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Oracle Fusion Middlewareコンセプト・ガイド
11gリリース1(11.1.1)
B55897-02
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3 Oracle Fusion Middlewareのコンポーネント

この章では、Oracle Fusion Middlewareのコンポーネントについて説明します。この章の内容は次のとおりです。

図3-1は、Oracle Fusion Middlewareの概要を示しています。

図3-1 Oracle Fusion Middlewareの概要

製品グループの概要
「図3-1 Oracle Fusion Middlewareの概要」の説明

次の図3-2は、Oracle Fusion Middlewareのアーキテクチャの概要、Oracle Fusion Middlewareの一般的な環境の要素の概観を示しています。

詳細は、次のマニュアルを参照してください。

高可用性プラクティスの詳細は、次を参照してください。

http://www.oracle.com/technology/deploy/availability/htdocs/maa.htm

図3-2 Oracle Fusion Middlewareのアーキテクチャの概要

Oracle Fusion Middlewareのアーキテクチャの概要
「図3-2 Oracle Fusion Middlewareのアーキテクチャの概要」の説明

3.1 Oracle WebLogic Server

Oracle WebLogic Serverは、スケーラブルな企業向けのJava Platform, Enterprise Edition(Java EE)アプリケーション・サーバーです。Oracle WebLogic Serverのインフラストラクチャは、様々な分散アプリケーションのデプロイメントをサポートしており、SOAに基づいてアプリケーションを構築するための理想的な基盤です(図3-2)。

Java EEは、Javaプログラミング言語においてサーバー・プログラミング用に広く使用されているプラットフォームです。Java EEプラットフォームでは、JavaのStandard Editionとは異なり、主にアプリケーション・サーバー上で実行されるモジュール形式のコンポーネントに基づいて、フォルト・トレラントな分散多層Javaソフトウェアをデプロイする機能を提供するライブラリが追加されています。

Oracle WebLogic ServerはSun社のJava EE 5.0の仕様を完全に実装しており、データベース、メッセージング・サービス、外部のエンタープライズ・システムへの接続など様々なサービスにアクセス可能な分散Javaアプリケーションを作成するためのAPIの標準セットを提供します。エンド・ユーザー・クライアントは、Webブラウザ・クライアントまたはJavaクライアントを使用してこれらのアプリケーションにアクセスします。Oracle WebLogic ServerはSpring Frameworkもサポートしています。Spring Frameworkは、Java EEモデルの様々な側面の代替となる、Javaアプリケーション用プログラミング・モデルです。

企業は、Oracle WebLogic Serverにより、Java EEの実装だけでなく、堅牢でセキュアな高可用性のある管理しやすいスケーラブルな環境にビジネスクリティカルなアプリケーションをデプロイすることができます。これらの特徴により、企業はOracle WebLogic Serverインスタンスのクラスタを構成し、ロードを分散し、ハードウェアまたはその他の障害が発生した際にかわりとなる処理能力を提供できます。新しい診断ツールにより、システム管理者はデプロイ済アプリケーションのパフォーマンスやOracle WebLogic Serverの環境自体を監視および調整できます。また、人による操作を介さずにアプリケーション・スループットを自動的に監視および調整するようにOracle WebLogic Serverを構成することもできます。広範なセキュリティ機能により、サービスへのアクセスが保護され、企業データの機密が保護され、悪質な攻撃が防止されます。

3.1.1 Oracle WebLogic Serverの主な機能

Oracle WebLogic Serverの主要な機能カテゴリは次のとおりです。

3.1.1.1 高可用性

Oracle WebLogic Serverには、高可用性をサポートする次の機能があります。

  • Oracle WebLogic Serverクラスタは、Oracle WebLogic Serverの複数のインスタンスにワークロードを分散することにより、アプリケーションにスケーラビリティと信頼性を提供します。着信リクエストを、処理中の負荷の量に基づいてクラスタ内のOracle WebLogic Serverインスタンスにルーティングできます。ハードウェアまたは他の障害の発生時には、そのセッション・ステートが、障害が発生したノードの処理を再開できる他のクラスタ・ノードで使用可能になります。

    Oracle WebLogic Serverクラスタの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Using Clusters for Oracle WebLogic Server』を参照してください。

  • ワーク・マネージャは、ユーザーが定義したルールおよび監視した実際の実行時のパフォーマンス統計に基づいて優先処理順位を決定します。この情報は、アプリケーションのパフォーマンスを最適化するために使用されます。ワーク・マネージャは、Oracle WebLogic Serverドメイン全体に適用することも、特定のアプリケーションまたはコンポーネントに適用することもできます。

    ワーク・マネージャの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Configuring Server Environments for Oracle WebLogic Server』の「ワーク・マネージャによるスケジュールされた作業の最適化」を参照してください。

  • オーバーロード保護は、Oracle WebLogic Serverでのオーバーロード状態の検出、回避およびリカバリを可能にします。

    オーバーロード保護の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Configuring Server Environments for Oracle WebLogic Server』の「オーバーロードの回避および管理」を参照してください。

  • ネットワーク・チャネルは、トラフィックのタイプに基づいてネットワーク・トラフィックをチャネルに分離することでネットワーク・リソースの効率的な使用を促進します。

    ネットワーク・チャネルの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Configuring Server Environments for Oracle WebLogic Server』の「ネットワーク・リソースの構成」を参照してください。

  • 永続ストアは、永続性を必要とするOracle WebLogic Serverのサブシステムおよびサービス用の組込みの高性能ストレージ・ソリューションです。これは、たとえばストア・アンド・フォワード(SAF)機能を使用して送信された永続Java Message Server(JMS)メッセージを格納することも一時的にメッセージを格納することもできます。

    Oracle WebLogic Server永続ストアの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Configuring Server Environments for Oracle WebLogic Server』の「WebLogic永続ストアの使用」を参照してください。

  • SAFサービスは、複数のOracle WebLogic Serverインスタンスに分散されたアプリケーション間で信頼性の高いメッセージ配信を可能にします。メッセージ送信時にそのメッセージの宛先がネットワークの問題またはシステム障害のために利用できない場合、メッセージはローカル・サーバー・インスタンスに保存され、リモートの宛先が利用可能になったときにその宛先に転送されます。

    Oracle WebLogic Server SAFの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Configuring and Managing Store-and-Forward for Oracle WebLogic Server』を参照してください。

3.1.1.2 システム管理

Oracle WebLogic Server環境のシステム管理には、Oracle WebLogic Serverドメインの作成、アプリケーションのデプロイ、開発環境から本番環境へのドメインの移行、Oracle WebLogic Serverドメインのパフォーマンスの監視と構成、問題の診断とトラブルシューティングなどのタスクがあります。Oracle WebLogic Serverには、システム管理者がこれらのタスクを実行する際に役立つ多数のツールが用意されています。これらのツールには、ブラウザベースの管理コンソール、WebLogic Scripting Tool(WLST)、WebLogicシステム管理タスクを自動化するためのJythonに基づいたスクリプト言語、Simple Network Management Protocol(SNMP)、構成ウィザード、コマンドライン・ユーティリティなどがあります。

Oracle WebLogic Serverの管理システムは、Java EEおよびその他の標準に基づいているため、他のエンタープライズ・ソフトウェアおよびハードウェア・コンポーネントの管理に使用されるツールとの統合が容易です。さらに、Oracle WebLogic Serverには、Java EE Java Management Extension(JMX)仕様が実装されており、これによりOracle WebLogic Server管理システムへのプログラムによるアクセスが可能です。このAPIを使用することで、独自の管理ユーティリティを作成したり、Javaクラスを使用して頻繁に実行するタスクを自動化することができます。

これらのシステム管理タスクに使用するツールの詳細は、次の資料を参照してください。

  • Oracle Fusion Middleware Creating Domains Using the Configuration Wizard』の「構成ウィザードの概要」

  • Oracle Fusion Middleware Introduction to Oracle WebLogic Server』の「管理コンソールの概要」

  • Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Scripting Tool

  • Oracle Fusion Middleware SNMP Management Guide for Oracle WebLogic Server』の「SNMPの概要およびロードマップ」

  • Oracle Fusion Middleware Command Reference for Oracle WebLogic Server』の「Oracle WebLogic Server Javaユーティリティの使用」および「Weblogic.Serverコマンドライン・リファレンス」

3.1.1.3 診断フレームワーク

Oracle WebLogic Server Diagnostic Frameworkは、実行中のサーバーおよびそれにデプロイされたアプリケーションによって生成される診断データの作成、収集、分析、アーカイブおよびアクセスを可能にする監視および診断サービスです。このデータにより、Oracle WebLogic Serverインスタンスおよびデプロイされたアプリケーションの実行時のパフォーマンスを把握でき、障害およびパフォーマンスのボトルネックを特定および診断できます。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Configuring and Using the Diagnostics Framework for Oracle WebLogic Server』を参照してください。

3.1.1.4 セキュリティ・サービス

Oracle WebLogic Serverのセキュリティ・アーキテクチャは、Web上でアプリケーションを利用可能にする場合のセキュリティ上の問題に対処するために設計された包括的で柔軟性のあるセキュリティ・インフラストラクチャを提供します。Oracle WebLogic Serverのセキュリティは、Oracle WebLogic Serverアプリケーションを保護するためにスタンドアロンで使用することも、優れたセキュリティ管理ソリューションとして企業全体のセキュリティ管理システムの一部として使用することもできます。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Understanding Security for Oracle WebLogic Server』の「WebLogicセキュリティ/サービスの概要」を参照してください。

3.1.1.5 クライアント・オプション

Oracle WebLogic Serverは、ブラウザベースのWebアプリケーション・クライアントに対するサポートだけでなく、グラフィカルなユーザー・インタフェース・アプリケーションや単純なコマンドライン・ユーティリティの作成に対して様々なクライアント・タイプもサポートしています。これらのクライアント・タイプには、Oracle Tuxedoと通信するRMI-IIOP、T3、J2SEクライアント、Java EE Thinクライアント、CORBA/IDLクライアントおよびC++クライアントがあります。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Programming Stand-alone Clients for Oracle WebLogic Server』の「スタンドアロン・クライアントの概要」を参照してください。

この項には次のトピックもあります。

3.1.1.5.1 製品の統合

Oracle WebLogic Serverは、統合されたOracle WebLogic Suite Javaインフラストラクチャ内にコア・アプリケーション・サーバー・ランタイムを提供します。WebLogic Suiteには、次のサーバー側コンポーネントが含まれています。

  • Oracle WebLogic Server

  • Oracle Coherence

  • Oracle WebLogic Operations Control

  • Oracle WebLogic Real Time

この統合インフラストラクチャは、アプリケーションのパフォーマンスを高め、アプリケーションの可用性を向上させ、高品質のサービスとともに、計画可能で信頼性の高いスケーラビリティを実現します。

Oracle WebLogic Serverには、エンドユーザー・アプリケーションを異種システムと統合するための様々なツールも用意されています。これらのツールには、Webサービス、リソース・アダプタ、JMS .NETクライアント、メッセージング・ブリッジおよびRemote Method Invocation(RMI)があります。

3.1.1.5.2 Webサーバーとの統合

Oracle WebLogic Serverのインストールとともにプラグインが提供されており、これによりOracle WebLogic ServerをApache、Microsoft社およびSun社のWebサーバーと連動できます。通常、これらのWebサーバーは静的HTMLコンテンツのサービスを提供し、Java Server Pages(JSP)など動的Webコンテンツに対するリクエストはOracle WebLogic Server環境に転送されます。

3.1.2 Oracle WebLogic Serverのコア・コンポーネント

次の各項では、Oracle WebLogic Serverのいくつかのコア・コンポーネントについて簡単に説明します。

3.1.2.1 Oracle WebLogic Server Web Services

Oracle WebLogic Server Web Servicesは、ネットワーク上の他のシステムから利用可能な1つのアプリケーションにパッケージされた一連の関数です。ネットワークは企業イントラネットでもインターネットでも構いません。Webサービスは、大部分のシステムに備わっている基本的な標準テクノロジに依存しているため、分散システムを相互接続する場合に適した方法です。これらは、Webベースの分散アプリケーションのコンポーネントとして共有および使用できます。カスタマ・リレーションシップ・マネジメント・システム、注文処理システム、他の既存のバックエンド・アプリケーションなどその他のシステムでは、Webサービス関数をコールし、データを要求したり、操作を実行できます。

Oracle WebLogic Server Web Servicesは、次の機能を備えています。

  • 様々なハードウェアおよびソフトウェア・プラットフォームにわたる分散アプリケーション間の相互運用性

  • Webプロトコルを使用するファイアウォールを通したアプリケーションへの容易で広範なアクセス

  • 異種分散アプリケーションの開発を容易にするクロス・プラットフォーム、クロス言語データ・モデルeXtensible Markup Language(XML)

Oracle WebLogic Server Web Servicesは、JavaでWebサービスを実装するための標準Java EEランタイム・アーキテクチャを定義するWeb Services for Java EE 1.2仕様(http://www.jcp.org/en/jsr/detail?id=109)に従って実装されています。この仕様には、標準Java EE Webサービス・パッケージング形式、デプロイメント・モデルおよびランタイム・サービスも記述されており、Oracle WebLogic Server Web Servicesにはこれらがすべて実装されています。

Oracle WebLogic Server Web Servicesの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Introducing Web Services for Oracle WebLogic Server』を参照してください。

3.1.2.2 Oracle Coherence

Oracle Coherenceは、頻繁に使用されるデータへの高速かつ信頼性の高いアクセスを提供することにより、企業がミッションクリティカルなアプリケーションを計画的に拡張することを可能にするOracle Fusion Middlewareのコンポーネントです。Oracle Coherenceでは、複数のサーバー間でメモリのデータを自動的かつ動的にパーティション化することにより、サーバーの障害時にも継続的なデータの可用性およびトランザクションの整合性が確保されます。Oracle Coherenceは、共有インフラストラクチャとして、データの場所とローカル処理能力を結合し、リアルタイム・データ分析、インメモリ・グリッド計算、トランザクションおよびイベントの並列処理を実行します。Oracle Coherenceには、3つのエディションがあります。

