バイナリコピーにより、サーバーのバイナリバックアップファイルを使用して、別のサーバーに同じディレクトリの内容を復元することで、サーバー全体のクローンを作成できます。バイナリコピーを使用して、マスターまたはハブサーバーのバイナリコピーから任意のサーバーを初期化または再初期化できます。または別のコンシューマサーバーのバイナリコピーからコンシューマを初期化または再初期化できます。
この高度な手順では、Directory Server 上のデータベースファイルとの間で情報をやり取りします。この機能は、経験が豊富な管理者以外は使用しないでください。
この機能にはある種の制限が適用されるため、処理時間の短縮を見込めるのは、たとえば百万件単位のエントリを含むレプリカなど、大容量のデータベースファイルを持つレプリカだけです。
バイナリコピーは、あるマシンから別のマシンにデータベースファイルを移動するため、次の制限が厳密に適用されます。
両方のマシンが同じオペレーティングシステム (サービスパックやパッチも含む) を実行している必要があります。
両方のマシンで同じプロセッサアーキテクチャーを使用している必要があります。たとえば、2 台の UltraSPARC® T1 プロセッサ間でバイナリコピーを実行できますが、UltraSPARC T1 プロセッサと AMD Opteron プロセッサ間では実行できません。
両方のマシンがビッグエンディアンかリトルエンディアンである必要があります。
両方のマシンがメモリーを同じようにマップしている必要があります。たとえば、2 台の 64 ビットシステム上のサーバーインスタンス間でバイナリコピーを実行できますが、32 ビットシステムのサーバーインスタンスと、64 ビットシステムの別のサーバーインスタンス間では実行できません。
両方のマシンに同じバージョンの (バイナリ形式 (32 ビットまたは 64 ビット)、サービスパック、パッチも含まれる) Directory Server がインストールされている必要があります。
両方のサーバーは、同じサフィックスに分岐する同じディレクトリツリーを持つ必要があります。すべてのサフィックスのデータベースファイルを一緒にコピーする必要があります 。サフィックスを個別にコピーすることはできません。
両方のサーバーの各サフィックスには、同じインデックス (VLV (仮想リスト表示) インデックスも含む) が設定されている必要があります。サフィックスのデータベースの名前を同じにする必要があります。
各サーバーに、レプリカとして同じサフィックスが設定されている必要があります。
部分レプリケーションが設定されている場合は、すべてのサーバーが同じように設定されている必要があります。
どちらのサーバーでも、属性の暗号化は使用できません。
属性値の一意性プラグインが有効な場合は、両方のサーバーで同じ設定にします。また、次の手順で、新しいコピーを設定し直す必要があります。
以下の手順では、バイナリコピーを実行する別の方法について説明します。サーバーを停止する必要がないバイナリコピーと使用ディスク容量が最小ですむバイナリコピー。
この節では、サーバーを初期化するためのバイナリコピーの作成方法と、使用ディスク容量が最小になるバイナリコピーの作成方法について説明します。
次の手順を使用して、レプリケートするサーバーを初期化するためのバイナリコピーを実行します。通常のバックアップ機能を使用して、サーバーのデータベースファイルのコピーを作成するためです。通常のバックアップを実行することで、サーバーを停止しなくても、すべてのデータベースファイルを一定の状態に維持できます。
この手順には特定の制限があります。バックアップと復元の処理によって、同じマシンにデータベースファイルのコピーが作成されるため、各マシンでこれらのファイルが占有するディスクスペースの容量が 2 倍になります。また、これらのファイルに対する実際のコピー処理は、ディレクトリに G バイト単位のデータが含まれる場合、時間がかかることがあります。
この手順の一部として、DSCC を使用してこの作業を実行できます。詳細については、「Directory Service Control Center のインタフェース」と DSCC のオンラインヘルプを参照してください。手順のその他の部分は、コマンド行を使用した場合にのみ実行できます。
