Management Center の Performance Reporting Manager (PRM) アドオンを使用すると、Sun Management Center エージェントが監視している任意のデータプロパティーに関して、その履歴的な傾向を追跡したり、レポートを生成したりできます。PRM アドオンは大量のデータを収集および処理できるので、Sun Management Center サーバーのサイジング要件に大きな影響を与える可能性があります。
PRM アドオンの影響は、図 C–1 の PRM 部分に示されています。一般に、管理作業と PRM が追跡するデータプロパティーの総数が増えるほど、Sun Management Center サーバーが管理できるエージェント数は減ります。
PRM アドオンを持つ Sun Management Center サーバーの要件を判断するには、2 つのステップが必要です。
図 C–1 を参照しながら、PRM アドオンがインストールされている Sun Management Center サーバーが管理するエージェントの総数にもとづいて、必要なマシンのクラスを判断します。
収集する PRM データプロパティーのおおよその数にもとづいて、適切な PRM 構成を判断します (次項を参照)。
さまざまなエージェント数、データプロパティー数、およびレポート期間 (4 時間から 1 か月など) を指定することによって、さまざまなレポートを生成できます。
通常のレポートの生成に要する時間は、数秒から数分です。実際にかかる時間は、次の要因によって変わります。
レポートに含める実際のデータポイント数
データポイントの最大数はレポート 1 つあたり約 10,000 個です。
データベース内にある Performance Reporting Manager のデータ数
サーバーの性能とアクティビティー
複数の Performance Reporting Manager レポートの並行生成
たとえば、Performance Reporting Manager アドオンが構成されている中型の Sun Management Center サーバーで、比較的簡単なレポート、たとえば 1 つのエージェントの 5 つのデータプロパティーを 24 時間調べたレポートを生成するには、約 20 秒かかります。より複雑なレポート、たとえば、5 つのエージェントの 5 つのデータプロパティーを 7 日間調べたレポートになると、生成するのに約 10 分かかります。
ここで、Performance ReportingManager アドオンがインストールされている中型の Sun Management Center サーバーとは、2200MHz の x86 CPU 2 基を持つ SunFire x4200、または 1281MHz の SPARCv9 CPU 2 基と 1G バイトの RAM、および 1G バイトのスワップ領域を持つ SunFire-v440 を想定しています。また、このサーバーは Performance ReportingManager のために 300 個のエージェントを監視しており、エージェントごとに 300 個のデータプロパティーを収集するものと想定しています。
レポートを生成するのに 30 分以上もかかる場合、午前 4:00 から午前 8:00 までの間にレポートを実行するようにスケジュールする方が賢明です。大きなレポートの生成を午前 4:00 以降に実行するようにスケジュールすることによって、通常の営業時間における Sun Management Center サーバーの負荷を下げることができます。また、そうすることによって、通常、午前 12:00 から午前 4:00 までの間にスケジュールされる Sun Management Center の夜間作業と Performance Reporting Manager の作業が競合する可能性を少なくすることもできます。
サーバーレイヤーの性能に影響を与える主な要因には、以下があります。
Sun Management Center コンポーネントの同時起動
トポロジグループの構成
管理作業
コンソールユーザー数
サーバーレイヤーと多数のエージェントの「同時起動」は、サーバーレイヤーの性能に悪影響を与える可能性があります。また、何百ものエージェントを管理するサーバーレイヤーを初期化すると、コンソールの応答速度が低下したり、一時的に一部のエージェントにアクセスできなくなったりする可能性があります。
Sun Management Center サーバーコンテキスト内のトポロジグループの個数が、次の値を超えてはいけません。
小型サーバー - 25 個
中型サーバー - 50 個
大型サーバー - 75 個
トポロジグループのすぐ下の子オブジェクトの最大数は 256 個です。最適な性能を維持するには、トポロジグループの子オブジェクトの数が 100 個を超えてはいけません。
Performance Reporting Manager アドオンをインストールしている場合、Performance Reporting Manager がデータを最適収集ができるようにするには、各トポロジドメインの Sun Management Center エージェント数が 200 を超えないようにします。
Sun Management Center サーバーのアクティビティーは、次の要因によって変わります。
ユーザーが開始する処理の数
管理対象となるホストシステムの安定性とアクティビティー
ホストシステムによって読み込まれる管理モジュールの数
アラームしきい値の指定と管理対象となるプロパティーのルールパラメータ
最後の 2 つの要因は、管理対象ノードがイベント処理の形で管理アクティビティーを生成する傾向を大いに促します。
結果として、アラームしきい値を適切に構成していない場合、アドオンが存在しなくても、かなりの管理作業が発生する可能性があります。逆にいえば、管理対象システムが安定したものでアラームしきい値も適切であれば、多数のアドオンが存在しても管理作業はわずかしか発生しない場合があります。
Sun Management Center の同時コンソールユーザーセッションが増えると、サーバーレイヤーの負荷がわずかに高まります。ここで、アクティブなユーザー数は、小規模構成の場合は 5 人、中規模構成の場合は 10 人、大規模および超大規模構成の場合は 15 人であると仮定します。また、ユーザーが実行しているアクティビティーは、管理されたプロパティーデータおよびイベントのブラウズや、データプロパティーの属性の編集などであると仮定します。
ユーザーによって開始される作業の中には、処理が実行される間サーバーレイヤーの性能に一時的に影響を与えるものがあります。
100 個以上のエージェントを対象とした「大規模なグループ操作」の場合は、相当のサーバーリソースを消費する可能性があります。このようなオペレーションは、変更によって管理対象エージェントでアラームが生成されるとサーバーの性能にさらに影響を与える可能性があります。これらのアラームは、イベント処理という形で管理アクティビティーをさらに発生させます。
サーバーの管理対象にする新しいエンティティーを多数追加する処理を伴う「ネットワーク検出操作」を行うと、その処理中にサーバーレイヤーホストに相当の負荷を与える可能性があります。
管理対象となる新しいエンティティーを多数追加する処理を伴うトポロジデータのインポート作業を行うと、エンティティーの追加中にサーバーレイヤーの応答速度が低下する可能性があります。
ユーザーによって開始されるこれらのアクションの影響は、同時実行を避ける、大規模のオペレーションを細分化する、可能であればピーク時以外に作業を行う (あるいはスケジューリングする) などの方法で最小限に抑えることができます。