Oracle Application Server(AS)Adapter for CICSを使用すると、Oracle Application ServerをCustomer Information Control System(CICS)に接続できます。
この章では、OracleAS Adapter for CICSの機能とアーキテクチャの概要について説明します。
この章の構成は、次のとおりです。
OracleAS Adapter for CICSには、次のアダプタが含まれています。
CICSは、IBMメインフレーム・システムの基幹アプリケーションに対して、非常に強力なオンライン・トランザクション管理と接続性を提供するアプリケーション・サーバーのファミリです。
CICSのアプリケーション・コンポーネントは、トランザクションと呼ばれる実行可能プログラムです。これらのプログラムは、通常、COBOLで記述されますが、PL/I、C、Javaなどの他の言語で記述されることもあります。OracleAS Adapter for CICSの相互作用は、特定のプログラムにマップされます。
OracleAS Adapter for CICSには、次の機能が含まれています。
COMMAREA
トランザクションを使用して、トランザクション・プログラム(COBOLコピーブックなど)に記述された通信バッファを介してクライアントと通信する機能。入力構造と出力構造(制限はそれぞれ32KB)があります。多くの場合、トランザクションは入力構造を出力構造の前に記述します。
EXCI(EXternal Call Interface)を使用して、IBM z/OSシステムで動作しているタスクからCICSトランザクションを起動する機能。EXCIは、クロスメモリー・メカニズムを使用しているため効率的です。
有効なCICSユーザー名とパスワードを格納できるようにする機能。これらの情報は、認証のためにクライアント・リクエストの一部としてCICSに渡されます。
CICSのメタデータ・スキーマを取得および保持する機能。COBOLコピーブックをIBM z/OS SeriesプラットフォームにインポートしてOracle Connectのマッピング定義に変換し、特定の物理ファイルを備えたデータ構造を関連付けます。
エンタープライズ・アプリケーション統合(EAI)モデルを使用する機能。アプリケーションをリクエストするユーザーが、各相互作用の内容と発生時期、および各相互作用に想定される入出力を指定することで、実装する相互作用をモデル化できます。
Oracle Application Server内でCICSプログラムへのアクセスを容易にするデータ構造のマッピング機能。
2フェーズ・コミットをサポートし、分散トランザクションに完全に関与できる機能。
注意: OracleAS Adapter for CICSで2PCを使用するには、RRSをインストールして構成し、さらにCICS TS 1.3以上をインストールする必要があります。 |
OracleAS Adapter for CICS Queueは、メッセージをCICSの一時データ・キューから取得するために使用されます。
メッセージをキューから取得するために、getEvents
相互作用が実行されます。この相互作用は、自動的にアダプタのスキーマに追加されます。実行されると、キュー内のすべてのメッセージが取得されます。
イントラパーティションとは、直接アクセス・ストレージ・デバイス内に存在し、別々のタスクとして稼働する1つ以上のプログラムによって使用されているデータを指します。これらの内部キューに送受信されるデータは、可変長レコードで構成される必要があります。すべてのイントラパーティション一時データの送信先は、同じデータセット内にキューとして保持され、CICSによって管理されます。
イントラパーティションの送信先は、リソース定義を必要とします。リソース定義には、イントラパーティション・データセット内でのキューの位置を示す情報が含まれます。これらのキューは、端末または出力データセットのいずれかと関連付けることができます。ユーザー・タスクによってデータがキューに書き込まれると、キューはその後、CICSリージョン内の他のタスクによって、入力データとして使用できます。
アクセスはすべて逐次的で、読取りおよび書込みポインタによって支配されます。レコードは一度読み込まれると、別のタスクによって読み込まれることはありません。イントラパーティション・データは、最終的に、リクエスト時に端末に送信されるか、出力データセットによって逐次的に取得されます。
イントラパーティション一時データ・キューは、論理的にリカバリ可能なタイプです。このデータ・キュー・タイプは、ウォーム再起動および緊急再起動の際にはリカバリされます。作業ユニット(UOW)が論理的にリカバリ可能なキューを更新し、その後、変更点をバック・アウトすると、キューの変更点もバック・アウトされます。ウォーム再起動または緊急再起動の際には、論理的にリカバリ可能なイントラパーティション・キューのコミットされた状態がリカバリされます。
OracleAS Adapter for CICSには、次のコンポーネントが含まれています。
J2CA 1.5 CICSアダプタ: J2CA CICSアダプタは、J2EEコンポーネントとの接続性を提供するJ2EE Connector Architectureに準拠している標準のリソース・アダプタです。
Oracle Connect: Oracle Connectは、レガシー・システム上で動作し、Oracle Application Server Containers for J2EE内で動作するJ2CA 1.5 CICSアダプタからのリクエストを処理します。
Oracle Studio: Oracle StudioはOracle Connectの構成ツールです。Oracle Studioを使用する構成タスクは、WindowsまたはLinuxのコンピュータで実行されます。Oracle Studioは、OracleAS Adapter for CICSのモデル化に必要な特定の情報を生成できるパースペクティブを使用します。
図1-1は、OracleAS Adapter for CICSのコンポーネントを示しています。
関連項目: 『Oracle Application Server Adapter概要』 |
J2CA 1.5 CICSアダプタは、Oracle Application Serverから受け取ったJ2CA相互作用の起動をXMLフォーマットに変換し、XMLフォーマットをレガシー・サーバー上のOracle Connectに渡します。デーモンは、J2CA 1.5 CICSアダプタ・クライアントから着信するリクエストをリスニングし、リクエストを処理するためにサーバー・プロセスに割り当てます。
接続プーリングの要件など、サーバー・プロセスのプロパティは、デーモン内のワークスペース定義によって設定されます。サーバー・プロセスにはアプリケーション・エンジンのインスタンスが含まれています。このインスタンスがXMLフォーマットをCICSで理解できる固有の構造に変換し、バックエンド・アダプタに渡します。バックエンド・アダプタは、リポジトリに格納されているバックエンド・アダプタのメタデータとXMLから変換された着信データに基づいて相互作用を作成し、その相互作用をレガシー・アプリケーションに渡します。この実行の結果は、バックエンド・アダプタを使用してアプリケーション・エンジンに戻されます。結果は、XMLに変換され、クライアントに渡されます。