Oracle Coherenceの詳細は、次のWebサイトを参照してください。

http://www.oracle.com/technology/products/coherence/index.html

3.1.2.3 JMSメッセージング標準

Java Message Service(JMS)は、Sun社によって定義されたメッセージング標準です。JMSは、一連のインタフェースであり、JMSクライアントからエンタープライズ・メッセージング製品の機能にアクセスする方法を定義するセマンティクスと関連付けられています。

Oracle WebLogic Server JMSは、JMS標準に基づいたアドバンスト・キューイング(AQ)用のJava APIを提供します。Oracle WebLogic Server JMSは、標準JMSインタフェースをサポートしており、標準に含まれていないAQ管理操作および他のAQ機能をサポートする拡張を備えています。

JMSの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Configuring and Managing JMS for Oracle WebLogic Server』を参照してください。

3.1.2.4 Enterprise Grid Messaging

Oracle WebLogic Serverでは、高性能な信頼性の高いJavaメッセージング・エンジンがアプリケーション・サーバーに組み込まれています。このエンジンは、アプリケーション・サーバーの一部として、管理インフラストラクチャ、サービスおよびプロセスをサーバーと共有します。これにより、操作およびランタイムの両方の観点からのオーバーヘッドが軽減されます。

Oracle WebLogic Server Enterprise Grid Messagingは、Oracle Fusion Middlewareの主要コンポーネントであり、本格的なエンタープライズ・メッセージング・バックボーンとして広く使用されています。WebLogic Enterprise Messaging Gridは、高性能であるだけでなく、エンタープライズ・メッセージング・ソリューションに期待される信頼性、可用性および統合性を備えています。また、すぐに使用可能なOracle AQとの統合機能や、全社規模のクラスタ・アプリケーションにおける厳密なメッセージ処理順序など優れた革新的な機能も備えています。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Information Roadmap for Oracle WebLogic Server』ガイドを参照してください。

3.1.2.5 JRockit

JRockitは、Java platform, Standard Edition(Java SE)用のJavaランタイム・ソリューションの製品ラインです。

JRockitは、金融機関のフロント・オフィスのレスポンス、軍の指揮統制、通信ネットワークなど待機時間が重視されるアプリケーションに対するソリューションを提供します。これにより、パフォーマンスが大幅に向上しコストが削減されます。

JRockit JVMは、Javaアプリケーションの信頼性、スケーラビリティ、管理性および柔軟性を確保するために開発された高性能JVMです。JRockit JVMは、Intel 32ビット(Xeon)および64ビット(Xeon、ItaniumおよびSPARC)アーキテクチャにデプロイされたJavaアプリケーションに対してこれまでにないレベルのパフォーマンスを非常に低コストで企業に提供します。さらに、これは、複数のハードウェアおよび運用構成間でのシームレスな相互運用性を提供する、Intelアーキテクチャ用に最適化された唯一のエンタープライズ・クラスのJVMです。JRockit JVMでは、32ビットと64ビットのどちらのアーキテクチャでも、WindowsとLinuxのどちらのオペレーティング・プラットフォームで実行しても、Javaアプリケーションの最適のパフォーマンスを得ることが可能です。JRockit JVMは、特にOracle WebLogic Serverの実行に適しています。

JRockitの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverの紹介』を参照してください。

3.1.2.6 Oracle Application Development Framework

Oracle Application Development Framework(Oracle ADF)は、Java EE標準とオープン・ソース・テクノロジを基盤とするエンド・ツー・エンドのアプリケーション・フレームワークであり、サービス指向アプリケーションの実装を簡略化および迅速化するものです。Web、ワイヤレス、デスクトップまたはWebサービス・インタフェースを使用してデータを検索、表示、作成、変更および検証するエンタープライズ・ソリューションを開発する場合、Oracle ADFを使用すると作業を簡略化できます。Oracle JDeveloperとOracle ADFを組み合せて使用すると、設計からデプロイメントに至る開発ライフサイクル全体に対応した環境が提供され、ドラッグ・アンド・ドロップによるデータ・バインディング、ビジュアルUI設計、チーム開発などの組込み機能を使用できます。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』を参照してください。

3.1.2.7 Tuxedo

Tuxedoは、ビジネスクリティカルなアプリケーション向けのスケーラブルな多言語高性能メッセージングおよび高度分散トランザクション処理プラットフォームです。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Tuxedo Connector Administration Guide for Oracle WebLogic Server』を参照してください。

3.1.2.8 Oracle TopLink

Oracle TopLinkは、リレーショナル・データベースにオブジェクト指向の永続データを格納する高性能なアプリケーションを構築します。これにより、オブジェクト指向のデータが、リレーショナル・データまたはeXtensible Markup Language(XML)要素に正常に変換されます。

Oracle TopLinkは、高度なオブジェクト永続性およびオブジェクト変換フレームワークであり、開発ツールおよびランタイム機能を提供することにより、開発およびメンテナンスの労力を軽減し、エンタープライズ・アプリケーションの機能を高めます。

Oracle TopLinkには、Java EEおよびJava SE環境におけるEJB 3.0に対するサポートと、EJB 2.nコンテナ管理の永続性(CMP)に対するサポートが含まれています。Oracle TopLinkは、Oracle WebLogic Server、OC4J、SunAS、JBossおよびIBM WebSphereなど様々なアプリケーション・サーバーと統合できます。

Oracle TopLinkアプリケーションの開発、デプロイおよび構成の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle TopLink開発者ガイド』を参照してください。

3.2 Oracle Metadata Repository

メタデータ・リポジトリには、Oracle BPEL Process Manager、Oracle B2B、Oracle PortalなどのOracle Fusion Middlewareシステム・コンポーネントのメタデータが格納されます。また、Oracle Fusion Middlewareの構成に関するメタデータと、エンタープライズ・アプリケーションのメタデータも格納できます。

メタデータ・リポジトリは、データベース・ベースでもファイル・ベースでも構いません。データベース・ベースの場合は、Oracle Metadata Repositoryは、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用して既存のデータベースにインストールできます。

Oracle Fusion Middlewareは複数のリポジトリ・タイプをサポートしています。リポジトリ・タイプは、特定のOracle Fusion Middlewareコンポーネント(たとえば、Oracle SOA SuiteやOracle Internet Directory)に属する特定のスキーマまたは一連のスキーマを表します。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』の「Oracle Metadata Repositoryの管理」を参照してください。

特別なタイプのリポジトリであるMDSリポジトリには、Oracle B2Bなど多数のOracle Fusion Middlewareコンポーネントのメタデータ、および特定のタイプのアプリケーションのメタデータが格納されます。MDSリポジトリの詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』の「MDSリポジトリの管理」を参照してください。

3.3 Oracle Identity Management

Oracle Identity Managementは、企業のリソース内のユーザーのアクセス権限を自動的に管理するエンタープライズID管理システムです。Oracle Identity Managementのアーキテクチャは、既存のインフラストラクチャ、ポリシーまたはプロシージャを変更することなく、要求の厳しいビジネス要件の大部分に対応します。

Oracle Identity Managementは、企業内のすべてのリソースにわたってユーザーのアクセス権限を管理するように設計されています。Oracle Identity Managementは、最初のアクセス権限の作成から企業のビジネス要件の変化に対する動的な対応に至るまでID管理ライフサイクル全体を管理します。

Oracle Identity Management製品は、すべてのOracleアプリケーションの共有インフラストラクチャに対応しています。サード・パーティによるエンタープライズ・アプリケーションの開発を促進するサービスおよびインタフェースも提供されています。これらのインタフェースは、ID管理を自身のアプリケーションに組み込む必要があるアプリケーション開発者にとって便利です。


注意:

Oracle Application Server Single Sign-Onは、Oracle Access Managerに含まれるようになりました。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementインストレーション・ガイド』を参照してください。

Oracle Identity Managementを構成するコンポーネントは次のとおりです。

3.3.1 Oracle Identity Manager

Oracle Identity Managerは、ユーザーのプロビジョニングと管理を行うソリューションであり、アプリケーションおよびディレクトリとの間でユーザー・アカウントを追加、更新、および削除する処理を自動化します。また、このソリューションを使用すると、どのユーザーがどのアプリケーションにアクセスしているかを明記したきめ細かなレポートが提供されるため、法規制への遵守が強化されます。Oracle Identity Managerは、スタンドアロンの製品として入手することも、Oracle Identity and Access Management Suiteの一部として入手することもできます。

ユーザーIDのプロビジョニングが自動化されると、情報技術(IT)の管理コストが軽減し、セキュリティが向上する場合があります。プロビジョニングは、法規制への遵守という点でも重要な役割を果たします。Oracle Identity Managerの主な機能としては、パスワードの管理、ワークフローとポリシーの管理、IDの照合、報告と監査、アダプタの使用による拡張性などがあります。

Oracle Identity Managerの詳細は、次の資料を参照してください。

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Manager管理者ガイドの「アプリケーション管理」

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Manager開発者ガイドの「概念」

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managerユーザーズ・ガイドの「機能の概要」

3.3.2 Oracle Internet Directory

Oracle Internet Directoryは、Oracle Databaseのスケーラビリティ、高可用性およびセキュリティ機能を活用する、Lightweight Directory Access Protocol(LDAP)v3ディレクトリです。Oracle Internet Directoryは、Oracle Fusion MiddlewareのコンポーネントであるOracle Identity Managementの中心的ユーザー・リポジトリとして機能し、Oracle環境におけるユーザー管理を簡略化し、多種混在の企業に対して標準ベースの汎用ディレクトリを提供します。

Oracle Internet Directoryには、ディレクトリ・データ・ストアとしてOracle Databaseを使用するマルチ・スレッド、マルチインスタンス・プロセス・モデルがあります。この独特なアーキテクチャから高度な柔軟性が生まれ、いくつかの高可用性構成が可能になり、あらゆる種類のハードウェア構成のスケーラビリティの可能性が高まります。

セキュリティの点では、Oracle Internet Directoryは、複数レベルのアクセス制御、高度なパスワード・ポリシー管理機能だけでなく、Oracle Database VaultおよびOracle Transparent Data Encryptionもサポートしています。

Oracle Internet Directoryの詳細は、次の資料を参照してください。

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Internet Directory管理者ガイド』の「ディレクトリ・サービスの概要」

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Internet Directory管理者ガイド』の「Oracle Internet Directoryの概念とアーキテクチャについて」

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Internet Directory管理者ガイド』の「Oracle Internet Directoryコンポーネントのプロセス制御について」

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Internet Directory管理者ガイド』の「Oracle Internet Directoryの機構について」

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Internet Directory管理者ガイド』の「Oracle Internet Directoryレプリケーションについて」

3.3.3 Oracle Directory Integration Platform

Oracle Directory Integration Platformは、Oracle WebLogic管理対象サーバー上で実行されるJava EEアプリケーションであり、様々なリポジトリとOracle Internet Directory間のデータの同期を可能にします。同期は、一方向でも双方向でも可能です。

Oracle Directory Integration Platformには、他のエンタープライズ・リポジトリとの同期ソリューションを開発可能にするサービスおよびインタフェースが含まれています。これを使用することで、Oracle Internet Directoryとサード・パーティのメタデータディレクトリ・ソリューションとの相互運用も可能になります。

Oracle Directory Integration Platformは、Oracle Fusion Middlewareインフラストラクチャを使用して、監視、管理、監査、ロギングおよび資格証明の格納を実行します。

Oracle Directory Integration Platformの概念の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Management統合ガイド』の第1章「Oracle Identity Managementの統合の概要」を参照してください。

3.3.4 Oracle Identity Federation

Oracle Identity Federationにより、組織内および異なる組織内にあるセキュリティ環境にIDとそれらに関連する権限を伝播できます。

自己完結型で柔軟性に富むマルチプロトコル・フェデレーション・サーバーであるOracle Identity Federationは、主要なIDおよびアクセス管理システムと統合し、追加のIDおよび資格証明の管理と保守のためのコストを増やさずに、組織の既存のインフラストラクチャを継続的に使用し、ベンダー、顧客およびビジネス・パートナ間でIDを共有することが可能です。

Oracle Identity Federationは、イベントベース・モデルを使用することでHTTPおよびSOAPベースのメッセージの受信、処理およびレスポンスが可能です。アサーションを受信すると、フェデレーション・サーバーはそのコア・プロトコルおよびビジネス・ロジックを使用してアサーションを処理します。Oracle Identity Federationは、OASIS SAML 2.0、OASIS SAML 1.0と1.1、およびWSフェデレーション仕様を含む主要なフェデレーション・プロトコルを実装しています。

認証および認可の決定をするために、Oracle Identity Federationは、次のようなサード・パーティのIDおよびアクセス管理システムと統合します。

  • AAAエンジン

  • Oracle Internet DirectoryやOracle DatabaseなどのLDAPおよびRDBMSユーザー・データ・リポジトリ

Oracle Identity Federationの詳細は、次の資料を参照してください。

  • Oracle Fusion Middleware Administrator's Guide for Oracle Identity Federation』の「Oracle Identity Federationについて」

  • Oracle Fusion Middleware Administrator's Guide for Oracle Identity Federation』の「アーキテクチャのオプション」

  • Oracle Fusion Middleware Administrator's Guide for Oracle Identity Federation』の「プロファイルおよびバインディング」

  • Oracle Fusion Middleware Administrator's Guide for Oracle Identity Federation』の「認証エンジン」

  • Oracle Fusion Middleware Administrator's Guide for Oracle Identity Federation』の「データ・リポジトリ」

  • Oracle Fusion Middleware Administrator's Guide for Oracle Identity Federation』の「デプロイメント例」

3.3.5 Oracle Virtual Directory

Oracle Virtual Directoryは、Oracle Fusion Middlewareのコンポーネントであり、スタンドアロンJavaSEプロセスです。これは、様々なベンダーのエンタープライズ・ディレクトリ・サーバーおよびデータベースを1つにまとめて表示するLDAPサービスです。Oracle Virtual Directoryは、複数のデータ・ソースを持つ環境において1つの情報ソースとしてサービスを提供できます。