新しくレプリケートされたサフィックスのターゲットマシンに Directory Server をインストールし、必要に応じてサーバーの新しいインスタンスを作成して、「レプリケーションでのバイナリコピーの使用の制限」に従って、サーバーを設定します。
このレプリケートされたサフィックスに関連するレプリケーショントポロジにすべてのレプリケーションアグリーメントを作成します。
サプライヤからこのレプリカにアグリーメントを含めます。このレプリカが専用コンシューマでない場合は、このレプリカからそのコンシューマにアグリーメントを含めます。「レプリケーションアグリーメントの作成と変更」を参照してください。
初期化するレプリカと同じ種類 (マスター、ハブ、コンシューマのいずれか) の、完全に設定され、初期化されたレプリカを選択し、「バイナリバックアップ」の手順に従って通常のバックアップ処理を行います。
バックアップディレクトリからターゲットマシンのディレクトリにファイルをコピーまたは転送します。この操作には、ftp コマンドなどを使います。
マルチマスターレプリケーションの状況で新しいマスターを初期化した場合、「マルチマスターモデルでのマスターの復元」の手順に従います。
この手順では、データベースファイルのバックアップコピーを作成しないため、ディスクスペースの消費が少なく、処理に要する時間も少なくなります。ただし、データベースファイルを一貫した状態に保つため、クローン作成の対象となるサーバーを停止する必要があります。
マルチマスターレプリケーションにすでに組み込まれているマスターの再初期化に、この手順を使うことはできません。この手順を利用できるのは、コンシューマサーバーの再初期化、または新しいマスターサーバーの初期化だけです。既存のマスターレプリカを再初期化するには、オンライン初期化を使用して、LDIF ファイルをインポートするか、「サーバーを初期化するためのバイナリコピーの作成」の手順に従います。
この手順の一部として、DSCC を使用してこの作業を実行できます。詳細については、「Directory Service Control Center のインタフェース」と DSCC のオンラインヘルプを参照してください。手順のその他の部分は、コマンド行を使用した場合にのみ実行できます。
新しくレプリケートされたサフィックスのターゲットマシンに Directory Server をインストールし、必要に応じてサーバーの新しいインスタンスを作成して、「レプリケーションでのバイナリコピーの使用の制限」に従って、サーバーを設定します。
このレプリカに関連するレプリケーショントポロジにすべてのレプリケーションアグリーメントを作成します。
サプライヤからこのレプリカにアグリーメントを含めます。このレプリカが専用コンシューマでない場合は、このレプリカからそのコンシューマにアグリーメントを含めます。「レプリケーションアグリーメントの作成と変更」を参照してください。
「Directory Server インスタンスの起動、停止、および再起動」で説明するように、初期化または再初期化するターゲットサーバーを停止します。
初期化するレプリカと同じ種類 (マスター、ハブ、コンシューマのいずれか) の、完全に設定され、初期化されたレプリカを選択し、このサーバーも停止します。
マルチマスター設定に組み込まれているマスターレプリカのクローンを作成するときは、それを停止する前に、その他のマスターから最新のすべての変更が完全に反映されていることを確認する必要があります。
トランザクションログ、更新履歴ログ、地域ファイル (__db.xxx ファイル) など、すべてのデータベースファイルをターゲットサーバーから削除します。
ファイルの位置を変更していないかぎり、データベースファイルとトランザクションログは instance-path/db ディレクトリに保存されています。
ftp コマンドなどを使用して、トランザクションログや更新履歴ログを含むすべてのデータベースファイルをソースレプリカマシンからターゲットマシンにコピーするか、転送します。
ファイルの位置を変更していないかぎり、データベースファイルとトランザクションログは instance-path/db ディレクトリに保存されています。
マスターまたはハブレプリカを初期化する場合は、更新履歴ログにあるすべてのファイルもコピーする必要があります。更新履歴ログはデフォルトで instance-path /changelog にあります。
ソースサーバーとターゲットサーバーの両方を再起動します。