サーバーがお互いの変更をレプリケートする前にエントリが作成された場合、別々のマスターに同じ DN を持つエントリが作成される可能性があります。レプリケーション時には、競合解決メカニズムによって 2 番目に作成されたエントリの名前が自動的に変更されます。
DN のネーミングが競合しているエントリは、オペレーショナル属性 nsuniqueid によって指定される一意の識別子を DN 内に含めることで名前を変更します。
たとえば、2 つのマスターで uid=bjensen,ou=People,dc=example,dc=com というエントリが同時に作成されると、レプリケーション後の 2 つのエントリは、次のようになります。
uid=bjensen,ou=People,dc=example,dc=com
nsuniqueid=66446001-1dd211b2-66225011-2ee211db+uid=bjensen,dc=example,dc=com
2 つ目のエントリには、有効な DN を指定する必要があります。競合しているエントリを削除し、競合しない名前で追加し直すことができます。ただし、エントリの名前を変更しても、その内容は変更されていません。名前変更の手順は、ネーミング属性が 1 つの値を持つか複数の値を持つかによって異なります。そのための手順は次のとおりです。
DSCC を使用してこの作業を実行できます。詳細は、「Directory Service Control Center のインタフェース」と DSCC のオンラインヘルプを参照してください。
古い RDN 値を維持しながらエントリの名前を変更します。たとえば、次のように入力します。
$ ldapmodify -h host2 -p 1389 -D cn=admin,cn=Administrators,cn=config -w - Enter bind password: dn: nsuniqueid=66446001-1dd211b2-66225011-2ee211db+uid=bjensen,dc=example,dc=com changetype: modrdn newrdn: uid=bj66446001 deleteoldrdn: 0 ^D |
この手順では古い RDN 値を削除することはできません。ここには削除できないオペレーショナル属性 nsuniqueid も含まれているからです。
ネーミング属性の古い RDN 値と競合マーカー属性を削除します。たとえば、次のように入力します。
$ ldapmodify -h host2 -p 1389 -D cn=admin,cn=Administrators,cn=config -w - Enter bind password: dn: uid=bj66446001,dc=example,dc=com changetype: modify delete: uid uid: bjensen - delete: nsds5ReplConflict ^D |
dc (ドメインコンポーネント) など、重複したエントリのネーミング属性が 1 つの値の場合は、エントリの名前を単に同じ属性の別の値に変更することはできません。代わりに一時的な名前を付ける必要があります。
DSCC を使用してこの作業を実行できます。詳細は、「Directory Service Control Center のインタフェース」と DSCC のオンラインヘルプを参照してください。
別のネーミング属性を使用してエントリの名前を変更し、古い RDN を保持しておきます。たとえば、次のように入力します。
$ ldapmodify -h host2 -p 1389 -D cn=admin,cn=Administrators,cn=config -w - Enter bind password: dn: nsuniqueid=66446001-1dd211b2-66225011-2ee211db+dc=HR,dc=example,dc=com changetype: modrdn newrdn: o=TempHREntry deleteoldrdn: 0 ^D |
この手順では古い RDN 値を削除することはできません。ここには削除できないオペレーショナル属性 nsuniqueid も含まれているからです。
必要なネーミング属性を一意の値に変更し、競合マーカー属性を削除します。たとえば、次のように入力します。
$ ldapmodify -h host2 -p 1389 -D cn=admin,cn=Administrators,cn=config -w - Enter bind password: dn: o=TempHREntry,dc=example,dc=com changetype: modify replace: dc dc: NewHR delete: nsds5ReplConflict ^D |
エントリの名前を変更し、指定したネーミング属性に戻します。たとえば、次のように入力します。
$ ldapmodify -h host2 -p 1389 -D cn=admin,cn=Administrators,cn=config -w - Enter bind password: dn: dc=NewHR,dc=example,dc=com changetype: modrdn newrdn: dc=HR deleteoldrdn: 1 ^D |
deleteoldrdn 属性の値に 1 を設定すると、一時的な属性と値のペアである o=TempHREntry が削除されます。この属性を保持する場合は、deleteoldrdn 属性の値に 0 を設定します。