Oracle Virtual Directoryでは、新しいアプリケーションの追加に伴う既存のインフラストラクチャに対する変更の必要性が最小化または排除され、時間と費用を節約できます。Oracle Virtual Directoryのデータ変換および結合機能により、複数のデータ・ソースの構造を変更することなくそれらの統合ビューを作成できます。これにより、組織は自身のリポジトリのデータを共有すると同時に、それらの完全な制御を維持し、使用状況を監視できます。ソースは個別に保持することができ、同期する必要はありません。複数のデータ・ソースがある場合でも、ユーザーには1つの論理LDAPツリーのみが表示されます。

Oracle Virtual Directoryは、Oracle Fusion Middlewareインフラストラクチャを使用して、監視、管理、監査、ロギングおよび資格証明の格納を実行します。また、Oracle Directory Services Managerを使用してOracle Virtual Directoryを管理することもできます。Oracle Directory Services Managerは、Oracle Virtual DirectoryとOracle Internet Directoryのどちらに対しても使用できるブラウザベースの統合グラフィカル・ユーザー・インタフェース(GUI)です。Oracle Directory Services Managerでは、Webベースのフォームおよびテンプレートを使用できるため、Oracle Virtual DirectoryおよびOracle Internet Directoryの管理と構成が簡略化されます。

Oracle Virtual Directoryの概念の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Virtual Directory管理者ガイド』の「Oracle Virtual Directoryについて」を参照してください。

3.3.6 Oracle Platform Security Services

Oracle Platform Security Services(OPSS)は、エンタープライズ製品開発チーム、システム・インテグレータおよび独立系ソフトウェア・ベンダーに、Java SEおよびJava EEアプリケーション向けの標準ベースの移植性の高いエンタープライズグレードの統合セキュリティ・フレームワークを提供します。

OPSSは、標準ベースのアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)形式の抽象レイヤーを提供し、これにより開発者はセキュリティおよびID管理を実装する細かな作業から解放されます。OPSSを使用することで、開発者が、暗号鍵管理やユーザー・リポジトリおよび他のID管理インフラストラクチャとのインタフェースの詳細について理解する必要はなくなります。

OPSSは、Oracle WebLogic Server、Oracle SOA、Oracle WebCenter、Oracle ADF、Oracle Entitlements ServerなどOracle Fusion Middleware製品にセキュリティを提供する、基盤となるセキュリティ・プラットフォームです。OPSSは、サードパーティ・アプリケーション・サーバーに移植できるように設計されています。その結果、開発者は、OPSSをOracleとサード・パーティの両方の環境に対する1つのセキュリティ・フレームワークとして使用でき、アプリケーションの開発、管理およびメンテナンスのコストを軽減できます。

OPSSの詳細は、『Oracle Fusion Middlewareセキュリティ・ガイド』を参照してください。

3.3.7 Oracle Role Manager

Oracle Role Managerは、企業および組織の関係、ロールおよびリソースを管理するためのエンタープライズ・クラスのアプリケーションであり、以前はBridgestream SmartRolesと呼ばれていました。これは、市場における最も包括的なロール管理製品として、そしてロール・ライフサイクル管理のための記録システムとして、ロール・マイニング、組織モデリングおよび管理のためのツールも提供します。Oracle Role Managerは、ユーザーのビジネス・ポリシーおよびデータに対するリアルタイムのビジネス的所見を使用して権限を導出し、Oracle Identity Managementアプリケーションと統合してITインフラストラクチャ全体にわたってロールベースのプロビジョニングとアクセス制御を自動化します。

3.3.8 Oracle Entitlements Server

Oracle Entitlements Serverは、アプリケーション・リソースの保護を精密に制御するために使用できる緻密な認可および権限管理ソリューションであり、以前はAquaLogic Enterprise Securityと呼ばれていました。これにより、包括的で再利用可能な完全に監査可能な認可ポリシーと簡素で使用しやすい管理モデルが提供され、エンタープライズ・アプリケーションとSOAのセキュリティが簡略化され集中管理されます。

3.3.9 Oracle Directory Services Manager

Oracle Directory Services Managerは、Oracle Internet DirectoryおよびOracle Virtual Directoryのインスタンスを管理するための統一されたブラウザベースのGUIです。これはOracle Directory Managerのかわりとなる処理能力をとなるものです。

Oracle Directory Services Managerでは、Webベースのフォームおよびテンプレートを使用できるため、Oracle Virtual DirectoryおよびOracle Internet Directoryの管理と構成が簡略化されます。Oracle Directory Services Managerでは、ディレクトリの構造を構成し、ディレクトリ内のオブジェクトを定義し、ユーザー、グループおよび他のエントリを追加および構成できます。Oracle Directory Services Managerは、エントリ、スキーマ、セキュリティおよび他のディレクトリ機能の管理に使用するインタフェースでもあります。

また、Oracle Directory Services Managerを使用してシステム構成属性を管理することもできます。これは、Fusion Middleware Controlを利用できない場合やFusion Middleware Controlインタフェースがない属性を変更する必要がある場合に便利です。


注意:

Oracle Directory Services Managerは、直接起動することも、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlから起動することもできます。

Oracle Directory Services Managerの詳細は、次の資料を参照してください。

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Internet Directory管理者ガイド』の「Oracle Directory Services Managerを使用したOracle Internet Directoryの管理」

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Virtual Directory管理者ガイド』の「Oracle Directory Services Managerの概要」

3.3.10 Oracle Access Manager

Oracle Access Managerを使用すると、アプリケーションまたは情報技術(IT)システムのユーザーは、一度ログインするだけで、広範なITリソースにアクセスできるようになります。Oracle Access Managerには、ID管理およびアクセス制御を行うシステムが用意されており、このシステムはすべてのアプリケーションで共有されます。その結果、一元化と自動化の行われたシングル・サインオン(SSO)ソリューションが新たに生成され、ITインフラストラクチャ全体にわたって、誰がどの情報にアクセスする権限を保持しているかを管理できます。Oracle Access Managerは、スタンドアロンの製品として入手することも、Oracle Identity and Access Management Suiteの一部として入手することもできます。

Oracle Access Managerの詳細は、次の資料を参照してください。

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Access Manager管理者ガイドの「Oracle Access Managerの管理の概要」

  • Oracle Access Manager統合ガイド』の「Oracle Access Managerの統合の概要」

3.3.11 Oracle Adaptive Access Manager

Oracle Adaptive Access Managerは、不正なWebアクセスのリアルタイム検出やマルチファクタ・オンライン認証セキュリティに企業レベルで対応するOracle Identity Managementソリューションです。Oracle Adaptive Access Managerは、複雑な多種混在エンタープライズ環境をサポートするように設計されています。これは、オンラインのID盗難に対する強力な保護を提供する、緊密に統合された2つのコンポーネントで構成されています。

Oracle Adaptive Access Manager(OAAM)は、企業のWebアプリケーションやサービス、およびそのエンドユーザーをオンライン上の脅威や内部の不正行為から保護します。OAAMでは、リスクを意識した認証、リアルタイムでの動作のプロファイリング、トランザクションとイベントのリスク分析が実現します。

Oracle Adaptive Access Managerには、次の2つの主要分野に関する機能が用意されています。

  • リアルタイムまたはオフラインでのリスク分析

  • 不正行為を防止するための機能

Adaptiveのアクセス・システムを使用すると、オンラインによる状況依存型の認証および認可を備えた高度なセキュリティを実現できます。したがって、状況が評価され、様々なデータのタイプに応じて予防的な措置が講じられます。

Oracle Adaptive Access Managerの詳細は、次の資料を参照してください。

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Adaptive Access Manager管理者ガイドの「Oracle Adaptive Access Managerの概要」

3.3.12 Oracle Identity Navigator

Oracle Identity Navigatorは、Oracle Identity Management製品すべてのアプリケーション・コンソールの役割を果たすように設計された管理ポータルです。これは、個別の製品のコンソールにかわるものではありません。ブラウザでOracle Identity Navigatorにアクセスし、これを使用して、Oracle Access Manager、Oracle Adaptive Access Manager、Oracle Identity Manager、Directory Services(ODSM)など、Oracle Identity Managementの各サービスのコンソールにアクセスします。URLを直接指定するか、または製品の検出機能を使用して、これらのコンソールに接続するようにOracle Identity Navigatorを構成します。Oracle Identity Management Navigatorでは、1つのサイト内のすべてのOracle Identityコンソールを管理するための処理が簡略化されます。

Oracle Identity Navigatorの詳細は、次の資料を参照してください。

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Navigator管理者ガイドの「Oracle Identity Navigatorの概要」

3.3.13 Oracle Authorization Policy Manager

Oracle Authorization Policy Manager(APM)は、Oracle Platform Security Servicesベースのアプリケーションの認可ポリシーを管理するためのGUIツールです。APMはセキュリティ管理者向けのツールであり、次の特徴を備えているために、アプリケーションの認可ポリシーの作成、変更、構成および管理が大幅に簡略化されます。

  • セキュリティ製品のユーザーフレンドリな名前と説明

  • 業務や製品など、アプリケーション固有のパラメータ別にアプリケーション・ロールを整理する手段

  • セキュリティ・アーティファクトの検索、作成、参照および編集を行うための均一なグラフィック・インタフェース

  • ロールで管理できるアプリケーションのサブセットを指定する手段

Oracle Authorization Policy Managerの詳細は、次の資料を参照してください。

  • Oracle Fusion Middleware Authorization Policy Manager管理者ガイドの「Oracle Authorization Policy Managerの概要」

3.4 Oracle WebCenter

Oracle WebCenterを構成するコンポーネントは次のとおりです。

3.4.1 Oracle Composer

Oracle Composerは、デプロイ済で使用中のアプリケーションまたはポータルのカスタマイズやパーソナライズを可能にする革新的なコンポーネントです。Oracle Composerは大変使いやすく設計されており、ビジネス・ユーザーおよびエンド・ユーザーはマウスを数回クリックするだけでどのページも編集することができます。Oracle Composerは、すべての最新のブラウザで動作し、Business DictionaryやResource Catalogから情報とコンポーネントを選択することによりJava Server Faces(JSF)アプリケーションおよびポータル・ページを動的に編集する方法を提供します。

Oracle Composerは、開発中にいつでもアプリケーションやポータルに簡単に追加でき、一行のコードも書くことなくこのWeb 2.0スタイルの操作を実現できます。この強力な機能は、単にOracle ComposerをJSFページにドラッグ・アンド・ドロップするだけで実現できます。

カスタマイズでは、アプリケーションやポータルのユーザー全員のビューが変わります。これは、通常、特定の顧客や目的のために配信済アプリケーションやポータルを特徴付けるために必要とされます。Oracle WebCenterおよびOracle Composerは、MDSを使用してカスタマイズを任意のデータベースに直接格納したり、ファイル・システムに格納するためのきわめて柔軟なモデルを提供します。

パーソナライズでは、ポータルやアプリケーション・ページのビューが変更されます。一人のユーザーが行った変更が他のユーザーに影響することはありません。ユーザーは、自身にとって何が重要かを決定して情報をすばやく簡単に見つけられるように編成します。Oracle Composerは、OracleのBusiness DictionaryまたはResource Catalogからの情報をロールベースのビューで表示することによりパーソナライズを実現し、ユーザーには彼らに関係のあるコンポーネントのみが表示されるようになります。重要な点は、他のユーザーのページの表示に影響を与えることなく、個々のユーザーがページを調整し、いつでも必要なときに任意の組合せのコンポーネントを追加できることです。

Oracle Composerは、Oracle WebCenter FrameworkおよびOracle WebCenter Servicesと統合されています。Oracle Composerコンポーネントを自身のJSFアプリケーション・ページに追加し、ユーザーが彼らのページを実行時に編集できるようにすることができます。Oracle Composerコンポーネントは、開発ライフサイクル中にいつでも必要に応じて追加できます。また、ページ・サービスを使用してユーザーが実行時にページを作成できるようにすることも可能です。

Oracle Composerは、Oracle WebCenter Spaces内部で広く使用されており、グループおよびパーソナル・スペースのカスタマイズとパーソナライズを可能にしています。Oracle WebCenter Spacesアプリケーションは、エンド・ユーザーが自身の要件に合せて彼らの作業環境の管理および変更に積極的な役割を担う方法を実現しています。

Oracle Composerの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Developer's Guide for Oracle WebCenter』を参照してください。

3.4.2 Oracle WebCenter Framework

Oracle WebCenter Frameworkは、Oracle JDeveloperのデザインタイムの拡張であり、Webベースのポータルとエンタープライズ・アプリケーション間の境界を排除します。また、すべてのOracle WebCenterテクノロジが動作するランタイム・ポータルとWeb 2.0フレームワークも提供します。

Oracle WebCenter Frameworkにより、Asynchronous Java Script and XML(AJAX)ベースのコンポーネント、ポートレット、サービスおよびコンテンツをコンテキストリッチなカスタマイズ可能なアプリケーションおよびエンタープライズ・ポータルに埋め込むことができます。従来、開発者はポータル、Webアプリケーション、コンポジット・アプリケーション、ソーシャル・ネットワーキングやコミュニティ・サイトのいずれを構築するのかを決定する必要がありました。Oracle WebCenter Frameworkは、これらの様々なタイプのアプリケーションすべての差異の橋渡しをし、配信を加速する最新の開発フレームワークを提供します。Oracle WebCenter Frameworkを使用すると、開発者はポータルとアプリケーションのいずれを構築するのかをあらかじめ決定する必要がなく、どのアプリケーションもポータルに、どのポータルもアプリケーションにすることができます。さらに重要な点は、Oracle WebCenter Frameworkは、各タイプのコンポーネントをポータルまたはアプリケーションに必要なときに追加したり、必要がなければ外しておけるように設計されていることです。これにより、全体的なアプリケーションの配信とメンテナンスが大幅に向上します。

Oracle WebCenter Frameworkは、以前はポータル製品にのみ組み込まれていた機能を統合することにより、追加のコンポーネント、統合およびランタイム・オプションでJSFの宣言的な開発環境を補強します。これらの機能により、次のことが可能になります。

