Directory Server Enterprise Edition は、アイデンティティーデータを格納および管理するための、セキュリティー、高可用性、拡張性を備えたディレクトリサービスを提供します。Directory Server Enterprise Edition は企業のアイデンティティーインフラストラクチャーの基礎を形成します。この製品により、ミッションクリティカルなエンタープライズアプリケーションや大規模エクストラネットアプリケーションから、整合性と信頼性のあるアイデンティティーデータにアクセスできるようになります。
Directory Server Enterprise Edition は、アイデンティティープロファイル、アクセス特権、アプリケーションとネットワークのリソース情報を格納および管理するための集中リポジトリを提供します。Directory Server Enterprise Edition は、マルチプラットフォーム環境へのスムーズな統合が可能です。また、Microsoft Active Directory との間で、パスワード、ユーザー、およびグループをオンデマンドで安全に同期できます。
Directory Server Enterprise Edition 以前は、Sun はこれらの機能を Directory Server、Directory Proxy Server、Directory Server Resource Kit、および Identity Synchronization for Windows の 4 つの独立した製品で提供していました。これらを含む各製品は、現在では、1 つの包括的な統合型ソリューションのコンポーネントとなっています。
企業内でユーザーやアプリケーションの数が増加するにつれ、堅牢なディレクトリサービスはますます必要不可欠なものとなります。Directory Server Enterprise Edition では、次に示すサービス品質要件を提供することにより、急速に変化および拡大する企業が直面する課題を解決します。
可用性: システムのリソースやサービスにエンドユーザーがアクセスできる時間の指標であり、しばしばシステムの「稼働時間」として表現されます。
拡張性: 配備済みのシステムに、容量やユーザーを段階的に追加できる能力のことです。拡張は通常、システムにリソースを追加することによって行いますが、その際に配備アーキテクチャーの変更を必要としないことが理想的です。
セキュリティー: システムとそのユーザーの完全性を担保する各種要因の複合的な組み合わせです。セキュリティーを構成する要素には、ユーザーの認証と承認、データのセキュリティー、配備済みシステムへのセキュリティー保護されたアクセスなどがあります。
相互運用性: システムをほかのシステムと組み合わせて容易に運用できることを指します。
保守容易性: 配備済みシステムを容易に保守できることを指します。保守タスクには、システムの監視、発生した問題の修復、ハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントのアップグレードなどが含まれます。
この章では、Directory Server Enterprise Edition の各種コンポーネントがどのようにしてサービス品質要件を満たすかについて簡単に説明します。個々の要件については、このマニュアルの次章以降で詳しく説明します。