  • 標準ベースのポートレットを構築および使用できます。

  • 標準インタフェースを使用して多数の異なるデータ・ストアからのコンテンツを統合できます。

  • アプリケーションを実行時にカスタマイズ可能にすることができます。これにより、Oracle Composerを使用して必要に応じてアプリケーション・ページを編集できます。

  • ユーザーの便宜のために管理者がコンポーネントの動作をカスタマイズできるようになります。

Oracle WebCenter Frameworkには、すぐに使用できるコンポーネントが組み込まれており、ソーシャル・ネットワーキングおよびパーソナル作成サービスをアプリケーションまたはポータルに簡単に追加できます。これらのコンポーネントはOracle WebCenter Servicesによって提供されます。

Oracle WebCenter Frameworkには、Oracle Content ServerおよびOracle Portal用のアダプタが組み込まれています。

Oracle WebCenter Frameworkの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Developer's Guide for Oracle WebCenter』を参照してください。

3.4.3 Oracle WebCenter Services

Oracle WebCenter Servicesは、包括的な一連のサービスにより、ソーシャル・ネットワーキングおよびパーソナル作成機能を公開します。これらのサービスは、まとめて使用できるように統合されています(たとえば、インスタント・メッセージングおよびプレゼンス・リンクをディスカッション・フォーラムに追加し、フォーラム・トピックから製品の専門家と直接会話することができます)。

すべてのOracle WebCenter Servicesには、すぐに使用可能なタスク・フローやポートレットの完全なセットが用意されており、それらの導入を迅速化し、開発者およびエンド・ユーザーがすばやく作成できるようになっています。たとえば、ドキュメント・サービスが、「ドキュメント」タスク・フロー、「ドキュメント・リスト・ビューア」タスク・フロー、および「最近のドキュメント」タスク・フローにより公開されています。これらのタスク・フローはいずれも構築するときにアプリケーションやポータルに追加でき、ユーザーはOracle Composerを使用してこれらのタスク・フローをデプロイ済アプリケーションやポータルに追加できます。

ビルトイン・タスク・フローが要件を満たしていない場合、開発者には次の2つの選択肢があります。

  1. ビルトイン・タスク・フローを要件に合せて直接カスタマイズします。これらのカスタマイズはJDeveloper内部で作成され、開発者に、彼らが必要としている機能をきわめて生産的に迅速に配信する方法を提供します。

  2. バックエンドの統合を構築することなく、ビルトイン・データ制御を使用し、要件に合せて独自のユーザー・インタフェースをバインドします。

Oracle WebCenter Servicesは、電子メール用のIMAPなど業界標準に準拠して構築されており、Oracle ComposerおよびOracle WebCenter Frameworkに統合されています。

Oracle WebCenter Servicesの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Developer's Guide for Oracle WebCenter』を参照してください。

3.4.4 Oracle WebCenter Spaces

Oracle WebCenter Spacesは、Oracle WebCenter Servicesのすべての機能を1つにまとめたすぐに使用できるアプリケーションであり、これにより、チームが彼らの情報、アプリケーション、プロジェクトおよび人々を、ITによる支援を必要とせずに迅速かつ効率的に管理できるようになります。

Oracle JDeveloperおよびOracle ADFとともにOracle WebCenter Frameworkを使用して構築されたOracle WebCenter Spacesには、ソーシャル・コンピューティング、コミュニティ、個人の生産性および特別チームの交流に関する最新テクノロジが集結されており、開発の労力は必要ありません。これにより、重複した労力やコンテンツの矛盾が回避または削減され、貴重なチームのリソースを、ビジネス問題の解決、新しいアイデアの発掘、製品化に要する時間の短縮のために共有できます。

Oracle WebCenter Spacesは、チームベースのサイト、および企業ポータルと部門ポータルからなる生産的な環境を提供する、次の強力な機能を備えています。

  • 個人スペースは、個々のユーザーに、彼らが追加、変更、および他のユーザーと共有できる彼ら自身の個人ページのセットを提供します。

  • ビジネス・ロール・ページは、特定のエンタープライズ・ロールと1つ以上のページを関連付ける効率的な方法を提供し、これにより、すべてのユーザーが彼ら専用および彼らの職務権限専用の情報について常に最新の情報を把握できるようになります。

  • グループ・スペースは、サイトの構築に長い開発時間を費やすことなく、部門またはエンタープライズ・ポータルを容易に提供することを可能にします。管理者とエンド・ユーザーは、プロジェクトやポータル・サイトに何を追加できるのかをロールベースのビューで表示できます。グループ・スペースは、完全にカスタマイズ可能であり、ITチームはアプリケーションのアップグレードから解放されます。

  • グループ・スペース・テンプレートは、グループ・スペースを開始するための効率的な手段を提供します。Oracle WebCenter Spacesは、ユーザーがただちに生産性を上げられるように最適に構成されていますが、会社のイメージに合せて様々なコンポーネントをまとめて補正したり、スペースを調整することもできます。このような調整をグループ・スペースに行った後、それを他のスペースに直接使用するテンプレートとして保存できます。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware User's Guide for Oracle WebCenter』を参照してください。

3.5 Oracle Business Intelligence

Oracle Business Intelligence(BI)は、テクノロジとアプリケーションの製品ラインであり、業界で最初に統合されたエンドツーエンドのエンタープライズ・パフォーマンス管理システムです。このシステムには、BIのファウンデーションおよびツール、さらに財務実績管理アプリケーション、運用BIアプリケーションおよびデータ・ウェアハウスが含まれます。

Oracle Business Intelligenceは次のもので構成されています。

3.5.1 Oracle Business Intelligence Enterprise Edition(EE)

Oracle Business Intelligence Enterprise Edition(Oracle BI EE)には、エンタープライズ・ビジネス・インテリジェンスのツールおよびインフラストラクチャが総合的にまとめられており、スケーラブルで効率的な問合せおよび分析サーバー、非定型の問合せおよび分析ツール、対話型のダッシュボード、事前対応型のインテリジェンスおよびアラート、リアルタイムの予測インテリジェンス、エンタープライズ・レポート作成エンジンが含まれています。Oracle Business Intelligence Enterprise Editionは、ビジネスの可視性と洞察力を幅広いユーザーに向けて高められるように設計されています。

Oracle Business Intelligence Enterprise Editionの各コンポーネントは、共通のサービス指向アーキテクチャ、データ・アクセス・サービス、分析と計算を行うためのインフラストラクチャ、メタデータ管理サービス、セマンティック・ビジネス・モデル、セキュリティ・モデルとユーザー・プリファレンス、および管理ツールを共有します。Oracle Business Intelligence Enterprise Editionは、データソースごとに最適化された分析生成、最適化されたデータ・アクセス、高度な計算、インテリジェントなキャッシュ・サービス、およびクラスタリングによって、スケーラビリティとパフォーマンスを実現します。

詳細は、『Oracle Fusion Middlewareユーザーズ・ガイドfor Oracle Business Intelligence Enterprise Edition』の「Oracle Business Intelligence Enterprise Editionの概要」およびOracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionシステム管理者ガイドの「Oracle Business Intelligenceシステム管理の概要」を参照してください。

3.5.2 Oracle Business Intelligence Publisher

Oracle Business Intelligence Publisher(BI Publisher、旧名はXML Publisher)を使用すると、高度に書式設定され、印刷に適したレポートを作成できます。BI Publisherのレポートは、BI Publisherのデータ・モデルの上に構築されます。BI Publisherのデータ・モデルは、多様なソースのデータ・セットで構成されます。その多様なソースには、BI Serverまたは分析のサブジェクト・エリア、リレーショナル・データベースに対するSQL問合せ、EssbaseなどのOLAPソースに対するMDX問合せ、LDAP、Webサービス、Microsoft Excel、HTTPフィード、XMLファイルなどがあります。BI Publisherは多様なレイアウト・タイプをサポートしているため、ユーザーの組織で必要となるような、あらゆるタイプのドキュメントを作成できます。Oracle BI EEでは、BI Publisherのレポートの表示、作成、編集およびスケジュール設定を行ってから、ダッシュボード・ページに含めることができます。

Oracle BI Publisherによるレポート実行の詳細は、Oracle Business Intelligence Publisherレポート設計者ガイドを参照してください。

3.5.3 Oracle Real-Time Decisions

Oracle Real-Time Decisions(Oracle RTD)を使用すると、適応性の高いエンタープライズ・ソフトウェア・ソリューションを開発できます。 適応性のあるこれらのソリューションでは、各ビジネス・トランザクションを実行し、自動的に最適化する一方で、そうしたトランザクションから継続的に学習します。この処理は、クローズ・ループによるビジネス・ルールおよび予測モデルを介して、リアルタイムで行われます。

詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Real-Time Decisionsプラットフォーム開発者ガイドを参照してください。

3.6 Oracle Business Intelligence Discoverer

Oracle Business Intelligence Discoverer(Oracle BI Discoverer)は、データ分析のためのビジネス・インテリジェンス・ツールであり、Oracle Fusion Middlewareの主要なコンポーネントです。最新リリースであるOracle Business Intelligence Discoverer 11gは、Discoverer Webservice APIの公開、Oracle WebCenterとの統合、Oracle WebLogic Serverとの統合、Enterprise Manager(Fusion Middleware Control)との統合、そしてパフォーマンスやスケーラビリティの向上といった新機能を提供します。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Configuration Guide for Oracle Business Intelligence Discoverer』の「Oracle BI Discovererとは」を参照してください。

3.7 Oracle Portal

Oracle Portalは、エンタープライズ・ポータルを構築、デプロイおよび管理するための完全な統合フレームワークを提供します。ビジネス上の可視性と協力を促進し、統合コストを削減し、確実に投資を保護する、すべてのエンタープライズ情報およびサービスへのセキュアな統一アクセス・ポイントを提供するのは、Oracle Portalのみです。

Oracle Portalには次の利点があります。

Oracle Portalの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Administrator's Guide for Oracle Portal』を参照してください。

3.8 Oracle Reports

Oracle Reportsは、スケーラブルかつセキュアな環境で、組織の内外からすべてのレベルの情報に直接アクセスできるようにするエンタープライズ・レポート作成ツールです。

Oracle Reportsを使用することにより、Oracleデータベース、JDBC、XMLおよびテキスト・ファイルを含むあらゆるデータ・ソースに対して、洗練されたWebおよび紙のレポートを迅速に開発およびデプロイできます。JSPやXMLなどのJava EEテクノロジを活用することにより、HTML、XML、PDF、スプレッドシート、区切り文字で分けたテキスト、PostScript、RTFなど様々な形式のレポートを任意の宛先(電子メール、Webブラウザ、WebDav、FTP、プリンタ、Oracle Portal、ファイル・システムなど)にスケーラブルかつ効率的な方法でパブリッシュできます。

Oracle Reportsを構成するコンポーネントは次のとおりです。

Oracle Reportsの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Reports ServicesレポートWeb公開ガイド』を参照してください。

3.9 Oracle Forms Services

Oracle Forms Servicesは、複合トランザクションFormsアプリケーションをイントラネットやインターネットなどのネットワークにデプロイするための中間層アプリケーション・フレームワークです。

開発者は、Oracle Forms Builderを使用してFormsアプリケーションをビルドし、Oracle Forms Servicesを使用してそれらをデプロイします。

Oracle Forms Servicesを使用することで、ビジネス・アプリケーション開発者はJavaコードを書くことなく、インターネットに対して最適化され、プロフェッショナルなユーザー・コミュニティの要件を満たす(あるいは超える)包括的なJavaクライアント・アプリケーションを迅速にビルドできます。これらのJavaクライアント・アプリケーションは、大量のデータの高速処理と、複雑な計算、分析およびトランザクションの迅速な完了を目的とした、必要に応じて利用可能なWebデプロイされるアプリケーションです。

Oracle Forms Servicesは、次の3層のアーキテクチャで構成されています。

詳細は、次のマニュアルを参照してください。

3.10 Oracle SOA Suite

Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middlewareのミドルウェア・コンポーネントです。Oracle SOA Suiteでは、サービスを作成および管理し、SOAコンポジット・アプリケーションにまとめることができます。コンポジット・アプリケーションを使用すると、複数のテクノロジ・コンポーネントを1つのSOAコンポジット・アプリケーション内に容易に収集できます。Oracle SOA Suiteは異機種インフラストラクチャにプラグイン可能なため、企業はSOAを段階的に採用できます。

Oracle SOA Suiteのコンポーネントは、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlコンソールから管理できます。

ソフトウェア・アーキテクトおよび開発者は、Oracle SOA Suiteを使用して彼らのアプリケーションおよびエンタープライズ環境の複雑さに対処できます。Oracle SOA Suiteを使用すると、エンタープライズ・アプリケーションを、容易に統合および再利用可能なモジュール形式のビジネス・サービスとして開発できるようになり、柔軟で適応性のあるエンタープライズ・インフラストラクチャが実現されます。

この項では、次のOracle SOA Suiteコンポーネントについて説明します。

3.10.1 アダプタ

ビジネス・プロセスの最適化に対するニーズが高まるにつれ、既存のバックエンド・アプリケーションとの効率的な統合が成功への鍵となりました。ビジネス・プロセスを最適化するには、Java Connector Architecture(JCA)1.5に準拠したリソース・アダプタを使用してアプリケーションを統合します。アダプタは、堅牢で軽量な、高度にスケーラブルな標準ベースの統合フレームワークをサポートしています。これにより、異種のアプリケーション間の相互通信が可能になります。たとえば、アダプタによってパッケージ・アプリケーション、レガシー・アプリケーション、データベースおよびWebサービスの統合が可能です。Oracle JCA Adaptersを使用することで、異なるベンダーによって提供され、異なるテクノロジに基づき、異なるプラットフォームで動作する多種のアプリケーションが統合され、相互運用性が確保されます。

Oracle JCA Adaptersによって、Oracle Fusion Middlewareがトランスポート・プロトコル、データ・ストア、メッセージング・ミドルウェアと統合されます。これらのアダプタには、Oracle JCA Adapter for Files、Oracle JCA Adapter for FTP、Oracle JCA Adapter for JMS、Oracle JCA Adapter for Database、Oracle JCA Adapter for Advanced Queuing、Oracle JCA Adapter for MQ Series、Oracle JCA Adapter for Sockets、およびOracle Adapter for Oracle Applicationsがあります。Oracleのテクノロジ・アダプタは、Oracle Fusion Middlewareの一部としてインストールされます。

3.10.2 Oracle Service Bus

Oracle Service Busは、SOAのバックボーンであり、サービス統合プラットフォームです。これにより、複雑で脆弱なポイント・ツー・ポイントの統合の実装を、サービス利用者が複数のドメインにわたってJavaやMicrosoft.Netなどの多種エンドポイント間で利用できる疎結合されたサービスに変えることができます。Oracle Service Busにより、変更に対する迅速な適応、スケール変更、リスク管理、単純なコードフリーの構成ベースのサービス統合による高い価値の実現が可能になります。

生産性、パフォーマンスおよびスケーラビリティの向上、統一されたランタイム、および適応接続性に焦点を絞ったOracle Service Busの主要機能は次のとおりです。

  • メッセージ変換

  • サービス・レベル合意(SLA)の適用

  • サービス・モニタリング

  • サービスのクオリティ(QoS)制御

  • 複数のメッセージング・プロトコルのサポート

  • 企業情報システム(EIS)とのネイティブの接続性

  • 組込みマルチレベル・セキュリティ

  • Oracle Enterprise Repository、Oracle Service Registry、Oracle Web Services Manager、Oracle Enterprise Managerなど他のOracle製品との統合

3.10.3 Oracleの複合イベント処理

データベースは、有限の格納されたデータ・セットに対する問合せの実行に最も適しています。ただし、多数の最新のアプリケーションでは、連続的な限りのないセットのデータに対する、実行に時間がかかる問合せが必要とされています。設計によっては、データの大部分に対して繰り返し問合せが実行され、かつ更新が比較的まれである場合は、格納されたデータ・セットが適しています。反対に、データ・ストリームは絶えず、多くの場合はもっぱら新しい要素の挿入によって変更されるデータを表します。大量のデータに対して複数回操作を実行するのは、不要であり実用的ではありません。

多くの種類のアプリケーションがデータ・セットとは対照的なデータ・ストリームを生成します。そのようなアプリケーションには、センサー・データ・アプリケーション、金融のティッカー、ネットワーク・パフォーマンス測定ツール、ネットワーク・モニタリングおよびトラフィック管理アプリケーション、クリックストリーム分析ツールなどがあります。これらのタイプのアプリケーションのデータ管理と処理には、一時的に強力に集中処理できるデータ管理能力および問合せ能力の構築が含まれます。

この要件に対処するために、Oracle Complex Event Processing(Oracle CEP)というデータ管理インフラストラクチャが導入されました。これは、構造化データ・レコードのストリームを、格納した関係とともにサポートするインフラストラクチャです。

Oracle CEP(以前の名称はOracle WebLogic Server Event Server)は、高性能イベント・ドリブン・アプリケーションの開発およびデプロイ用のJavaサーバーです。Oracle CEPは、JRockit Real Timeを使用してきわめて高いスループットとマイクロ秒の待機時間をサポートし、完全なリアルタイム・エンド・ツー・エンドJava Event-Driven Architecture (EDA)開発プラットフォーム用のOracle CEP VisualizerおよびOracle CEP IDE for Eclipse開発ツールを提供します。

Oracle CEPを使用して、Oracle Fusion Middlewareアプリケーションのイベントに対して、高度なコンテキスト作成、フィルタリング、相関と集計、およびパターン・マッチングを実行できます。

Oracle CEPには、次の主要な機能があります。

  • データおよびイベント・ソースのサポート: Oracle CEPのイベント・ソースによってOracle CQLの問合せが実行されたデータの作成元が特定されます。イベント・ソースには、通信サービスと株式ティッカーや、温度、モーション、無線自動識別(RFID)探知器などのセンサー、その他のデバイスなどのデータ・フィードが含まれます。Oracle CEPは、そのような現実社会のイベント・ソースを、Oracle CQLの問合せに接続する様々なアダプタを提供します。Oracle CEPアダプタは、JMS、HTTPパブリッシャまたはサブスクライバ、およびファイルといったイベント・ソースをサポートします。

  • コンテキスト作成: Oracle CEPは、様々なスライディング・ウィンドウ演算子およびビュー(副問合せ)を提供します。これにより、フィルタリング、相関と集計、およびパターン・マッチングが実行される一時的またはセマンティック・コンテキストを定義できます。Oracle CQLは、範囲ベース(時間または定数値)、タプルベース、およびパーティション化を含む様々なスライディング・ウィンドウを提供します。

  • フィルタリング: Oracle CQLを使用して、イベント・ソースによって提供されるイベントの任意の属性を選択する問合せを指定できます。そのような問合せを使用して、イベント・ソースをフィルタし、目的のイベントを取得します。Oracle CQLは、このための一連の演算子、式、条件および文を提供しています。

  • 相関と集計: Oracle CQLを使用して、イベント・ソースによって提供されたイベントの属性に対して高度な統計および算術計算を実行できます。Oracle CQLによって、問合せされたストリームまたはビューの各行に対して単一の結果行を返す単一行関数、1つのタプルではなくタプルのグループに基づいて1つの集計結果を返す集計関数、高性能の科学計算および技術計算のための統計および高度な算術計算、java.lang.Mathクラスに基づいた統計および高度な算術計算が提供されます。さらに、カスタム単一行関数および集計関数を簡単に定義できます。

  • パターン・マッチング: Oracle CQL MATCH_RECOGNIZE条件を使用して、アルゴリズム・トレーディング、ダブルボトム検出、非イベント検出などの様々なタスクのための複雑なパターン・マッチング操作を簡潔に表すことができます。

  • 複合イベント・シンク・サポート: Oracle CQLのイベント・シンクにより、Oracle CQLの問合せ結果の利用者を特定します。これは、Oracle CQLの問合せで、様々なコンテキスト内でフィルタリング、相関と集計、およびパターン・マッチングを実行することにより、イベント・ソースから抽出した注目すべきイベントの利用者です。通常、注目すべきイベントは、イベント・ソースによって提供されたイベントよりも数が少なく(値についてはかなり大きく)なります。Oracle CEPアダプタは、JMS、HTTPパブリッシャまたはサブスクライバ、ファイル、およびイベントBeanといったイベント・シンクをサポートします。

  • 開発およびランタイム・ツール: Oracle CEPは、Oracle CEPアプリケーションの開発、デプロイ、およびデバッグに役立つように設計されたEclipse IDEの一連のプラグインであるOracle CEP IDE for Eclipseを提供します。Oracle CEPは、Oracle CEP Visualizerと呼ばれる高度なランタイム管理コンソールも提供します。Oracle CEP Visualizerを使用して、ブラウザから、Oracle CEPサーバー・ドメインとそれらにデプロイしたOracle CEPアプリケーションを管理、調整および監視できます。Oracle CEP Visualizerは、Oracle CQLおよびEPLルール・メンテナンスおよび作成に対するサポートを含めて、様々な高性能のランタイム管理ツールを提供します。

詳細は、『Oracle CEP Getting Started』の「Oracle Complex Event Processingの概要」を参照してください。

3.10.4 Oracle Business Rules

Oracle Business Rulesによって、実行時の動的な意思決定が可能になり、ポリシー、計算および推論を自動化するとともに、基礎となるアプリケーション・コードからルール・ロジックを分離できます。これにより、より迅速なルール・メンテナンスが可能になり、ビジネス・アナリストは、プログラマによる支援を受けたりビジネス・プロセスを中断させることなく、ルール・ロジックを変更できるようになります。

ビジネス・ルールは、ビジネス・ポリシーを記述したり、重要なビジネス上の決定を記述する文です。

Oracle Business Rulesは、意思決定表をサポートしています。意思決定表は、プロパティ値の多数の組合せを分析するために多数のルールが必要である場合にかわりとなる処理能力をとなる、よりコンパクトで直感的なビジネス・ルール形式です。意思決定表を使用して、すべての組合せに対応するか、どの2つの組合せにも矛盾がないルールのセットを作成できます。

Oracle Fusion Middlewareは、次のようにビジネス・ルールのサポートを提供します。

  • Decisionコンポーネント内。Decisionコンポーネントは、複数のビジネス・プロセスから呼び出せる再利用可能なサービスとしてビジネス・ルールをパブリッシュするためのメカニズムです。ビジネス・ルールを使用して、SOAコンポジット・アプリケーションをOracle Business Rulesと統合できます。ビジネス・ルール・サービス・コンポーネントも、Decisionコンポーネントと呼ばれています。ビジネス・ルールをSCAアプリケーションの一部として、またはBusiness Process Execution Language(BPEL)プロセスの一部として追加できます。

  • Oracle Business Rulesを使用する、ルールを使用可能な非SOA Java EEアプリケーション内。Oracle Business Rules Rules Engine(Rules Engine)は、Java EEアプリケーション(非SOA)で使用するライブラリとして使用可能です。Rules Engineは、ルールをファクトに効率的に適用し、ルールを定義および処理します。

詳細は、次のマニュアルを参照してください。

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Business Rulesユーザーズ・ガイド

  • Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Business Rulesランゲージ・リファレンス・ガイド

3.10.5 Oracle Business Activity Monitoring

Oracle Business Activity Monitoringは、サービス・メトリックを集計し、クリティカル・ビジネス・サービスに対する実用的な情報を配信することにより、意思決定プロセスの向上に役立ちます。Oracle Business Activity Monitoringは、視覚的なダッシュボードとアラートを使用してビジネス・ユーザーに情報を提供します。

また、Oracle Business Activity Monitoringにより、ユーザーはビジネス・プロセスを変更し、ビジネス環境の変化に従って修正アクションを実行できます。

Oracle Business Activity Monitoringは、リアルタイム操作のダッシュボードを構築し、Web経由でアプリケーションの監視やアラートを行うための完全なソリューションです。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware User's Guide for Oracle Business Activity Monitoring』を参照してください。

3.10.6 Oracle B2B

Oracle B2B(Business to Business)は、企業とその取引パートナとの間のビジネス・ドキュメントのセキュアで信頼性の高い交換を可能にするE-Commerceゲートウェイです。Oracle B2Bは、インターネット経由での製品およびサービスの売買など一般的なB2B E-Commerceに使用されます。また、Health Level 7サポートのためにも使用され、ヘルスケア・システムの相互通信を可能にします。Oracle B2Bは、B2Bのドキュメント標準、梱包、輸送、メッセージング・サービス、および取引パートナ、および契約管理をサポートしています。Oracle B2Bがバインディング・コンポーネントとなっているOracle SOA Suiteプラットフォームにより、エンド・ツー・エンドE-Commerceビジネス・プロセスの実装が可能になります。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle B2Bユーザーズ・ガイド』の「Oracle B2Bの概要」を参照してください。

3.10.7 Oracle BPEL Process Manager

Oracle BPEL Process Managerは、一連の個別サービスをエンド・ツー・エンドのプロセス・フローにアセンブルするための標準を提供します。その結果、プロセス統合におけるコストと複雑性が劇的に軽減されます。Oracle BPEL Process Managerを使用すると、エンド・ツー・エンドのBPELプロセス・フローに同期および非同期サービスを編成できます。

BPELプロセスは、外部サービス(パートナ・リンク)と統合します。また、ヒューマン・タスク、変換、通知、プロセス内のビジネス・ルールなどのテクノロジ・アダプタとサービスも統合します。

Oracle BPEL Process Managerは、Oracle SOA Suiteにサービス・コンポーネントとして組み込まれています。Oracle SOA Suiteは、Oracle Fusion Middlewareの不可欠なレイヤーです。これは、コンポジット・アプリケーションを設計、デプロイおよび管理するための完全なセットのコンポーネントを提供します。Oracle SOA Suiteでは、サービスを作成および管理し、コンポジット・アプリケーションおよびビジネス・プロセスにまとめることができます。

Oracle BPEL Process Managerの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド』を参照してください。

3.10.8 Oracle Service Registry

Oracle Service Registryは、Webサービス、およびXMLスキーマやeXtensible Stylesheet Language Transformations(XSLT)のような関連するリソースをパブリッシュおよび検出するための使いやすい標準ベースのメカニズムです。

Oracle Service Registryは、Universal Description, Discovery and Integration(UDDI)に完全に準拠した実装であり、SOAの重要なコンポーネントです。Oracle Service Registryは、ほぼすべてのJava環境でデプロイでき、広く使用されているデータベース・システムすべてで動作します。さらに、そのレジストリは明確にエンタープライズ・デプロイメント用に設計されており、構成、デプロイ、管理およびセキュリティ保護が簡単に実行できる多数の高度な機能が組み込まれています。また、Oracle Service Registryは、様々なエンタープライズ・ユーザー・コミュニティをサポートするように簡単にカスタマイズできます。

Oracle Service Registryでは、エンタープライズ・アプリケーションのために設計された次の独特な機能により、コアUDDI標準が拡張されています。

  • 高度なセキュリティ

    登録済コンポーネントに対してきめ細かなアクセス制御を定義できます。コンポーネント・パブリッシャは、すべてのパブリッシュ済オブジェクトそれぞれに対してアクセス権限を指定、検索、取得、変更、および削除できます。

  • データの正確性と品質

    強制メカニズムにより、コンポーネントの登録が正確で最新であることが保証されます。Oracle Service Registryでは、すべての登録済コンポーネントそれぞれの責任が明確に定義されます。開発、品質保証、本番環境の間にコンポーネントを昇格するための、コンポーネント昇格および承認メカニズムが提供されています。

  • サブスクリプションと通知

    登録ユーザーが依存しているコンポーネントに対する変更について彼らへの自動的な通知を提供します。

  • 選択的レプリケーション

    複数のレジストリにおける自動伝播の実行を可能にします(たとえば、内部レジストリと外部レジストリの間)。

  • 高度な分類管理

    明確に定義された分類を適用できます。

  • 強力な管理

    パブリッシュおよび検出プロセスのきめ細かな制御、ロギングおよび監査が可能です。

  • パフォーマンスとスケーラビリティ

    Webサービス・スタックおよびデータベース・アルゴリズムの効率的な実装により、また、ロード・バランシングおよびクラスタリング・メカニズムのサポートにより、最大限のパフォーマンスとスケーラビリティを提供します。

Oracle Service Registryは、プラットフォームに依存しないソリューションであり、様々な設定で簡単にデプロイできます。また、Oracle Service Registryは、Oracle Internet DirectoryやMicrosoft ActiveDirectoryを含むLDAPディレクトリと統合します。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Service Registry Guide』を参照してください。

3.10.9 Oracle User Messaging Service

Oracle User Messaging Serviceは、マルチ・チャネル・メッセージングを統合する単純で信頼性の高い方法をサポートしています。Oracle User Messaging Serviceは、統合用のJava APIとWebサービスの両方をサポートしています。サポートされているチャネルには、SMS、電子メール、インスタント・メッセージおよびボイス・メッセージがあります。Oracle User Messaging Serviceは、ユーザーのプリファレンスによってメッセージの最終的な宛先が決定されるインテリジェント・メッセージングもサポートしています。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド』を参照してください。

3.10.10 ヒューマン・ワークフロー

ヒューマン・ワークフローによって、ユーザーやグループが、エンド・ツー・エンドのビジネス・プロセス・フローの一部として実行するタスクを記述したフローをモデル化できます。多数のエンド・ツー・エンド・ビジネス・プロセスが、プロセスにおける人の手による操作を必要とします。たとえば、承認、例外管理、またはビジネス・プロセスを進めるために必要なアクティビティの実行に対しては人の手が必要な場合があります。ヒューマン・ワークフローは、次の機能を提供します。

  • 適切なユーザーまたはグループへのタスクの割当ておよびルーティングを含む、プロセスにおける人の手による操作。

  • タスク(ヒューマン・タスク・アクティビティ)のタイムリーな実行を確実にするために必要な締切り、エスカレーション、通知およびその他の機能。

  • ワークリスト・アプリケーション(Oracle BPM Worklist)を含む様々なメカニズムを使用した、エンド・ユーザーに対するタスクの表示。

  • エンド・ユーザーが生産的に彼らのタスクを実行するために必要な組織、フィルタリング、優先順位付けおよびその他の機能。

  • スーパーバイザおよびビジネス・オーナーがタスクのパフォーマンスを管理するために必要なレポート、再割当て、ロード・バランシングおよびその他の機能。

ヒューマン・ワークフローの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド』を参照してください。

3.10.11 Oracle Mediator

Oracle Mediatorは、コンポジット・アプリケーション内の様々なコンポーネント間を仲介する軽量のフレームワークを提供します。メディエータは、データを変換し、SOAコンポジット・アプリケーションを構築するために接続されている様々なコンポーネントによって公開された様々なインタフェース間の通信を容易にします。たとえば、メディエータは、アプリケーションやサービスからテキスト・ファイルに含まれたデータを受け取り、それを、カスタマ・リポジトリとして動作するデータベースを更新するために適した形式に変換し、そのデータベースにデータをルーティングして配信します。

Oracle Mediatorは、SOA Suiteのサービス・コンポーネントとして動作し、イベントとサービス間の統合を容易にします。ここで、サービスの呼出しとイベントは混在している場合と一致している場合があります。Mediatorコンポーネントを使用して、ビジネス・イベントを利用したり、サービスの呼出しを受信できます。Mediatorコンポーネントは、ルーティング・ルールを評価し、変換を実行し、検証し、別のサービスを呼び出すか、別のビジネス・イベントを発生させることができます。Mediatorコンポーネントを使用すると、返されたレスポンス、コールバック、障害およびタイムアウトを処理できます。

Oracle Mediatorの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド』を参照してください。

3.11 開発ツール

この項では、Oracle ADFおよび統合された開発環境であるOracle JDeveloperでFusion Webアプリケーションを構築するためのOracle Fusion Middlewareのサポートについて説明します。Fusion Webアプリケーションは、Oracle Fusion Middleware環境で動作することを目的としたデータベース中心のアプリケーションです。

この項の内容は次のとおりです。

3.11.1 Oracle JDeveloper

Oracle JDeveloperは、Java、XML、WebサービスおよびSQLの最新の標準を使用したSOAアプリケーションを構築するための統合開発環境(IDE)です。これは、アプリケーションのモデル化、コーディング、デバッグ、テスト、プロファイリング、チューニングおよびデプロイのための統合された機能により、完全な開発ライフ・サイクルをサポートしています。Oracle JDeveloperは、Oracle Fusion Middlewareスイート製品向けの主要な開発プラットフォームです。これは、Windows、Linux、Mac OS X、およびその他のUNIXベースのシステム上で動作するクロス・プラットフォームIDEです。

Oracle JDeveloperは、視覚的で宣言的な開発手法を提供し、Oracle ADFと連携して開発を簡略化します。

Oracle JDeveloperの主要な機能は次のとおりです。

  • Java、SOA、Oracle WebCenter、SQLとPL/SQL、HTMLおよびJavaScriptを含む様々なテクノロジ・スタックに使用可能な一貫した開発環境。

  • XMLベースのアプリケーション開発。

  • データベース・オブジェクトおよびストアド・プロシージャを構築するための完全な開発およびモデル化環境。

  • 本番環境にデプロイする前にアプリケーションを実行してテストするための統合ランタイム・サービスである、統合Oracle WebLogic Serverを含む様々なアプリケーション・デプロイメント・オプション。

  • 開発のニーズに基づいてIDEのカスタマイズを可能にし、機能を追加する拡張機能。

Oracle JDeveloperの詳細は、Oracle JDeveloperのオンライン・ドキュメントを参照してください。

3.11.2 Oracle Application Development Framework

Oracle ADFは、Java EE標準とオープン・ソース・テクノロジを基盤とするエンド・ツー・エンドのアプリケーション・フレームワークであり、サービス指向アプリケーションの実装を簡略化および迅速化するものです。Web、ワイヤレス、デスクトップまたはWebサービス・インタフェースを使用してデータを検索、表示、作成、変更および検証するアプリケーションを作成するエンタープライズ開発者には、Oracle ADFが適しています。Oracle JDeveloper 11gとOracle ADFを併用することにより、設計からデプロイメントまでの開発ライフサイクル全体を網羅する環境が実現します。この環境には、ドラッグ・アンド・ドロップによるデータ・バインディング、ビジュアルUI設計およびチーム開発機能が組み込まれています。

フレームワークのコア・モジュールはOracle ADF Model、つまり最新の仕様を実装する宣言型データ・バインディング機能です。この仕様には、宣言型データ・バインディング・メタデータにアクセスするためのAPIが組み込まれています。Oracle ADF Modelレイヤーでは、統一的な手法により、コードを記述しないで任意のビジネス・サービスに任意のユーザー・インタフェースをバインドできます。Fusion Webアプリケーション・テクノロジ・スタックを構成するその他のモジュールは、次のとおりです。

  • Oracle ADF Business Components: ビジネス・サービスの構築を簡略化するビジネス・レイヤー。

  • Oracle ADF Faces Rich Client: JavaServer Faces(JSF)で構築されたWebアプリケーション用のAJAX対応UIコンポーネントのライブラリを提供するビデオ・レイヤー。

  • Oracle ADF Controller: JSFをOracle ADF Modelと統合するコントローラ・レイヤー。ADF Controllerは、追加の機能を提供することによって標準JSFコントローラを拡張します。追加された機能には、JSFページ間だけでなく、メソッド・コールや他のタスク・フローといった他のアクティビティ間でコントロールを受け渡す、再利用可能なタスク・フローなどがあります。

ADF Facesに加えて、Oracle ADFは、Swing、JSPおよび標準JSFビュー・テクノロジの使用をサポートし、アプリケーションのビュー・レイヤーとしてMicrosoft Excelもサポートします。これらのテクノロジの詳細は、第3.11.2.6項「他のビュー・テクノロジに対するOracle ADFサポート」を参照してください。

また、オラクル社ではOracle ADFに関する学習のために次のリソースも提供しています。

  • JDeveloperのキュー・カード: JDeveloperキュー・カードは、Oracle ADFを使用したアプリケーション開発プロセスの段階ごとのサポートを提供します。これらは、同梱されていた例およびサンプル・スキーマで使用することも、独自のデータで使用することもできるように設計されています。

  • Oracle Technology Networkのチュートリアル。

詳細は、Oracle Technology NetworkのOracle JDeveloperドキュメント・ページhttp://www.oracle.com/technology/documentation/jdev.htmlを参照してください。

3.11.2.1 ADF Modelレイヤー

このモデル・レイヤーで、Oracle ADF Modelは、データ・コントロールと呼ばれるJSR-227サービス・アブストラクトを実装します。データ・コントロールは、標準メタデータ・インタフェースを使用して、関連するプロパティ、メソッドおよびタイプに関する情報を含む、サービスの操作とデータ収集を記述することにより、ビジネス・サービスの実装テクノロジを要約します。Oracle JDeveloperでは、開発者はそのような情報を、ページ上に簡単にドラッグ・アンド・ドロップできるアイコンとして表示できます。開発者が、サービスの表示をページ上にドラッグすると、Oracle JDeveloperによって自動的にページからサービスへのバインディングが作成されます。実行時に、ADF Modelレイヤーによって、該当するXMLファイルからアプリケーションのデータ・コントロールおよびデータ・バインディングを記述している情報が読み取られ、ユーザー・インタフェースとアプリケーションのビジネス・サービスとの間の双方向接続が実装されます。

Oracle ADFは、大部分の一般的なビジネス・サービス・テクノロジに対してすぐに使用できるデータ・コントロールの実装を提供します。Oracle JDeveloperとOracle ADFを一緒に使用すると、ユーザー・インタフェースを構築するための宣言的なドラッグ・アンド・ドロップ・データ・バインディング・エクスペリエンスが提供されます。ADF Business Componentsアプリケーション・モジュールのサポートとともに、ADF Modelレイヤーは、次のサービス・テクノロジに対するサポートも提供します。

  • Enterprise JavaBeans(EJB)セッションBeansおよびJPA永続性APIエンティティ

  • JavaBeans

  • Webサービス

  • XML

  • CSVファイル

Oracle ADF Modelの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』の「Fusion WebアプリケーションでのOracle ADF Modelの使用」を参照してください。

3.11.2.2 ADF Business Components

ADF Business Componentsは、ビルトイン・アプリケーション・オブジェクトであり、配信およびメンテナンスの高性能な高機能データベース中心のサービスを高速化します。サービス指向のJava EEアプリケーションを構築するときに、開発者は、1つ以上のビジネス・サービスとしてコア・ビジネス・ロジックを実装します。これらのバックエンド・サービスにより、クライアントに、適切なビジネス・ルールを適用するとともに必要に応じてビジネス・データをすばやく問い合せ、挿入、更新および削除する方法が提供されます。ADF Business Componentsは、Java EEの設計パターンおよびベスト・プラクティスのすぐに使用できる実装を提供します。

Oracle ADF Business Componentsは、次の主要なコンポーネントを提供し、データベース中心のビジネス・サービスの構築を簡略化します。

  • エンティティ・オブジェクト

    1つのエンティティ・オブジェクトは、データベース表の1行を表し、すべてのデータ操作言語(DML)操作を処理することで、そのデータの変更を簡略化します。これで、ビジネス・ロジックをカプセル化し、確実にビジネス・ルールが一貫して適用されるようにすることができます。開発者は、1つのエンティティ・オブジェクトを他のエンティティ・オブジェクトと関連付け、基礎となっているデータベース・スキーマにおけるリレーションシップを反映し、ビジネス・ドメイン・オブジェクトのレイヤーを作成して複数のアプリケーションで再利用できます。

  • ビュー・オブジェクト

    ビュー・オブジェクトは、SQL問合せを表し、その結果の操作を簡略化します。開発者は、SQL言語を使用して、ユーザー・インタフェースに表されているエンド・ユーザー・タスクによって必要とされる形になるようにデータを結合、投影、フィルタ、ソート、および集計します。これには、ビュー・オブジェクトを他のエンティティ・オブジェクトとリンクし、任意の複雑さでマスター詳細階層を作成する機能があります。ユーザー・インタフェースでエンド・ユーザーがデータを変更すると、ビュー・オブジェクトとエンティティ・オブジェクトが連携して、その変更の一貫性が検証され保存されます。

  • アプリケーション・モジュール

    アプリケーション・モジュールは、UIクライアントがアプリケーション・データを操作するために使用するトランザクション・コンポーネントです。これにより、エンド・ユーザー・タスクに関連する操作の論理ユニットに関係する、更新可能なデータ・モデル、最上位のプロシージャおよび関数(サービス・メソッドと呼ぶ)が定義されます。

Oracle ADF Business Componentsの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』の「ADF Business Componentsの概要」を参照してください。

3.11.2.3 ADF Controller

Webアプリケーションのページ・フローの処理が主要な関心の的であるコントローラ・レイヤー内に、ADF Controllerは、JSFの上に拡張ナビゲーションおよび状態管理モデルを提供します。JDeveloperは、ページ、マネージドBean上のメソッド、宣言的case文、他のタスク・フローへのコールなど様々なタイプのアクティビティの間のアプリケーション制御を管理できるタスク・フローの宣言的な作成をサポートします。

Oracle ADF Controllerの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』の「ADFタスク・フローの概要」を参照してください。

3.11.2.4 ADF Faces Rich Client

ADF Faces Rich Client(略してADF Faces)は、AJAX機能が組み込まれた一連の標準JSFコンポーネントです。AJAXは、非同期JavaScript、動的HTML(DHTML)、XMLおよびXmlHttpRequest通信チャネルを組み合せたものです。この組合せにより、ページを完全に再レンダリングすることなく、サーバーにリクエストすることができます。AJAXでは、クライアントのようなアプリケーションが標準インターネット・テクノロジを使用できますが、JSFにはサーバー側コントロールが用意されており、一般的なAJAXアプリケーションでよく見られる、JavaScriptの豊富な機能の依存が軽減されます。

ADF Facesには、100を超えるコンポーネントが含まれています。これには、階層形式のデータ表、ツリー・メニュー、ページ内ダイアログ、アコーディオン、デバイダ、ソート可能な表などがあります。また、ADFデータ視覚化コンポーネントも用意されています。これはFlashやSVGに対応したコンポーネントであり、動的チャート、グラフ、ゲージなどのグラフィックをレンダリングし、基礎となるデータをリアルタイムで表示できます。各コンポーネントはカスタマイズやスキニングをサポートしており、国際化とアクセシビリティの機能も備えています。

これらのフロントエンド機能を実現するために、ADF Facesコンポーネントではレンダリング・キットが使用されます。このレンダリング・キットは、コンポーネントの表示を処理するだけでなく、その機能に必要なJavaScriptオブジェクトも提供します。これらは組込みでサポートされているため、開発者はフロントエンドとバックエンドの個々のテクノロジについて豊富な知識がなくても、アプリケーションを構築できます。

各コンポーネントのアーキテクチャと詳細情報を含む、ADF Facesの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Webユーザー・インタフェース開発者ガイド』の「ADF Faces Rich Clientの概要」を参照してください。

3.11.2.5 Oracle ADF Security

Oracle ADF Security(ADF Security)は、JAASに基づいたセキュリティの実装を提供するフレームワークです。Oracle ADFのJAASの実装は、パーミッションベースです。Oracle JDeveloperは、Fusion WebアプリケーションのOracle ADFリソースに対してきめ細かなセキュリティを可能にするパーミッションの付与の実行をサポートしています。

Oracle ADF Securityの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』の「Fusion WebアプリケーションでのADF Securityの有効化」を参照してください。

3.11.2.6 他のビュー・テクノロジに対するOracle ADFサポート

ADF Facesと同様に、Oracle ADFも次のビュー・テクノロジをサポートしています。

  • Apache MyFaces Trinidad: これは、オラクル社からApache Software Foundationに寄贈したオープン・ソース・コードです。ADF Facesコンポーネントは、これらのTrinidadコンポーネントを基盤にしています。

  • Java SwingとADF Swing: ADF Swingは、ADF Modelレイヤーを使用するJava Swingアプリケーションを構築するための開発環境です。

  • ADF Mobile: これは、JSFのコンポーネント・モデル上に構築されるモバイル・アプリケーションを構築するための標準ベースのフレームワークです。

  • ADF Desktop Integration: Integrationは、他のビュー・テクノロジと同じバインディング原則を使用してデータにバインドするスプレッドシートを作成するためにMicrosoft Excelによってサポートされています。

3.11.2.7 Oracle ADF Swing

Oracle Application Development Framework Swing(Oracle ADF Swing)は、JavaクラスとAPIで構成され、ビジネス・サービスへのSwingコンポーネントのバインディングを処理し、デスクトップ・アプリケーションにデータバインド・フォームを作成するタスクを簡略化します。JDeveloperとOracle ADF Swingは、デスクトップ・アプリケーションを開発するための包括的なサポートを提供し、これには、フォーム作成ウィザード、フォーム・レイアウト・エディタ、ドラッグ・アンド・ドロップによるビジネス・コンポーネントとのデータのバインディングなどの機能が含まれています。

Oracle ADF Swingの詳細は、Oracle JDeveloperアプリケーション内で利用可能なOracle JDeveloperオンライン・ドキュメントを参照してください。

3.11.2.8 Oracle ADF Mobile

Oracle Application Development Framework Mobile(Oracle ADF Mobile)は、エンタープライズ・モバイル・アプリケーションの迅速な開発を可能にする標準ベースのフレームワークです。Oracle ADF Mobileの現在のバージョンでは、Oracle ADFはモバイル・デバイス上で動作するブラウザに拡張されています。Oracle ADF Mobileは、モバイル・ブラウザ用のアプリケーションの開発を可能にするJSFのコンポーネント・モデル上に構築されています。

JSFに対するOracle ADF Mobileのモバイル固有の拡張により、デスクトップのJSFアプリケーションの開発と同じ方法論を使用してモバイル・アプリケーションの開発が可能です。Oracle ADF Mobileアプリケーションの開発では、Apache MyFaces Trinidadコンポーネントで構成されるモバイルJSFページのみを使用します。現時点では、Oracle ADF Mobileは、モバイル・デバイスの画面に適切にレンダリングするコンポーネント・セットに対して60個以上のTrinidadコンポーネントをサポートしています。詳細は、Apache MyFaces Trinidadのホーム・ページ(http://myfaces.apache.org/trinidad/index.html)を参照してください。

Oracle ADF Mobileの詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Frameworkモバイル・ブラウザ・クライアント開発者ガイドを参照してください。

3.11.2.9 Oracle ADF Desktop Integration

Oracle Application Development Framework Desktop Integration(Oracle ADF Desktop Integration)は、Oracle ADFを使用して構築されたWebアプリケーションとMicrosoft Excelワークブックを統合するためのツールとコンポーネントを提供します。Oracle ADF Desktop Integrationモジュールで構成されたExcelワークブックは、実行時にOracle ADFコンポーネントを呼び出し、Webアプリケーションから取得したデータを管理できます。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Desktop Integration Developer's Guide for Oracle Application Development Framework』を参照してください。

3.11.3 Oracle TopLink

Oracle TopLinkは、高度なオブジェクト永続性およびオブジェクト変換フレームワークであり、開発ツールおよびランタイム機能を提供することにより、開発およびメンテナンスの労力を軽減し、エンタープライズ・アプリケーションの機能を高めます。

Oracle TopLinkは、リレーショナル・データベースにオブジェクト指向の永続データを格納する高性能なアプリケーションを構築します。これにより、オブジェクト指向のデータが、リレーショナル・データまたはExtensible Markup Language(XML)要素に正常に変換されます。

Oracle TopLinkは、次に列挙した形式を含む、様々なデータ・ソースおよび形式をサポートする高度なオブジェクト永続性およびオブジェクト変換レイヤーを設計、実装、デプロイ、および最適化するために使用します。

  • リレーショナル: Java Database Connectivity(JDBC)ドライバを使用してアクセスされるリレーショナル・データベースに対するJavaオブジェクトのトランザクションの永続性用。

  • オブジェクト・リレーショナル・データ・タイプ: Oracle Databaseなどオブジェクト・リレーショナル・データ・タイプ・データベースに格納するために最適化された特別な目的のための構造化データ・ソース表現に対するJavaオブジェクトのトランザクションの永続性用。

  • エンタープライズ情報システム(EIS): JCAアダプタを使用してアクセスされる非リレーショナル・データ・ソース、および索引付き、マップ済またはXMLを含むサポートされているすべてのEISレコード・タイプに対するJavaオブジェクトのトランザクションの永続性用。

  • XML: Javaオブジェクトと、Java Architecture for XML Binding(JAXB)を使用するXML Schema Document(XSD)ベースのXMLドキュメントとの間の非トランザクション、非永続(インメモリ)変換用。

Oracle TopLinkは、Java EEおよびJava SE環境におけるEJB 3.0をサポートしています。これには、Oracle WebLogic ServerやOracle Containers for J2EE(OC4J)10g(10.1.3.4.x)などの様々なアプリケーション・サーバーとの統合も含まれます。Oracle TopLinkには、OC4JにおけるEJB 2.nコンテナ管理の永続性(CMP)に対するサポートも含まれています。

Oracle TopLinkは、メタデータ形式でオブジェクト対データ・ソースおよびオブジェクト対データ表現のマッピングを取得および定義するため、Oracle JDeveloper TopLink Editor、Eclipse Dali、Oracle TopLink Workbenchなどの開発ツールのスイートを提供します。

Oracle TopLinkのいくつかの主要な機能は次のとおりです。

  • メタデータベースのアーキテクチャ: Plain Old Java Objects(POJO)、コンテナ管理の永続性(CMP)、およびJava Persistence API(JPA)、Java Architecture for XML Binding(JAXB)、Service Data Objects(SDO)、EclipseLinkによって提供されるWebサービス。

  • 高度なマッピング・サポート。

  • 最適化およびパフォーマンス・チューニング。

  • いくつかのアプリケーション・サーバー(Oracle Application Serverなど)に対するクラスタ統合を含むオブジェクト・キャッシング・サポート。

  • TopLink Expressionsフレームワーク、Java永続性問合せ言語(JP QL)、Enterprise JavaBeans Query Language(EJB QL)、およびネイティブSQLを含む問合せ機能。

  • ジャストインタイムの読取り。

  • オブジェクトレベルのトランザクション・サポートと広く使用されているサーバーおよびデータベースとの統合。

  • オプティミスティック・ロックおよびペシミスティック・ロック・オプションとロック方針。

  • ビジュアル設計ツール。

Oracle TopLinkの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle TopLink開発者ガイド』の「TopLinkの概要」を参照してください。

3.11.4 Oracle Enterprise Pack for Eclipse

Oracle Enterprise Pack for Eclipse(OEPE)は、Java EEの開発を、特に次のテクノロジが存在している場合にサポートするように設計された一連のプラグインです。

  • Eclipse IDE

  • Oracle WebLogic Server

  • Oracle Database

OEPEの主要な機能は次のとおりです。

  • Oracle WebLogic Serverのサポート: OEPEは、Oracle WebLogic Serverアプリケーションを開発、デプロイ、およびデバッグする、次のような機能を提供します。

    • 仮想エンタープライズ・アーカイブ(EAR)テクノロジを使用した高速なアプリケーションの開発。

    • アプリケーションのリモート・デプロイメント。

    • グラフィカルな設計ビューを使用したデプロイメント・ディスクリプタの編集。

    • Oracle WebLogic Server共有ライブラリに対するサポート。

    • XMLBeansに対するサポート。

    • EJBGenに対するサポート。

    • Webサービスのサポート: OEPEにより、XML、SOAP、WSDLなどの標準Webサービス・テクノロジを採用するエンタープライズ・クラスのWebサービスの構築が可能になります。OEPEによって、開発者は、従来であればこれらのテクノロジに必要であった複雑な実装の詳細ではなく、アプリケーション・ロジックに集中でき、Webサービスの開発が簡略化されます。

  • Oracle Databaseによるサポート: OEPEは、Oracleデータベースに対する接続、作成、検索および問合せを簡単に実行する方法を提供します。サポートには、Data Source Explorerビューを使用したデータベースの視覚化およびデータ記述言語(DDL)の生成が含まれます。

  • JSF Faceletsツール: Faceletsによって、JSPではなくXHTMLを使用したJSFページの開発が可能になります。

  • オブジェクト・リレーショナル・マッピングのサポート: OEPEによって、EJB 3.0 JPAを使用する永続性レイヤーの作成が可能になり、次の操作を実行する方法が提供されます。

    • JPAプロジェクトに対する永続性プロバイダの構成

    • JPAエンティティの生成

    • クラスへの注釈付け

    • エンティティ・ダイアグラム・エディタの使用

    • SQLスキーマ・ビューアの使用

    • Spring frameworkの使用

  • Webページ・エディタ

OEPEの詳細は、次のWebサイトを参照してください。

http://download.oracle.com/docs/cd/E14545_01/help/oracle.eclipse.tools.common.doc/html/index.html

3.11.5 Oracle Help

Oracle Helpは、JavaアプリケーションおよびWebアプリケーションについてHTMLベースのヘルプ・システムを開発および表示する方法を提供します。作成者は、1つのヘルプ・システムを作成し、変更することなく、Java環境ではOracle Help for Javaを使用し、Web環境ではOracle Help for the Webを使用して表示できます。Oracle Help for the Webは、Oracle Help for the Web - UIXとOracle Help for the Web – Rich Clientの2つの形式で利用可能です。

Oracle Help for Java(OHJ)は、Javaコンポーネント、Java API、およびJava環境でHTMLベースのヘルプ・コンテンツを開発および表示するためのファイル形式の仕様のセットです。OHJは、Java環境で使用するスタンドアロンのドキュメント・ビューアとしても実装できますが、最初はJavaアプリケーションのヘルプを表示するために設計されました。

Oracle Help for the Web – UIX(OHW-UIX)は、JavaサーブレットおよびWeb環境でHTMLベースのヘルプ・コンテンツを開発および配信するためのファイル形式の仕様です。OHW-UIXは、Webアプリケーションのコンテキスト依存ヘルプを提供するためや、Web上で独立したHTMLコンテンツの構造化ビューを処理および表示する方法として使用できます。

Oracle Help for the Web – Rich Client(OHW-RC)は、OHW-UIXに似ており、Web環境でHTMLベースのヘルプ・コンテンツを配信します。これは、JavaServer Faces(JSF)テクノロジに基づいたOracle Application Development Framework (Oracle ADF)を使用し、オラクル社のBrowser Look And Feel Plus(BLAF+)ガイドラインに従ったユーザー・インタフェースを構築します。

Oracle Helpの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Developer's Guide for Oracle Help』の「Oracle Helpの概要」を参照してください。

3.12 Oracle HTTP Server

Oracle HTTP Server(OHS)は、Oracle Fusion Middlewareがサポートするすべてのプログラミング言語とテクノロジの基盤となる開発プラットフォームです。これは、Webリスナーと、Webを介して静的および動的ページとアプリケーションをホスティングするためのフレームワークを提供します。Apache 2.2.10インフラストラクチャの実績のあるテクノロジを基盤とするOHSには、ロード・バランシング、管理および構成を容易にする重要な拡張が組み込まれています。これには、いくつかの拡張されたモジュール(mod)も含まれています。これらは、その機能を他のエンタープライズ・アプリケーションおよびサービスに拡張する、HTTPサーバーに対する拡張です。

OHSには、オラクル社が開発したモジュールが組み込まれています。シングル・サインオン、クラスタ・デプロイメント、および高可用性の機能によって、Oracle HTTP Serverの動作が向上しています。

OHSにより、開発者は、Java、Perl、C、C++、PHP、PL/SQLなどの様々な言語およびテクノロジでサイトをプログラミングできます。さらに、これは、フォワードまたはリバース・プロキシ・サーバーとして動作できます。

OHSの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle HTTP Server管理者ガイド』を参照してください。

3.13 Oracle Web Cache

この項では、Oracle Web Cacheについて説明します。この項には、次の2つのトピックがあります。

3.13.1 リバース・プロキシ

Oracle Web Cacheは、コンテンツを認識するサーバー・アクセラレータ、つまりリバース・プロキシであり、Web層のOracle HTTP ServerやOracle WebLogic Serverなど、どのようなWebサーバーまたはアプリケーション・サーバーでもその上で動作するWebサイトのパフォーマンス、スケーラビリティおよび可用性を向上させます。

Oracle Web Cacheは、Oracle Fusion Middlewareで提供されるプライマリ・キャッシング・メカニズムです。キャッシングによって、頻繁にアクセスされるURLがメモリに格納され、Oracle Fusion Middleware上で実行されているWebサイトのパフォーマンス、スケーラビリティおよび可用性が向上します。

Oracle Web Cacheは、頻繁にアクセスされるURLをメモリに格納することにより、アプリケーションWebサーバーおよびデータベース層でそれらのURLに対するリクエストを繰り返し処理する必要性が排除されます。静的オブジェクトのみを処理する従来のプロキシとは異なり、Oracle Web Cacheでは、1つ以上のアプリケーションWebサーバーからの静的コンテンツと動的に生成されたコンテンツの両方をキャッシュします。Oracle Web Cacheは、従来のプロキシよりも多量のコンテンツをキャッシュできるので、アプリケーションWebサーバーおよびデータベース層のロードを大幅に削減することにより、最適なパフォーマンスを提供します。Oracle Web Cacheは、外部キャッシュとしても、アプリケーション層内で実行されるオブジェクト・キャッシュよりもはるかに高速です。

Web Cacheは、HTTP 1.0および1.1仕様に完全に準拠しているため、Apache TomcatやMicrosoft IISなどどのような標準WebサーバーによってホスティングされているWebサイトでも高速化できます。Oracle Fusion Middlewareでは、Oracle Web Cacheは、Oracle HTTP Serverの1つ以上のインスタンスの前に常駐します。ブラウザベースのHTTPリクエストに対するレスポンスは、Oracle HTTP Serverインスタンスに転送され、Oracle Web Cacheによって送信されます。Oracle Web Cacheインスタンスは、標準HTTPプロトコルで送信されたWebコンテンツであれば、どのようなコンテンツも処理できます。

リバース・プロキシの詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Web Cache管理者ガイドを参照してください。

3.13.2 リクエスト・フィルタリング

Oracle Web Cacheは、元のサーバー上で構成されたサイトへの着信HTTPまたはHTTPSリクエストをフィルタリングするためのリクエスト・フィルタリングを提供します。

リクエスト・フィルタリングは、Webサイトへのアクセスを制御し、次の情報を提供することによって管理者を支援します。

  • Webサイトへの悪質なコードの埋込み。そのコードが実行されるとユーザーのIDや個人情報が盗まれます。

  • サイト上のソフトウェアの脆弱性を利用しようとする攻撃。このような脆弱性が発見されると、攻撃者がどのようなコードもアプリケーション・サーバー上で実行できるようになります。

  • きわめて大量の偽のリクエストをまとめて送信することにより、Webサイトを利用できないようにしようとする攻撃。大量のリクエストによりアプリケーション・サーバーのリソースや帯域幅が事実上使い尽くされ、他のユーザーがアクセスできなくなります。

さらに、リクエスト・フィルタリングによって、どのクライアントとリクエストに、1つのWebサイト全体またはWebサイトの特定の部分へのアクセスを許可するのかが制御されます。

リクエスト・フィルタリングの詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Web Cache管理者ガイドを参照してください。

3.14 OracleのWebサービス

Webサービスは、ネットワーク上の他のシステムから利用可能な1つのアプリケーションにパッケージされた一連の関数です。ネットワークは企業イントラネットでもインターネットでも構いません。Webサービスは、大部分のシステムに備わっている基本的な標準テクノロジに依存しているため、分散システムを相互接続する場合に適した方法です。これらは、Webベースの分散アプリケーションのコンポーネントとして共有および使用できます。カスタマ・リレーションシップ・マネジメント・システム、注文処理システム、他の既存のバックエンド・アプリケーションなどその他のシステムでは、Webサービス関数をコールし、データを要求したり、操作を実行できます。

Web Servicesは、次の機能を備えています。

Oracle Fusion Middleware 11gでは、次に示すタイプのWebサービスの開発、セキュリティおよび管理をサポートするためにWebサービスの2つのカテゴリがあります。

Oracle Fusion Middleware 11gのWebサービスの概要、各カテゴリでサポートされているWebサービスとクライアントの説明、Oracle Fusion Middleware Webサービスの実装のロードマップは、『Oracle Fusion Middleware Introducing Web Services』を参照してください。

3.15 Oracle Delegated Administration Services

Oracle Delegated Administration Servicesは、Oracle Identity Managementインフラストラクチャの重要な機能です。これによって、中央のディレクトリにユーザー、グループおよびサービスのすべてのデータを格納するとともに、そのデータの管理を様々な管理者およびエンド・ユーザーに配布できます。これは、環境における様々なセキュリティ要件を重視するような方法で行われます。

3.16 Oracle Enterprise Content Management Suite

Oracle Enterprise Content Management Suiteは、コンテンツ管理用に設計された製品を統合したスイートです。そのコンポーネントは次のとおりです。

これらのコンポーネントは、Oracle WebLogic Serverドメインにアプリケーションとしてデプロイできます。

3.16.1 Oracle Universal Content Management(UCM)

Oracle Universal Content Management(Oracle UCM)は、様々な種類のコンテンツ管理を目的とした統一アプリケーションです。

Oracle Universal Content Management(UCM)はエンタープライズ・コンテンツ管理プラットフォームであり、これを使用すると、ドキュメント管理、Webコンテンツ管理、デジタル資産管理、およびレコード保持機能を活用して、ビジネス・アプリケーションの構築と補完を行うことができます。コンテンツとアプリケーションに対して戦略的なエンタープライズ・コンテンツ管理インフラストラクチャを構築すると、コストの軽減、企業全体にわたるコンテンツ共有の簡略化、リスクの最小化、コストと時間のかかる手動プロセスの自動化、および、管理の一元化を目的とした単一プラットフォーム上での複数Webサイトの統合が実現しやすくなります。Oracle Universal Content Managementでは、ユーザーフレンドリなインタフェース、ロールベースの認証およびセキュリティ・モデルを使用することによって、全社規模のユーザーでコンテンツに対する表示、共同作業および廃棄ができるようになるため、配布済または公開済のアクセス可能な情報は、すべてセキュア、正確かつ最新な状態であることが保証されます。

Oracle UCMはWebLogic Server(WLS)にデプロイされるようになったため、前回リリースされたUCMから大幅に変更されています。

3.16.2 Oracle Universal Records Management(URM)

Oracle Universal Records Management(Oracle URM)は、コンテンツ・アイテムのライフ・サイクルを定めた保存スケジュールによって、そのコンテンツ・アイテムを効果的に管理します。

一般的にレコード管理では、履歴管理、法定義務またはアーカイブのためにコンテンツを保存すると同時に保存管理機能の実行にも重点が置かれます。また、一般的に保存管理では、コンテンツの保存にかかるコストが、保持することの価値を上回った場合に、そのコンテンツを削除するスケジュールを定めることに重点が置かれます。

Oracle URMは、レコード管理と保存管理を1つのソフトウェア・システムに統合しています。Oracle URMを使用すると、必要に応じたコンテンツの追跡および保存、または不要になったコンテンツの処分が可能になります。

3.16.3 Oracle Inbound Refinery(IBR)

Oracle Inbound Refinery(Oracle IBR)は、ドキュメント、デジタル画像、動画などの電子資産のファイル変換を管理する変換サーバーです。Oracle IBRには変換だけでなく、ドキュメントや画像に対するサムネイル機能や、動画に対するストーリーボード作成機能があります。また、Adobe PhotoshopやAdobe Illustratorなどのプログラムで生成された電子ファイルに格納されているデジタル画像やXMPデータから、EXIFデータを抽出して使用することもできます。Oracle IBRを使用すると、Oracle Content Serverに格納されているコンテンツ・アイテムを変換できます。

3.16.4 Oracle Information Rights Management(IRM)

Oracle Information Rights Management(Oracle IRM)は、一元化されたサーバーおよびデスクトップ・エージェント間に権限管理を分散します。

Oracle IRMを使用すると、ドキュメントまたは電子メールを、そのライフサイクルのいずれの段階でも、自動または手動でシールできます。この処理では、Microsoft Windowsデスクトップに統合されているシーリング・ツール、オーサリング・ツール、電子メール・クライアント、コンテンツ管理リポジトリおよび共同リポジトリが使用されます。シールが行われると、ドキュメントおよび電子メールは、強力な暗号化およびデジタル署名のレイヤー内にラップされ、ネットワークホスト型のサーバーに戻るための消すことのできないリンクが設定されます。このサーバーは、その情報が属している組織で運用されているもので、復号化鍵および関連付けられているアクセス権が格納されています。

シールされたドキュメントおよび電子メールは、電子メール、Web、ファイル共有など、既存のあらゆる手段で配布できます。

Oracle IRMの詳細は、Oracle Information Rights Management Server管理者ガイドfor Microsoft Windows(32-Bit)を参照してください。

3.16.5 Oracle Imaging and Process Management(I/PM)

Oracle Imaging and Process Management(Oracle I/PM)は、プロセス指向のイメージ処理アプリケーションや、エンタープライズ・アプリケーション向けのイメージ対応ソリューションを開発するためのスケーラブルなソリューションを提供します。Oracle I/PMは、Oracle Document CaptureおよびOracle Distributed Document Captureを介したイメージ・キャプチャ、イメージの注釈およびマークアップ、ルーティングと承認の自動化に対応したBPELサポート、およびアイテムが膨大な数にのぼる大量アプリケーションに対するサポートを実現します。Oracle I/PMを使用すると、Oracle E-Business Suite、PeopleSoft Enterprise、JD Edwards EnterpriseOneなどのOracleエンタープライズ・アプリケーションに、組織のコンテンツとプロセスを直接統合できます。ユーザーは、トランザクションベースのコンテンツすべてに対して1つのソースを使用できるため、二重入力する必要がなくなります。

Oracle I/PMの詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Imaging and Process Management管理者ガイドを参照してください。

3.17 Oracle Data Integrator

Oracle Data Integratorは、複雑なデータ・ウェアハウスの構築、デプロイおよび管理を目的とした完全に統合されたソリューション、あるいは、SOAまたはビジネス・インテリジェンス環境におけるデータ中心アーキテクチャの一部を提供します。また、データ移動、データ同期化、データ品質、データ管理、データ・サービスといった、データ統合における要素をすべて兼ね備えているため、複雑なシステム全体にわたってタイムリーで正確かつ一貫した情報を確保できます。

Oracle Data Integrator(ODI)には、アクティブな統合プラットフォームという特徴があり、このプラットフォームには、データ、イベント、サービスをベースとした、あらゆるスタイルのデータ統合が含まれています。ODIでは、大量データの効率的な変換、チェンジ・データ・キャプチャ(CDC)の高度な機能を使用したリアルタイムでのイベント処理、Oracle SOA Suiteへのデータ・サービスの提供を行うことによって、個々に統合されたものを1つにまとめます。また、データ整合性を制御する堅牢な機能も用意されているため、データの整合性と正確性が保持されます。Oracle Data Integratorには、異機種間E-LT、宣言的設計およびナレッジ・モジュールという、強力かつコアな差別化機能が用意されているため、パフォーマンス、柔軟性、生産性、モジュール性およびホット・プラグ可能性に関する統合プラットフォームの要件を満たしています。

Oracle Data Integratorの詳細は、次の資料を参照してください。

3.17.1 Oracle Data Quality製品

Oracle Data Profiling for Data IntegratorとOracle Data Quality for Data Integrator(まとめて「Oracle Data Quality製品」とも呼ばれる)は、Oracle Data IntegratorのインラインData Quality機能を拡張し、より高度なデータ・ガバナンス機能を提供します。

完全なData Qualityシステムには、次に示すように、データのプロファイリング、整合性および品質が含まれています。

  • プロファイリング

    プロファイリングでは、データの調査と品質の評価が可能となります。ビジネス・ユーザーは、自社データの品質に関する課題を明確に把握し、時間の経過に応じて自社データの品質を監視および追跡できるようになります。プロファイリングはOracle Data Profilingによって行われます。ビジネス・ユーザーは、メトリックを使用して自社データの品質を評価し、このデータに基づいてルールを発見および推測し、最終的に、時間の経過に応じてデータの品質の推移を監視できるようになります。

  • 整合性の制御

    整合性の制御は、情報システムのアプリケーションにおいて、データの全体的な整合性を維持する際に欠かせません。情報システムによって課された制約および宣言的ルールに対して、アプリケーション・データが常に有効とはかぎりません。たとえば、発注書で顧客が空白になっている場合や、発注の明細で製品が空白になっている場合などが考えられます。Oracle Data Integratorには、これらの制約違反を検出して、リサイクルまたは報告用として格納するための作業環境が組み込まれています。Oracle Data Integratorで行われる静的チェックおよびフロー・チェックは整合性チェックです。

  • 品質

    品質には整合性が含まれており、より複雑な品質処理にも適用されます。ルールベースのエンジンでは、名前や住所など、任意の種類のデータに対して、クレンジング、標準化、エンリッチ、照合および複製削除を行う統合プロセスの一環として、データ品質基準を適用します。Oracle Data Quality for Data Integratorでは、データ品質と、名前およびアドレスのクレンジングが、エンタープライズ統合戦略の中核に位置付けられています。

Oracle Data Quality製品の詳細は、次の資料を参照してください。

  • Oracle Fusion Middleware Oracle Data Integrator開発者ガイドの「Oracle Data Quality製品の操作」